2024/10/14 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.250: 積み残し(2)金融行政方針
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金融行政方針とは?
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金融行政方針は、現在の井藤長官の5代前である森長官時代に作成・公表が始まり、引き継がれています。当初は公表日が不確定で金融関係者がヤキモキしましたが、最近は7月の人事異動後に作成作業が加速し、8月末日公表が定番となっています。
井藤長官は、1年間で任期を終えた栗田前長官の後任。栗田さんは手堅い手腕で評価され続投が噂されましたが、やや意外感がある交代となりました。井藤長官も、暴れん坊な森さん、人情派の遠藤さん、国際派の氷見野さん、理系の中島さんのような個性派というより、手堅い実務型の方と思います。
前置きが長くなりましたが、金融行政方針は金融庁の1年間の活動の重点ポイントを示します。金融界にとって重要な文書であることは勿論、コーポレートガバナンスや企業開示の面で企業に直接関係し、新NISAや振り込め詐欺のような面で個人・家計に関係します。金融システムの安定と信頼が公共財であると考えれば、日本経済にとって意外に大事な文書と言えるかもしれません。
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資産運用立国実現が最大の課題
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金融行政方針は、「金融のメカニズムを通じた持続的な経済成長への貢献」「金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能の確保」「金融行政の不断の進化・深化」の三本柱で構成されます。最後の点は金融庁と金融界に閉じた内容なので省略し、最初の2点を簡単に解説します。
1つ目の柱では、「資産運用立国実現プランに掲げられた施策等を着実に進める」とされます。具体的には、運用サイドの観点として「新NISAの適切な活用促進・金融経済教育の充実」「資産運用会社やアセットオーナーの機能強化」が、企業側の観点として「コーポレートガバナンス改革の推進」が掲げられています。
また、「スタートアップへの成長資金の供給促進」「デジタル技術を用いた金融サービスの変革への対応」「サステナブルファイナンスの推進」など、現代的課題への対応が強調されます。
2つ目の柱では、金融機関のモニタリングや監督を通じて金融システムの安定を確保します。そのうえで、前向きな面では「金融機関によるM&A支援の促進」が、守りの面では「金融犯罪やマネロン、サイバーリスク等への対応」や「保険市場の信頼回復」などが掲げられています。
少し簡単すぎたかもしれませんが、今回はこの辺で。
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