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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/08/29 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(8/28~9/3)ロシアのウクライナ侵攻、バイデンの学生ローン免除、中国企業の監査の米中合意、イラン核合意交渉


8月も終わりですね。東京では、曇りの日が多いこともあり、一時の炎天下の猛暑は過ぎ去ったようですが、それでも蒸し暑い日が続きます。

このところ私は、毎朝4~5時に起きて、ジムでウォーキングやストレッチをしたり、ゴルフも早朝スルーをしています。朝涼しいうちから体を動かして風呂に入ると、血行が良くなり、その後の仕事もはかどります。その代わり、昼を過ぎたところで猛烈に眠くなりますが・・。

8月が終わるところで、永田町ディープスロートさんのメルマガが記念すべき第100号を配信しました。内閣改造、統一教会、維新代表選などタイムリーな話題を取り上げつつ、参院選の結果分析を通じて、今後の政局の長期的な展望も語っています。

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先週の動き
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8/21(日)
・米英独仏首脳電話会談
・ロシアの反体制派組織「国民共和党軍(NRA)」がアレクサンドル・ドゥーギンの娘(ダリア・ドゥーギナ)の爆殺事件に対する犯行声明を発表

8/22(月)
・ロシアのFSBがダリア・ドゥーギナの爆殺事件はウクライナ情報機関によるものと主張、ウクライナ国籍の女性を実行犯として指名手配
・米国がロシア人に対する全面的なビザ発給禁止というウクライナからの要請には応じないと表明
・トランプ前米大統領の弁護団がマール・ア・ラーゴから押収された機密文書等の審査を第三者の立場で監督する「特別管理者」の選任を求める訴えをフロリダ州連邦地裁に提起
・ファウチ大統領首席医療顧問が12月に退任する意向を表明
・インディアナ州のホルコム知事と台湾の蔡英文総統が会談(台北)
・中国人民銀行が政策金利を引き下げ(LPRの1年は3.7→3.65%、5年超は4.45→4.3%)
・米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」(~9/1)
・独加首脳会談(モントリオール)
・パキスタン警察がカーン前首相を反テロ法違反の容疑で訴追したと発表

8/23(火)
・第2回クリミア・プラットフォーム首脳会議(オンライン)
・ポーランドのドゥダ首相がキーウを訪問
・米商務省が航空宇宙分野の研究所等の中国の7団体を輸出管理規則に基づく「エンティティ・リスト(EL)」に追加したと発表
・米中央軍がシリアでイランの革命防衛隊の傘下のグループが使用するインフラ施設を空爆したと発表
・中間選挙の予備選(フロリダ州、NY州)
・サウジのアブドルアジズ・エネルギー相が原油価格の下落を背景に産油国が原油の減産に動く可能性を示唆
・マレーシアの最高裁がナジブ元首相の背任罪等の有罪判決への控訴を棄却(判決が確定)

8/24(水)
・ウクライナの独立記念日(ゼレンスキー大統領が国民向けビデオ演説)
・英国のジョンソン首相がキーウを訪問(5,400万ポンドの追加軍事支援を発表)
・米国がウクライナへの29億8,000万ドルの追加軍事支援を発表
・国連安保理のロシアのウクライナ侵攻に関する会合(ゼレンスキー大統領がオンライン参加)
・ロシアがウクライナのドニプロペトロウシク州チャプリネの鉄道駅等にミサイル攻撃
・バイデン大統領が学生ローンの返済の一部免除を発表
・米司法省がロシアの16年大統領選挙への介入疑惑の捜査について、同省の2人の高官がバー司法長官(当時)にトランプ大統領(当時)を司法妨害の罪に問わないよう助言した19年のメモを裁判所の命令に基づき公開
・重慶市が工場の計画停電を無期限で延長する通知
・中韓国交樹立30周年
・イランが核合意の再建に向けた「最終文書」についてイランが示した追加意見に対する回答を米国から受け取ったと表明
・タイの憲法裁がプラユット首相の憲法上の任期制限違反の判断を下すまで同首相の職務の一時停止を命令
・ミャンマー国軍がボウマン元英国駐ミャンマー大使夫妻を入国管理法違反の容疑で拘束
・アンゴラ総選挙

8/25(木)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・ロシア軍が占拠するウクライナのザポロジエ原子力発電所の電力供給が一時的に遮断
・プーチン大統領がロシア軍の兵力の定員を約115万人とする(13万7,000人増やす)大統領令に署名
・バイデン大統領がメリーランド州ベセスダとロックビルの集会で演説
・バイデン大統領がCHIPSプラス法の実施のための省庁横断組織を設置する大統領令に署名
・米司法省がマール・ア・ラーゴの捜索令状請求の根拠を説明する宣誓供述書をフロリダ州連邦地裁のラインハート判事に提出
・カリフォルニア州の環境当局が35年にガソリンのみで駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定
・ジャクソンホール会議(ワイオミング州ジャクソンホール、~27日)

8/26(金)
・米中の証券規制当局が米株式市場に上場する中国企業の監査状況の検査に関する協定を締結
・米司法省がマール・ア・ラーゴの捜索令状請求の根拠を説明する宣誓供述書を開示
・米共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員と台湾の蔡英文総統が会談(台北)
・NPT再検討会議最終日(NY)

8/27(土)
・ウクライナのザポロジエ原子力発電所で砲撃
・TICAD8(チュニジア、~28日)

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(8月29日)で189日目を迎えました。

ウクライナは8月24日に独立記念日を迎えましたが、この日は奇しくもロシアの侵攻(「特別軍事作戦」の開始)からちょうど半年が経過したところでした。当日、ゼレンスキー大統領が国民向けビデオ演説を行い、ロシア軍をウクライナ領内から完全に追い出すと宣言しました。ロシアからの攻撃を想定して軍事パレードなどの公式行事は行われず、代わりにキーウではロシア軍から奪った戦車などがフレシチャーティク大通りに展示されました。

独立記念日には、英国のジョンソン首相がキーウを電撃訪問、ゼレンスキーと会談し、5,400万ポンドの追加軍事支援を発表しました。退任直前の卒業旅行のような訪問でしたが、この日を選んで現地入りするあたり、さすがボリスという役者ぶりです。

米国はウクライナへの29億8,000万ドルの追加軍事支援を発表。バイデン大統領はゼレンスキーと電話会談を行い、支援の継続を約束しました。

ドイツも、独立記念日の前日に開催された第2回クリミア・プラットフォーム首脳会議において、ショルツ首相が防空システムやミサイルランチャーの供与など、新たな軍事支援を表明。5億ユーロ以上の規模になると報じられています。

ロシアからの攻撃が懸念されましたが、ロシア軍は、ウクライナのドニプロペトロウシク州チャプリネの鉄道駅等にミサイル攻撃を行いました。少なくとも25人が死亡したとウクライナは発表しています。この日はキーウを含む全土で空襲警報が鳴り続けました。

また、8月20日、ロシアの極右の思想家アレクサンドル・ドゥーギンの娘ダリア・ドゥーギナが運転していた車が爆発し、死亡する事件が起こりました。ドゥーギンもダリアも、ロシアのウクライナ侵攻を全面的に支持し、その正当性を思想面からサポートしていた人々です。プーチン大統領はダリアを「純粋なロシア人の心を持つ有能な人物だった」と称え、その死を悼みました。

事件直後に反体制組織の「国民共和党軍(NRA)」が犯行声明を出しましたが、ロシア連邦保安庁(FSB)は、アゾフ連隊に所属していたウクライナ人女性の犯行であり、ウクライナの情報機関が行ったものである、女性はエストニアに逃亡したなどと発表しました。ウクライナは事件に関与していないと表明し、FSBの主張を否定しています。この事件も、ロシアが大規模な攻撃を行う契機になることが危惧されました。

前述のとおり、独立記念日には市街地へのミサイル攻撃がありましたが、ロシア軍とウクライナ軍の主戦場は引き続き東部のドンバスと南部のヘルソンザポロジエです。ロシア軍の前進はほとんど見られません。南部ではウクライナ軍の攻撃に加え、パルチザンの抵抗も強度を増しています。

ザポロジエ原発付近ではロシア軍の砲撃が続いており、戦闘の影響で、原発が国内の電力網から一時的に遮断される事態が発生しました。ロシアとウクライナは互いにそれぞれの攻撃が原因であると主張しています。IAEAのグロッシ局長は、IAEA視察団の立ち入りが近いうちに行われると発言しました。

戦線の膠着状況が長期化する中、プーチンは、ロシア軍の兵力の定員を13万7,000人増やし、約115万人(非戦闘員を含めると204万)とする大統領令に署名しました。

こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●バイデンの学生ローン免除

バイデン大統領が学生ローンの返済を免除するという歴史的な政策を発表しました。年収12万5,000ドル以下であれば1人当たり1万ドルが免除され、ペル・グラント(低所得層向けの奨学金)の受給者であれば2万ドルが免除されるというものです。ホワイトハウスによると、4,300万人が対象になり、そのうち2,000万人は全額免除となるとのこと。

学生ローンの債務は拡大を続け、約1兆6,000億ドルに達しており、米国の大きな社会問題になっていました。その債務救済は、エリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党の急進左派・進歩派がかねてから主張してきたものであり、その要請に応える政策です。

しかし、この「徳政令」ともいうべき政策は、様々な問題を抱えています。日本のメディアや「識者」は、バイデン政権がまた実績を上げたとポジティブに見ているようですが(こちらの日経Think!のコメント欄でみずほ証券のエコノミストが「クリーンヒット」、財政面で無理はないなどと述べています)、そのように脳天気な評価ができるほど単純な話ではありません。中間選挙に与える影響含め、その意義と今後について解説します(※メルマガで解説)。

●中国企業の監査に関する米中合意

米証券取引委員会(SEC)と中国証券監督管理委員会(証監会)が、米株式市場に上場する中国企業の監査状況の検査に関する協定を締結しました。SECの監督下にある上場企業会計監視委員会(PCAOB)が、中国企業の監査を担当する香港にある会計監査法人に出向き、試験的検査を実施することが予定されています。

この監査の合意の背景には、トランプ政権下の20年12月に成立した「外国企業説明責任法(HFCAA)」があります。外国企業説明責任法は、上場外国企業に対し、米規制当局(SECとPCAOB)による会計監査状況の検査を義務付け、3年間従わなかった場合は上場廃止になるとしています。事実上中国企業をターゲットにした法律です。NYSEに上場する中国企業は約260社ありますが(このうち8社が国有企業)、中国政府は、「国家安全保障」を理由に、これらの企業への米規制当局の検査を拒否してきたからです。

SECは監査状況を検査できていない中国企業名を公表し(アリババ、百度(バイドゥ)、JDドットコム等)、上場廃止リスクが高いとして投資家に注意を呼びかけてきました。このまま検査を受け入れなければ、24年にも上場廃止になるおそれがありました。SEC・PCAOBと証監会は交渉を続けてきましたが、進展が見られず、バイデン政権においても、米中対立が先鋭化したこともあり、行き詰まっているように見えました。

この件はメルマガで何度か頭出ししてきましたが、米中関係の混沌もあり、不確実性が高まっていたので、解説のタイミングを図っていたところでした。そうした中で、今回の合意が発表されました。これは今後の見通しを相当に明確に示すものとして注目に値します。そこで、その意義と今後の展望についてコメントします(※メルマガで解説)。

●イラン核合意交渉

イランの核合意の再建に向けた米・イランの交渉が続けられていますが(米国は核合意の当事国ではないので、EUが仲介する間接的な協議)、7月にEUが合意の最終草案を示し、米国とイランが回答するという状況になっています。先週、イランが示した追加意見に対する米国の回答がイランに伝えられました。

核合意交渉については、これまで何度となくお伝えしてきましたが、このところ関係者の発言やリークが相次ぎ、大詰めの状況を迎えようとしているように見えます。原油価格にも影響することから、マーケットでも注目を集めています。そこで最新の状況を踏まえ、今後の展望についてコメントします(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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ゼレンスキー主演のドラマ『国民のしもべ』について、これまで何度か感想を書いてきましたが(メルマガ第646号(5/23)と第651号(6/27)のあとがき参照)、先日、最後のエピソードまで見終わりました。

シーズンは3つですが、全部で59話もあり、かなりの長編で、時間がかかりました。まあ、7シーズン、合計150話ぐらいあった大長編ドラマ『ザ・ホワイトハウス(The West Wing)』ほどではないのですが。

全編通じて面白かったですが、特に最後の展開がすごかったです(※ここから先はメルマガをご覧下さい。この部分は無料版でも読むことが出来ます)。

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