2016/03/11 01:43 | 米国 | コメント(7)
米大統領予備選挙:ミシガン、ミシシッピー、アイダホ、ハワイ
■トランプ氏が2州連勝 民主党はサンダース氏が番狂わせの1勝(3月9日付BBC記事)
■トランプ氏、ハワイも押さえて3勝目 クルーズ氏も1勝(3月9日付CNN記事)
●共和党(ミシガン、ミシシッピー、アイダホ、ハワイ)
3月8日の共和党予備選は、ドナルド・トランプはミシガン、ミシシッピー、ハワイで勝利(15勝)、テッド・クルーズはアイダホで勝利(7勝)、マルコ・ルビオは敗北(2勝)。
何度も書いているとおり、現時点での天王山は3月15日のフロリダとオハイオです。今回の4州と12日に予定されている2州(グアム、DC)は、その前哨戦として、選挙戦の流れを見る上で重要という位置づけになります。
というのも、まず現状において注目されているのは、ブローカード・コンベンションの可能性です。共和党候補を一本化してトランプに対抗する選択肢は、クルーズでは認めがたく、ルビオでは弱すぎる。したがって、残る選択肢は、クルーズもルビオもジョン・ケーシックも撤退しないで戦ってもらう、そしてトランプが代議員数の過半数(1,237、「マジック・ナンバー」と言われる)を獲るのを防ぐ、それによりブローカード・コンベンションに持ち込む、ということになります。
この場合、トランプに取って代わる候補者として有力視されるのは、ルビオ、ポール・ライアン下院議長、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の3人。ここで重要になるのはやはりフロリダとオハイオです。
ルビオとケーシックが頑張ればまだ状況は分からない。しかしトランプが勝つことになれば、その後の勝者総取り州でもやはり勝つと予想され、そうなると過半数を獲ることは防げない、ということになります。
そういう観点から、今回のミシガン、ミシシッピーなどを見ると、やはりトランプの勢いは衰えるところを知らず、フロリダとオハイオも勝つ可能性が高そうです(現状の世論調査(フロリダ、オハイオ)でもリード)。したがって、ブローカード・コンベンションのシナリオの可能性も低いと言わざるを得ません。
また、トランプが真に大統領候補となるのであれば、「スーパー・チューズデー」で副大統領の人選について述べましたが、さらに気になってくるのは外交チームの陣容です。ヒラリー・クリントンのような歴戦の政治家やマルコ・ルビオのような本流候補であれば既に外交チームのメンバーは固まっていますが(前者は国務長官時代からの人脈、後者はネオコン系)、バーニー・サンダースやトランプ、クルーズのようなアウトサイダー候補には人材がそろっていません。
トランプの外交政策は、「偉大な米国」の復権を目指すということで、「イスラム国」退治、イラン叩き、移民排斥、TPP反対、中国・メキシコとの貿易不均衡批判、日米・米韓同盟批判などを展開しており、一方でエジプト、ロシア、パキスタン、イスラエルの指導者を評価しているようです。断片的で一貫性がなく、深く考えている様子がうかがえません(日本と中国の混同もみられる)。
私の印象ですが、外交に関する彼の考えは「仮想敵をつくって攻撃する」、「権威主義的なストロングマンが好き」の二つで占められており、それが不満のはけ口と強いリーダーを求める有権者に強くアピールするのでしょう。そのために具体的に何をするかは問題ではなく、仮想敵は、イランでも中国でもTPPでも何となく嫌われているものであればよく、ストロングマンは強そうな人であればいいわけです。
こういった支離滅裂な外交論を大統領選で使えるレベルにまとめるためには、議員、政府関係者、シンクタンクの中からプロの人材を集めることが必要になります。「スーパー・チューズデーの展望」で取り上げたジェフ・セッションズ上院議員もトランプの国家安全保障のチームに加わったとのこと。
したがって、日本政府としては、トランプの下に集うとみられる有識者との間で今からコネクションを作ることが極めて重要になります。もっとも、トランプのような人物の下につくのはかなり勇気のいることであり、まともな有識者が行うこととは思えません。なかなか人材は集まらず、日本政府も適当なターゲットを見つけるのに苦労するかもしれません(笑)。
●民主党(ミシガン、ミシシッピー)
一方で、民主党は、ヒラリーがミシシッピーで勝利(13勝)、サンダースがミシガンで勝利(9勝)。ミシガンは、労働組合を支持基盤とするヒラリー・クリントンが勝利することは間違いないと見られていたので、衝撃の結果です。
経済が厳しい中で格差是正を訴えるサンダースが低所得者層にアピールしたのでしょう。もっとも黒人の多い南部でのヒラリー有利は盤石で、大勢に影響を与えるものではありません。
●ブルームバーグの不出馬
■マイケル・ブルームバーグ氏、2016年の米大統領選出馬を断念(3月8日付ブルームバーグ記事)
マイケル・ブルームバーグが出馬を断念・・というブルームバーグの報道(笑)。「スーパー・チューズデー」で書いたとおりの展開です。
独立候補が勝利するのは至難の業です。しかし、今回は、サンダース対トランプというアウトサイダーの対決になれば、そのあまりの異常な事態ゆえに、実績あるブルームバーグにも勝機があるかもしれないということで、出馬の可能性が取り沙汰されてきました。
しかし、ヒラリーが勝利する状況が明らかになりました。そうなるとブルームバーグに勝ち目はなく、しかもトランプに利する可能性が出てきます。そういう状況を検討して判断したということでしょう。
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7 comments on “米大統領予備選挙:ミシガン、ミシシッピー、アイダホ、ハワイ”
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トランプさん、「Japan as No.1」のバブルのときの日本に来てるから間違った印象持ってるかもしれませんね。(笑)
あのときは三菱地所がなんとロックフェラー・センターを買収したり派手なことやってましたし、不動産屋のトランプさんにとっては日本は脅威に見えたのでは?(ただ、日本の不動産会社がアメリカに投資することは歓迎すべきこと、日本の不動産価格は高すぎるときちんとプロとして正しく見ていたコメント出していました)
あと、トランプさんのスタッフや政治的経歴わからないので、適当な想像ですが、トランプさんむしろ、シロウトの錯覚で、自分のキャラクターで押し通せる外交の方に自信を持っていて自分でやりたくて、細々と問題が積み重なっている内政の方に取り仕切れるブレーンを欲しがってるような気がします。
外交と教育は誰でも何かしら自分が正しいと信じて好きなこと言えますもんね。私だって、「金正恩、バッカでえ」くらいは自信を持って言えます。ただ前者は専門分野のジグソーパズルで、むちゃ大変だと思います。トランプさんは、面倒なことは全て国務省のスタッフがやってくれるもんだと思っているでしょう。
プーチンさんにおだてられて調子に乗っているトランブさんには、そのプーチンさんや況してやオバマさんの苦労はまだわからない類のものだろうなあって思います。
エリザベス・ウォーレン女史・・
彼女なら・・人材掻き集められるでしょう・・
ミシガンで・・ヒラリー・・
コーク兄弟が・・サンダースを褒める宣伝をしている・・と詰る・・
サンダース・・怒りの反撃・・
コーン兄弟・・何を企んでるのでしょうかね・・!?
トランプも・・
人材が・・集まり始めているそうだから・・
ホワイトハウスで・・変身するそうだから・・
そう・・恐れる事はないのでは・・
どなた様が成られても・・
円安誘導国家として・・
往復ピンタ・・円高誘導国に・・・(笑
トランプ氏が人気を集めているのは、日本人が忘れ去りたいと思っている「民主党や鳩山氏に熱狂していたあの時間帯」に重なるものがあるのでしょうか?
もしそうであれば、あれは日本がアメリカに先行していた稀有な出来事なのか?(笑)
ぺルドンさんも本心ではのブルームバーグが降りて、いよいよ匙を投げた?予想的中の割には全然うれしそうではない。変身が前提での大統領候補では困るじゃありませんか。当てたのに自分で自分を慰めている印象がするのですが。本当は誰よりもトランプ優勢という神託を恐れていた?。まるでオイディプスのように。だから警鐘を鳴らしていた。どうも結果はギリシャ神話のようになりそうで、ぺルドンさんが心配になってきた。JDさんもぐっちーも苦りきっているのでは?かといって聖サンダースではなー。ヒラリーでいいよ。
>>経済が厳しい中で格差是正を訴えるサンダースが低所得者層にアピール・・
ミシガン・・
NAFTが直撃・・廃墟・・
賛成したヒラリー・・反対したサンダース・・
この側面・・否定出来ない・・
>>「仮想敵をつくって攻撃する」「権威主義的なストロングマンが好き」
その一面もある・・
あるが・・
選挙戦術・・大衆に分かりやすいPR・・マジック・・
トランプの本質は・・ビジネスマン・・ビジネスに徹する手法・・
これは外交以下・・万能の手法・・
ミシガン・ディヴェート・・
その片鱗・・大統領ぽく・・歩み始めた・・
二人の一年生議員・・
今まで・・計算されたトランプの煽りに煽られた。本道を踏み外した・・特にルビオは酷い・・テレビショウ―の手練れに・・勝てる筈がない・・
ベン・カーソンの支持を受け・・トランプ・・選挙街道をマッシグラ・・
ジョン・ケーシック・・一番高値で・・売りつけるでしょう。
コーク兄弟・・反トランプ運動には・・金出さない・・最初から手を組んでいた雰囲気濃厚・・
トランプは・・大統領になれば・・
非常に手強い・・オバマへの不満を一身に引き受け・・巨人化している・・
巨人の進撃・・であります・・・(笑
ヒラリー大統領実現・・
僕は・・一番恐れているのです・・
トランプは・・怖くない・・
ヒラリーは・・本当に怖いですよ・・
理由・・
無能だから・・無能だが・・突出した才能がある。
人は・・その才能・・大野心・・と呼びます・・
米国だけでなく・・日本も巻き込まれるでしょう・・
民主党大統領候補・・決まる前に・・司法省動いてほしい・・
多分・・オバマが止めているのでしょうが・・任期切れも近い・・
その駆け引き・・
僕には分からない・・JD情報待ち・・・(笑
確かに目をみればヒラリーの方が、トランプより怖そうだ。ワザと何をするかわからないイメージを出しているビジネスマン・トランプと、何をするか解っているヒラリーということですか。ヒトラーはトランプではなくヒラリーだった。これはサスペンスになってきた。では神託通りトランプの方がいいんですね(笑)。最悪の場合、旦那に射殺してもらいましょう。それまで生きていれば。(笑)