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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/06/13 14:33  | 国際問題 |  コメント(6)

侮れない小泉純一郎・・・


さて、今回のアクセス増の本当の理由でありますかんべえ先生と雪斉さんのお二方が本日同時に触れられている問題。

記事 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050611-00000205-jij-pol
かんべえ先生 http://tameike.net/comments.htm#new
雪齋さん http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2005/06/post_5712.html

大変な問題ですよね、これは。昨年のチリでの日中首脳会談の前に首相サイドは既に中国側に靖国参拝する意思に変わりが無い事を伝え、それでもよければ、ということで首脳会談が実現した(受けた)という、それはすさまじい内容・・・

雪斎さんご指摘の通り、こんな所で飯島秘書官が勝手に暴露する筈は無いのであって、そりゃー、小泉さんは間違いなく知っていますよね。それどころか下手をするとアメリカ側にも既に知らされているのでは(これを外交カードとして切る可能性がある事を)などと私は思ってしまうのです。

というのも、小泉首相は、少なくともアメリカでは、みなさんが思っておられる、「かなり以上」に評価されているという事実です。例のブッシュ・小泉関係も「ワンワン外交」などとあちこちでばかにされていますが、我々の想像以上に強固であり、かつ本当に信頼関係が出来ている可能性が、どうも周りの声を聞いていると十分あるのです。(直接は聞けないので)

私の友人の、アメリカでは大統領とも直接話すような立場の人で(K氏としておく)日本人の財界人、政治家は会っても時間の無駄なので会わん、と明言している方がおりますが、彼にして複数のルートから小泉には会っておいたほうが良いとアドバイスされた結果、最近になって会っても構わない、と言い出しました。(ほんとに驚いたですよ、これは)

また、今年秋に来日する某ノーベル経済学者(通貨を中心に中国関係に強い方です)も日本人は大好きだが、日本人の政治家は大嫌いだ(話をしても何一つ結果に繋がったことがないから)と公言して憚らんのですが、今回は向うから「小泉さんに会いたい」と言われて面食らってしまったり・・・

枚挙にいとまがないんですよ。こういう話。だいいち、どうもライス国務長官が一番信頼しているのでは(小泉さんを!!)、なんて説まで出る始末で、小泉首相のアメリカでの(少なくとも政財界での)評判は決して悪くないのです。
「なーるほどねー、アメリカが後ろ盾だから、あれだけできるんだ・・・」などという単純な図式を申し上げるつもりはないのですが、この辺りを見損なうと、ライバルの政治家も足元を掬われるし、もっと言うと中国自体がそのあたりの関係を軽視した結果、様々なトラブルを引き起こしてしまった可能性があるのでは、などと考えてしまいます。ではなぜ小泉さんが???

小泉さんはアメリカのことをなんでも聞くんだから好かれるに決まっているじゃない??

と思われますか?? 100% NO,のー、ノー!! であります。

むしろ、はいはい何でも物を聞く奴のことをアメリカ人は大嫌いです。ドッグ、だのチキンだの言って完全に「ハブリ」ます。アメリカで仕事をした事のある方ならお分かりの筈です。きちんとした態度で自分の意見を表明してかつ、

(これが大事!!)言ったことを責任をもってデリバリーすること(まあ、実行するでもいいんだけど、若干ニュアンスが異なる)

が、彼らと信頼関係を得るうえでとても大切です。これがあって、あとまあ、リーダーとしての振る舞いとか、英語力があるとか、歌がうまいとか、体がいいとか(失礼!!) 要は枝が付いてくる訳で、その意味で小泉さんはそれを満たした、といえる訳であります。(英語が大変おできになった宮澤さんの評価が低いのはこの点だそうです・・某アメリカ人より)

ここから先は完全なゲスですが、恐らく小泉さんはどこかでいくつかのギャンブルを犯しつつこの信頼関係に辿り着いたと思われます。自衛隊の海外派遣にしてもどこかで彼は「俺はやる」、とブッシュさんに宣言してその通りやった、という結果になっているのではないでしょうか。恐らくこれまでの経世会の利権とは全く無縁だった小泉さんだからこそ、やる、と約束して本当にやることができて、他の政治家では守るものが多すぎてこうは行かなかったというのが真相だとは思うんですが、小泉さんはとにもかくにもやってのけた訳だから、こうしてアメリカからの信頼を勝ち得てもあまり不思議ではないんです。もし、これを計算ずくでやっていたとしたらもう、これは化け物ですけど(笑)

ここまで書いてきて私はもうひとり、立ち振る舞いがそっくりな日本人を思い浮かべました。
指揮者の小澤征爾さん・・
このふたり、アメリカ人に対する接し方、愛され方(?)が良く似ていますね。(小沢さんは直接見たことがあります。小泉さんはテレビだけですけどね)
小沢さんは若い頃ヨーロッパでは全く相手にされませんでした。所がバーンスタイン(アメリカ人)に可愛がられ、もちろん実力があったのは当然ですが、サンフランシスコを足がかりにボストンシンフォニーの音楽監督(これは完全なメジャーリーグのオケです)に上り詰め、ついにはウィーンにまで達してしまったという経歴の持ち主。アメリカ人にそれはそれは可愛がられていたんです。この成功無しにウィーンは無かった訳で、アメリカの支持を得て、国際社会に支持が広がってきた小泉さん・・・と言えなくもないですね。

長くなりましたが、こういう訳で小泉さんという政治家をなめると、大変なことになりますぜ、と他の政治家の方々にせいぜいご注意申し上げておきましょう(笑)

末筆ながら改めましてかんべい先生、雪斎さん、ありがとうございました。
また、よろしく!

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6 comments on “侮れない小泉純一郎・・・
  1. 雪斎 より
    ありがとうございます。

    はじめまして。
    かんべえ殿からお知らせ頂き参上致しました。
    今後とも、よしなに。

  2. えの より
    Unknown

    小泉純一郎首相はトビ職の次男「いれずみ大臣」小泉又次郎の孫なので喧嘩に強いのは血筋です。
    http://www1.seaple.icc.ne.jp/kusuyama/3burakana/59/

  3. ぐっち より
    こちらこそ

    雪斎様
    お立ち寄り、痛みいります。
    今後ともよろしくお願い申し上げます!

  4. うーたろう より
    中国の意見

    日中関係について中国でこういう分析もあるようです

    日中問題 周辺国の思惑
    http://hannichi.seesaa.net/article/4340920.html

  5. 通り縋り より
    Unknown

    なんか、昔あった「カメレオン」という漫画の主人公を思い出しましたw

  6. ぐっち より
    うーたろーさんへ

    貴重なお知らせ有難うございます。こういう意見当然あるでしょうね。軍事大国はともかくアメリカの軍事システムというか軍事戦略のマップに既に自衛隊は完全に組み込まれているのでは?ということはかなり言われてますよね。実際合同演習や、日米間の軍事人事交流などは半端なものではありません。また、いろいろ教えてください。

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