2005/04/15 09:37 | 金融全般 | コメント(2)
GMショック? モー娘。ショックだったりして・・・
昨日のNYKの株の下げは全く持って、GMショックとしかいいようがありません。前にもお話しましたがBBBがBBになってしまう、というのは投資家、特にアメリカの年金運用者にとっては一大事でありまして、GMなどは下手をすると一基金の投資総額の10%なんかを占めている訳です。まさかつぶれる、とは今でも誰も思っていない訳ですが、一応規則があって(皆様の大事な年金ですからな)BB以下を投資不適格と呼んでおり、ここまで落ちてくると強制的に売らされてしまいます。まあ、レッドカードですな。(但し厳密に考えてBBBとBBの間の倒産確率、或いは実際の倒産率を1960年くらいから追いかけてもほんとに0.2?3%程度の差があるだけなんです。なぜ、ここに線を引いているのかかなり謎だ、というのがニューヨーク州立大学の有名なグレン・ヤーゴ教授の見解で私自身もそう思います。)
基金の10%なんてもってると突然売ろうとしても売れなくなる恐れがあるので、徐々に売りが出てきている・・・・結果的にGMの10年社債のスプレッドがT+800(アメリカ国債の利回りを8%上回る)などというレベルまで売られてしまっている訳です。しかし、まだ格下げされた訳ではないので、本格的な売りはまだ始まっておらず、いわゆる「緒戦」でここまで来ていると、「ほんとにどこまで下がるんだよ、」という話になる訳です。
こういう社債を投資家から受けてしまった証券会社は、元来債券ですからドル金利に連動するので、アメリカ国債をショートして、ヘッジをかけます。所がこの先更に売りが出てくればスプレッド(GM社債の利回り)がアメリカの金利そのものに関係なくどんどん広がる(売られる)恐れがある訳です。
これをヘッジするのにCDS(クレジットデフォルトスワップ)という商品を普通は使うのですが、GMクラスになりますと、いかんせんボリュームが大きくCDSではヘッジできない(マーケットがまだ小さい為)・・・・も?いいや、株しかねーや、ということになって、廻りまわって株をショートしちゃった・・・・というのが昨日の下げの真相です。インデックス(ダウ平均とか呼んでる奴です)が下げた大半はGMの債券絡みのヘッジ売り、でして本来的にはこういう相関があってはならんのですが、事情が事情なので仕方ねーなー、という訳でした。しかし、緒戦でこれだけインパクトがあると、「本戦」はどうなるのか?? というのが全く持って心配になります。
こういった投資不適格におっこちてくる連中を「Falling Angel」とか「Fallen Angel」などと呼んでおりまして(これを「堕天使」とか訳しているんですが、なんか日本語に訳すとエッチな感じがするのは私だけ??)過去には有名なエンロン、ワールドコムなど、一夜にして「堕ちて」しまった銘柄があり、いわゆる「エンロンショック・・2002年」とに比べれば大分インターバルがあるから大丈夫だよ、などという論評も見られますが、個人的にはあまいの?・・・と言わざるを得ません。サイズが違いすぎるんですね、エンロン、ワールドコムの発行総額の100倍位あるので、本当に売ってこられたらヘッジできねーぜ、というのが我々の率直な所でしょうか。しこしこ株を売るくらいしかほんとに手がないかもしれず、結構影響を心配している訳ですが・・・・
そうこういっててもナントカなっちゃうのがアメリカってとこなんですがこれについてはまた別の機会に・・・・・
それでもドルは強い・・・しこしこ外貨預金を下ろしている私です。結構ラッキーか、後で後悔するのか・・・・うーむ、わからんの?
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2 comments on “GMショック? モー娘。ショックだったりして・・・”
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いつも楽しく読まさせてもらっています。質問があるのですが、GMがBB格になった場合、まだまだスプレッドは拡大するのでしょうか。かなり格下げを織り込んだ水準であるようですし。また、ジャンク債投資家などからも買いが入らないのでしょうか。
これはプロでも悩んでますな。後程ご説明の記事を出しますのでちょっと待ってね!