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2025/09/22 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第323号 無難に通過した金融政策ウィーク


先週は、日米とも金融政策の発表を控え、マーケットの注目が集まりました。想定内だった点やちょっとしたサプライズから波乱が起きた点など、今後の見通しと合わせてお伝えしていきます。

●先週のマーケット
●プロローグ
・価値を失う金融資産
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. 米小売売上8月
2. 新規失業保険申請件数
3. 9月FOMC
 ・FOMC statement
 ・経済予想サマリー(SEP)
4. 日銀金融政策決定会合
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

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あとがき
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トランプ回りが相変わらず騒がしい。

トランプ大統領がクックFRB理事を解任するために、住宅ローンを居住用と偽って申告したことをその根拠に挙げているのは先日お伝えした通り。トランプ大統領はクックの行動を「潜在的な犯罪行為」または、少なくとも「重大な過失」の証拠だと指摘、一方のクックは大統領の主張は事実に反するとして、解任の一時差し止めを求めて訴訟を提起し、高裁は職務を継続することを認めています。高裁の判断を受けて、先週、トランプ大統領はクックの理事解任を認めるよう、連邦最高裁判所に上告しました。

そんな泥試合の最中、先週出てきたのがベッセント財務長官にもクック同様の事例が見つかったという話。はたしてトランプはこの件をどう扱うのか・・・?

さらに、トランプ関税についても動きがありました。既に5月、国際貿易裁判所は「相互関税」は大統領権限を逸脱するとして違憲判決を出しており、連邦控訴裁判所(高裁)も8月末に相互関税や、合成麻薬の米国への流入措置を目的に中国とカナダ、メキシコに課した追加関税は、政権が発動の根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)の範囲を逸脱しており、違法の判決を出していました。

しかしこの高裁判決を不服とした政権側が上訴をしており、先週、米連邦最高裁判所は「相互関税」などの合法性を争う訴訟について、11月5日に口頭弁論を開くことを決定しており、迅速審理により早期決着の可能性が出てきました。現在、トランプ政権の関税収入はかなり膨らんでおり、仮にこの訴訟で政権側が敗訴すると、政権はその関税収入を返還することになる。関税収入がなくなるとトランプ減税の財源不足で、一気に景気下振れ懸念が増幅することになるので、当然、市場の混乱は避けられない。

年後半のポイントになる可能性があるこの訴訟はどうなるのか?いくらトランプ相手でも、さすがに最高裁の法律学者が法的解釈を捻じ曲げるようなことをしないと思われ、そうなるとトランプ政権が敗訴ということも想定される・・・。

一方で、ポリティカルクエスチョンというような考え方もある。これは日本語で統治行為論とも訳され、「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為については、たとえ法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であったとしても、高度の政治性がある事柄に関しては司法審査の対象から除外するというもの。

こういった抜け道的な考え方もあるので、どんな決着となるのかは不透明、果たしてどうなりますか。

9月も後半に入りだいぶ涼しくなってきました。暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。明日は秋分の日でお休みの方もいらっしゃるかと思いますが、良い1週間をお過ごしください。

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