2024/09/23 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.247: 日銀金利据え置き
さて、注目の中央銀行月間を締めくくった日銀は、20日の金融政策決定会合で金利据え置きを決めました。アナリスト等の次回利上げ予想時期は12月と来年1月に二分されているようですが(私は休載前に1月説を書きました)、植田総裁の口から明確なヒントは得られませんでした。
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基調判断維持、個人消費上方修正
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今回のように展望レポートがない月(3月、6月、9月、12月)とある月(1月、4月、7月、10月)とでは表現が異なり比較が難しい面もありますが、基調判断は維持されました。需要項目では、個人消費が「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に上方修正されました。リスク要因の指摘内容は前回と同じでした。
(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:横ばい圏内の動きとなっている
(先行き)
・海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる
(リスク要因)
・海外の経済・物価動向
・資源価格の動向
・企業の賃金・価格設定動向
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
・このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある
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予想通り金利据え置き
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政策金利は大方(満場一致⁈)の予想通り維持されました。7月利上げ後の市場混乱、その直後の内田副総裁の発信からみて、据え置きしか選択肢が無かったと思います。
植田総裁会見の動画は見ていませんが、日経によると、会見では次の利上げについて質問が集中したようです。ポイントとなる発言は以下と思いました。
・データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げをしていく考え方に変わりはない。
・次の利上げの判断について決まったスケジュール感、ペース感があるわけではない。ある程度まとまった情報が得られたと判断できたところで、次のステップに移ることにならざるを得ない。
・(重視する指標を問われたのに対し)賃金上昇が秋以降続くか、最低賃金引上げの影響が出てくるか、サービス価格への転嫁が続くか、来年の春闘の動き、消費の今後の姿などに関心を持っている。
・円安に伴う輸入物価を受けた物価上振れリスクは相応に減少している。不安定な状況にある海外経済が日本経済に与える影響などを確認していく時間的余裕はある。もう少し時間をかけて見通しがどういう方向に固まっていくかをみていきたい。
この「時間的余裕」というワードが注目を集めました。少なくとも10月会合での利上げはなさそうな雰囲気です。ただ、冒頭書いたように12月、来年1月の明確なヒントはありません。
また、日経が指摘するように、植田総裁は米国経済の行方(無事ソフトランディングするか)を気にしている雰囲気が会見で見受けられました。その意味で、Saltさんの見方が大事ですね!
今回はこの辺で。
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