2010/01/18 17:29 | JAL | コメント(19)
日本航空再生は不可能
前原大臣に至っては2年で再生可能とまでおっしゃったとか。
おいおい、気は確かか、君たち・・・
JAL,今のままでは再生は絶対無理。それらのどれとも違うことは考えればすぐわかることですよ、それは。以下ご説明。
全く違います。
労働組合が強くいわゆるレガシーコストが膨大なところは確かにそっくりです。しかし、それらを切り離せばJR自身には新幹線があり、山手線があり、要するに独占企業としての市場を保有し、参入障壁は十二分に高く単独存立が可能だった。
しかもまだまだ日本は人口増の大成長期だったので鉄道需要はどんなに低く見積もってもプラスであった。さらに駅などの膨大な優良資産を抱えていたわけだから、そういった不採算コストを切り離せばプラスになるというシナリオに全く無理は無いわけだ。
日本航空の場合
どの路線ひとつとっても独占路線はない。それどころか赤字路線を膨大に抱えていて、しかも旅客産業は今後中国、インドなどコストの安い新規参入差会社が続々と参入が可能で、低コストの後発航空会社に競争をしかけられ、先行している会社のアドバンテージは無くなるはずです。
JRと違い駅などの資産を何一つ持っていない。空港を保有しているわけではないのですよ。
2. GM再建と同じである
これは前にも書きましたね。自動車を組み立てられる会社は世界中探しても10社かそこらしかないのです。その技術集約力と蓄積力からみたGMのCVA(Company value added・・・総合的な企業価値)は不良債権さえなければ世界有数のものがあるのです。
日本航空の場合
航空機旅客産業はナイジェリアでさえ保有できる程度の産業であり世界中に100社以上が存在するきわめてチープかつ付加価値のない産業です。
3. アメリカの航空会社は再生した
アメリカは同じ国内でさえ、6時間とか移動にかかる訳ですよ。
元より新幹線も無く、鉄道も何日もかかってしかも時間通りに運行できない。シアトルからロスアンジェルスまでを車で移動したら3日以上かかります。
日本は同じ路線を新幹線が走り、万が一自動車で移動しても1日あれば日本全国主要都市を移動できてしまう高速道路網がある。貨物までもが航空機需要が無く赤字になる訳ですよ。
アメリカの飛行機会社はその意味で、カーゴを含めて他に選択肢がない航空路線を多数保有していますが、日本は選択肢だらけです。
国際線だって成田よりインチョン のほうが既に接続している国の数が遥かに多い訳。全くなんのアドバンテージもないではないの!!
代替可能路線ばっか持ってる訳ですよ、実際は。
そのアメリカでさえチャプター11の後再生できなかった飛行機会社が多数ある訳ですから(トランスワールドなど)日本航空再生がどれだけ難しいか、一目瞭然です。
さらに再生したUA、ノースの例でいうとものすごい人件費の削減を移民を使って可能にした。アメリカの国内線に乗ってみてくださいよ。英語のしゃべれない中南米からの移民を多数乗せて飛んでます。
日本でこれができますか?
例えば全員中国人クルーとか。まあ、コンビニのレジと同じことができるのか、ということですけどね。
従ってこのままの再生は無理です。
私がJALの社長なら結論ははっきりしていて以下のことを集中してやるかどうか、だけですね。
1. いわゆるソフトランディングで今JALが持っている国際線路線をANAに少しずつ移動していき、できるだけ利用者に迷惑がかからないようにする。そのための政府による支援であることを鮮明にし、国民に理解を求める。そして国際線ナショナルフラッグを1社にしてそれを日本国民の利益として確保する。ルフトハンザ方式ですね。
2. 国内路線はこの際新規参入を一気に認めJALの持っている路線をハンマープライスする。もちろんヴァージンなどの外国の会社の参入もこの際認める。この際路線だけではなく、飛行機ごと、従業員ごと(地上職員を含めて)すべて引き受けさせる。
例えば東京―大阪路線だけ従業員ごと売り飛ばせばかなりの応札が予想されますね。これで雇用も助かるし、これを原資に政府資金も返済できる。
3. 応札ゼロの不採算路線はその後政府第3セクターにて「バス」のような運行必要性があるのかどうか、改めて検討する。その場合の運行は商業ベースには乗らないので、先ほどの黒字路線応札各社から上納金を巻き上げて赤字補填しながら運行する。この場合の税金投入も仕方ない、と国民のコンセンサスが得られるかどうかですが、アメリカにはバスで2日かからないと移動できない都市、とか1週間に3便しか飛行機が飛んでない都市なんて幾らでもあるじゃないですか。
まあいろいろな会社の再生に携わってきましたが考えられるソリューションはこのへんでしょうね。日本航空が消えても消費者の利便性を損なわない方法はいくらでもあるということです。
もちろん環境問題を考えて東京―大阪便は廃止なんてのもあってもいいかもしれません。新幹線で行けばいいでしょ?? その場合は儲かっているJRにJALの赤字補填をさせる(大体いつのまにか国鉄の赤字は一般予算化されて僕らが負担させられたんだから!!)というのは実は有力な手段だと思いますけどね。
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19 comments on “日本航空再生は不可能”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
今のままでは再生は不可能です。
それはぐっちーさんの言うとおり代替え不可能なオンリーワンのものが日航にないからです。なので再生するにはまず国際線の客室乗務員を全員本物の舞妓さんや芸者に変更します。内装も和風建築風に変更します。グリーンティは無料でサービスして、和菓子を機内販売します。日航は実は日光東照宮から名づけられたと社史も捏造します。これで日航の国際線はサムライ線と呼ばれるようになってドル箱になります。
ぐっちーさんこんばんわ^^某掲示板では足利銀行と同じだとか、りそなと同じだとかの煽りがひどすぎます。期待をもつのはかまいませんけど、根拠ない願望ばかりにみられます。
やんばダム、音沙汰ないですね。
日航も、次の経営危機まで、音沙汰無くなるんでしょうね。
その時、前原氏は、責任とることもないでしょうし。
その場、その場をしのぐだけ。
確かにお先真っ暗なんだけどね
それならANAも同じじゃないの?
まあ組合とかレガシーコストやら給料体系やら違うかもだけどさ・・・
やっぱ落ちたりとはいえサービスの面だとか、やっぱ国産乗りたがる日本人気質もある訳で。
それにそんな儲かる見込みのない会社を欲しがるところがあるのはなぜなのさ?
彼等なら日本人皆首にするかもだけどw
ぐっちーさんの再建案、参考にされるでしようね、鬼の稲盛氏の事「殉職する気で知恵を出し働け」と発破を掛けるでしょうね、日航社員はついていけるのでしょうか、どんな手を打っていくのか、見守っていきたいと思います。
我等の国交大臣が有能か否かは、代表の時偽メール事件で証明された。
ダム・高速道・JAL等においても、無能を糊塗する才能はある、
と証明された。
当時あれ程世話になった細川首相を裏切る才がある事も証明された。
二年後に日航が再生?
二年後には担当大臣ではないと自覚の上でのお言葉でありましょう。
大臣になられての初舞台、紋付袴の晴れ姿、不思議なことに男も女も和服を着ると、品位が顕れるのであります。
鳩様はきっと自分の引き立て役に閣僚にされたのでしょう・・きっと・・・
1も2も政治的にできないんでしょうね。関係者の中に困る人たちがたくさんでてくるでしょうし。
日航に(というか航空旅客業に)政府が全面支援するほどの価値があるとは思えないんですけどねえ・・・。過去に持っていたブランドの力が頭にある人たちがいかに多いのかということなのかな。
日航再生はやはり無理か。まあ民主党唯一とか言う貴重な財界応援団、稲盛さんに頑張ってもらおう。ポケットマネーもいっぱい持っているようだしね。子ども大臣もついてるしさ。
法的整理後です。
子供店長・・いや子供社長でも
2年後には黒字になりますよ。
バイアグラ
が必要とされている・・金融・経済界にも・・
または
利かない程、老化したのだろうか?
そもそも
魅力的なイブがいない事が原因なのか・・
イブから新アダムを創るかべきか・・・
ビックバンから収縮・・どこまで縮むのか
誰も分からない、知的には誰も同位置にある、
とぐっちーさんを慰めるか・・・
日航がどれほど深刻な状況に陥っているかについて、他人事で あまり関心の無い人もいることです。 日航問題に限らず、税金が投入されようとしていることについて、無関心でいることはコワイですよね。 その代償があまりにも大きいので。。。
歴史の闇は深いですが、世界の中でも、ここまで ある意味 寛容な国民は少ないようにも思います。 寛容であることは諸刃の剣でもあるので、やはり、自主独立の教育が大事であるように感じます。 将来を担う世代が育たなかったら、本当オソロシイです。
日本人にはもともと、様々なものを取り入れ、その中から最も適切なものを選択し、「日本流」に進化させるという柔軟性と適応力、そして、バランス感覚と底力があります。 日航問題に限らず、現状を打開していくためには、「三方よし」に繋がるような、柔軟な発想の転換をしていくことが解決へのキーワードのひとつであるように感じています。
そういえば、最近観たNHKで放映している海外ドラマの中に、日本のウォシュレットの話題が出ていましたよ。 「“ウォシュレット”は“フトン(布団)”に次ぐ日本の発明だ」とかなんとか。。。(笑) 人気があるのがわかりますね。 以前ウォシュレットについて書かれていた ぐっちーさんのエントリーを思い出しました♪
実に理路整然とした説明で無理なことがよく分かりました。
それに比べてお坊ちゃま鳩山君の理屈の支離滅裂振りは目も当てられません。こうも手のひらを返すが如く論理のすり替えというか、コロコロ言い分をかえる日本の総理大臣とは一体何なんだ。自分の脱税紛いの「子ども手当て」はもう忘れたのだろうか。普通の人ならとっくに逮捕されてもおかしくない。人間として決定的な資質が欠けているのではないか、品性の欠けらも感じられない。
それにしても日航だ。経営陣から社員、OB、さらには前原大臣以下民主党応援団まであまりにも甘すぎるんでは。親方日の丸体質が本当に改善できるのか。結局ツケは国民の負担だぞ。
そりゃあ、民主党が考えるんだから、色々と勝算はあるんですよ、きっと。
まず、友愛。
社員は左隣の国から採用。
これでコスト面はクリアの見込み。
なに、機内で中国語しか通じなくても、そこは乗客には「友愛」を求めて終わり。
決して、乗員に求めるものではありません。
民主党員、関係労働組合員、その家族は、JALに必ず乗ること。
ANAに乗ったことが発覚すれば、即、除名です。
そのための諜報網を全国津々浦々に整備。
なに、業界団体への締め上げで、これ位は簡単です。
ANAに同一路線の搭乗率で負けようものなら、マスコミ・広告会社の宣伝は偏向していると一大キャンペーンを張り、広告の自粛を要請する。
「これだけマスコミに広告を打たれれば…」が殺し文句です。
いよいよ最後の手は…
献金…(爆)
競争社会ではない。参入は容易ではない。
この点を見落としていませんか?
日本の場合、黒字路線は羽田絡み。
苦しい国際線も、羽田発着なら黒字の可能性大。
羽田枠は当然大人気で、希望殺到で国交省割当。
つまり海外の会社の自由参入は「できない」のです。
ここで利益が取れるので、ANAも、高い給与、レガシーコストだがやって来られた。
この前提が崩れないのだから、赤字路線削減、人員削減、借金棒引きの分、黒転の可能性は十分あります。
競争相手のANAは高コストで、大した競争にはならないでしょうから。
ANAも新規羽田枠を莫大に貰えたので、文句は減ったでしょう。
実質子会社分を足すと大半がANA割当でしたから。鼻薬か?
ぐっちーさんの記事は説得力あります。1兆円入れるなんて、ありえない!!
国と銀行と東証の犯罪を、なぜ、血税で解決するのでしょうか?
「形式犯」…法の網の目をくぐり、素知らぬ振りをして、悪事を働く確信犯のこと。
国内でも
格安ー高速バス
普通ー列車
上等ー飛行機で
とすみ分けてるわけで、JALは航空会社として現在の
中から上クラスのキャリアとして生きていけますよ。
参入障壁は、きちんとあるし(路線権)、格安航空は弁当持参、予約変更が困難だし、そんなに客がいっぱいくるわけでもないでょ。
それに事故率はブランドで、簡単には獲得できないし。
私はJAL再生可能説、むしろ日本観光の先兵として、大量の団体客を日本に連れてくる
日本観光産業の海外客引き兼スパイとして活動するのでは。
冴えた分析をありがとうございます。
25年前に坂本九さんが常日頃から「絶対全日空を取るように」と言っていたのにたまたま日本航空に搭乗して事故に遭い亡くなったという話を聞き、「上を向いて歩こう」を聴きながら涙が止まらなくなりました。それだけの高コスト体質でも事故を起こしたのにこれでコスト削減したらいったいどうなってしまうのか。。。
ビジネスクラスのシートでも北欧系エアラインのエコノミーより狭いし、サベナ航空(個人的に好きでした)でさえなくなってしまったのに日本人はともかく外国人にとって魅力があるとは思えません。税金を投入する必要性がどの程度あるのでしょう。他のことに使ってほしいです。ナショナルフラッグがなければいけないのなら、現時点での勝者は全日空ですよね。全日空だけでは競争原理が働かないから、というなら、新規参入してください。
SFC保有者です。
JAL、たった1年2ヶ月で再生しましたね。
確かに航空機を売り飛ばしたり人を削ったりと、継続的に実行し続けられない対策ばかりでしたが、それでもANAの2倍以上の営業利益をたたき出して今期を終えようとしているところは、素直に賞賛です。あっぱれ。
ここを賞賛できないようであれば、ただJALが嫌いか意固地になっている哀れなANA会員かでしょう。
問題は、来期以降、次の手をどう打ってくるかですね。来期だめであれば、やっぱりJALはだめでしょう。
ともあれ、ANAも最近はサービス悪すぎ。ビジネスクラスのオンデマンドミールも最悪でしたし、日系はどちらも、SQやEK、QFを見習ってほしい今日この頃です。