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2016/04/05 00:00  | 米国 |  コメント(3)

米大統領予備選挙:ウィスコンシンの展望


4月5日にウィスコンシン州で予備選挙が行われますが、ここでは、ドナルド・トランプヒラリー・クリントンという二人のフロントランナーがともに世論調査で負けているという異変が起こっています。

共和党

まず共和党(世論調査)ですが、この段階にきてトランプに逆風が吹いているのは意外な事態です。原因としてまず指摘できるのは、ウィスコンシン州はポール・ライアン下院議長の地元であること、強固な保守派であり予備選から撤退したスコット・ウォーカーが州知事を務めていることです。

しかし、もしかしたら、こういった外的要因にとどまらず、トランプ自身が抱える問題が影響している可能性があります。トランプは、共和党候補になる可能性が現実味を帯びるにつれ、外交や中絶といった米国の本質に関わる問題について具体的な発言をする機会が増えてきました。その内容は・・・皆さんご承知のとおり、恐るべき無知と無関心をさらけ出しました。

今さら言うまでもないことですが、トランプには外交に関する知識、知見そして問題意識がまったくありません。日韓の核武装容認発言は、ちょうどワシントンDCで核安全保障サミットが行われる直前だったこともあり、オバマの逆鱗も触れることになりました。しかも、同盟国軽視発言については、国務省や国防総省からも批判が出始めています。行政機関が大統領候補を非難するなど前代未聞の事態です。

また、妊娠中絶が非合法化されたら中絶した女性を罰すると発言し、プロ・ライフ/プロ・チョイスという、米国民にとっては心臓ともいえる根元的なイシューについて、これまでまともに考えたことがなかったことも明らかになりました。

「党大会の展望」で述べたとおり、私はトランプの具体的な政策論を今の時点で精査することには大した意味がないと思っています。知識も定見もない状態で、思いつきでしゃべっているだけであり、どうせすぐにひっくり返るからです。もっとも、その根底にある彼を突き動かしている哲学を探ることは意味があります。

トランプの性向については、「ミシガン、ミシシッピー、アイダホ、ハワイ」「ミニ・スーパー・チューズデーの展望」で説明したとおり、「仮想敵をつくる」、「ストロングマンが好き」、「プロ・ビジネス」といった点を指摘しましたが、これらすべての裏返しとして、「弱い者いじめ」という一貫したテーマを見出すことができます。移民も妊娠中絶する女性もいずれも社会的弱者です。

これまでトランプは、弱者に対する遠慮を捨てて、強い者が勝てばよい、米国、そして我々は強い、というメッセージを打ち出し、これに溜飲を下げる有権者の支持を得てきました。しかし、これが中絶問題のような米国を二分するテーマに踏み込んだとき、どこまで通じるのか。また、その短気な性格、無定見も本当に大統領として許容できるのか。

ウィスコンシンは、注目されるはずのなかった地味な選挙区でしたが、実はトランプの未来を図る試金石になるかもしれません。ここでの支持率の低さが風向きを変えるものであれば、トランプの絶対的な優位も揺らぎます。

ウィスコンシンの代議員数はわずか42名であり、この結果自体が選挙戦に影響を与えるものではありません。しかし、トランプの勢いに陰りがでてきたと見えれば、「党大会の展望」で述べたとおり、ブローカード・コンベンションで何が起こるのか分からなくなります。

トランプの正当性は世論の支持の一点にかかっています。党大会の時点で「やっぱり彼はあり得ない」という雰囲気ができていれば、トランプ排除の可能性が現実味を帯びるでしょう。

民主党

次に、民主党(世論調査)ですが、バーニー・サンダースがリードしていることは色々な意味を含んでいます。

まず、予備選挙の流れを変えるほどの事態にはなりません。4月19日に予定されるNYは代議員数291名という大票田ですが、ここはヒラリーの金城湯池、圧倒的な優位を維持しています。

また、ヒラリーは最後のファイアーウォールとしてスーパー・デリゲート469人の支持を確保しています。これを切り崩さなければサンダースがヒラリーを上回ることは不可能です。

しかし、ウィスコンシンでは半年前にはヒラリーはサンダースを圧倒的な差でリードしていました。このような場所で、今ヒラリーがフロントランナーの地位を固めようとする段階でサンダースにゆさぶられるのは、ヒラリーにとってはかなり深刻な事態です。

これはサンダース人気というよりは、ヒラリーに対する国民の不信感、人気のなさが露わになったということでしょう。私自身は、ヒラリー起訴はないと思っているので、本選には進むと思いますし、トランプが相手であれば十分に勝ち目があります。

しかし、まともな人から相手にされない69歳と国民から支持を得られない68歳・・順当にいけば、何とも寒い大統領本選になりそうです。

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3 comments on “米大統領予備選挙:ウィスコンシンの展望
  1. ペルドン より
    ウィスコンシン州予備選挙

    酒を飲まないのに・・
    トランプ・・酔拳・・

    ウィスコンシン州・・捨てているでしょう・・
    チーズは嫌いだ・・州名産・・貶すでしょう・・

    サンダース・・世論調査の勢いのまま・・ここを獲れば・・
    NY・・変調しかねない・・

    WPも・・「バイバイ・バニー」・・と論説・・
    Hilaryの攻撃・・見苦しくなってきた・・焦り始めている・・

    オバマが司法を抑えているにしても・・彼は本質的に日和見主義者・・
    形勢次第で・・変身しかねない・・
    「バイバイ・Hilary」になりかねない・・・(笑

  2. JFKD より
    ポール・ライアン

    共和党もトランプ・クルーズでは寒すぎるので、担ぎだせる可能性はどのくらいありますか。またその場合、ルビオを副大統領候補にするのは得策ですか。

  3. ペルドン より
    予想通り

    トランプは負け・・サンダースは勝利・・
    ウインスコンの敗者は・・傷を舐める暇もなく・・次の戦場に・・

    69才と68才コンビ・・
    歳と感じるか・・
    アレクサンドロス大王を支えた親衛隊(盾持ち)・・60台も珍しくなく・・70台もいた・・
    史実を考えるか・・
    今・・長老政治こそ本流・・求められる混乱の時代なのか・・・(笑

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