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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/09/25 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(9/24~30)ゼレンスキー訪米、ポーランドとウクライナの対立、カナダとインドの対立、政府閉鎖の危機


昨日はぐっちーさんの命日でした。もう4年になりますが、思い返すとその間に色々なことがありました。「コロナとかトランプとか円安とか、こんなことがあったんですよ」などと説明したら、あのダンディーな声で、「マジか~くそ~面白いな!!」というぐっちー節が聞こえてきそうです。

グーチーポストも、読者の皆様からご支援を受けながら、4年の間に色々なことができたと思います。ぐっちーさんからは「いやいや、まだまだだろ!」とお叱りを受けそうですが、これからもどんどん発展させますから・・と言えば許してくれるのではないかと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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先週の動き
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9/17(日)
・ウクライナ軍がバフムト近郊の集落クリシチウカを奪還したと発表
・サリバン大統領補佐官と王毅共産党政治局委員が会談(16~17日、マルタ)
・中国・ASEAN博覧会の開幕式(李強首相が演説)(南寧)

9/18(月)
・ブリンケン国務長官と中国の韓正国家副主席が会談(NY)
・G7外相会合(同)
・日米外相会談(同)
・米国とイランがそれぞれ拘束していたイラン人と米国人を解放、韓国でのイラン資産の凍結が解除
・ハンター・バイデンが個人情報の漏洩を理由にIRSを提訴
・ウクライナがポーランド、ハンガリー、スロバキアによるウクライナ産穀物の輸入禁止の違法を主張しWTOに提訴
・ウクライナの国防次官6人が解任
・中ロ外相会談(モスクワ)
・中国軍の航空機103機と艦船9隻の台湾海峡付近での活動を台湾国防部が発表
・台湾の侯友宜新北市長(国民党の総統候補)がブルッキングス研究所で講演(ワシントンDC)
・ASEAN初の合同軍事演習(南シナ海、~26日)
・カナダのトルドー首相が6月にカナダ国内で起きたシーク教の指導者ハーディープ・シン・ニジャールの殺害事件にインドが関与したと発言、在カナダのインド人外交官を追放
・国連SDGサミット(NY、~19日)

9/19(火)
・国連総会一般討論演説(ルーラ大統領、バイデン大統領、ゼレンスキー大統領らが演説)(NY、~25日)
・米・中央アジア5か国首脳会議(同)
・ケリー気候変動問題担当大統領特使と中国の韓正国家副主席が会談(同)
・トルコ・イスラエル首脳会談(同)
・米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間会議(ドイツ・ラムシュタイン空軍基地)
・日米韓の北朝鮮に関する電話協議
・FOMC(~20日)
・中ロ戦略安全対話(モスクワ)
・北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記がロシアから帰国
・インドが在インドのカナダ人外交官を追放
・アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフのアルメニア系住民の実効支配地域を「対テロ作戦」として軍事攻撃

9/20(水)
・米・イスラエル首脳会談(NY)
・日・イラン首脳会談(同)
・米上院がチャールズ・ブラウン空軍参謀総長の統合参謀本部議長就任を承認
・ロシアのプーチン大統領と中国の王毅共産党政治局員兼外相が会談(サンクトペテルブルク)
・ロシア・イラン国防相会談(テヘラン)
・ウクライナ軍がクリミア半島のセバストポリ近郊のロシア黒海艦隊司令部を攻撃したと発表
・ポーランドのモラウィエツキ首相がウクライナへの軍事支援を停止すると発言
・アゼルバイジャンのアリエフ大統領がナゴルノ・カラバフの軍事作戦について勝利宣言

9/21(木)
・ウクライナのゼレンスキー大統領と米上下両院の民主党・共和党の幹部と会談(ワシントンDC)
・米・ウクライナ首脳会談(同)
・米上院がランディ・ジョージ副参謀総長の陸軍参謀総長、エリック・スミス海兵隊副司令官の海兵隊司令官就任を承認
・インドがカナダ国民へのビザ発給を停止

9/22(金)
・ウクライナ・カナダ首脳会談(ゼレンスキー大統領がカナダの連邦議会で演説)(オタワ)
・ウクライナ軍がクリミア半島のセバストポリのロシア黒海艦隊司令部の攻撃に成功したと発表
・米財務省が米中の経済・金融分野の作業部会の設置を発表
・米国防総省が米中のサイバー分野の作業部会の開催を発表
・米商務省が半導体の政府補助金の受給に関する規則の確定版を発表(11月末に発効)
・日米豪印(クアッド)外相会合(NY)
・米NY州の連邦地裁大陪審がメネンデス上院外交委員長を収賄の容疑で起訴
・中・シリア首脳会談(杭州)

9/23(土)
・アジア大会の開会式(習近平国家主席が出席)(杭州)
・中国の習近平国家主席と韓国の韓悳洙首相が会談(同)
・中・東ティモール首脳会談(同)
・ゼレンスキー大統領とスーダンのブルハン統治評議会議長が会談(アイルランド)

●ゼレンスキーの訪米

ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアの侵攻後初めて国連総会に出席しました。一般討論演説では、ロシアの侵攻に団結して対抗するよう参加各国に呼びかけました。

その後、ゼレンスキーはワシントンDCに移動。米上下両院の民主党・共和党の幹部と会談した後、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談しました。バイデンはゼレンスキーに対し、3億2,500万ドルの追加軍事支援を行うことを伝えました。一方、ATACMSの供与については言及がありませんでした。

ゼレンスキーは、昨年12月の訪米のときには上下両院合同会議で演説しましたが(以下の記事参照)、今回はマッカーシー下院議長から拒否され、実現しませんでした。その代わりなのか、国立公文書館で演説を行いました。

「ロシアのウクライナ侵攻」(22/12/26)

ゼレンスキーの今回の訪米の意義について解説します。あわせてウクライナでの戦況と今後の米欧のアプローチについてもコメントします(※メルマガで解説)。

●ポーランドとウクライナの穀物輸出をめぐる対立

EUは4月に東欧5か国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア)がウクライナ産農産物の輸入を一時的に制限することを認めましたが(以下の記事参照)、9月15日、その期限が到来し、欧州委員会はこの措置を延長しないと決定。これにより輸入制限は認められなくなりました。

「ウクライナ産農産物の中東欧への輸入禁止」(4/24)

EUの決定に対し、ポーランド、スロバキア、ハンガリーは反発し、16日以降も独自に輸入を制限すると発表しました。

これに対し、ウクライナは3か国の輸入制限措置を批判。国際義務違反だとして、WTOに提訴しました。

こうしたウクライナの対応をポーランドは批判。モラヴィエツキ首相は、ウクライナへの武器供給を停止し、自国軍を近代的な武器で充実させると表明しました。

ポーランドは、強固な反ロシア・親ウクライナ政策をとり、ウクライナへの軍事支援や難民の受け入れなどを熱心に行ってきた国です。それがウクライナと互いに非難し合う結果となり、関係に亀裂が入っているように見えます。

こうした展開になる可能性は上記記事ですでに指摘していました。しかし実際に起こった出来事をどのようにみるべきか。今後の展望を含めて解説します(※メルマガで解説)。

●カナダとインドのシク教分離主義者の殺害をめぐる対立

6月にカナダのブリティッシュコロンビア州のシク教徒寺院の駐車場で、シク教分離主義運動(カリスタン運動)の指導者であるハーディープ・シン・ニジャールが射殺されるという事件がありましたが、先週、トルドー首相はニジャールの殺害にはインド政府が関与しているとみていると議会で発言しました。

トルドーはインドに捜査への協力を要求し、同国に駐在するインド人外交官(インドの情報機関RAWのカナダ支局長)を国外追放しました。

これに対しインドはカナダの主張を否定、報復措置として同国に駐在するカナダ人外交官を国外追放しました。さらに、カナダ市民へのビザ発給の停止に踏み切りました。

首脳同士が公然とお互いを非難する異例の事態により、カナダとインドの関係は急激に悪化しました。今回の動きの意義と今後の展望について、米欧を含む国際関係へのインプリケーションを含めて解説します(※メルマガで解説)。

ナゴルノ・カラバフへのアゼルバイジャンの攻撃も取り上げる予定でしたが、長くなってしまったので、状況を見つつ、リクエストがあれば取り上げることにします。基本的なポイントは以下の記事などで20年の戦争とその後の推移を解説する際に書いており、このときの見通しに沿った展開になっていますので、ご確認下さい(バックナンバーでの購読も可能です)。

「ナゴルノ・カラバフをめぐる軍事衝突」(20/10/5)
「ナゴルノ・カラバフをめぐる衝突」(22/8/8)

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今週の動き
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(※政府閉鎖の危機など。メルマガで解説。)

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あとがき
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本文で述べたとおり、ゼレンスキー大統領が国立公文書館で演説を行いましたが、リンカーンの生文書を見て感動したそうです。

そういえばドラマ『国民のしもべ』でも主人公の夢の中でリンカーンが登場し、民主主義について熱く語られて奮い立つという場面がありました。主人公はもともと高校の歴史教師で、歴史上の偉人とたびたび空想で対話するのです。他にもカエサルやゲバラ、イワン雷帝などが出てきました。

『国民のしもべ』については以下の記事で解説しましたが、今見返しても、驚くほど予見的だったり、逆に今の状況との違いを実感させられたりして、大いに示唆に富みます。

「ドラマ『国民のしもべ』」(22/8/29)

特に最後のエピソードで出てくるウクライナ分割と統一など、今の状況に照らしてみると本当に衝撃的です。今でもNetflixでも見られるようなので、ご関心をもった方は少しでも見ることをお勧めします。「ええ?」と思うような違和感のある展開も含め(これもウクライナらしいところです)、興味深く見られると思います。

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