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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/04/15 15:39  | 金融全般 |  コメント(0)

GM続き・・どこで買いがはいるのか?


いつも来ていただいているyhさんからこんな質問を頂きました。

いつも楽しく読まさせてもらっています。質問があるのですが、GMがBB格になった場合、まだまだスプレッドは拡大するのでしょうか。かなり格下げを織り込んだ水準であるようですし。また、ジャンク債投資家などからも買いが入らないのでしょうか

鋭い質問です。これは今米国市場で社債を扱っているプロでさえ悩みに悩んでいる訳です。どこで止まるか?? です。

ご指摘の通り、BB格としても十分なスプレッドがついている訳です。10年で800BP,5年でも500を超えている訳ですからね。この場合通常、BBに下がってしまうと悪材料出尽くしでもうむしろ買い手が出てくるというパターンになるので、yhさんのお考えは正しい。

所が今回の場合悩む問題があるんですわ。大きいんです、ここ。

債券発行額も軽く1兆円位はあるわけです。こんなのが一気にマーケットに出てきた経験が誰も無いんです。エンロンの時みたいに一気につぶれちゃえば、考える暇も無く、

「ざんねん!!、紙切れになってしまいました(ほんとはならないんですが)あきらめようね。」

という事ですが、GMはまさかつぶれないだろうしスプレッドも十分あるんだけどこれだけの売却量をこなせるのかしら、じゃあ、どこまでのスプレッドの拡大を考えてその債券をビットすればいいのかね、ということですね。これだけの規模の会社がこのBBBとBBという「河」を渡って来た事ががないもので、ちょっとまってよ?、きいてねーよー、となる訳です。

先日英国のローバーが倒産しましたね。まあ、こういっては悪いですがだから英国がどうかなる、なんてだれも思わん訳です。ですから英国政府も救済を蹴りました。GMとなればその影響力はすさまじくそうはいきません。どっかで救済するんでしょう。が! うかつに手を出したら共倒れになるおそれが十分にある・・・・仮に政府が手を出すにしてもどこで何を出すんかね、タイミングが難しい・・・まして、それを投資家として手を出すならますますなやまし?・・・となり、実際スプレッドの拡大が止まらんのですな。

言うなればBBでは十分なスプレッドがあっても、これだけの規模の会社がジャンクに堕ちたあとの展開は経験が誰も無いだけに誰も読めない事(これだけ巨額な借金のお金はほんとにまわるのか、とかそんな資金不足でこの先トヨタと戦える車が作れるのかしら・・・などなど)が事態を複雑化しています。巨大さの故のなやみ、といいましょうかね。

似たような話をドクターから聞いたことがあります。簡単な盲腸の手術があるとして、もう何万人もその手術の経験があるドクターが例えば体重150Kgなんておすもうさんのような人の手術を行う場合、その「巨大さ」故に、慣れたその手術そのものにもかなり慎重になるんだそうです。これが心臓や肝臓手術ならなおのこと、

「まったく別物と考えなければならんのだよ、君。だから肥満はいけないよ。」、

とその時はなった訳ですが、GM問題もそれに似ている面がありますね。(念のため私は太っている訳ではありません。あくまで忠告でしたので)

「太りすぎ」でこれちょっと別物じゃないの?? 買うにしても誰かが救済するにしてもこれまでの「経験値」で勝負していいんだろか? しかもこいつは盲腸じゃなくて心臓だもんな?、やばくね?
という話です。(ますます解りにくくしてしまったか・・・)

ご納得いただけたかどうか・・・

従いまして個人的にはBBのスプレッドでは止まらないような気がしますね。その「重み」に耐えかねてBまたはCCCあたりのスプレッドまでオーバーシュートする可能性も否定できないですな。アメリカの大手の有名投資銀行もGMに関しては既に何回も「買い推奨」をだしてオオカミ少年状態です。今もまた推奨してたりします。でもスプレッドがどんどん拡がり・・・・・

買った人は仮にジャンクのトレーダーでも「うそつき?」と叫びたくなりますわ、これは。

明日は皐月賞大予想!! 昨年万馬券をとったとても相性のよいレース。
こちらは紙切れにしないようにしませんと・・・

では!

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