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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2019/02/25 00:00  | 今週の動き |  コメント(7)

今週の動き(2/24~3/2)


急に暖かくなりましたね。週末はすっかり春のような気候でした。このまま春を迎えるのでしょうか。なんだか冬の期間がずいぶん短かったような・・?

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先週の動き
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2/17(日)
・米商務省が通商拡大法232条に基づく自動車関税の調査報告書をトランプ大統領に提出
・アフガニスタンのガニ大統領が米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表と会談
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とパキスタンのカーン首相が会談(イスラマバード)
・FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)会合(パリ)

2/18(月)
・米国大統領の日
・カリフォルニア州含む16州がトランプ大統領の国家非常事態宣言に基づく大統領権限行使の差止めを求める訴えを同州北部地区連邦地裁に提起
・トランプ大統領がベネズエラ情勢について演説(フロリダ)
・タリバンの和平交渉担当者のパキスタン訪問が無期延期
・英労働党の議員7人(EU残留派)が同党を離党
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・モルディブのヤミーン前大統領が贈賄容疑で逮捕

2/19(火)
・トランプ大統領が米中通商協議は順調と述べ3月1日の交渉期限の延期を検討していることを示唆
・米中次官級通商協議(ワシントンDC、~20日)
・米韓首脳電話会談
・トランプ政権が法律が定める議会の審査を受けずにサウジへの原子力発電所の輸出を推進してきた疑いがあるとする下院の報告書が発表
・バーニー・サンダース上院議員が20年大統領選への民主党候補としての出馬を表明
・アンドリュー・マケイブ前FBI副長官がトランプ政権の内幕を描いた著書『The Threat: How the FBI Protects America in the Age of Terror and Trump』が発売
・ホンダが欧州唯一の四輪車の生産拠点である英国工場での生産を21年中に終了すると発表
・EU総務理事会(ブリュッセル)
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とインドのモディ首相が会談(ニューデリー)
・台湾の蔡英文総統が20年総統選挙に出馬する意向を表明
・日本がベネズエラの「暫定大統領」就任を宣言したグアイド国会議長への支持を表明

2/20(水)
・トランプ大統領がローゼンスタイン司法副長官の後任にジェフリー・ローゼン運輸副長官を指名するとホワイトハウスが発表
・米・オーストリア首脳会談(ワシントンDC)
・日米首脳電話会談
・英国のメイ首相がユンケル欧州委員長と会談(ブリュッセル)
・英保守党の議員3人と労働党の議員1人(EU残留派)がそれぞれ離党(先に労働党を離党した7人に合流)
・プーチン大統領が年次教書演説(モスクワ)
・ベネズエラの「暫定大統領」を宣言したグアイド国会議長が任命した中米コスタリカ大使が現地大使館を占拠
・ベネズエラのマドゥロ政権が海外からの支援物資が到着するのを防ぐためキュラソー島との海路と空路を封鎖
・ブラジルのボルソナロ大統領が年金受給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革法案を議会に提出

2/21(木)
・米中閣僚級通商協議(ワシントンDC、~23日)
・米朝実務者協議(ハノイ、~22日)
・ノースカロライナ州の選挙管理委員会が18年11月の連邦下院選で共和党陣営の不正投票の疑いから結果が確定していなかった同州第9区選挙のやり直しを命令
・ベネズエラのマドゥロ政権が海外からの支援物資が到着するのを防ぐためブラジルとの国境を封鎖
・ボリビア各地でモラレス大統領に対する大規模な抗議デモ
・ロシア・イスラエル首脳会談(モスクワ)
・カトリック聖職者による未成年者への性的虐待問題に関する司祭会議(バチカン、~24日)

2/22(金)
・トランプ大統領が米中が通商合意に至る可能性は高く、3月1日の交渉期限の延期を検討しており、習近平国家主席と3月中にも会談する意向と発言
・トランプ大統領が約200人の米軍治安維持部隊のシリア駐留継続を表明
・トランプ大統領が次期国連大使にケリー・クラフト駐カナダ大使を指名するとツイート
・米司法省高官がモラー特別捜査官のロシアゲート捜査報告書が2月中に提出されるとの見方を否定したとの報道
・米民主党の下院議員がトランプ大統領の国家非常事態宣言を無効にする決議案を提出
・英労働党の議員1人が同党を離党
・英労働党のコービン党首が労働党が政権を取った場合BREXITについて再度の国民投票を実施する可能性があるとの考えを表明
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が習近平国家主席と会談(北京)
・韓印首脳会談(ソウル)
・ベネズエラとブラジルとの国境に配備されたベネズエラ軍の兵士が自国民の抗議活動に発砲
・ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン企画のベネズエラ支援コンサート(コロンビア・ククタ)(ベネズエラ側ではマドゥロ政権主催のコンサート)
・スーダンのバシール大統領が国内全土に1年間の非常事態宣言を発令

2/23(土)
・ベネズエラに海外からの支援物資が到着する予定日(支援物資の搬入をめぐりマドゥロ政権と野党陣営が衝突)
・ベネズエラのマドゥロ大統領がコロンビアとの断交を宣言
・英国のラッド雇用・年金相、クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相、ガーク司法相が連名で英紙デーリー・メールにBREXITの延期を求める寄稿
・フランス各地でマクロン政権に対する大規模な抗議デモ(15週末連続)
・ナイジェリア大統領選挙

●自動車関税報告書の提出

商務省が通商拡大法232条に基づく自動車関税の調査報告書をトランプ大統領に提出しました。昨年5月23日にトランプが商務省に調査を指示してから270日以内に報告することになっていましたが、報告書が提出された2月17日はちょうど270日目にあたります。

「自動車への制裁関税」(18/5/28)

報告書の提出から90日以内、すなわち5月18日までに大統領が対策を決定し、その決定の15日以内、すなわち6月2日までに対策が実施されます。今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●バーニー・サンダースの米大統領選挙への出馬表明

バーニー・サンダース上院議員が出馬表明しました。その意義については、先週、以下の記事で解説しましたが、説明を補足します(※メルマガに限定)。

「民主党の左傾化と路線対立のリスク」(2/22)

●ベネズエラ情勢の緊迫の継続

ベネズエラ情勢の緊迫が続いています。「暫定大統領」を宣言したフアン・グアイド国会議長は2月23日を海外からの支援物資を受け取る日と宣言。物資はコロンビアのククタ、ブラジルのパカライマ、カリブ海のオランダ領キュラソー島の3か所から陸路と海路で搬入される予定でしたが、マドゥロ政権は空路・海路、そしてブラジルとの国境を封鎖。予定日の23日には現地で衝突が発生しました。コロンビア政府と人権団体の発表によれば300人以上の死傷者が出たとのこと。

先週、チリがベネズエラを外した南米地域協力連合を提案し、駐コスタリカ大使館がグアイド派に占拠されるなど、国内外で政権への圧力は高まっています。日本政府もグアイドへの支持を表明しました。日本がこのような内政干渉を行うのは極めて異例ですが、米国からの強い要請と欧州主要国の支持を見て踏み切ったのでしょう。

しかし、マドゥロ大統領は米国等からの支援物資を拒絶しながら、ロシア、中国、トルコからは物資を受け取る予定である、と述べています。マドゥロ政権は軍の支持を得ながら結束を保っていますが、チャベス政権で軍情報機関のトップを務めたウーゴ・カルバハル議員が野党支持を発表するなど、新たな離反の動きも起こっています。

ベネズエラの現状と展望については以下の記事で解説しましたが、最新情勢について解説します(※メルマガに限定)。また、今週、ベネズエラの現代史を概観します。

「ベネズエラ情勢の緊迫」(2/8)

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今週の動き
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2/24(日)
・EU・アラブ連盟首脳会議(エジプト、〜25日)
・キューバの憲法改正に関する国民投票
・モルドバ総選挙
・セネガル大統領選挙
・米軍普天間基地の辺野古移設に関する沖縄県民投票
・第91回アカデミー賞授賞式

2/25(月)
・ペンス副大統領がコロンビアを訪問(「リマ・グループ」の緊急首脳会合に出席、ベネズエラのグアイド国会議長と会談)
・タリバンと米国の和平協議(ドーハ)

2/26(火)
・米下院がトランプ大統領の国家非常事態宣言を無効にする決議案について採決
・英国のメイ首相がBREXIT協定の修正案を議会に提示する期限

2/27(水)
・米朝首脳会談(ハノイ、~28日)
・英下院がBREXIT協定案について採決

2/28(木)
・トランプ大統領の元個人弁護士マイケル・コーエンが下院情報特別委員会で非公開の証言

3/1(金)
・米中通商交渉の期限

3/2(土)
・トランプ政権が2000億ドル分の中国製品に対する追加関税の税率を10%から25%に引き上げる可能性
・RCEP閣僚会合(カンボジア、〜3日)

●米朝首脳会談

いよいよ第2回目のトランプ・金正恩会談が行われます。詳しい分析は会談の結果を見てからお伝えしますが、現時点での私なりの見方をお伝えします(※メルマガに限定)。

●米中通商協議

ついに3月1日に米中通商協議の期限が到来します。合意がまとまらなければ2日から2000億ドル分の中国製品に対する追加関税の税率が10%から25%に引き上げられますが、その見通しについては以下の記事で述べたとおりです。

「米中閣僚級通商協議」(2/18)

●BREXITの議会採決

相変わらず事態が一向に好転しないBREXIT交渉ですが、メイ首相は2月26日に現状を議会に報告し、27日にBREXIT協定の修正案がまとまっていれば当該修正案、まとまっていなければ議員の提案を採決する予定です。ポイントを解説します(※メルマガに限定)。

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あとがき
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映画大ヒットのクイーン、アカデミー賞授賞式でパフォーマンス(2月19日付CNN)

アカデミー賞授賞式が日本時間本日午前10時(現地時間2月24日午後5時)に行われますが、『ボヘミアン・ラプソディ』のクイーンと『アリー/ スター誕生』のブラッドリー・クーパーレディ・ガガがパフォーマンスを行うそうです。授賞式も映画の中の一場面になっているかのようですね。

「映画『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/ スター誕生』」(1/11)

記事によれば、ベット・ミドラーもスペシャル・ゲストとして出てくるとのこと。歌手のまま映画女優を演じる人の代表格ですね。個人的には『ローズ』(1979年、マーク・ライデル監督)と『フォー・ザ・ボーイズ』(1991年、マーク・ライデル監督)が主題歌とともに強く印象に残っています。

Bette Midler – The Rose

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7 comments on “今週の動き(2/24~3/2)
  1. KB より
    符合

    今朝の米中の交渉期限延期決定のニュースを見たとき、数週間前にこちらで示されたポイントと符合していて、スカッとしました。習近平に貸を作って、どのようにディールを成立させていくのでしょうか・・。「単なる予想」ではない面白さを味わいました。

    さて、ネット献金の話が出てきて、日本のそれとはまったく趣が異なるので興味を持ちましたが、この献金は「選挙のための資金集め」という目的のお金なのでしょうか?
    「政治資金」「ロビー団体からの寄付」などいろいろありますが、不特定多数からのお金がこれほどまでに集まったら、情報公開などさぞかし大変だろうと思います・・・。

    最後に、ベネズエラの離反の動きや、野党の懐柔策とも思われるような動き等、初めて知りましたが大変興味深いです。今週の「ベネズエラ現代史」首を長くして待っております(笑)

  2. KB より
    だんだん怪しい

    パキスタン・インド情勢がだんだん緊迫化していますね?

    『パキスタン現代史』を読んでいて「サウジ」がキーという話でしたが、先週、両国ともMbSと会っており、しかし今週になって大規模なインドの攻撃と大きな被害。

    カーンの出現でインドとの関係も回復してくるかと思われていた中での、動き。今後何を注視しておくとよいのか、このところの両国の攻撃の意味など、ぜひご教示ください!

  3. JD より
    ネット献金

    ネット献金は、特定の政治家の政治活動を支援するための資金です。そのような資金は、連邦選挙運動法の適用対象になり、金額上限や当局への報告などの規制に服します。これを「ハードマネー」と呼びます。金額上限の期間は選挙期間によって定められます。

    他にも政治資金は色々な形があるので、それを説明しようとしたら、思いの他長くなりました(笑)。ということで、例によってメルマガの記事の中で解説することにします。

  4. 下北のねこ より
    さすが交渉の名手

    トランプ大統領マジで見直しました。さすが、ぐっちーさんが高く評価するだけの交渉の名人ですね。目的を達しないと見るや中途半端な妥協もサービスもしないで引くところなんか見事としか言いようがないです。

    だけど、外交交渉って、両国の外務官僚同士が事前折衝を重ねて、結論がある程度、固まってから、首脳会談やるもんだと個人的には思ってたのですが、まあ、日露領土交渉なんか見ても思ったとおりいかないのが当たり前みたいだし、私の勝手な思い込みなんでしょうね。
    くどいけど、だけど、あれだけ双方がウキウキして会いに行ってたのは結論が固まってたわけじゃなかったんですね。なんか微妙に違和感感じます。
    北朝鮮って、外務省の実力だけは一流だと思ってたけど、これで処分の対象なんてことにならなければいいのですが。他人事ながら心配になります。
    単なる更迭とかで済む世界なら心配することもないのですが・・・・・。

  5. 下北のねこ より
    だけど、本当に考えるほど不思議

    今回の交渉、お互いに目的も手段も明確で、それを相互に理解していて、無理もないはずだと思ってたのですが、どっちがどこで壊しちゃったのか気になります。まあ、これからも機会はあるのでしょうが・・・・・。
    傍目から見れば、今回、とってもわかりやすそうに見えて、だから期待も大きかったと思うのですが、難しいものですね。
    このくらいで、これじゃあ、ロシア相手の北方領土なんて、夢のまた夢ですね。(;_;)

  6. KB より
    米朝とポンペオ

    今月頭からのメルマガを読んでいた通りの展開で、ある意味相当面白かったです(笑)
    一夜明けて、日本のメディアでは、「決裂」「物別れ」「失敗」の文字が並んでいますが・・・

    正しい情報ソースからの「エビデンス」を緻密に積み上げて精査していく作業の大切さを改めて実感しました。

    それにしても、この数時間後にポンペオ国務長官がドゥテルテ大統領と会談していて驚きました。タフですね。。

  7. china より
    トランプ流

    ねこさんと同じく、私も今回のトランプの交渉手腕は見事だったと思います。彼がこの手の駆け引きを得意とするビジネスマンであったことを思い出しました。知識や常識は不足しているのかもしれませんが、やはり機を見るのには長けていますね。

    しかしながら、米国民の意識を逸らしたかったコーエンの公聴会は、国内ではバッチリ盛り上がっているようで、トランプにとってはストレスフルだろうなと思います。(JDさんがメルマガで第1回目ほどの高揚感が感じられないと仰っていましたが、今思うと公聴会が心配でたまらなかったのかな・・と思わないでもない。実際どのくらい盛り上がっているのでしょう・・日本でニュースを見ているとあまり実感できません。)

    確かに北朝鮮は気になりますね。なんせ彼を手ぶらで帰らせることになってしまったのですから・・。会談前には米国記者の質問に初めて答えるというリップサービスまでしたのに、この結末・・。メンツをつぶされたと内心穏やかではない気がします。

    JDさんの分析が楽しみです。

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