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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/06/10 21:18  | アメリカ |  コメント(16)

メニューから見た米中首脳会談


まあ、専門的な解説は藤原先生や雪斎どのに任せるといたしましてぐっちーならではの切り口で今回の会談を分析します。

結論から言うと決して友好的なものではなかったと推測します。

こういう時はステートディナーの中身を見ることでどういう待遇をしているのか、あるいは何を伝えたいのか、というのが極めてよくわかります。

まず、会談がいくらカリフォルニアと言えども中国の国家主席を招くわけですから、日本の首相にそうするように、ミッシェル・オバマが先頭にたってホワイトハウスのスタッフが全精力を傾けて料理を作るのが普通なのです。しかし、どうもミッシェル自身がステートディナーに参加しておらず、しかも料理自体は Bobby Flay という、アメリカではどちらかというと「際物」に属するシェフに料理を任せてしまったのです。これには驚きました。確かに Mesa Grill という高級レストランを経営したりしていますが、一方でハンバーガーチェーンかなんかまで経営していて、テレビで料理ショーかなんかをやってしまうシェフですから、決して格が高いとは言えません。

そして何より料理。

以下のような記事が出ています。

RANCHO MIRAGE, Calif. (AP) — When President Barack Obama and Chinese President Xi Jinping (shee jihn-peeng) sat down for dinner, they feasted on several dishes prepared by one of America’s top chefs.

The White House says celebrity chef Bobby Flay prepared a menu for the two leaders that included lobster tamales, Porterhouse steak and cherry pie.

The meal was served Friday in the dining room at Sunnylands, the sprawling estate in Rancho Mirage, Calif., where Obama and Xi met for their talks.

Flay is known for his Southwestern cooking. He owns several restaurants around the country and stars in several cooking programs on the Food Network.

つまり

ロブスター・タメールズ(カリビアン風)
ポーターハウスステーキ
アメリカンチェリーパイ

がメニューだと言う訳です。

これは私には驚愕です。

まずロブスターはこのタメールズというのは基本的にカリビアンの食べ方です。肝ソースなどを使いますのでまあ、まずくはないのですが、首脳会談という場から見るとカジュアル過ぎます。

そしてポーターハウスというのは確かにテンダーロインとトップロインとが双方またがって出てくる結構なステーキですが、決してトップランクのステーキとは呼べません。余程ステーキ好きならともかくもこちらから、ポーターハウスでいきますか、なんて言えるものではない。

チェリーパイに至ってはおいしいですけどこういう場所では言語道断。

あれだけ素晴らしい中華料理の食材がカリフォルニアにはふんだんにあるにもかかわらず、この扱い。あわびすら出さない。

要するにまだ、習近平主席を十分に接待する相手とオバマ大統領は見ていない、ということが料理にすべて表れている、と見ることができます。

これが日本の首相ですと、例えばカリフォルニア・サンタモニカ産うにのジュレ、ボストン沖でとれたまぐろの中トロ、などが間違いなく食卓に上がり、デザートも相当和風を意識したものになる筈です。(季節にもよりますが、栗や小豆、きなこなど日本のデザートでよく使う奴を使う訳ですね)

正に同時期に行われたオランド=安倍首相 のディナーで日本側が三国シェフを擁してフレンチにも大変な気を使ったのと同じことで、こうなると、メニューから見ると

お前ら、俺たちのやり方に従えよ!!

とアメリカ側が言ってるようにしか見えない、という所が大変興味深いのです。

残念ながらワインのメニューがわからないのですが、このメニューですから、出てくるワインも推して知るべし、ということになるでしょうか。

こうやって見ると習近平主席はアメリカからの信頼を勝ち得るにはまだまだ大変な道のりだろう、というのがメニューからみた私の見立て。

いや、ビジネスでも同じです。

ゆめゆめビジネスディナーを侮ってはなりませぬぞ。

ということで!

勝手な言い分ですが、ちょっと角度を変えてみましょう。

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16 comments on “メニューから見た米中首脳会談
  1. ペルドン より
    メニュー&メルマガ

    いいではありませんか・・(笑)
    晩餐会・・
    あったのだから・・

    其れに比べ・・
    我が国の点額首相・・サービスランチだったとか・・(笑)

    オバマが行けば・・
    満漢点心・・

    ワイン・・公表されなかった・・
    異例では・?
    きっと・・日本のワイン・・しかも・・グラスワイン・・

    米国経済分析・・流石・・手練れ・・ぐっちー・・

    6月6日の第14回財政諮問会議・・
    それは良かった・・
    良かったが・・
    大銀行・・稼ぐ・・方程式・・固定・・柔軟性ゼロ・・冒険心ゼロ・・

    タダで・・ノウハウ寄越せ・・地方役人・・資本主義社会知らない方々・・
    まず・・
    名刺交換・・メルマガ・・
    取らないで・・もつともらしく・・コメントだけする・・人もいるが・・(笑)
    この役人の類・・

    今日の尻尾・・頭に・・十分なれる・・・(笑)

    マレーシア・・
    シンガポール航空・・個室・・防音カーテン・・とか・・(嘘)
    時勢を知らんな・・エアーアジアに越されるぞ・・・(笑)

  2. モウは牛なり より
    一方マスコミの論調は…

    やれ、会談時間が安倍晋三首相のときより長かったとか、西のキャンプベービットだったなど、中華贔屓がおおかったですね。

    サイバー攻撃など、中国にとっては叩かれる課題があったにもかかわらず、いの一番でオバマ大統領に会わないといけないくらい、中国やばいんちゃう? と思ってしまうのはへそ曲がりすぎでしょうか。 7月乗り切れるか?

  3. ペルドン より
    AERA

    三本の矢・・
    叫んだだけ・・

    後は・・
    黒い田んぼ総裁・・マーケットの首を・・締めただけ・・
    締めて・・
    自分の首も・・締めただけ・・

    ぐっちー指摘・・
    稼ぐ術を・・増やすか・・
    外国に出稼ぎ・・
    後は・・
    念仏・・唱えるだけ・・

    では・・
    お二人と共に・・
    念仏・・
    「ギャテーギャーテーハラギャテー・・ハラソギャーテー・・
     ボウジソワカ・・ハンニャシンギョウ・・・」

  4. イネ千代 より
    日本のステートディナーはいつ?

    グッチーさんのステートディナー分析は最高です。

    米中関係が、良く分かりました。

    でも、食べ物の恨みは恐いと言いますから、オバマさんが訪中すると、デザートは、杏仁豆腐でしょうか?

    でも、日本の首相は、ステートディナーにも呼ばれてませんので、中国よりもさらに下の扱いということになりませんか?

  5. パードゥン より
    中韓会談のメニュー解説もよろしく

     韓国王朝は歴史的には中国に顔を向けてきたわけですし、中国は属国と思っていたでしょうから、中国が力をつけてきた以上、昔の関係に戻るわけですよね。 通貨スワップも、中国ドルをたよるからもう日本は用なしという事でしょうし。

     さて、グッチーは中国が韓国首相に出すメニューから待遇解説もOKですか? 1週間日替わりでだすとかいう北京料理ですかね。  征服王朝の清朝のルールが、中国ルールというのも変だから、明までさかのぼるのでしょうか。  1冊本が又、書けますね。

  6. 下町の投資家 より
    それでもVIP待遇

    2月に訪米した安部首相はオバマ大統領との会談後、共同記者会見がないだけでなく晩餐会すらなかった始末ですからそれに比べれば習近平主席は国家元首としての待遇で迎えられていますよ。
    それだけ安部首相がオバマ大統領から嫌われてるってことですけど日本経済を活性化させるにはぐっちーさんも言われているようにアメリカに迎合し協調関係を築き上げることしかないはずなので安部首相では無理って事でしょうね。
    安部首相は10月に消費税増税を閣議決定後に電撃辞任するんじゃないかと個人的には思ってますけどね・・・

  7. From Kariya より
    そういえば

    ビジネスディナーといえばぐっちーさんのセミナーで聴いたような・・・
    ありました!ちょうど2年前に参加したセミナーですね。
    当時のメモを読むと・・・

    ビジネスディナー ≠ エンターテイメント

    絶対酔うな!人前で酔うのはパンツ一丁になるのと同じことだ!

    とありますね。
    (メモが間違っていたらすみません・・)

    パンツ一丁・・・パンツを脱いで渋谷といえば・・・
    ぐっちーさん、忘れてました!まだ期待しています!
    (しつこいって!?(笑))

  8. レイ より
    今夜の

    オーケストラ、大変良かったです。

    クラシックも、今後がとても楽しみですね!

    期待しています。

  9. 通りすがり より
    ディナーの解釈

    オバマさんって、クリントン女史とは違って、策略が得意では無いと見ています。全てでは無いけれど、割りと直球ストートが多い人では無いかと・・・。

    食事の内容を見た感じ、米中流家庭の、休日お出かけ時のメニューって感じ。

    取り方によっては、「ご招待の上での接待」では無くて、「友達来たから歓迎」って感じで、よりファミリーな雰囲気を演出。つまり、「公式」じゃなくて「私的」な対話と言うレベル感なのかな?と思いました。

    (私的って事は、内緒話から、罵り合いまで、何を言っても許されるって事かな?って思うわけです。)

    国家レベルで、そんな事は無いのかな???

  10. 匿名鬼謀 より
    コンサート

    コンサートに遅刻して、イキナリ隣(下?)からの御挨拶を失礼しました。

    普段、コンサートにはあまり行かないのですが、

    レクイエムがあんなにも多面的性格を感じさせるとは知りませんでした。

    最近、ワインのブロンズ/シルバー検定とやらを、

    行きつけのバーで勧められたりしてるんで、

    そのうち、ぐっちー講座で初心者ワイン談義でもさせて下さい。

    ちなみに、私はウイスキーとかも好きですぞ?

  11. st より
    米中会談のカジュアルさには驚いた。

    オバマや民主党は習中国と安倍日本を舐め切っている、朴韓国は評価されてますね、幼稚な安倍麻生自民党では心許無い、とても日本を任せられない。

  12. F,Nakajima より
    ワインの発表はない。

    どんなワインが出たか興味があったので、色々調べたのですが、ワインは公開しない方針だそうです(色々揉めるからでしょうか?)

    但し、ワインはアメリカ産を出すようです。2012年の訪問時、すなわち政治局員という肩書きだが事実上の次期総主席というときに、出したワインは29ドルと49ドルのカリフォルニア・ナパバレーでした。
    ちなみにこのときのメニューリストが
    Delaware crab cakes with corn salad
    macho and basil tartar sauce
    balsamic marinated beef tenderloin with balsamic shallot sauce
    wild rice and orzo pilaf
    roasted root vegetables in ancho honey glaze
    packed pears with tulle and finer pear sorbet.

    今回と同じであまり歓迎されてないという感じの構成です。

    ちなみに、江沢民訪問の際のメニューは、

    White House Executive Chef Cristeta Comerford and Executive Pastry Chef Bill Yosses constructed this “All-American” meal requested by the Chinese delegation. What could be more American than steak and potatoes, followed by apple pie?

    D’Anjou pear with farmstead goat cheese; fennel, black walnuts, and white balsamic
    Poached Maine lobster; orange-glazed carrots and black trumpet mushrooms
    Dry aged ribeye with buttermilk crisp onions; double-stuffed potatoes and creamed spinach
    Old fashioned apple pie with vanilla ice cream

    これは、江沢民から「アメリカ料理が食いたい」というリクエストに、ステーキとポテト無しでやって見せたという、難易度の高い所を見せています

  13. 人力 より
    民主党の大統領って日本に冷たくない?

    代々、民主党の大統領って日本に対して冷たくないですかね?
    クリントンも、オバマも・・・。
    中国の顔色は伺いますが。

    一方、共和党の大統領は日本贔屓ですよね。
    ロン・ヤスの関係に始まって、ブッシュJrもジュンイチローとは仲良し。
    別荘に招くくらいだから・・・。

    これ、アメリカ国内の日本利権の問題なのでは?

    ジュンイチローの息子は、グリーンの鞄持ちをしていたそうっだから、きっと首相になったら、ホワイトハウスも熱烈歓迎でしょう。その時はきっと政権は共和党。きっとワインだって一級品ですよ。

    安倍さんは可哀想に小泉Jrの露払いなのでしょう。TPPや規制改革、消費税増税など、国民の風当たりの強い政策変更を遂行するのが役割。安倍政権の応援団の顔ぶれって、胡散臭いですよね。三橋某氏を筆頭に・・・。

    さて、肝心のアメリカ経済ですが、住宅指標がどうもウソ臭くないですか?金融機関が競売物件を買い上げて賃貸しているとNYタイムス。一等地は金融緩和マネーで地上げ、価格下落地域は、金融機関が買い支え。

    一方、米金融市場は、景気回復の兆候を示す経済指標が出ると、QE3の終了に怯えて下落。これ、市場を緩和マネーで支えている事が明確ですね。

    QE3縮小、やれるもんならやってみろという感じですが、S&Pは米国の格付けをプラス修正。何だか、色々とチグハグな動くになっていますが、これって、既に「オワコン」状態(ネット用語で流行遅れという意味。本来は「終わったコンテンツ」の略)という事ではないのでしょうか。

    邦銀は何かに感づいているのか、異次元緩和にも関わらず耐ショック体制を取って、現金を積み上げています・・・。アベノミクスがどうの、日銀緩和がどうのという前に、アメリカ経済に大注目だと思うのですが・・・。

    ジャンク債が大分下落しています。企業収益に影響が出るのでは?

  14. ミスター より
    いや面白い

    いつもぐっちー御大のビジネスディナーに関するレクチャーは面白い。よく考えれば当たり前ですよね。大事な人との食事内容には気を使いますもんね。このねたで一冊書いてもらえませんかね。歴代の外交ディナーを語るみたいなのね。

  15. 田舎の投資家 より
    面白い

    いやあ、こういう解説はぐっちーさんにしかできませんですね。

    今回のコメントはミスターさんと同じ意見で実に面白い。ほんとにこういうことが分からないと一流の投資家にはなれませんということですね。やはりワシは田舎っぺだわ。(笑)

  16. George@LB より
    Tamales

    どなたも書かれていないので。。。Tamale(s)ですが、「タマレ」と読みメキシコを中心とする中米の料理です。パームスプリングス(ロサンゼルスから内陸に車で1時間)という場所がらカリブというよりはメキシコのタマレをアレンジしたものかと思います。ロブスターという普通タマレに入っていないような食材が使われているので、かなり斬新な料理だったのではないかとは想像しますが、タマレ自身は一般的にとうもろこしの粉で作られたちまき(日本のではなく中華ちまき)風の食べ物です。ちなみに、元々はとても庶民的な食べ物です。ポーターハウスステーキというとてもアメリカンなメインディッシュといい、アメリカ来たんだからこっちの流儀に従えというメッセージなんですかねえ。

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