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今回は、前回展望レポートを紹介したついでと言っては失礼ですが、日銀が4月17日に公表した金融システムレポートを紹介します。このコーナーを始めてしばらくの間は、半年に1度このレポートが公表される都度、その紹介を行いました。しかし、レポートの内容がマンネリ化し面白みを感じなくなり、取り上げることを止めました。個々の分析の中では、面白く刺激的な「新作」も登場しますが、全体としては「日本の金融システムはリスクへの耐性を十分備えており、健全である」「ただし、多くの金融機関と一部の地域金融機関の間で経営体力の差が広がっていることには注意が必要である」「リスク管理能力の向上、資本基盤の強化、そして収益力の向…
[ 2013/05/13 09:00 ] コメント(1)
今回は、このコーナーの恒例で、日銀が半年に一度公表する展望レポートを紹介します。先々の実質経済成長見通しや物価上昇率の見通しを数字で示し、そのうえで金融政策運営の基本的考え方を明らかにする日銀の最重要レポートで、今回はとくに黒田体制後初めてのレポートとして注目を集めました。 マスコミでは「2015年度の物価上昇見通し+1.9%」という数字が最も注目を集めました。黒田日銀は、その異次元緩和の目的として「2年後に2%の物価上昇実現=デフレからの脱却」を掲げています。日銀が示す経済や物価の見通しは、自らの政策の効果が顕れることをひとつの重要な前提として作られています。従って、仮に今回示された数字が…
[ 2013/05/06 09:00 ] コメント(2)
六重苦シリーズ最終回の今回は、法人税を取り上げます。 経済界の主張はとても単純です。「国際的にみて法人税率が高く、競争力を殺ぐので、引き下げて欲しい」という主張に尽きます。さて、この前提である「日本の法人税率が高い」という主張はそもそも本当でしょうか?財務省のホームページでは、税に関する様々な資料が掲載されています。ぐっちーが良く「財務省が作る国債に関する数字には、財政再建路線への賛同者を増やすためのバイアスがかけてある」と主張するように、この種の数字の見方には注意が必要でしょうが、他に資料もないのでこれを出発点にすると、 (1)日本の法人税率は、先進国の中で特別に高いとまでは言えないが、…
[ 2013/04/29 09:00 ] コメント(3)
3回お休みしましたが、経済界が主張していた六重苦問題の3回目。今回は、TPPや労働市場の規制について考えてみたいと思います。いずれも賛否が分かれる難しいテーマです。 TPPについては、何度か私見をこのコーナーで述べてきました。一言で言えば、私はTPP賛成派です。一方、TPP反対の方が多いことも、普段余りコメントが書き込まれないこのコーナーが、TPPと公務員問題を書く時だけ複数のコメントを頂くことで実感できます。経済界の主張はとてもシンプルです。経済界は、輸出産業の声が大きく、常に円高反対です。その輸出産業を守り育てるには、円安とともに、輸出への障壁を除くことが大事です。故に円安とTPPを求め…
[ 2013/04/22 09:00 ] コメント(2)
改めて私が書くまでもないテーマかもしれませんが、ご存じの通り、昨年の総選挙に関し違憲(違憲状態、違憲、更には無効)と断じる判決が相次ぎました。今回はこの点について感想を簡単に記そうと思います。 以前も一度書きましたが、大学時代に政治過程論を教えて頂いた京極純一先生は、選挙についてよく「頭を割ることから頭を数えることへの人類の進化」と話されていました。頭を割るとは文字通り戦争で相手の頭を叩き割ることで、一方で人類が洗練されて来たこと、他方で選挙はそもそも戦いであることの両面を示す言葉と受け止めました。また「ゲリマンダー」という言葉は、日本に限らずどこの国でも、選挙を有利に運ぶため選挙区割りを操…
[ 2013/04/15 00:00 ] コメント(1)
別のテーマを考えていましたが、先週最大の事件のひとつ(鳥インフルの方が潜在的にはより重大な話しかもしれません。。。)である日銀の異次元緩和について触れない訳にいかないと思いました。日銀の公表文のURLを参考まで貼り付けました。 黒田総裁体制に代わり最初の金融政策決定会合。市場、マスコミともかなり大胆な政策変更を予想していましたが、その予想を超える決定となり、為替、株価、長期金利は大きく動きました。決定のポイントは以下の点です。日銀自体も「2」をマジックナンバーとして、総裁会見等を通じ宣伝しています。 (1)(白川体制下で決めた)「2」%の物価目標を、「2」年間で達成する。 (2)このため、…
[ 2013/04/08 00:00 ] コメント(1)
今日から新年度。エイプリルフールでもありますが、一応真面目に書こうと思います。六重苦シリーズを続けていますが、不人気でもあり一休みすることとして、今回と次回は最近の出来事を取り上げようと思います。 今回は、ぐっちーもブログやメルマガで取り上げたキプロス問題について簡単に。預金カットと言えば、このコーナーを書き始めた頃、預金保険について取り上げたことがあり、懐かしく思い出します(2009年11月、Vol.8でした)。キプロス問題を簡単におさらいすると、かつてのアイスランドのように国力対比過大な金融システムを抱えているキプロスの経済が立ち行かなくなり、ユーロ圏で支援を行う必要が生じました。支援側…
[ 2013/04/01 00:00 ] コメント(2)
前回に続き六重苦について。2回目の今回は、電力、環境対応に関し感想を記そうと思います。前回の円高に比べとても複雑なテーマと感じます。 産業界の主張自体はとてもシンプルです。まず、原発の稼働が大飯を除き停止するような状況では、いつ電力不足、最悪の場合ブラックアウトが生じるか不安である。そんな中で国内に産業を維持することは難しい。また、原発廃止の方向になると、火力発電に頼らざるを得ないが、電力料金引上げという直接の負担に止まらず、原発依存度引上げにより何とか対応しようとしていた温室効果ガス削減負担が、重く産業界にのしかかってくる。とても耐えきれない。何とかして欲しい、という感じと思います。振り返…
[ 2013/03/25 00:00 ] コメント(0)
世間では、春分の日からスタートする日銀新体制関連の話題で持ち切りですが、私は先月にかけて日銀特集も済ませたので、暫く別の話題を取り上げようと思います。 選挙の頃よく財界から「六重苦」という言葉が聞かれ、マスコミでもしばしば報道されました。その正確な定義は経団連のホームページでも見れば見つかるのでしょうが、私の記憶では、 (1)円高 (2)電力制約 (3)環境対応 (4)雇用規制 (5)TPP (6)法人税 の6つに関し、いかに日本の産業界が苦しい立場にあるか、政府・日銀に何を取り組んで欲しいか、訴えるためのスローガンだったと思います。円高など既に解決された点、電力のように明らかに新旧政権のス…
[ 2013/03/18 00:00 ] コメント(0)
少し古くなりますが、昨年12月、日銀の調査統計局の加藤さんや国際局の榎本さんらの連名で「高度成長期から安定成長期へ:日本の経験と中国経済への含意」という調査論文が出されました。中国に興味がある読者も多いと思うので、いつか取り上げてみようと思っていました。念のためURLも下記に掲げます。 この論文の発想は、1970年代前半に高度成長期から安定成長期に移行した日本の経験を整理・分析したうえで、中国経済が現在の高度成長から安定成長に円滑に移行していくための課題を考察するというアプローチです。無論、国が違えば現実も異なるので、このアプローチに限界があることは明らかですが、それでもとても興味深い発想と…
[ 2013/03/11 00:00 ] コメント(0)
Konan新・CRUのひとり言
1961年生まれ ぐっちーと同じ高校を卒業し、東京大学法学部に入学。30年以上「公」の世界を歩んだ後、最近民間に転じた元官僚。今回の連載再スタートでは、日本経済に焦点を当て、内閣府や日銀の公表物の解説などを極力分かりやすく行いたいと思います。 著者とメルマガのご紹介 メルマガ配信登録
ぐっちーさんの 金持ちまっしぐら
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