2018/06/25 00:00 | 今週の動き | コメント(4)
今週の動き(6/25~7/1)
梅雨とは思えないほどの好天になることもあれば、やはり雨・・ということで落ち着かないですね。沖縄は梅雨明けとのこと。行きたい・・(笑)。
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先週の動き
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6/17(日)
・メラニア・トランプ夫人が不法移民の親子の分断を批判
・コロンビア大統領選挙(ドゥケが勝利)
・アフガニスタンでタリバンとの停戦中に自爆テロ(停戦は17日に終了)
・ギリシャとマケドニアが「北マケドニア共和国」への国名変更の合意に調印
6/18(月)
・トランプ大統領が中国の報復措置への対抗措置として2000億ドル相当額の中国製品に10%の追加関税を課す案を作成するようUSTRに指示
・米上院がZTE制裁解除を阻止する修正条項を含めた国防授権法を可決
・トランプ大統領が「宇宙軍」の創設を国防総省に指示
・韓国国防省が8月に予定していた米韓合同軍事演習の中止を発表
6/19(火)
・金正恩が訪中(~20日)
・米国が国連人権理事会から離脱
・トランプ政権が中国の知的財産侵害の事例を例示した報告書を発表
・中間選挙の予備選(アーカンソー決選、ワシントンDC)
6/20(水)
・トランプ大統領が不法移民の親子を同一施設に収容できるよう求める大統領令に署名
・米商務省が鉄鋼の輸入制限で日本、中国、ドイツ、スウェーデン、ベルギーから輸入する一部の製品を適用除外にすると発表
・英議会がBREXIT法案を可決
・IMFがアルゼンチンに対し150億ドルの融資の実行を決定
6/21(木)
・インドが米国の鉄鋼・アルミ輸入制限への対抗措置として米国からの輸入品(大型バイク、アーモンド、リンゴ、クルミ等、2億ドル相当額)に報復関税を課すと発表(8月4日から発動)
・ユーロ圏財務相会合(ギリシャ財政危機の終息を宣言、金融支援は8月20日に終了)
・イスラエルの検察当局がネタニヤフ首相夫人を横領と背任の容疑で起訴
・米国の保守派知識人のチャールズ・クラウトハマーが死去
6/22(金)
・EUが米国の鉄鋼・アルミ輸入制限への対抗措置として米国からの輸入品(鉄鋼製品、オートバイ、ウイスキー等、28億ユーロ相当額)に報復関税を発動
・トランプ大統領が「EUが米国に課している関税や貿易障壁をすぐに取り除かなければ米国への輸入車すべてに20%の関税をかける」とツイート
・トランプ大統領が北朝鮮の核兵器は米国にとって「異常で並外れた脅威」だと指摘し制裁を1年延長するとの文書を議会に送付
・米国防総省が今後3か月間に実施予定だった米韓海兵隊の合同演習「韓国海兵隊交換プログラム」2回の中止を発表。
・韓ロ首脳会談(モスクワ)
・南北赤十字会談(金剛山)
・OPEC総会、7月からの小幅な増産で合意(ウィーン)
6/23(土)
・OPECと非加盟国との閣僚会合、日量100万バレルの増産の実施で暫定合意(ウィーン)
・イエメン情勢をめぐる有志国の閣僚級会合(ジッダ)
・金鍾泌・韓国元首相が死去
●トランプ政権の「貿易戦争」の拡大
トランプ大統領は、中国の報復措置への対抗措置として2000億ドル相当額の中国製品に追加関税を課す案を作成するようUSTRに指示。さらにこの関税に対して中国が報復措置を実施した場合、追加で2000億ドル相当額の中国製品にも課すことにも言及。
すでに発動を表明している500億ドルと合わせれば2500億ドル。さらに2000億ドルを上乗せすれば4500億ドル。中国からの輸入額が5000億ドルなので、半分ないし大半をカバーすることになります。
なお、すでに1000億ドル相当額の製品の追加を検討していたはずですが、それは今回の2000億ドルでどこかにいってしまったようです(笑)。
・「米中の『貿易戦争』」(4/9)
また、2000億ドルは思い付きの数字でしょうが、一つ留意すべきは米国から中国への輸出額が1300億ドルであること。これまで中国は米国と同じ金額分の製品に報復関税を課してきましたが、合計2500億ドルに関税をかけられることになれば、これに対応する金額に相当する報復はできなくなります。したがって別の手段を検討することが予想されます。
これについては、ぐっちーさんが(1)人民元の切り下げと(2)国債の売却という最も重要な手段を説明して下さっています。
しかし、こうした動きを見ていると、どうも風向きが変わってきたというか、口先だけではない本気の「戦争」に踏み込んできたような気配を感じます。この点について解説します(※メルマガに限定)。
●米国の移民政策
先週の記事(メルマガ限定部分)で言及しましたが、米国内では不法移民の親子分断をめぐる問題が毎日のように大きなニュースになっています。
・「中間選挙の予備選」(6/18)
この問題をめぐる状況を解説します(※メルマガに限定)。
●中朝首脳会談と米韓合同軍事演習の中止
金正恩の3度目の訪中。2度にわたる南北首脳会談といい、ずいぶん金正恩のフットワークも軽くなりました(笑)。それだけ国外に出ても体制は盤石で、外国首脳と会っても渡り合える・・という自信を深めたのでしょう。
また、習近平もよくもこれだけ金正恩に時間を割くものだと感心します。よほど北朝鮮をつなぎ留める必要があると感じているのでしょう。
米韓合同軍事演習はトランプが記者会見で述べたとおり中止が決定されました。ただ、今回中止された「ウルチ・フリーダムガーディアン」は図上演習が中心で、実際の部隊は動員しません。これに対し、毎年春に実施される「フォール・イーグル」はリアルに部隊を動員する大規模な演習。今年は平昌五輪の開催後の4月に延期し、期間と規模を縮小して実施されました。
・「平昌五輪と北朝鮮」(2/8)
・「今週の動き(4/9~15)」(4/9)
フォール・イーグル(と一緒に実施する図上演習の「キー・リゾルブ」)はウルチ・フリーダムガーディアンよりも北朝鮮にかける圧力がはるかに大きく、重要な演習です。これも来年中止するかは今の時点では何も言われていません。
一方、もしかしたら北朝鮮は、これから米韓合同軍事演習と在韓米軍を問題にしなくなるのではないか・・むしろ利用価値を見出しているのでは・・という見方も一部には出てきています。その意味を説明します(※メルマガに限定)。
●コロンビア大統領選挙(決選投票)
予想どおり右派のイヴァン・ドゥケが圧勝。まだ41歳。
左翼ゲリラのFARC(コロンビア革命軍)との和平合意の見直しを唱えているのは不安材料です。上院議員を4年務めただけで政治経験は乏しく、右派の大物であるアルバロ・ウリベ元大統領の傀儡との見方もあります。しかし、それだけに政治基盤は強く、自由主義型の改革を公約にしており、国民からは高い期待が寄せられています。
ワールドカップでは日本に負けたコロンビアですが、経済の調子も上向きで、明るい兆しが見えつつあるようです。
●チャールズ・クラウトハマーの死去
米国を代表する保守派知識人のチャールズ・クラウトハマーが死去。68歳。
私はワシントンDCにいた頃からワシントンポストに掲載されるクラウトハマーのコラムを熱心に読むようになりました。当時はジョージ・W・ブッシュ政権の時代で、クラウトハマーは政権入りはしていませんが、イラク戦争の正当化の論陣を張り、ユダヤ人だったことから、ネオコンの代表格とも言われました。
こう書くと過激主義者のように思われるかもしれませんが、その言論は理性とエレガンスに満ちていて、深い哲学的思索を感じさせるものでした。これこそが本物の保守派知識人なのだな・・と魅了されたものです。
現在のワシントンポストのコラムニスト陣。あまり当時から変わっていません。まだクラウトハマーの姿もあります。
「コラムニスト」は日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、米国では言論人の中で実績と評価を積み重ねた人たちのある意味尊称であり、大変権威があります。ワシントンポストのコラムニストたちは現代米国の知性を代表する人々と言って良いでしょう。
クラウトハマーやジョージ・ウィル、フレッド・ハイアットといった論客の洗練された議論は非常に魅力的で、私自身、大いに勉強になりました。しかし、こうした格調高い「保守」の人たちを日本で見ることはほとんどありません。さびしいことです。
金鍾泌・韓国元首相の訃報もありました。軍事政権から民主化以降まで韓国政治において大きな役割を果たした巨人であり、日本との関わりも極めて深かった人物。こちらも感慨深いものがありますが、とりあえずこのへんで切り上げます。ご冥福をお祈りします。
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今週の動き
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6/24(日)
・トルコ大統領選挙・議会選挙
・サウジアラビアで女性の運転が解禁
6/25(月)
・ボルトン大統領補佐官が英国、イタリア、ロシアを訪問(~27日)
・AIIB年次総会(ムンバイ、〜26日)
6/26(火)
・中間選挙の予備選(コロラド、グアム、メリーランド、ミシシッピー決選、NY、オクラホマ、サウスカロライナ決選、ユタ)
6/27(水)
・インドネシア統一地方選挙
6/28(木)
・マティス国防長官が訪韓
・EU首脳会議(ブリュッセル、~29日)
6/29(金)
・トランプ政権が通商法301条に基づく中国の対米投資規制の原案を発表
7/1(日)
・メキシコ大統領選挙
・アフリカ連合(AU)総会(ヌアクショット、~2日)
●トルコ大統領選挙・議会選挙
ポイントは先週の記事で解説したとおりです。
・「トルコ大統領選挙・議会選挙」(6/18)
その後色々アップデートはありますが、大まかな構図は変わっていません。結果が判明したところで詳しく解説します。
●ボルトン大統領補佐官のロシア訪問
米ロ首脳会談に向けた打ち合わせのようです。あの超強硬派のボルトン大統領補佐官が・・と思いますが、これも結果を見てから解説します。
●メキシコ大統領選挙
新興左派政党である国家再生運動(Morena)から立候補したアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(通称AMLO)元メキシコシティ市長が支持率50%と独走態勢。決選投票はないので、ロペスオブラドールが多数票をとればそのまま政権交代が実現します。
ロペスオブラドールは反トランプのナショナリズムによって一気に支持を拡大しました。政権交代が実現すればその生みの親はトランプだったと言っても過言ではありません。政権が変わればメキシコの政治と外交は大きく変化するでしょう。選挙後に解説します。
●EU首脳会議とBREXIT
先週、英議会は政府が提出したBREXIT法案を可決。ようやく国内の準備を整えてEU首脳会議に臨む・・ところですが、EU側は「英国は合意なく勝手に離脱する可能性がある」と加盟国に警告。相変わらず前途多難な見通しです。
メイ首相の立場は相変わらず弱く、辞任や解散総選挙の噂がたえないようです。離脱プロセスには遅れが生じており、来年3月29日にEU離脱(2020年12月31日に移行期間終了)というスケジュールは難しいのではないか・・という見通しが強まりつつあります。
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あとがき
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ワールドカップ、デンマーク対オーストラリア戦を見たら、デンマークのGKの名前がシュマイケル。あれ、シュマイケルってまだ現役なのか?相当な高齢だろうけど、GKだからできるのだろうか、それにしても・・と思ったら、なんと息子でした。
私が知っていたシュマイケルはピーター・シュマイケル。90年代から00年代にかけて「世界最高のGK」と言われた選手です。92年の欧州選手権におけるデンマーク優勝ではMVP級の活躍をみせました(ちなみにこのときのデンマークは内戦のため出場資格を失った旧ユーゴの代わりに出場した)。このときのプレーは個人的にも強い印象が残っています。デンマークの国民的英雄と言ってよいでしょう。
今の代表のシュマイケルはカスパー・シュマイケル。ピーターの息子です。これもまたGKで、しかも世界最高レベルと言われているそうです。たしかにオーストラリアのプレーも無双でした。
クラウトハマーと金鍾泌の訃報に接しても感じたことですが、時代は変わりますね。
さて日本代表はこれからセネガル戦。間もなくキックオフです。楽しみです。
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4 comments on “今週の動き(6/25~7/1)”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
この可能性高いでしょうね・・
するとなると後任は・・
ジュリア―ノが近距離接近・・
金書記長が在韓米軍を望ましいと考えるなら・・
北の核ミサイルも中距離なら・・望ましいとトランプ大統領は内心考えていても・・
可笑しくない。阿吽の呼吸・・
金書記長の訪中再四・・腰砕けと見せかけた酔拳とも考えられるが・・
脚を使い始めたとも受けとめられる癖ある足技・・
まだ用心深く二人てタンゴ・・・
( ^ω^)
アメリカの「ズレ」とても興味深いご指摘でした!「ズレがある」と認識して、これからのアメリカの動きを見るのと見ないのとでは大違いです。
北朝鮮を巡るゲームのルール変更について、大きな見通しが示されていて参考になりました。風向きが変わっていることを感じながら、日々の情報に触れることにします。
それにしても、ワシントンポストのコラム、コラムニストというのは日本の新聞各誌のコラム、社説とは全く違うのですね。(社、じゃなくて、個ですもんね)
お顔も出ていますし、専門分野や著書なども明らかにされているのですね。ということは、いつかJDさんも日本の知性を代表する「コラムニスト」になってください!
といっていたら、セネガルが1点。まだまだ試合はこれから、ガンバレ日本!
今の気分です。
(キャンディーズ「夏が来た」https://www.youtube.com/watch?v=6FxZM1C1EXU)
朝日が爽やかに窓から差し込んで、ゴミ出しに出たら一面の青空で・・・・・。
ともかく眠いけど。
JDさん、よく横文字の名前をたくさん覚えられますね。私はダメです。
トランプさんの伝記本もそれで挫折・・・・・。
サッカーのキーパーは、ドイツの本物に近いゴリラさん、確かカーンさんだっけ、お菓子のキャラクターみたいな・・・と、読売いった遠野の菊池新吉くんしか覚えていません。あっ、そうそう、必ず相手1点あげる日本のGKも仲間入りだ。ええと思い出せない。なんで、あそこでキャッチしないんだろう。不思議な判断だわ??\(^o^)/
何年くらい前からか、地元のテレビや新聞なんかで活躍してる名前見ると同級生とか知ってる人から、その子どもたちに変わってきてます。年取ったなあ(´;ω;`)って思う瞬間です。
http://oboega-01.blog.jp/archives/1071753232.html
この認識を日本人はどう受け止めるべきなのか、JDさん教えてください。