2007/06/27 08:56 | サブプライム | コメント(9)
厚化粧の剥げる時
「サブプライム問題は金額が小さいのでたいしたことがない」、
とコメントした某三井住友とか、メリルリンチとか、いい加減なモーサテに出てきたエコノミストはそろそろ頭を剃ってもらいたい時間となってきた。彼らは実際に運用したり、組成したことがなく机の上でしか勉強したことがないのでサブプライムローンの金額を調べて、えらく小さいので短絡的にたいしたことないじゃない、とばっさり切り捨ててきた。
しかしですね、我々は彼女たちがいかに厚化粧か、というか実際に厚化粧させたほうだから素顔のすごさを知っている訳でして・・・
実はひでー・・・・
ということが徐々に表面化してきました。
証券化商品の雄であるベアースターンズはここでも触れたようにMBS,CDO専用ファンドのロスをロスカットできずに追加融資でしのぐと発表。恐らく売れないというのが正直な所。この種のサブプライムをふんだんに入れておいて、レバレッジをかけ、シニアをAAAなどの格付けにしたCDOはどのくらいあるかご存知か。
ムーディーズの統計によるとこの種のCDOの昨年の発行額は3750億ドル。約50兆円!!です。ひところの日本国債に匹敵する金額。世界最大の時価総額を誇るGE一社分と言い換えてもよい。
彼らは伝統的にフィッチなどの新興格付け機関による格付け債券は無視するので恐らく市場全体では8000億ドル、つまり100兆円にも及ぶCDOが一年で発行されるのですよ。
そのうち、サブプライムの住宅ローンをつっこんであるものはムーディーズの格付け分だけで1000億ドル、フィッチなどまで入れると3000億ドルに上る!! 36兆円分の債券がサブプライムを使ったCDOで、そのエクイティー部分はほとんどゼロになっているから、その上にのっかている、AAA, AAなど、厚化粧の格付けをつけた債券!!(これでも債券なんです・・・)を買っていた人々はどうなるかというと・・・・
ある日突然ムーディーズが無責任にも格下げして、Bかなんかになってしまう訳ですね。通常の作り方をするとまあ、AAAがゼロになることはないけれど、エクイティーが吹っ飛べばBBBクラスはゼロです。100で評価していたAAA格付けの債券部分でおよそ50でしょうか。半値ですね。まあ、これは詐欺と言ってもいい訳ですが、知ってて買ってる訳だからしょうがないですね。金融版ミートホープと言った所です。
ピムコのビル・グロスは上手いこと表現して、「厚化粧と15センチのハイヒール、腰の刺青と胸パッドでムーディー氏やプアーズ氏は誘惑されたに違いない。見かけは魅力的でも中身が伴わないことは多い」とセクハラすれすれの表現でこれを評しております。これらは因みに日本の金融機関もしこたま買ってます。
ということで、このブログではサブプライムがCDOに形を変えて、レバレッジをかけてはびこっていることを再々指摘してきましたが、そろそろ厚化粧の剥げる時です。返済遅延住宅ローンの額は1994年のレベルに近づきつつあります。一方でCDOの発行は当時20倍以上になっていることを忘れてはなりません。
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9 comments on “厚化粧の剥げる時”
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「金融版ミートホープ」まさにその通りですね。
失業手当を受け取るアナリストの長い行列が出来るでしょうねぇ。
しかし随分嬉しそうですなぁ、ぐっちへさんは・・・
M&A専門家は宝の山と出会す一生に一度のチャンス??ならば
新婚の朝、厚厚化粧が消えた花嫁の素顔を見た男の身の振り方も書かなきゃ。
パンツをはいたまま窓から飛び降り逐電する。二階以上は勧められない。パンツをはいてない場合はストリーキングする。唯一の財産は結婚指輪になる。
あるいは、男らしく諦めて、見知らぬ花嫁の側でただ泣き崩れる。
各宗教の尤も効き目があるお祈りを羅列しておく、それ位の親切心を。
以前に、日経公社債情報の「放電塔」コーナーで、様々な種類が発行されているCDOをすべて一緒くたにしてけなしている記事がありましたが、ぐっちーさんのはまだレベルが上ですね。日本の機関投資家は恐がりが多いので、サブプライム組み入れCDOまでは余り無さそうに聞いておりますが。しかし米国のマーケット参加者がなぜあそこまで楽観的なのか、私にはナゾです。
格付機関もグルの、詐欺ではないですか。
> 厚化粧と15センチのハイヒール、腰の刺青と胸パッドでムーディー氏やプアーズ氏は誘惑されたに違いない。見かけは魅力的でも中身が伴わないことは多い
これは先生さすがですね。
イラク戦争もうまくいくわけないじゃんてはじめから言ってたのもビル・グロースさんでしたっけ。
このエントリーを読んですぐポジションを見直ししました。
ありがたいブログですよホント!
一部ではポートフォリオの中にあるペーパーアセットの割合を減らしなさいよ、なんて声も聞かれますが、株も駄目だ、債券も駄目だ、ドルも円も駄目だとなると、今年?来年にかけてはどうやってリスク回避を行うべきなんでしょうかね。
それからいまだ金利の低い日本市場への影響としては何があげられるのでしょうか。某メガバンクなんかでは個人向けの仕組み債をつくったり、仕組み金融に力を入れ始めているみたいですけど、アメリカでの評判が悪くなるとこういう部分でも影響が出るんでしょうかね。
すみません、全くの素人で何もわからず。
いつも楽しく拝見させていただいております。このところとゆーかぐっちーさんはだいぶ以前から叫ばれているサブプライム。国内の金融機関のことはどのエコノミストも語ってないのですが、いったいどこがどれくらい持っていて、どんなもんの影響があるのでしょうか?
>これらは因みに日本の金融機関もしこたま買ってます。
預金金利も払わずに勝手に損ばかりする、とんでもないやつらだ。貯金を1000万以下に分割しとこ?