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2018/08/29 05:00  | 東南アジア |  コメント(4)

マハティールの訪中


マハティール首相が8月17日から21日に中国を訪問しました。6月の訪日に続く外遊で就任後初の訪中になります。

マレーシア・シンガポール高速鉄道やマレー半島を縦断する東海岸鉄道(中国主導で建設が進んでいた)をはじめとする大型インフラ計画について、マハティールは選挙公約に従い、就任早々に「中止」を決定したものの、その後、訪日した際の講演では「延期」に表現を変えていました。

「マレーシア・シンガポール高速鉄道の中止」(6/4)
「マハティール政権の100日」(8/20)

東海岸鉄道も、すでに工事が進んでいたのを休止しましたが、7月に財務相は中止か継続か決まっていないと発言。

そうした状況の中で、今回の訪中の最終日にマハティールは東海岸鉄道計画を「中止」すると明言しました。習近平国家主席と李克強首相とそれぞれ会談した際にも中止の方針を伝え理解を得たとのこと。

一方、李克強は会談後の記者会見でインフラ事業見直しの問題には触れませんでした。中国のメディアは「マハティールはインフラ計画の見直しには言及しなかった」と報じているようです。

また、マハティールの訪中のタイミングで、マレーシアの国民車メーカーである「プロトン」が同社株式の49.9%を保有する中国自動車メーカーの吉利(ジーリー)集団と中国での販売・生産に向けた合弁の設立で合意しています。合意書の調印式にはマハティールも出席しました。マハティールはEV開発に向けた提携も期待していると述べています。

マハティールはアリババのジャック・マー会長ら中国の事業家400人とも対話し、中国からの投資を誘致しました。特に自動車分野への参加を期待すると強調しています。

こうした一連の動きから見える中国・マレーシア関係について、日本も参画を熱望していたマレーシア・シンガポール高速鉄道の展望も含め、解説します。

※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。

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マハティール首相の訪中
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●大型インフラ計画の中止・延期
●プロトンの新たなる展開
●マハティールと中国

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読者の方からの質問への回答
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「ベトナム現代史・政治経済の特質と展望」のコメント欄で、那須の山奥の兄ちゃんさんからベトナムの歴史、政治、経済を解説した良書はないか・・とのご質問がありました。

回答をメルマガに書きました。

もっともベトナムに限らず、東南アジアの国々は、全体像と最新情勢を把握するのがなかなか難しいと思います。

毎日様々なことは起こっているのですが、米国のように世界に大きなインパクトを与える動きや、中東で見られるような激しい政治変動は少ない。また、経済面でも、日系企業は数多く進出しているものの、スケールの大きい産業は自動車などに限られています。このため細かい話が多く、大きなトレンドがつかみにくいように思います。

歴史と構造を押さえながら、最新の細かいニュースをフォローして考察する・・これができているのは、手前味噌になりますが、おそらくこのメルマガをおいて他にないと思います。

アジアについては総集編第2号:習近平の帝国とアジアの激動(8/24)もご覧ください。

なお、コメント欄でkitajinさんから中東の総集編についてリクエストがありましたが、実は第3弾として現在制作中です。近いうちに発行する予定です。ご期待下さい。

カード決済のご意見も承知しました。こちらも検討したいと思います。ありがとうございます。

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あとがき
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アレサ・フランクリンニール・サイモンの訃報。ともに米国の一時代を築いたビッグネームで、米国では連日大きなニュースになっています。

私自身も学生のときに音楽と映画に接して、これが米国のカルチャーなんだな・・という(戸惑いも交じった)強いインパクトを受け、今でも原体験の一部になっています。

さくらももこさんも亡くなったとのこと。まだ53歳だったとは。『ちびまる子ちゃん』のアニメが始まったのが90年ですから、このときまだ25歳だったのですね。

この時期は私も多感な中学生で、「おどるポンポコリン」や「真夏の果実」といった当時のヒット曲は、千代の富士の最後の優勝や西武・巨人の日本シリーズとともに自分の心象風景として刻まれています。ご冥福をお祈りします。

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4 comments on “マハティールの訪中
  1. KB より
    手前味噌ではなく・・

    まさにその通りと思います。
    確かに、アジアの躍動感や、上振れ余地は先進国と異なり目を見張るものがありますが、主要国のように日々影響力の強いニュースがあるわけではありません。

    私などは、教養として、あるいは「引き出し」を充実させたい、という目的があるので、全体を俯瞰しながらポイントを押さえたJDさんのメルマガはとても有益と感じています。

    例えば、今日の記事でも、「マハティールの男気」「ぶれない感じ」を自分の中で理解してイメージ出来ただけでも、今後マレーシア情報を見たときの受け取り方や、情報処理の仕方が違ってくると思っています。(実際これまでもそういう経験があります)

    とはいっても、なかなかアウトプットまでは思うようにできないので、そのあたりも目標にしていきたいですね(笑)!

  2. ペルドン より
    マハティール テクニック

    齢は伊達には取らぬ・・
    の代表選手・・
    習総書記と李克強李首相相手に・・
    経済が好転すればの付帯条件付きで逃げ切った。
    それにしても・・
    新幹線技術をムザムザ手渡したJR東海の愚行・・
    JR各社には莫大な国税が注込まれている。
    誰か腹切ったのかな・・・???

    Chainaさんのリクエスト・・縦行・・
    長文に成れば矢張り縦が読みやすいかな?
    ( ^ω^)

  3. 那須の山奥の兄ちゃん より
    ありがとうございます

    いろいろ考えることはあるのですが

    たとえば一国の経済、政治、文化を勉強するのは
    受験勉強と一緒で
    横のつながりが希薄になる

    いまのJDさんの方法は
    横のつながりは濃くなる

    この横縦の関係を
    十分に理解すると
    判断するのに
    立派な見識に十分なるのは理解しています

    ただ、人間の学習能力というのは
    まず、タテなのかヨコなのかを
    決定しないと
    学習できないものであって
    そういう方法と環境しか世の中にないこと
    が原因かもしれない
    と思うこともありますが
    どうやれば? と思うことしきりです

    ともかく
    ぐっちーポスト全執筆陣に言えることなんですが
    基本的なことを理解していることを
    前提にみなさん書かれている訳であって

    たとえばぐっちーのFRBの解説文など
    四苦八苦しているのですが
    FOMCでどういう内容を討議しているかの
    実際のものを知ると
    あれだけ難しかった
    ぐっちーのFOMCの理解なんて
    全部、すぐに入るのです。
    (これはボルカーの伝記を読むと非常にわかる)
    英文がどうの、こうのとやっていた
    自分がバカバカしくなるのです

    ともかく
    私のような基本知識が全くない人間にとっては
    ベースの知識が全くないので
    大事なことが書かれているのは
    よくわかるのですが
    素通りしてしまう
    ただ、読んだことに満足するだけであって
    何も理解していない状態になる

    それではゼニを払う価値がないと判断する
    だけであって
    基本ベースが不足している私などは
    読むのに四苦八苦するのです

    トルコなどは徹底的に研究しているので
    JDさんが言っていることは
    公明正大で偏りがないのはすごくわかります。
    また、言っていることも即座に理解できるのです
    私に不足していることも即、わかるし
    お金を払う価値がある、と認識するのです。

    そういう部分をどうやって解決するのか
    といえば
    どうでもいい情報だらけの
    本を発行すると
    私のようなアホは、読みやすいところしか
    読まないのだけど(笑)
    根本の考えは読者に染みつくので
    理解できるように
    なるんじゃないかなーと思ったりもするのです。
    あくまでも私見ですけどね。
    そういう意味で
    本をご紹介願ったわけです。
    でも
    本来なら信用している人の本を
    読みたいもんだ、と思うのが普通だと思います
    知識の羅列ではなく
    くだらない情報をふんだんにいれて
    というと
    怒られるかもしれません

    たとえばその最たる例は
    ジムロジャースの
    世界一周旅行記なんて
    興味がなくても、読んでしまう
    面白さはあるわけです

  4. JD より
    那須の山奥の兄ちゃんさん

    こちらこそ、率直なご意見をお聞かせいただき、大変参考になります。
    那須の山奥の兄ちゃんさんのご知見からすれば、むしろ物足りない・・と感じられていたのではないかと思っていたので、正直なところ意外でした。
    門外漢の分野だとそのように感じられるのですね。
    私の想像が及んでいなかったので、勉強になりました。
    こうなると、文章を読んでいただくよりも、インタラクティブな講義やゼミの方が良いのかもしれません。前回の講演でぐっちーさんもそうした趣旨のことを述べておられましたね。

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