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2008/07/03 09:45 | サブプライム | コメント(21)
終わりのはじまり・・・
二週間ほどマーケットから離れました。
テレビを見ているともう底を打ったとか、最悪期は脱したというエコノミストやストラテジストが多く、んな分けないでしょう、と思いつつも更にはアメリカは利上げする、なんて勇ましいやつらまで出てくる始末で、ほんとこりゃだめだわ。
ということでじっくり二日間、猫のようにマーケットを観察。
結論は簡単で「終わりの始まり」、ということですね。
ご存知の通りダウは６月の月間下落幅が史上２番目の下落。日経平均の１０日続落ってのは４３年ぶりだそうです。これだけでも気が滅入りますが、まだまだ行きそうです。
今回の事態を一言でいうなれば信用収縮な訳です。お互い相手を信用できない。で、いま最終的な担保になっているのはアメリカ国債。これがある限りお金は貸せる。しかし金利が上がってこれの価値が下がったらどうなるか、なんてのは子供でもわかる理屈で利上げなんて出来るはず無いでしょう。
確かにインフレ制御と言う面から見れば長期国債の金利は下がるかもしれない。期待インフレ率は下がりますからね。でもこんなもの担保にはなっちゃいない。大半はＴＢ、ＦＢそしてなんとＭＢＳであります。モーゲージバックセキュリティーズ。モーゲージと聞くだけで恐ろしいでしょう（笑）。
これは短期金利が上がると、住宅ローンの返済率が下がる、つまり借り換えのスピードが下がる為突然償還期間が長くなってしまうという恐怖の商品。つまりＦＲＢによる利上げ直撃商品ですね。
こんなものが担保になってますよ、ということを実際に担保を入れてトレードしたことない大学の先生はわかってないわけですが、読者の皆さんはよくご存知ですよね。だから利上げなんてゼッタイできない。
で、次。
これまでの８０年代から続いた数々の経済クライシス。たくさんある訳ですよ。オクトーバークラッシュ、ロシア倒産、ＬＴＣＭなどなど。
でもＧ７、特に日本が世界の富を集中して持っていたので乗り切った。逆にだからＧ７ができた、といってもいいですね。
特に日本はアメリカの最大の財布ですから、日本がいる限りどんなクライシスでも収めきれた。これは事実です。
今は？？？
世界の富は中東などの産油国、そして中国に移りつつある。現に世界最大の外貨準備は中国が保有しています。今のところ、あくまでもいまのところなんですが、彼らの資産の大半がやはりドルなので、アメリカのいうことを聞いてきた。資産が減るのはいやだからね。
でもね、風景は大分違う。
まず、日本は典型的な工業国で稼いだドルで更に設備投資をして汗水たらしてまた稼ぐ、という極めて健全な先進国だったわけですよ。
でも産油国はどうかというと、働いてない。黙っていても次から次へと原油がわいてきていくらでも所得が入る。油田開発の設備投資？？ なんてやってない。誰かに掘らせて上前をはねているのが実情。
日本のように国債も発行していないので将来の返済原資の心配なんてしなくていい。寝ているだけでお金が入ってくる・・・ということは、、このお金もういいや、どうせ明日もまた入ってくるからということで「ねえ、明日からユーロで頂戴ね」、とならない保証は何処にもない。
中国は世界最大の石油消費国になりかねない訳で逆に、
「元で１．２倍お支払いしますけど如何ですか、ふふふ、切り上げるときはオプションも上げちゃいますぜ、値上がりしまっせ、おほほ」
と産油国に持ちかけているかもしれない。だーれもこの可能性は否定できませんよね。そうなるとある日突然ドルの価値が目減りするかもしれない・・・日本だったらゼッタイこういうことをしなかったわけですが、彼らはどうでしょう？？ 極めて不透明です。
もちろん明日そういうことが起きるとは思っておらんですよ、わたしも。ただ流れ、ということだけは把握しておいた方がいい、と思ってます。ドルの価値喪失こそがキーワード、でしょう。
そういうわけでプロの投資家の方は大変です。でもこういうときこそダイアモンドもごみも一緒に売られる訳ですから腕の見せ所ですね。 週刊朝日を見ていたら暴落を当てた、なんて書いてあったけど取材しているエコノミストがばりばりの強気派（今が買い場です、と一生言い続けている人々）なので笑ってしまいました。
そういう記事書くんなら取材相手がちがいまっせ（笑）。だって暴落とかいっておいてエコノミストの日経平均予測が全員年末１万６千円！！近辺なんだから笑っちゃいます。今よりたけーぜ、って。
株価に関してはふつうの証券会社のエコノミストやストラテジストは当たりません。特に下げる、と予測することは不可能で、それは株が売れなくなったり投信が売れなくなったりすると困りますからね。当然なんですよ。万年「今が買い場です」と言い続ける。で、株なんて上がるも下がるも５０％だから、一回くらいあがるとほら、当たったと言うことになる。競馬場の予想屋みたいなもん（笑）。
でもね、彼らが悪い訳じゃーないです。これはある種のメカニズム。 あたるとすると収益の大半を株で稼いでないひと・・・特に個人投資家は関係ねーぜ、という人々は自分の商売に影響がないのでなんでも言えるわけよ。
だからゴールドマン、モルスタはよくあたるんですね。優秀な訳じゃない。株価が下がってもてめーの商売に差し障りが無いと言うだけですよ。こういう事は知っておいた方がいいね。
債券だとプロしか参加していなくて、空売りもなんでもやり放題だから下がるってはっきりいうストラテジストも多いですね。だから債券は結構まともな予測がでます。
ということで話はあちこち行きましたが、またぼちぼちと始めて行きましょう。改めてよろしくお願い致します。
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21 comments on “終わりのはじまり・・・”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
いつものぐっちーさんですね。
相変わらずキレ味の好い内容で
楽しく読ませてもらいました(笑）
こちらこそこれからも
よろしくお願いします。
この相場は、株をやっている人は大変でしょう。オプション、先物プレーヤーは下げにも対応できるのが強みです。
これからも拝読させて頂きます。よろしくお願い致します。
お疲れ様です。
更新がないので寂しく思っておりました。
中国もあっちこっちからパイプラインを引いてますしねぇ・・・・カザフスタンの石油パイプラインがデカイですか。
ここでもイスラム勢力拡大ですね
困ったもんです
グッチーさん：
こういうテーマを待っておりました。グッチーさんの見解を楽しみにしています。
敬具
まってましたーー！！！
やっぱぐっちーさんの話がないと日々がつまりません！
最近はigoogleに登録して、自分のHPでブログが更新されてないかどうかチェックしていました。
今後も質の高いエントリーをお待ちしています。
誰かが不貞寝している間に
時代は一世紀飛んだんじゃござんせんか?
浦島ぐっちーさん
五月蝿くない合間に
スティグリッツの「戦争経済」読みましたが、イラクを百年続けられるとは思わない。一日も早く脱走しなければ・・・「人間が幸福になる経済とは何か」を再読、やはりオバマはこれから入るだろうな・・・と。
お目目を覚ましたのはいいけれど、また五月蝿くなりますぞぉぉ・・・
歴史の浅い人民元に、そこまでの信用度がありますかね？
さすが、経済を語れば非常に優秀な洞察力。表現のしかたも良い。しかし、ＦＲＢ理事長や株主など、もし仮にドルの価値が喪失しようがかんけいねぇ、あるいはそれを望んだとしたら・・・。恐ろしいね。彼らがアメリカ対して愛国心を持っていることを願う。
ずいぶん更新なかったけど、その間
金かき集めて米国債券売りの
ポジショントークじゃないよね
どうなるんでしょうか？
ＧＭが万一潰れたらアメリカはとんでもない
貿易障壁を設定しそうですが・・・。
株価が１０ドル割るとは 倒産モードでしょうか？
トヨタやホンダの社長なら
早めに何らかの技術援助を差し出した方が得策と思うのですが・・・。
久々の コメント、骨身に沁みて嬉しいです。
もー 嫌になってしまったのではないだろーかと心を痛めておりました。
この感情は 以前味わった 恋愛に似ています。彼女からの連絡が今まで多々あったのに、突然途絶えるとうろたえる・・・
一ヶ月に一度でも構いません。恋焦がれてお待ちしております。ぐっちー様ありがとうございます。
この更新も 何十回も読み直します。（不思議と読み返すと新たな事に気がついたりするのです。）
次回を楽しみに
いつも勉強させていただいてます。
僕は素人なので、ぐっちーさんの使う用語で
わからないものがたくさんあります。
それでも、大きな流れみたいなもの、
考え方としてここははずしちゃいけないところ、
みたいなものは、素人の僕にも伝わってきます。
（正確には何にもわかってないかもしれませんが(笑)）
相場がどうこうとか、景気がどうこうとか、
ではなく、
『考え方』を学ばせていただいてます。
ここのコメントで書くようなことではないとも
思ったのですが、
勉強させていただいてるのに、何もお礼を言っていないのは失礼かと思い、
初めて書き込みさせていただきました。
ぐっちーさんの持っている知識と知恵を、
こうして読めることを心から感謝しています。
ありがとうございます。
（本当に変な文章になってしまい申し訳ございません(汗)）
年末16000円笑ちゃうということは・・・いくらくらいまで？教えてください。
素直に再開嬉しいです。
マーケットって市場でしょ。
又カレー？
アメリカの眼の黒いうちにドル暴落とかなったらマジで第3次世界大戦なんだがｗ
まだ、そこまで無茶はみんな出来ませんよね、まだ今はね･･･。
いつも興味深く拝見しております。言質を捕まえて喧しい輩に辟易して、もう書き込まれないのではないかと心配しておりました。再開されてうれしく思います。これからも卓見を楽しみにしております。
株価の値下がりも心配ですが、通貨の下落のほうが心配です。
ちょっと前までは、アリとキリギリスのアリのように、せっせと貯蓄しておくことに疑問を感じませんでしたが、いざ冬が来たら蓄えたものが腐っていたら泣くに泣けません。
とりあえず通貨は金本位制のように現物保証して発行してほしいですね、時代錯誤ですが。まちがっても紙幣より鋳潰した硬貨のほうが価値の高いとかいう未来は来て欲しくありません。
面白いですねぇ
羊水発言をした某芸能人は、たった一言で活動休止に追い込まれたのに、延々と盗作活動を意図的に継続してきた人はＯＫなんだ。
やっぱり、マスコミ監視機関が必要だ。羊水発言を糾弾しているマスコミリポーターの私生活／仕事ぶりを監視して、羊水発言のようなことを一切していないか、監視したいですね。
仕事終わりのタクシー・新幹線移動中にビール缶を飲むなんて、自費であっても論外ですヨ？
アメリカはネタを無尽蔵に出してきますな。
上げでも下げでも何かが動くのは、つまりチャンスが来るということなので大歓迎。
書く側。
好きな事を書いて由
反社会的に事でない限り。
読む側。
好きな時に読んで由
但し読ませて頂く気持ち
忘るるべからず。
ブログを読む、即ち
他人の家に上がるような
もの。
何時如何なる時も
土足で上がる様な事は
するべからず。
事実との相違
無いと思い見よ。
新聞ですら信用出来ない
世の中。
有料情報でもないのに、
信憑性に疑問があるからと
言って
訂正、謝罪を要求するのは
勘違いも甚しい。
所詮ブログだ。
大衆週刊誌のつもりで
見よ。