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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/12/26 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(12/25~31)ロシアのウクライナ侵攻、トランプ起訴勧告、中国とイラン


クリスマスも過ぎ、いよいよ年末ですね。仕事納めモードに入ってきた方も多いかと思います。

この時期に入ってくると、世界情勢もおおむね静かになってきます。しかし中東だけはイスラム暦なので、年末年始もなく平常運転、当然ながら空気を読むこともなく、びっくりするような事態が起きることもあります(16年のサウジとイランの断交、21年のゴーン脱出とソレイマニ殺害など)。今年は穏やかに過ごせるよう祈っていますが・・(苦笑)。

本メルマガもそろそろ仕事納めです。本日はいつもより軽めにして、その後、「2022年の回顧」をお伝えして締めくくりたいと思っています。

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先週の動き
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12/18(日)
・香港の立法会の補欠選挙(親中派の候補者4人が当選)
・北朝鮮が東倉里一帯から日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・FIFAワールドカップ決勝(カタール)

12/19(月)
・ロシア軍が12月18~19日にキーウを含むウクライナ各地をイラン製ドローンで攻撃し、30機を撃墜したとウクライナ空軍が発表
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(ミンスク)
・EUエネルギー相理事会(ブリュッセル)
・IPEF閣僚会合(オンライン)
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会がトランプ前大統領の起訴を司法省に勧告
・中国の衛生当局が新型コロナウイルスの感染で12月18日に2人の死者が確認されたと発表
・中仏外相会談(オンライン)
・南アの与党ANCの党首選(ラマポーザ大統領が再選)(ヨハネスブルク)

12/20(火)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がドネツク州のバフムトを訪問
・ロシアのプーチン大統領が治安当局者向けに演説(モスクワ)
・ロシアのプーチン大統領とブラジルのルーラ次期大統領が会談(同)
・イーロン・マスクがツイッターのCEOを退任すると発表
・日銀の黒田総裁が長期金利の変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大すると発表

12/21(水)
・米・ウクライナ首脳会談(ワシントンDC)
・ウクライナのゼレンスキー大統領が米連邦議会の上下両院合同会議で演説(同)
・米国がウクライナに対する18.5億ドルの追加軍事支援を発表
・米上院がリン・トレーシー駐アルメニア大使の駐ロシア大使就任を承認
・ロシアのプーチン大統領が国防省の幹部会議で演説
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が最終報告書を公表
・米下院の歳入委員会がトランプ前大統領の納税記録の概要を公開
・中国の習近平国家主席とロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長が会談(北京)
・中ロ海軍合同演習(東シナ海、~27日)
・中豪外相会談(北京)
・イスラエルでネタニヤフ元首相を首相とする連立政権の合意が成立
・イラン・サウジ外相会談(アンマン)
・ペルーのボルアルテ大統領がオタロラ国防相の首相任命を発表

12/22(木)
・ウクライナ・ポーランド首脳会談(ポーランド・ジェシュフ)
・ロシアのプーチン大統領が国内メディア向け記者会見(可能な限り早期に「戦争」を終結させたいと発言、米国のウクライナへのパトリオットの供与を批判)
・ロシアのショイグ国防相がウクライナとの戦争の前線を視察
・米NSCのカービー戦略広報調整官が北朝鮮はロシアのワグネルにミサイル等を供与していると表明
・ドイツ連邦検察庁が連邦情報局(BND)の職員をロシアの情報機関に国家機密を漏洩した国家反逆罪の容疑で逮捕したと発表
・米中外相電話会談
・米上院が23会計年度の歳出法案を可決
・米下院が内国歳入庁(IRS)に大統領の納税申告を毎年監査し報告することを義務付ける法案を可決
・中国の李克強首相が香港の李家超(ジョン・リー)行政長官と会談(北京)

12/23(金)
・米国で23会計年度(22年10月~23年9月)の国防授権法(NDAA)が成立
・米下院が23会計年度の歳出法案を可決
・米下院が連邦政府職員による政府所有の端末でのTikTokの使用を禁止する法案を可決
・ロシアのプーチン大統領がトゥーラの兵器工場を視察、軍需企業の関係者を集めた会議に参加
・北朝鮮が平壌の順安付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(12月26日)で308日目を迎えました。侵攻が始まったのが2月24日なので、暦の上ではほぼ10か月が経過したことになります。

戦況に引き続き大きな変化は見られません。ルハンスク州西部とヘルソン州ではウクライナ軍が攻撃を続けていますが、ロシア軍は防衛拠点を固めており、ドネツク州では、ロシア軍がバフムト方面の攻撃をしつこく続け、一進一退の攻防ながら、ロシア軍は小規模な前進を遂げたと主張しています。

そうした中で、ゼレンスキー大統領は最前線の激戦地であるバフムトを訪問しましたが、その直後に驚くべき行動に出ました。ポーランドのジェシュフに陸路で移動し、そこから米軍機で米国に向かったのです。ウクライナ侵攻後初めての外国訪問でした。

ゼレンスキーはワシントンDCに到着後、バイデン大統領と会談。それから連邦議会の上下両院合同会議で演説を行いました。これまでの支援に感謝するとともに、今後の支援の継続を呼びかけ、演説後、バフムトで戦う兵士たちから託されたウクライナ国旗を披露し、ペローシ下院議長に手渡して、頬にキスをしました。

バイデン政権はウクライナに対する18.5億ドルの追加軍事支援を発表。防空システム「パトリオット」が初めて提供されることになりました。この展開と意義については、前回の記事(以下のリンク参照)で述べたとおりです。

「ロシアのウクライナ侵攻」(12/19)

一方、プーチン大統領は、ベラルーシを訪問し、ルカシェンコ大統領と会談。さらに連日、治安当局、国防省幹部、国内メディア向けに演説や記者会見を行い、メッセージを発信し続けました。可能な限り早期に「戦争」を終結させたいと表明し(「特別軍事作戦」ではなく「戦争」と呼んだのは初めて)、パトリオットの供与は無駄と主張しつつ非難。トゥーラの兵器工場の視察も行い、兵器生産の継続をアピールしました。

プーチンはゼレンスキーと異なり、戦地に赴くことはありませんが、ショイグ国防相が前線を視察したと発表されました(ただし場所はわからず)。ショイグはロシア軍の規模を150万人に拡大することを提案。現時点での兵力は90万人と推測されており、8月にプーチンは定員を115万とする大統領令に署名したので(以下の記事参照)、ここから35万人追加することを意味します。

「ロシアのウクライナ侵攻」(8/29)
 
さらにメドベージェフ安保会議副議長が中国を電撃訪問し、習近平国家主席と会談しました。メドベージェフは与党・統一ロシアの党首を務めており、形式的には、中国共産党総書記である習近平と政党トップ同士の交流として会談したとされています。その後、定期的に行われている中ロ海軍合同演習が今年も予定どおり行われました。

こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

トランプ起訴の勧告、納税記録、選挙人集計法

米連邦議会襲撃事件(米国では「9/11」のように「1月6日」「J6」と言われています)の下院特別調査委員会が最後の会合を行い、トランプ前大統領の起訴を司法省に勧告しました。議会襲撃を唆し、暴徒を支援したとして、反乱の扇動、公的手続きの妨害、米政府への詐欺の共謀、虚偽証言の共謀の4罪の容疑を主張しています。その後、最終報告書の全文も公表されました。

また、下院の歳入委員会がトランプの納税記録の概要を公開しました。先月の最高裁判決でトランプ側の申立てが棄却されたことで認められたものです。公開の対象となったのは15年から20年までの分で、大統領在任中の20年の所得税の支払いはゼロでした。

さらに、選挙人集計法(ECA)を改正する法案が23会計年度(22年10月~23年9月)のオムニバス歳出法案に含まれる形で議会で可決されました。大統領選の混乱を防ぐための措置であり、議会では超党派の支持が得られました。

これらの動きは、いずれも24年大統領選に深く関わる重要なものです。その意義について解説します(※メルマガで解説)。

●中国とイラン

中国とサウジをはじめとするアラブ諸国の関係強化については、以下の記事などで詳しく解説してきましたが、読者の方から、では中国とイランの関係はどうなっているのかとの質問を受けました。

「習近平のサウジ訪問(米中とアラブの関係)」(12/12)

これは非常に鋭い視点です。来年のイランの展望を見る上でも関わってくる重要な問題でもあり、この機会に解説することにします(※メルマガで解説)。

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今週・来週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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The 50 best Christmas movies of all time(12月8日付Time Out)

昨年も取り上げた「Time Out」のクリスマス映画ですが(こちらの記事(21/12/27)の「あとがき」参照)、上位のラインアップはほとんど変わっていないものの、今年は『ダイ・ハード』が3位から2位になっていました。

いずれにしても、意外と思われるかもしれませんが、『ダイ・ハード』は米国ではクリスマス映画の定番なのです(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。

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