2016/03/03 00:15 | 米国 | コメント(10)
米大統領予備選挙:スーパー・チューズデー
■スーパーチューズデー、トランプ氏・クリントン氏が指名へ前進(3月1日付ロイター記事)
ドナルド・トランプは7州、テッド・クルーズは3州(テキサス、オクラホマ、アラスカ)、マルコ・ルビオは1州(ミネソタ)で勝利。予想通りの結果になってしまいました。これでトランプの勝利というシナリオがいよいよ現実味を帯びてきました。
まだフロリダとオハイオという山場はありますが、ルビオはフロリダで勝てるにしても、この時点で2州しか勝っていないという状況では絶望的です。クルーズもある意味アウトサイダー候補ですから、アウトサイダーとしては上位互換であるトランプの対抗馬には成り得ないでしょう。
それにしても、トランプが共和党候補となると、共和党は分裂の危機に瀕する可能性があります。これを回避する手段として、6月の共和党全国大会において、予備選の結果を無視して、誰か適当な人物(たとえばポール・ライアン下院議長)を候補とする決定を行う可能性が取り沙汰されています。
しかし、これは難しいです。なぜならトランプの勝ち方はあまりにも見事で、ここまで完璧に勝利した者は近年おらず、文句の付けようがないからです。
一方、ヒラリー・クリントンも予想通りの勝利をおさめ、こちらも勝利ほぼ間違いなし、という見通しになりました。こうなってくると、早くも関心は大統領本選にシフトしてきます。
まず気になるのは副大統領候補。一般的に副大統領候補は、大統領候補のウィークポイントを補完するという観点から選ばれます。
トランプの場合、サラ・ペイリンのような色物よりも、正当性を高めるために共和党の正統派議員から選びたいところでしょう。ここで共和党議員から支持者が出てきたことが効いてくるわけです。
ヒラリーの場合、ヒスパニック票を獲れる候補(たとえばホアキン・カストロ下院議員)など、特定分野に強みがある候補が望ましいといえます。バーニー・サンダースは・・ないでしょう。彼はたしかに旋風を起こしましたが、冷静になってみれば、無名の奇矯な老人、政策の内容もファンタジーと言ってよいものです。その非現実性ゆえにリベラルなメディアすら彼を支持していません。リベラルへの訴求力は、ヒラリー自身が左に寄ることでカバーできるのだから、あえてサンダースのような危なっかしい飛び道具に頼る必要などありません(もっとも閣僚として登用されることはあるかもしれません)。
次に、マイケル・ブルームバーグの出馬。これはトランプの勝利によって十分にあり得る状況になってきました。
しかし、これは出馬が決定してから詳しく書く予定ですが、独立候補が勝つのは至難の業です。しかもブルームバーグは共和党・民主党を行き来し、NY市長を務めていることから分かる通り、中道、というかコウモリのような存在です。保守とリベラルの二極分化が激しい近年の米国において、ここまで中道の人物が票をとることはできません。
ブルームバーグが出馬することで最大の利益を得るのはトランプです。以前の記事で述べたように、トランプはマッチアップではルビオ、クルーズのいずれにも負けると言われています。
つまり彼がここまでのし上がった要因の一つは三つ巴の戦いになったことにあるわけです。大統領本選でも、三つ巴になって、ヒラリーとブルームバーグに票が分散するようであれば、トランプに万が一の勝機が見えるかもしれません(それでもヒラリーが勝つと私は思いますが)。
最後に、ルビオについて。ネット上で、不甲斐ないとか、小物であるとか、経験不足といった指摘を見かけました。たしかに当たっているところはありますが、しかし、米国の政治評論家の多くは非常に高い評価をしています。若さ、政策通、ディベート能力というアドバンテージは傑出しています。
上院一期といっても、オバマ大統領もそうでした。そもそも近年の米国政治では、長く上院議員を務めることは、ベルトウェイの汚れた政治にまみれたとみなされ、大統領選では不利に働きます。クリントンやブッシュといった知事出身大統領が相次いだのもこのためです。
また、ヒラリーに最大の脅威を与えることができる候補という点は衆目が一致するところです。今回は残念な結果に終わりそうですが、下院議長のポール・ライアンとともに、今後、崩れゆく共和党を支えることが期待される、貴重な希望の星といえるでしょう。
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10 comments on “米大統領予備選挙:スーパー・チューズデー”
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民主党の将来のホープ、バラク・オバマがヒラリー・クリントンとの大統領候補民主党予備選を闘った時、エドワード・ケネディが政治家として最後の力を振り絞ってリフトアップしたのが印象に残ってます。
共和党主流派の星、マルコ・ルビオさんには、そこまでの影響力を党内に行使する応援団がいなかったのが残念です。
トランプさん側には、クリスティというジョーカーがそれまでの味方の足を引っ張る大暴れをしてくれたのにねえ。
サンダースさん、マサチューセッツ獲れなかったのは意外。
意識の高い州だからかなあ。
クルーズはルビオに・・降りろ・・
ルビオ・・最後まで戦う・・
>>米国の政治評論家の多くは非常に高い評価・・
評価しても・・投票は党員・・
共和党の党員は・・党に裏切れた思いが強い・・それが・・トランプに・・
多くの政治批評家の言・・
やはり・・トランプとの泥試合・・評判が悪かった・・
トランプに対抗するには・・どちらかが降りる以外ない・・
共和党のスーパー・チューズデイ・・悪魔の配分・・
全員が降りない・・神の配分か・・(笑
ヒラリートランプ攻撃・・トランプも・・ヒラリ―攻撃・・Eメール攻撃予告・・
アチラ世論調査・・民主党党員二割・・ヒラリーに投票しない・・
共和党党員三割・・トランプに投票しない・・
ここにプルンバーグ・・付け込む余地あり・・共和党上層部と組める・・
(今回の大統領選・・何が起きてもおかしくない・・政治批評家全員)
サンダース・・二月だけで・・寄付金・四千五百万ドル・・軍資金豊富・・
サンダース・・最後まで戦う(ヒラリーもオバマにやった)・・
大統領選というより・・自分の考えを訴えると・・
もし・・ヒラリーが躓けば・・サンダースに・・
ヒラリー・・大口の寄付金だけ・・
最後まで粘られると・・本選挙が苦しくなる・・団結を言い始めた・・
団結とは・・サンダースへのメッセージとも取れる・・
サンダースの理念・・現代のサヴォナローラ・・一番時流に合っている・・乗っている・・・(笑
法務局・・
ヒラリー秘書に免責・・CNN・・
JDさん・・これ如何に解釈する・?・・
全て話す・・?
ヒラリーには問題では・?・・・₍笑
サンダース氏は論戦を継続・・指名争いに敗れても・・自身の政策をクリントンが取り込まざるを得なくなることを狙っている、との指摘もある・・・(笑
ペルドンさん、私はさすがに起訴はないと思います。この段階に至っては、政治的に無理でしょう。
起訴は無理でも・・
本選では・・トランプ側から・・暴露・・強烈な攻撃・・
現段階では・・民主党党員の七%が気にする・・・(笑
スティルグリッツ・・
CNN
インタビュー・・共和党の中では・・トランプが一番マシ・・
理由は・?
さぁ・・当てて下さい・・・(笑
もちろん、メール問題は有権者のイメージを傷つけています。米国人は嘘つきが嫌いですから。でも、前任者も皆やっていたのですが。
ヒラリーにとって一番怖いのは起訴です。これをやられたら一発アウトですから。民主党にとっても米国にとっても悪夢。だから、多分あり得ない。ベンガジは実質的にも深刻ですね。
スティグリッツは、リベラルですから、トランプのリベラル(?)な経済政策に一番共感するんじゃないですか。積極財政、富裕層課税、共和党候補にはあり得ない主張。知りませんが。
正解・!!!
ぐっちーが・・フレンチ奢ってくれるそうです・・その時は
トランプ・・
デマゴーマ・・デマゴーマは大衆の人気に鋭敏・・不人気な政策はしない・・
福祉を削らない・・
他の候補者・・福祉を削る・・
CNN
出口調査・・
民主党・・ヒラリーに投票した有権者・・サンダースでも構わない・・
知らない天使よりも・・知った悪魔の方がいい・・露西亜格言・・
代議員数・・大差つけても・・投票数・・ほぼ拮抗・・
喉に痞えたサンダース餅・・・(笑
正解ですか?では、このやりとりをコピペして、ぐっちーさんに送っておきます(笑)。
サヴォナローラは最後は火あぶりにされましたね。
正に・・
適役では・?!
クルーグマンが付いているそうです・・
軍事は・・名前失念・・元将軍・・
‘Blood Year: Islamic State’ by David Kilcullen・・
対外的には・・トランプがベストと・・・(笑