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2016/03/08 00:23  | 米国 |  コメント(5)

米大統領予備選挙:カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、メイン、プエルトリコ


ルビオ氏、プエルトリコで勝利 地元フロリダへ弾み(3月7日付CNN記事)

3月5日はドナルド・トランプがケンタッキーとルイジアナで勝利(12勝)、テッド・クルーズがメインとカンザスで勝利(6勝)。6日はマルコ・ルビオがプエルトリコで勝利(2勝)。

トランプの勢いは変らず、クルーズは粘り強く勝ち星を拾い、ルビオはなんとか2勝して辛くも望みをつないでいる状態。反トランプ陣営は粘ってはいますが、一本化ができない状態が続きます。

「スーパー・チューズデーの展望」で述べたとおり、反トランプの動きが激しくなっていますが、3月3日にミット・ロムニー、4日にCPAC(保守政治活動協議会、年一回開催される保守派の大イベント、トランプは欠席)がトランプを激しく攻撃し、共和党内部でもいよいよトランプ降ろしの動きが本格化しています。3月3日のデトロイトでのテレビ討論会でも各候補者がトランプを集中攻撃。

しかし、これがトランプのペースに巻き込まれ、討論会史上に残る見苦しい非難合戦になりました。トランプは、かねてからルビオを「Little Marco」という米国ではおよそあり得ない、身体をネタにした揶揄をしていましたが、これに対してルビオは、トランプは自分より背は高いが、手は小さい(small hands)、そんな男は信用できない、という、これもきわどいジョークで反撃しました。

しかし、3日の討論会で、トランプは、「he referred to my hands … if they’re small, something else must be small… I guarantee you there’s no problem. I guarantee.」という、手が小さいとしても、モノが小さいことはあり得ない、という衝撃の反論。過去の討論会で候補者が自分のペニスをネタにしたことはなく、前代未聞の不祥事、米国政治の品位の低下もここに極まれり、共和党は終わった・・・(笑)ということで多くの良識ある米国人が嘆きました。

いずれにしても、どれだけ激しく非難しようとも、トランプが過半数(1,237)の代議員を獲ってしまえばどうにもなりません。頼みの綱は「スーパー・チューズデー(補足)」で述べた党大会での調停(「brokered convention」)ですが、現状のペースでは厳しい。

3月15日のフロリダとオハイオで流れが変わるとか、よほどの波乱が起きない限り、この可能性はないでしょう。見苦しい討論会を含め、予備選はすっかりトランプ劇場に染まってしまった観があります。ああ言えばこう言う、衝撃的なジョークで煙に巻いてしまう、トランプの話術はやはり天才的です(ロムニーに対しても、前回の大統領選では自分の支持を喜んで受け入れたではないか、と即座に切り返しました)。

流れが変わる予兆はまだまだ見えませんね・・・。そういうわけで、見苦しい話からは少し距離を置き(笑)、明日はイランの選挙の話をします。

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5 comments on “米大統領予備選挙:カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、メイン、プエルトリコ
  1. ぺルドン より
    JDさん

    今度・・
    手のひら・・見せて下さい・・・₍笑

  2. ペルドン より
    ブルムバーグ不出馬

    世論調査結果・・
    愛国心も萎えたか・・・(笑

  3. JFKD より
    ブルームバーグ不出馬 

    ヒラリーが脱落するか不明なのに決断するのは早すぎる。トランプVSサンダースなどグロテスクでゲテモノすぎて見たくない。しかしこの場合でもトランプを利するとの判断か?。両者とも現実に大統領の職務遂行をできる気がしない。特にトランプはJDさんの言うように数か月で嫌になって辞めるというのがもっともで、そうでないほうが怖い。ぐっちーだって本当に就任するとは思っていないようだ。あまり長引くとぺルドンさんも言っていたが暗殺など起きそう。共和党はまさに軒先を貸して母屋を取られる状態。引きずり下ろすのはもう手遅れかもしれないが、そこを上手くとらえて勝者として母屋をライアンにでも返還して喝采を浴びて去っていくのでは。それが最大のレバレッジ効果だ。そう願いたい。

  4. まり より
    Trump & Sanders

    トランプさんとサンダースさん、政策に関しては一部メキシコ的なアレを除き、そんな変なこと言ってないですよ。トランプさんは言い方だけでないでしょうか?Debateの話を聞いたり、過去の政策実績を見れば、ルビオやクルズがトップにたった方がヤバくないですか?共和党にとってルビオなんかが都合よさそうですけど、主権者にとってはどうなんでしょうか。アメリカがどう変わっていくのか、どう変わらなければいけないのか、いちばん具体的に伝えているのがトランプさんとサンダースさんです。またぼくのまわりのアメリカ人はほぼサンダース推しです。西海岸でリベラルな方が多いですが。(Little Marcoは身体が小さい→幼い若いっていう皮肉をこめた意味じゃないでしょうか?)

  5. JFKD より
    道化VS聖者

    ぐっちーも言っているように、トランプは道化を一生懸命やっているのだから認めてやってくださいよ。<そんな変なこと言ってないですよ>では道化の面目丸つぶれです。カタルシスですから。JDさんも言っているように、クルーズは自分がトランプよりまともだと思っているので、相当危険だ。低レベルネタのルビオには期待していたが失望した。クリスティの迷走には言葉を失う。いったい共和党ってなんなの?動物園じゃあるまいし。理想的なサンダースは皆で守らないと危ない。現実的に高齢のレーガンのように職務遂行できるのだろうか。副大統領が重要になってくる。しかしオバマに続き、日本の身の振り方は難しくなる一方だ。

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