2022/06/27 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(6/26~7/2)ロシアのウクライナ侵攻、ロー対ウェイド破棄、バイデンのガソリン税停止提案、フランス議会選挙、G7とNATO首脳会議、外交会談後の発表
週末は大変な暑さでしたね。40度を超えたところもあったとのことで、東京でも猛暑日を記録。私も炎天下でゴルフをしたら、えらく疲れました。夏は好きですが、エネルギーは心配ですね。「節電ポイント」などではなく、もっと本質的な解決策を検討して欲しいものですが。
グッチーポストのウニが私のところにも届きました。毎年これを食べると夏の到来を感じ、気分が高揚します。メルマガ「経済ZAP!!」を書いているSaltさんがこちらの記事の「あとがき」にその美味しさの秘密を書いています。まだ召し上がったことのない方は、ぜひお試し下さい。
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先週の動き
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6/19(日)
・ウクライナ議会がロシアの音楽の放送等を禁止する法案を可決
・フランス国民議会選挙(決選投票)(与党連合アンサンブルが第1位も過半数割れ)
・コロンビア大統領選挙(決選投票)(グスタボ・ペトロ上院議員が勝利)
6/20(月)
・ジューンティーンス(米奴隷解放記念日)の振替休日
・ロシアがウクライナのオデーサの食品倉庫をミサイルで攻撃したとウクライナが発表
・ロシアがリトアニアによるカリーニングラードへの輸送制限を非難
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がエジプトを訪問(シシ大統領と会談、77億ドルの投資協定で合意)
・イスラエルのベネット首相とラピド外相が国会の解散を来週に採決することで一致
6/21(火)
・ウクライナ軍がロシア軍の黒海の艦船を対艦ミサイル「ハープーン」で攻撃
・ガーランド司法長官がウクライナを訪問(ベネディクトワ検事総長と会談)
・米国でウイグル強制労働防止法が施行
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が第4回公聴会を開催
・台湾国防部が中国軍の戦闘機など29機の防空識別圏(ADIZ)への侵入を発表
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がヨルダンを訪問(アブドラ国王と会談)
・核兵器禁止条約第1回締約国会議(ウィーン、~23日)
6/22(水)
・バイデン大統領がガソリン税の3か月間停止を議会に要請
・米上院銀行委員会が公聴会を開催(パウエルFRB議長が証言)
・米上院歳出委員会が公聴会を開催(タイUSTR代表が証言)
・BRICSビジネスフォーラム(習近平国家主席とプーチン大統領がビデオメッセージ)(オンライン)
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がトルコを訪問(エルドアン大統領と会談)
・ASEAN国防相会議(プノンペン)
・日・ASEAN防衛相会合(同)
・中・ASEAN防衛相会合(オンライン)
6/23(木)
・米国がウクライナへの4億5,000万ドルの追加軍事支援を発表
・グランホルム・エネルギー長官と石油会社幹部の緊急会合(ワシントンDC)
・米連邦最高裁がNY州の銃規制法を違憲とする判決(バイデン大統領は「深く失望」との声明を発表)
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が第5回公聴会を開催
・EU首脳会議(ウクライナとモルドバを加盟候補国と認定)(ブリュッセル、~24日)
・ノルウェーがEUへのガス供給の拡大を発表
・BRICS首脳会議(オンライン)
・ロシア財務が6月23日を支払期限とするドル建て国債の利払い計約2億3500万ドルをルーブルで実施したと発表
・ロシア・イラン外相会談(テヘラン)
・英下院の2選挙区の補選(与党・保守党が敗北)
・中国海警局の船2隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入したと海上保安庁が発表
・中国軍のH6爆撃機3機が沖縄本島と宮古島の間の海域を抜け東シナ海と太平洋を往復したと防衛省統合幕僚監部が発表
6/24(金)
・G7外相会合(ベルリン)
・BRICS首脳会議の拡大会合(オンライン)
・ウクライナのルハンスク州のハイダイ代表がセベロドネツクのウクライナ軍に撤退命令が下されたと表明
・ロシアがウクライナのヘルソン州に設立した「軍民行政府」の家族・青年・スポーツ担当局長が殺害されたと発表
・日米英豪NZが太平洋島嶼国支援のイニシアティブ「Partners in the Blue Pacific(PBP)」の発足を発表
・米連邦最高裁がロー対ウェイド判決を覆す判断
・全人代常務委員会が陸昊自然資源相を国務院発展研究センター党書記、王小洪公安部党委書記を公安相に任命
6/25(土)
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(サンクトペテルブルク)
・ウクライナのセベロドネツクの市長がロシア軍に同市を完全に占領されたと表明
・ロシア軍がウクライナ各地にミサイル攻撃
・トルコ・スウェーデン首脳電話会談
・米国で銃規制強化法が成立
・中国共産党上海市代表大会(新型コロナウイルスの新規感染者ゼロを発表)(~27日)
・EU・イラン外相級会談(テヘラン)
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(6月27日)で126日目を迎えました。侵攻は2月24日に始まったので、月の暦でみれば、ちょうど4か月余りになります。
ルハンスク州のハイダイ代表がセベロドネツクのウクライナ軍に撤退命令が下されたとSNSで表明しました。その翌日、セベロドネツクの市長がロシア軍が同市を完全に占領したと発表。長きに亘ったセベロドネツクの防衛戦は終わり、ウクライナのルハンスク州の拠点は、ドネツ川を挟んでセベロドネツクと隣接するリシチャンスクを残すのみになりました。
米国はウクライナに4億5000万ドル相当の兵器を追加で支援すると発表しました。6月1日に高機動ロケット砲システム「ハイマース」4基の供与を発表し、先週、レズニコフ国防相がウクライナに届いたと発表しましたが、今回、さらに4基のハイマースを追加供給するとしています。
リトアニアは、ロシア制裁の実施の一環として、ロシアの飛び地であるカリーニングラード(地図はこちらのリンク参照)への鉄道貨物輸送の制限を開始しました。ロシアはこれを違法な措置と主張して非難。対抗措置を辞さない姿勢を示しました。
EU首脳会議が開催され、以下の記事で述べた見通しのとおり、ウクライナとモルドバが加盟候補国に認定されました。また、今週行われるG7サミットに先立ち、G7外相会合がベルリンで開催。主に食糧危機への対応について議論が行われました。
・「ロシアのウクライナ侵攻」(6/20)
これらの会議とタイミングを同じくしてBRICS首脳会議が開催され、習近平国家主席とプーチン大統領が演説を行いました。習近平は、一方的な制裁や制裁の乱用に反対すると述べ、またBRICSメンバーの拡大への意欲を表明。プーチンは、米欧は世界経済を混乱させており、食糧危機の責任も米欧にあると主張しました。
こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●ロー対ウェイド判決の破棄
米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた73年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下しました。半世紀ぶりの判例変更は米社会に大きな衝撃を与えるものであり、バイデン大統領は「米国にとって悲しい日」と表明しました。
本件については5月に判決文のドラフトのリークがあり、そのとき以下の記事でポイントを解説していました。今回の判決を踏まえ、あらためてその意義と展望を解説します(※メルマガで解説)。
・「ロー対ウェイド最高裁判決の変更のリーク」(5/9)
●バイデンのガソリン税停止提案(石油会社との会合、対中追加関税)
エネルギー価格の高騰を受け(ガソリンは1ガロン5ドルと1年前の3ドルから6割増)、バイデン大統領がガソリン税を3か月間停止するよう議会に要請しました。
また、バイデンは石油会社に増産を促す書簡を送り、これに対しエクソンモービルが反論する声明を発表するなど、バイデン政権と石油会社の対立が公然化する中で、グランホルム・エネルギー長官が石油会社幹部と緊急会合を開催。増産に向けた今後の対応について話し合ったとされています。
また、以下の記事で述べたとおり、インフレ対策の一環として対中追加関税の撤廃が議論されていますが、USTRのタイ代表が上院歳出委員会の公聴会で証言を行いました。
・「米中協議と対中追加関税をめぐる議論」(6/20)
これらの動きはインフレへの影響はもちろん、今後の議会の立法過程にも影響を与えることになります。ポイントを解説します(※メルマガで解説)。
●フランス議会選挙
フランス国民議会選挙の決選投票が行われました。結果は以下のとおりでした(定数577)。
1 与党連合「アンサンブル」 245
2 左派連合「新人民連合環境・社会(NUPES)」 131
3 急進右派「国民運動(RN)」 89
4 中道右派「共和党(LR)」 64
アンサンブルは首位になったものの、過半数の289議席から54議席も不足する結果でした。NUPESと国民運動は事前予想を超える伸びを見せ、特に国民運動は前回の8議席から11倍増という大躍進を遂げました。
アンサンブルの後退は前回の記事(以下のリンク参照)を大きく上回るものでした。今回の選挙の意義と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。
・「フランス議会選挙」(6/20)
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今週の動き
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(※G7サミットとNATO首脳会議など。メルマガで解説。)
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読者の方からの質問
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●外交会談後の発表
読者の方(マイクさん)から、コメント欄で、以下のとおりご質問をいただきました。
>会談後の発表が両国で異なるケースがよく見られます。これは当事国同士で後のしこりにはならないのでしょうか。私がその立場にいたとしたら「そんこと言ってないぞ」と少々怒ってしまいそうです。互いに国内に向けてのものであることを理解しているので大目に見ている、あるいはそもそも他国の発表は気にしていないということなのでしょうか。大変恐縮ですが、ご教示ください。
なるほど、ごもっともな疑問と思います。私からの回答をお伝えします(※メルマガで解説)。
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あとがき
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本文で書いたとおり、EU首脳会議でウクライナが加盟候補国として認められましたが、ちょうどたまたまそのタイミングで、ドラマ『国民の僕』の以下の場面を見たところでした。
メルケル「貴国のEU加盟を決定しました」
ゼレンスキー「f***!ワオ!いや~ありがとう!すべてのウクライナ人が待ってましたよ!」
メルケル「え、ウクライナ?・・あ、すみません、モンテネグロと間違えました」
ゼレンスキー「え?あ、そうなの・・いや、いいけど・・f***!」
今回はこんなことにならなくて良かったですね。ちなみにメルケルから知らせを聞いたとき、ベートーヴェンの「歓喜の歌」がBGMに流れるのは、EUが「欧州の歌」として採用しているからです。また、ゼレンスキーの歓喜に合わせて噴水が吹き上がる(そして、がっかりすると元に戻る)のも、ベタですが、芸が細かいですね。
ドラマはちょうどシーズン1を見終わったところです。面白いですが、これは完全に米国のクラシック映画『スミス都に行く』(1939年公開、フランク・キャプラ監督)のウクライナ版と思います。とにかく主人公は誠実さを愚直に貫き、それだけで結果は後からついてくる。これがそのまま選挙キャンペーンのPRになり、それだけで当選につながってしまうというのは、ジェームズ・スチュアートが映画だけで大統領になってしまうようなもので、色々な意味ですごいことだなとあらためて思います。この点は、ドラマを見終わってからまた書いてみたいと思います。
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