2007/04/25 09:21 | サブプライム | コメント(4)
ゴールデンパラシュート
予想に反して意外にあっさりきまったABNアムロの買収。800億ユーロくらいまで巻き上がると思ってましたが、結局当初の600億を多少上回る670億ユーロで決着。3月16日終値の約30%上なので穏当な結果と言えましょう。
現在はまだ不明ですが、この種の結末になるということは、ABN側の今の経営陣に大分大盤振る舞いをすることになりそうですね。退職金、確約ボーナスなど様々なものがあるのですが、こういって旧経営陣に大盤振る舞いをすることで全体の買収金額を下げつつ交渉をスムースにする手法を「ゴールデンパラシュート」と呼んでます。
買収された方には金のパラシュートが用意される、というわけですから、なんでもはいはい、ということを聞く事になります。一方、経営陣に入っていない、普通の人々、マネージングディレクターとかいってもただのヒラトリなので、こういう人々は容赦なくクビを切られる事になります。大変ですが、そういう業界なのでその分給料が高い、と理解しましょう(笑)。
さて、一方、アメリカ。
新規一戸建て住宅の販売数がおそらく大恐慌以来の減少だということを前回お伝えしましたが、どうも中古住宅も怪しくなってきました。このところ取り上げる事の多い、全米不動産業者協会(NAR)の発表によりますと、中古住宅販売件数は前月比8.4%減の612万戸と大幅減少、この数字は2003年6月以来、減少率そのものはあの1989年1月以来の大幅なものとなりました。これは結構きてますね。
地域的には中西部のマイナス10.9%というのが最大ですが、ここはバブルの部分ですね、地域的に。元来上がってはいけないところだったのが日本とよーく似ています。という事で、くどいですが、フローの部分の順調さに目を奪われてこういうストック上のトラブルをミスしないように注意してください。
日本でも大量保有されている証券化商品のCLOなど、格付けの高いシニアを保有しているから大丈夫との報道も一部にあるようですが、住宅ローンを組みこんでいるものは一連のサブプライムの問題で、クッションになる筈のエクイティーがみんな吹っ飛んでますから、売るに売れないものばかりです。
7?80%の価格でも売れないものばかりでしょう。AAだと思っていたものが一夜にしてBとかに格下げされますから、証券化商品というのは実は恐ろしい世界なのですよ。
わかっちゃいるけどやめられない・・・・ということですね。
一部にはローンポートフォリオは担保が付いているから安全だという報道もありますが、そりゃー、幻想ですって。担保がクソの役にもたたんことはバブルの頃に充分検証済みでありまする。日本が先行している唯一の分野ですから、ゆめゆめアメリカ人にだまされませんように。特にプロの運用者の方は、バーゲンハンティングしたくなるかもしれませんが、まだだめですから。ディスカウントのCDOが大量に日本に流れ込んでくると思われますが、アメリカ人の損切りの相手にされんようにほんと、気をつけましょう。では!
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4 comments on “ゴールデンパラシュート”
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くわばらくわばら。
古来から有効な手段でありました。まともにチャンバラしては身体が持たない。
死語であるダッチカウントは、違う意味で甦るでしょう。しかしバークレイズのCEOはこの手法に弱いと見なされるでしょうね。現にこの買収に失敗すれば、バークレイズが餌食にされるだろうと言われていた。先はまだ分かりませんね。
もっともBBCだったかによれば、二万数千人が整理される、とあるから落下傘ナシに突き落とされるのですな。
スペインの不動産会社株の暴落、気になりますね。
アメリカとは関係がないと言われても、ドイツを除くイギリスとフランスの不動産会社株が下がっている。
更にアメリカでも車の売れ行きが怪しい、となるとみんな揃って教会に行きますか・・・
賛美歌長い間唱ってないな
ここで住宅部門について詳しく見てみたいと思います。
いつも強気な見方をする『全米不動産協会(NAR)は、2007年の米国住宅販売見通しを大幅に下方修正しています。
<販売件数>
中古 633万8,000件( ?2.2%:昨年9月時点の予想 ?1.0%)
新築 90万4,000件(?14.1%:昨年9月時点の予想 ?9.0%)
また販売価格(中間値)では1968年に調査を始めてから初めてマイナスを予想しているのです。
<販売価格>
中古 22万 300ドル(?0.7%:昨年9月時点の予想 +0.9%)
新築 24万6,200ドル(+0.4%:昨年9月時点の予想 +0.8%)
ABNアムロ銀行のCFO退陣 -
オランダ 渦中のABNアムロ銀行のCFOであるスコット・バレット氏は8月1日付けで辞任し、H.バウメースター氏が後任となる。
スコット・バレット氏は銀行のオーナーが変わることで自分も新規な機会を探る良いチャンスである、と述べており今回の経営統合問題との関連性を示唆している。バウメースター氏(47歳)は今回のバークレーズ銀行との合併をしかけた本人である。
同銀行は水曜日、オランダの裁判所が傘下の米銀ラサールをバンク・オブ・アメリカに売却することを凍結するよう命じた件について、上訴する意向を示した。「ABNアムロは上訴することは、同行と株主の利益にかなうものだと認識している。」と述べた。バンクオブアメリカはこの210億ドルの売却が取り消しされるなら、訴訟に踏み切ると発表している。
オランダのニュースより