2010/05/09 23:02 | マーケット | コメント(26)
地獄の東京市場がスタートする
本日月曜日は血の雨が降りかねない。
有料メルマガの方には詳細をレポートしていますが、こちらでも概要だけご報告しておきます。
これは日経平均などの枝葉末節な話をしている訳ではありません。
金融の根幹にかかわる問題・・・
欧州の銀行のファイナンスがはたして続くのか、サステイナブルなのか、今日の東京市場が最初のテストになるのです。
東京市場で大手欧州銀行が資金繰りに窮すればゲームセット。
事態は極めて緊迫しており、先週の金曜日は欧州国債市場は午後ほとんど休止しました。
そのために週末G7中央銀行による電話会議が急遽開かれたのです。
これはあのリーマンショックの時と同じ現象であります。
今1000億円分をブンズ(ドイツ国債)を担保に東京市場で円を調達している銀行があるとします。
ブンズは十分な担保余力があった訳だが、この情勢下、ドイツがPIGSに対して必要以上に持っているエクスポージュアーと今回の救済負担、そして何より暴落リスクのあるユーロ建て、ということを勘案した場合、あなたが銀行の資金担当者だったらどういうアクションを起こすか、想像をして見てください
結論は明らかで、大多数の資金回収に向かうか、ユーロ建て以外の担保提供を求めるに違いなく、間違いなくすべての日本の銀行は本日そういう行動を起こします。
日本国債をふんだんにもっている外国銀行は滅多にないし、保有しているブンズをスワップして円した時点で東京市場の為替市場を崩すのは目に見えているので、結局ブンズを日銀に持ち込んで日銀が円資金を出すように頼む・・・
これが週末のG7会議の中身です。
更に、円はまだしも、世界の貴重品、ドルの調達はもっと大変な筈で、ただでさえ流動性を無制限に放出しているFRBにとってはそこに欧州銀行が出てきてドルを取りまくれば、これまでのアメリカによる必死の金融緩和効果は全くチャラにされてしまうのだ。
これほど悲惨な事はなく、アメリカにとっては悲劇です。量的緩和効果がドルを買いあさる欧州銀行によって根底から吹っ飛ぶ可能性がある。
クルーグマンは自身のブログでこんな表現を使っています・・・・
I really really hope the ECB staff are huddling right now … Otherwise Anno Domini 2010 is shaping up to be Anno Domino instead.
マジでECBが量的緩和を今真剣に検討していることを望む。さもなくば西暦2010年は西暦2010年どころか、キリスト誕生の世に戻ることを意味する。(この世の終わりということ)
私事ながら・・・・
山一証券が倒産してジャパンプレミアムが発生した1997年。
当時、ABNアムロ証券の債券部門の責任者だった私はアムステルダムからとんでもない指令を受けることになった。
T+3、つまりわずか3日後のドイツ国債の500MilDMの三菱銀行との売買取引決済を変更してキャンセルするか、本日中に完了せよ、というものであった。
3日間のブンズの価格変動リスクを勘案すれば実際のエクスポージュアーは10Milにも満たないこと、三菱銀行が倒産する可能性は日本が倒産するに等しいことを説明したものの、ABNアムロ銀行のマネージメントにこれを理解できる能力のある人間はいなかったのです。
持ちろん無視しました・・・おかげで3年後にはクビになりました(笑)。
融資担当役員はもっと悲惨で東京電力向けの500億円の融資を即日回収しろとの指令を受け、涙目になっていました・・・・
欧米の銀行のレベルなんてそんなもんですから、東京市場では何が起きてもおかしくないのです。
こんなあほなこと、商工ファンドでもやらない。
解決方法はひとつしかありません。
ギリシアの債務をチャラにして、通貨を切り下げられるように、ギリシアをユーロから離脱させること。そのうえで緊縮財政をやらせます。
早めにポルトガル、イタリアあたりまでユーロから外しておいた方が賢明でしょう。
イタリアではベルルスコーニ首相がすでにとんでもない法案を用意しており、マフィアなどの海外にある不正資金を今申告して納税するなら、それにまつわる不正行為は不問に付す、という信じられないもの。
現地のレポートでは通るかもしれないと・・・こんな国をユーロに入れておくつもりですか??
逆にドイツがユーロを離脱してドイツマルクに戻る手もあり。
これにより強いマルクが復活すればそれを使って弱いギリシア、ポルトガルを救済することができる可能性は高い。
今のまま行くと、ドイツまでPIGSに巻き込まれることになる。
アルゼンチン救済の経緯をまとめたIMFレポートにこのあたりのことはすべて書いてあります。
処方箋ははっきりしています。
学者の先生が机上の空論がどうのこうの言ってても始まりません。
市場参加者が何を考えるか。
それは嗅覚かもしれないし、非科学的な結論かもしれない。しかしそれがすべてだ、ということを忘れてはいけません。
さもなくば市場から手痛いしっぺ返しを食らう事でしょう。
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26 comments on “地獄の東京市場がスタートする”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
借金の取立てが来る前に、金目の物は現金化して隠しておこうという感じでしょうか?
で、この手の話、日本は無償援助なんでしょうか(日銀が屑債を引き取るのでしょう?)。欧米中露あたりなら『その換りに○○を貰う』とか取引しそう。
欧が壊れたらパニックが日本にも波及しそうだけど、だからと言って逆パターンで欧が日本にタダで援助することは決して無い気がします。隣国で踏み倒した国もいるし。
だったら、IMFに拠出して、IMFから借りさせた方がまだマシ。この手の政治交渉、実際はどうなんでしょうね?
大蔵省が
背中の刺青を・・見せているでしょう・・
担当者はサラリーマンだし・・会長・社長もサラリーマンだし・・
政府は郵貯等を握っているし・・
日銀はベルトを外しているし・・
官邸不在の勧進帳・・
役者は揃い踏み・・
血の涙は流しても・・血の雨は降らない・・
握り・・相撲だけではない・・外人役者も加わった大歌舞伎の・・幕開け・・・
ユーロが消滅すれば、大混乱はあっても中期的には米国ドルの基軸通貨体制が復活して、米国安泰の方向に行きませんか?
それって、米国にとって非常に望ましいことと思うのですが。今回の混乱で、むしろ米国としてはユーロを消滅させる方向に動きませんか?(その方向に日銀・郵貯を動かす政治活動をするのでは?)
そもそも、米国がユーロを守ろうとする理由が不明。イラクが原油決済をユーロに変更したあたりで、ユーロ(仏?)に殺意を抱いていても不思議ではないのでは?
一読して驚嘆しました。
いまかくも深刻な金融危機に直面しているのかと・・
私はいま某メガバンクの株を空売りしているのですが・・もっと売っておけばよかったかも・・と思いました。
昨年はグッチーさんの記事を見てJALの空売りで儲けさせていただきました。
今後とも宜しくお願いします。
月額840円は安すぎます。
やはり最近の傾向で、警戒とは逆方向に動き出しましたね、いったい何なんでしょうか?
いつまでこのパターンが続くんでしょうか?いわゆる仕掛けなのはわかりますがねぇ〜・・・。
月曜9時19分
先物プラテン
日経プラ66円
血の雨は?
日本国民はノー天気なのか?
グッチー分析大ハズレなのか?
高周波取引は・・まだ健在なのか・・
組んでやらんきゃ・・ヒットしない・・
一回目の成功を・・忘れられなかったのか・・??・・
市場には・・
魔女が棲んでいて・・FRBにも棲んでいて・・
みんな・・手を洗う振り?・・
中国は??
ヤミ金家業を始めた??・・のか・・
この世に・・
???はつきもの・・・
ECBによる国債の買取が決定したので
ユーロは傷つくでしょうけど
血の雨はないんじゃないでしょうか?
今日下がったら空気読めよということで世界から袋ただきにあうだろうとのことで
寄付きから先物買いのボーナス日だったね
ごちそうさまでしたw
ぐっちーさんの予想どおり相場が動かなければ、ラッキー、今日も生きててよかった!と思わなければなりません。
誰もが自分が交通事故で死ぬとは思っていないが、確実に何人かの方はお亡くなりになるわけです。
暴落の引き金に手をかけて、思いとどまった死神さまは、それが自らの死を招くことを知ったのか?
「君子危うきに近づかず」を教えてくれるのがグッチーポスト。
そう言われると、近づきたくなるんですよね〜(爆!)
http://money.jp.msn.com/newsarticle.aspx?ac=JAPAN-152011&cc=03&nt=00
ECBが債券の直接購入を決めたようですね。89兆円の基金と併せて、とりあえず最悪な事態は回避ですかね
ギリギリ滑り込みセーフ、といったところなんでしょうか?
なんとなく、金額がまだ足りないような気もしますが…
とりあえずしばらくは持つのかな?
結局ECBもFRBと同じような行動を取らざるを得なかった…という事なのでしょうか。
もっと迅速に行動してればここまで混乱することはなかったんですかねぇ。。
必要とわかってても、複数の国の共同体であるがゆえ、死に際に追い込まれないと行動できないんですかね〜…
アララ。
予想通り下がると思ったのに。EUの緊急対策であちこちで上がっちゃったワン。また下がるかしらん。
相場の予想屋は難しいなあ。・・・・
本日5月11日(月)日経平均は166円の大幅上昇となりました。
今、多くの誹謗中傷がコメントに書かれていると思いますが、そんなことには負けないで真実を伝え続けて下さい。
今の株式市場はファンダメンタルで動いているわけではない。
行き場の無い”金”が強欲に弄ばれて狂っているだけです。サブプライムの時もそうでした。
ぐっちーさんは一貫してサブプライムの”インチキ”、”危険性”を書き続けていました。
今日たまたま日経が騰がったからといってユーロの危うさは何も変わっていない。
ぐっちーさんの実体験からの警告を出し続けて下さい。
なにも起こりませんでしたよ?
また外しちゃったかな。
いつも大外れの予想ありがとうございます。ぐっちーさんは反指標としていつも機能してます。
大口の市場撹乱者はぐっちーさんのようなプロをどうやってあざむくかを考えているんだと思います。ぐっちーさんのおかげで結構儲かるので助かります。自分だけだとこんなわけにはきっといかない・・・
何時でもどんな時代でも、危機はありました。何らの憂いのない時代など、人類史上無かったはず。投資に限らず、常に危機と隣り合わせというものです。
もっとも、このブログの存在意義は危機の存在自体を忘れないため(危機煽りブログと割り切っております)。内容を真に受けていては、およそ投資など、どのような時代であれ、不可能でしょう。
ユーロ圏からの切り離し・・・
一度やればその他も・・・
二度目もあるかも 切り離し・・・
これって通貨の信頼を削ぐ恐れはないのでしょうか?
だから、やりたくても出来ない・・・
だったらマルクの出番・・・というのが現実的なのでしょうか?
やはりアレですかね?
起きて欲しくないことほど起きてしまうもなんですかね・・・
因みにユーロ危機で、得をする国・・・
米国というご意見もあるとはおもいますが、総合的(?)に見ると、僕は英国だと思います。
選挙で大変なんでしょうけど、なんか特に最近冷たいし・・・
ぐっちーさんが伝えてくれていることは非常に重要なことで、たまたま株価が予想に反して上がろうが、それに文句を付けるのは間違っていると思うのです。まぁここには懸命な読者が多いのでそういったことは少ないと思いますが。
私は以前新ブログの内容を叩いたことはありますが、今回のような記事は逆にお金を払う価値があるとすら感じます。
すばらしいレポートに感謝、感謝であります
どうも疑心暗鬼が全て消えたわけではないようで・・。今はまだベァ・スターンズですよね???
リーマン倒産でつぶしたときの影響は恐ろしいほど身にしみている。
今後は倒産させるくらいなら、無限に紙幣を発行するだろう。
だから発行できない現物資産、金や原油が良いだろう。
ぐっちーファンです
かれこれこう5年以上
おいらの口座にまた血の雨が、、、、
おまえらぐっちーさんってすごいんだぞ!
2年先の相場をピタリと当てるんだぞ!
もっと凄いのは短期は十中八九逆行くんだぞ!
予想屋じゃないのに!
わかっているのに。。。
ぐっちーさんのこと本当に知っているのに。。。
またやっちゃいました。。。
でも、ついていきます
てへっ
今日の株価も上昇、本日NYも大幅上げなので、明日の日経も爆上げと思います。
しかし、グッチーさんは天底をあてるのを
この月額840円で要求するのはおかしいと思います。
ここで10%程度リバウンドあるのではないかと妄想しています。
持ち株を全部処分考えています。
グッチーさんは、大局観をはずしていないので、気にしないでください。
2008年の6月に株式が上昇していた頃に
売り推奨してしてくださり、助かりました。
グッチーさん、いつも読ませて頂いています。マーケットは瞬時に
変わるのはよく分かっています。大事なのはそこに内在する問題の大きさを理解・警戒することだと思うのでグッチーさんの発信されることはとても貴重です。個人には情報が限られています、またたくさんの情報の重要度が分からないこともあります。これからも発信し続けてください。いつも有難うございます。
ECBがいつ、どんな救済策を発表するのか、しないのかなんてわかるわけない。
ぐっちーさんも感じるほどの危機が迫ってたからこそ、ECBや各国中銀も重い腰を上げたんでしょう。
ぐっちーさんは月曜の株が下がる、なんて一言も言ってないと思いますけどねぇ。
危機は確かに存在していて、だから救済策が発表されて、市場が暴騰した。
それでけでしょう?
変な逆恨みや嫌味を言う輩がいますが、
単に読解力が足りないだけです。
日経平均の短期的な値動きのことで、
ぐっちーさんを誹謗中傷する人がいたら、
その人はただ文章が読めていないだけじゃないでしょうか。
ぐっちーさんは「日経平均などの枝葉末節な話をしている訳ではありません」
とはっきりおっしゃられてますし。
株式市場よりも、私たちには見えないところ、
銀行間取引がどうなっているのか、
を警告して下さっているのであって、
株式市場が上げたとか下げたとかで非難するのは見当違いだと思いますが。
国内の報道だけを見ていてもわからないこと、
ぐっちーさんの経験と海外からの貴重な情報を教えて下さっていることに感謝します。