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2025/08/18 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第317号 米インフレデータに僅かに感じる関税インフレ


8月も後半に差し掛かっていますが、暑さが和らぐ雰囲気もありません。ただ、金融の夏の風物詩、ジャクソンホールミーティングが今週末開催予定で、ここでの要人発言にはマーケットの注目が集まります。

その際に、関税やインフレは避けては通れないテーマですが、今週はそうした点にも焦点を当てていますので、ぜひお付き合いください。

●先週のマーケット
●プロローグ
・物価と金利
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. 新規失業保険申請件数
2. 米CPI・PPI 7月
 ・CPI 7月
 ・PPI 7月
3. 米小売売上7月
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

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あとがき
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週末、プーチン大統領が約10年ぶりの訪米、トランプ大統領とは6年ぶりの再会を果たしました。エルメンドルフ・リチャードソン統合基地に敷かれたレッドカーペットの上で、政府専用機から降りてきたプーチン大統領を出迎えるトランプ大統領。

「ALASKA2025」の文字が掲げられた演台に向かって二人が歩く両脇にはF22ステルス戦闘機が並び、上空をB2ステルス戦略爆撃機とF35ステルス戦闘機の編隊が爆音を響かせデモ飛行する、まるで歓迎式典のような様子が印象的でした。さらに、トランプ大統領はプーチン大統領を、待機させていたモスクワのナンバープレートを付けた車ではなく、自身の「ビースト」に乗せて、10分間2人だけの時間を過ごしました。

さて、今回の米ロ首脳会談は、3年半続いているロシア・ウクライナ戦争の停戦協議を目的としていましたが、停戦・和平をめぐる合意には至らず。プーチン大統領からは、こうした会談がもっと早くに行われるべきだった、という暗に前政権を否定するような発言とともに、ウクライナとヨーロッパが和平プロセスを台無しにしないようにという相手へのけん制、さらにウクライナの戦争を悲劇と定義づけ、これ終わらせることに関心があるという発言が聞かれました。

合意に至っていないことで、今回の会合を失敗とする論調も多いわけですが、果たしてそうでしょうか?仮にある程度の合意に至っていたとしても、それを成果として公にした場合、米ロだけで決めた停戦への合意をウクライナ国民が納得して受け入れるとは到底思えません。したがって、米ロだけで結論を出す話ではないのは当然ですし、そもそも、トランプ大統領は、今回1回で結果を出すつもりはなかったはずです。実際週明け月曜日には、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスにやってきますので、そこで会談内容を伝え、ウクライナ側にボールを投げます。

トランプ大統領は、本会談がとても生産的で大きな前進があったことを強調。両者とも、ここからが和平に向けての出発点であるという意思を示しています。プーチン大統領は、共同会見の最後にメディアがいる前で敢えて英語で「Next time in Moscow(次回はモスクワで)」と述べ、次の会談がロシアで行われる可能性を示唆。まるでトランプ大統領に発破をかけているようにも見えます。

トランプ大統領はそれを即座に否定することはなく、「それは興味深い。ちょっと批判されるだろうが、あり得る話だと思う」と応じており、この2人の温度感からは、失敗した会合には見えなかったというのが筆者の感想で、この辺りはJDさんの意見をぜひ聞いてみたいところ。

ちなみに、プーチン大統領にとっては、敵対的関係の両強大国の首脳がどちらかの車に同乗するという極めて珍しいシチュエーションを世界に印象付け、さらに国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状がでている自分を米国が礼遇したことで、「強大国の米国指導者と肩を並べる強いリーダー」をロシア国内に誇示することができ、大成功に終わったともいえます。

さて、今日から夏休み明け、という方も多いのではないでしょうか。幸い(?)、私はいつも通りの1週間を過ごしていたのでどうということもないのですが、1週間の休み明けで辛い週明けの方もいらっしゃると思います。残暑という猛暑も続きますので、みなさまくれぐれもご自愛ください。

それでは、よい1週間をお過ごしください!

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