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2017/03/17 00:00  | 南アジア |  コメント(1)

インドの州議会選挙:モディ首相の政党が圧勝


​■ インド与党圧勝、人口2億人超の州議会選-モディ首相の改革前進へ(3月12日付ブルームバーグ)

モディ政権は5月26日に発足3周年をむかえますが、今回の州選挙は、モディ政権の任期5年が終わって振り返ったとき、おそらく最も重要な政治イベントだったと評価されるでしょう。

特に意味があるのは、ウッタル・プラデシュ州で圧勝したことです。同州は、人口2億人を擁するインドの最大州。ここで勝つことの意味は計り知れません。

今回の選挙について具体的にいえば、以下の意義があります。

まず、モディ首相への国民の信任です。

昨年11月8日に発表された高額紙幣の廃止は、モディ首相の深謀遠慮に富んだ戦略的判断でした。

今回の選挙は、このモディ首相の一大判断に対してインド国民が審判を下す場面だったのですが、結果は、モディ首相に対する圧倒的な支持が示されたわけです。

高額紙幣の廃止だけでなく、モディ政権3年間の取り組みが評価され、また、モディ首相個人への絶大な信頼、カリスマ的人気も変わっていないことが示されたといえるでしょう。

次に、モディ首相の権力基盤が大きく強化されたことです。

モディ首相は、与党BJP内で強力な政治基盤をもっていますが、その独断専行には党内でも批判の声が上がっていました。その一つの表れがラグラム・ラジャン前中銀総裁の退任です。

しかし、今回の選挙は、モディ首相の選挙における力の強さをまざまざと見せつけました。結果を出されてしまうと反対派も従わざるを得ない。これは、たとえが悪いですが(笑)、トランプのリーダーシップと同じです。

そうすると、19年の下院選挙ではふたたびモディ首相がBJPの顔となり、おそらく勝利する。10年政権の道が開ける・・・ということになります。

最後に、モディ政権の改革が加速すると予想されることです。

モディ政権は様々な改革を進めてきましたが、法律の制定を要する重要な改革については、GST導入に向けた憲法改正と新倒産法を成し遂げて以降、停滞していました。

その理由は、上院でBJPが多数を確保できていないことにあります。そのために、BJPが州選挙で勝利を重ねる必要がありました。

ウッタル・プラデシュ州の議会選挙での勝利は、上院におけるBJPの議席拡大に大きく寄与します。インドの上院の議席は、州議会の議員数と連動するからです。

インド経済は、高額紙幣の廃止による短期的な混乱があったにもかかわらず、好調を維持しています。そして、インドの救世主ともいえるモディ首相の長期政権の道を示した今回の選挙。

私はいつも、モディ首相がいる限り、時間はかかるかもしれないが、インドは発展する、と言っていますが、インドが米国と中国とともに世界経済のエンジンになる日も、そう遠くないかもしれません。

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One comment on “インドの州議会選挙:モディ首相の政党が圧勝
  1. ペルドン より
    高額紙幣の廃止

    混乱の間に・・
    紙幣よりも・・カードと電子マネーが普及・・紙幣代わりになった。
    浸透したニセ札も退治出来た・・
    但し・・インド国内発行のカードと電子マネーのみ有効・・
    外国人には不便さは同じ・・
    新札は贋札しにくくなっている・・現代国家への飛躍・・( ^ω^)・・・(笑

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