2016/12/08 00:00 | 南アジア | コメント(7)
インドの高額紙幣の廃止①
■インド、高額紙幣廃止で銀行の融資拡大なるか(11月23日付ウォールストリートジャーナル)
日本ではあまり報道されていないようですが、インドでは、この一ヶ月、紙幣の廃止という劇的な政策の実施に揺れています。
11月8日のテレビ演説でモディ首相は、4時間後の9日零時から500ルピーと1000ルピーが使えなくなると突然に発表。全通貨価値の85%が一夜にして無効になるという前代未聞の事態になりました。
当然のことながら、インドは大混乱。無効になった紙幣は銀行で交換できるのですが、新紙幣は不足しており、また現金決済からの移行もスムーズにいかず、あっという間に現金不足の状態に。人々の生活にもビジネスにも大きな影響を与えています。
しかし、この政策、実はインドの有識者から総じて高い評価を受け、インド国民からは高い支持を受けています。それはなぜか。
大きな理由は、この政策の目的である①ブラックマネーの撲滅、②現金依存経済からの脱却を国民がよく理解しているからです。
そして、なぜ理解できるかといえば、それはモディへの絶大な信頼です。モディは、14年5月に就任してすでに3年目を迎えていますが、いまだに国民の支持率は80%を超えています。
海外からは、期待されていたほど改革が進んでいない・・などと辛い評価もありますが、インド国内では、インドを正しい方向に導くことができる唯一無二のリーダーである、という評価に揺るぎはありません。
モディは、①汚職と無縁、②合理的な思考、③強力な政治基盤という3点を兼ね備えているという意味で、インドにかつていなかった最高の指導者といえます。
まず①汚職ですが、インドの政治家は、程度の差はあれ、ほとんどが腐敗しているといわれます。
最たるものは独立以来の国民的政党である国民会議派です。ここは「ガンディー王朝」といわれるように、一部の閥族による支配が貫徹しています。このため、腐敗が浸透しているともいえる状態です。
また、地域政党も、多くは金や物をばらまくポピュリスト的手法をとっており、低位カーストのアファーマティブ・アクションを利用していることもあり、やはり腐敗に至る構造があります。
与党BJPももちろん腐敗からは免れず、まだマシ、というレベルです。しかし、モディだけは違う、彼だけは絶対に腐敗しないといわれます。
それは、本人のストイックな人格もありますが、何よりも重要なのは、家族がいないことです。モディは法律的には婚姻していますが、事実上は長く独身を貫いており、子どももいません。蓄財のインセンティブがないのです。
次に、②合理的思考ですが、モディはグジャラート州首相時代に経済発展において大きな実績を上げており、その頭脳明晰振りは誰もが認めるところです。
一日3時間しか眠らず、休暇をとらず、毎日20時間働くという仕事人間で、まさに超人、誰もそのペースにはついていけないといわれます。
そして、③政治基盤ですが、モディ首相は圧倒的な国民の支持を得ており、与党BJPは下院で過半数を確保していますが、すでに党内の保守派を一掃しており、党内での政治基盤も盤石です。
過去のインドの首相には、マンモハン・シンのように優れた経済学者もおり、その意味では①と②を備えたリーダーがいなかったわけではありません。しかし、マンモハン・シン政権の最大の実力者は国民会議派の総裁であるソニア・ガンディーでした。マンモハン・シンは、重要な政策を決める場合には必ずソニア・ガンディーの許可を得る必要があったといわれます。
そういうわけで、この3点をすべて備えたリーダーは今までインドにいなかったのです。実際、モディ首相は、就任以来、改革を強力に進めました。上院で過半数を取れていないため、限界がありましたが、ここにきて州議会選で勝利を続けており、権力はますます固まりつつあります。
その中で、今回の改革は行われました。大変な批判を浴びることは承知の上で断行しているわけで、自身の政治基盤に自信をもっているからこそできたといえます。
正直なところ、先ほど述べた①ブラックマネーの撲滅と②現金依存経済からの脱却という政策の効果は、現時点では判断するのに難しいところがあります。短期的には、国民生活とビジネスに混乱をもたらし、経済成長率が低下することは避けられないでしょう。
ただ、長期的に見れば、良い効果をもたらす可能性が高いことは、多くの経済学者が指摘しています。特に注目されるのは、①ブラックマネーの撲滅よりも、②現金依存経済からの脱却です。
すでに銀行口座の開設と銀行預金の増加という効果が現れ、金利も低下しています。インドの金融機能を高め、国民も銀行を通じた決済の浸透により恩恵を受け、経済の効率化を実現する・・この点に大きな意味があるわけです。
「現金の呪い」からの脱却・・・これは現代経済学のスーパースターであるケネス・ロゴフが8月に上梓した新著のテーマでもあります。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
7 comments on “インドの高額紙幣の廃止①”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
一日3時間しか眠らず・・
これは頭脳が大変だ。せめて六時間は最低でも必要でしょう。
とは言え・・超人はインドに多い。
在米ポスドクと言う偽名で仲が良いドクターがいるが・・
インド人留学生の優秀さに感心していた。
多分・・ヒンズー教による薬草が・・頭脳に効果ある。
HIMALAYA DORAG
二・三日前CNNで紹介していたが・・インド薬草を使う製薬会社で・・一万人の従業員が・・近代的な製薬会社で働き・・72ヵ国に輸出している。
MENTAT
ebayで数ドルで買える。飲んでみたが・・勿論医者の友人にチェックを入れてもらい安全。涼しい風が頭中を吹く。ニューロンに働きかけるらしい。
疲れたら・・一服。多分首相も・・この薬を服用しているのだろう。液体もある。
ケネス・ロブ・・僕も好きな学者だ。「国家は破産する」愛読している。
新作の翻訳楽しみだな( ^ω^)・・・(笑
読み直したら・・
ギョ・!
黙って書き直す友情はないのかね?
Drug・・・に( ^ω^)・・・(笑
まだ話は終わってないぞ・・
「直」様と結ばれたくないのかね?
直しておきますか・・笑
誰でしたっけ?
松茸足軽・・
旗本二千石の娘・・
夜這いの目標( ^ω^)・・・(笑
言われて、さっき読みました。抜き打ちテストかね・・・苦笑
かなり痛い目に逢うだろうな・・
僕の方はスンナリ・・
でもなぁ・・
主人公達と異なり・・夜這いの経験がない。
JDは知ってるかいな・?
とすると・・
我らの大星ぐっちーさまに・・恥を忍んで聞く以外ないか( ^ω^)・・・(笑
国家は破綻する ですか?
いつも良書を紹介してくださり、ありがとうございます。