2016/12/09 00:00 | 南アジア | コメント(2)
インドの高額紙幣の廃止②
「インドの高額紙幣の廃止①」の続きです。
インドの高額紙幣の廃止について、前回は経済面での効果について述べましたが、この政策は、実は政治的にも大きな意味があります。
インドの政治イベントにおいて現在最も重要なのは、来年3月頃に予定される人口2億人を擁するウッタル・プラデシュ州の議会選挙ですが、今回の政策により、BJPの勝利の可能性は高まったといわれます。
なぜなら、農村でも、金利低下により恩恵を被っている上、ライバルの地域政党はブラック・マネーによる資金源が断たれるからです。
ウッタル・プラデシュ州でBJPが勝利すれば、BJPの上院議員数は大きく拡大します。しかも、その後の議会選も有利に戦うことができます。この意味で、この州の議会選は天王山ともいえる重要性があります。
ここでBJPが勝てば、ほぼ間違いなく19年下院選でBJPが勝利し、モディ首相の2期続投が可能になるといわれます。
日本の報道を見ると、またインドがおかしなことをしている、どうせ窮余の愚策であろう・・と思われるかもしれませんが、このように、今回の政策は、経済的にも政治的にも、モディ首相の深謀遠慮に富んだ戦略的判断といえます。
それにしても、国民に痛みを強いる政策を実施しながら、なお国民からは支持を受ける・・というのは大変なことです。世界を席巻するポピュリズムとは真逆の現象です。
私はゴアの空港で突然インド人から話しかけられました。彼はビルラというインドの財閥の系列の鉱山会社で働く中流のビジネスマンで、モディ首相のお膝元であるグジャラート出身ですが、モディ首相のことを絶讃していました。
特に印象深かったのは以下の趣旨の発言です。
今までインドの政治には誰も興味がなかった。誰がやっても腐敗していて、意味がなかったから。しかしモディは違った。グジャラートの首相になって、様々な公約を掲げ、実施した。その中には住民の負担を増すものもあった。ライバル候補は電力料金をタダにする、といった公約を掲げたが、彼はそんな甘いことを言わなかった。電気料金は下げない、しかし、電力供給を州全体に行き渡らせることを約束する、と述べた。それは実現した。このとき、自分たちは、インドは本当に変わるんだ、と実感した。それから、みんなが政治に興味をもつようになった。今回の政策も、その意義がよく理解できる。だから、支持する。
インド経済は本当に発展するのか、ビジネスはできるのか・・というのは難しい問いです。しかし、私がいつも言っているのは、モディ首相がいる限り、時間はかかるかもしれないが、インドは発展する、ということです。
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2 comments on “インドの高額紙幣の廃止②”
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随分前にボルネオに行った・・
二人の妙齢な娘さんを連れた台湾人のビジネスマンに・・突然話しかけられた。
『李登輝をどう思っているか・?』
即座に応えた。
『日本の首相こそ相応しい』
僕の答えに・・応えに窮したビジネスマンは・・辛うじて頷いた。
僕は当時も今も・・真剣にそう考えている( ^ω^)・・・(ペルドン
トランプ・・
ジュリア―ノ入閣辞退発表・・
あれ程尽したのに・・これで二人目だ・・
まだ・・
国務長官発表されていないが・・
桃の木になるだろうか・???・・(笑