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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/05/16 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(5/15~21)ロシアのウクライナ侵攻、フィリピン大統領選、豪州総選挙


先週はオンラインサロンの懇親会がありました。今回はお馴染みかんべえさんに加え、My Big Appleさんにもご参加いただき、いつも以上にマーケットや経済の見通しに重点を置いた意見交換になりました。

私にとっても新鮮で刺激があり、大変楽しいひとときでした。ぐっちーさんと一緒に講演をしていた頃をちょっと思い出しましたね。オンラインサロンにご関心がある方はこちらをご覧下さい。

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先週の動き
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5/8(日)
・G7サミット(ゼレンスキー大統領も参加)(オンライン)
・ウクライナの「追憶と和解の日」(ゼレンスキー大統領がロシアを非難するビデオ演説を公開)
・ジル・バイデン大統領夫人がウクライナのウジホロドを訪問(ゼレンスキー大統領夫人と会談)
・カナダのトルドー首相がキーウとイルピンを電撃訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・シリアのアサド大統領がイランのテヘランを訪問(ハメネイ最高指導者とライーシ大統領と会談)
・ドイツのシュレスウィヒ・ホルシュタイン州議会選挙(CDUが圧勝、SPDが大幅に後退)
・サウジのサルマン国王が5月7日にジッダの病院に検査のため入院したとの王室の声明が発表
・香港行政長官選挙(李家超(ジョン・リー)前政務官が当選)
・コスタリカのチャベス新大統領の就任式(サンホセ)

5/9(月)
・ロシアの対独戦勝記念日(モスクワで軍事パレード、プーチン大統領が演説、ウクライナのマリウポリやヘルソンで行進や式典、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアを非難するビデオ演説を公開)
・米国でレンドリース(武器貸与)法が成立
・米商務省がウクライナ産の鉄鋼製品への関税の1年間停止を発表
・仏独首脳会談(ベルリン)
・マクロン大統領が欧州議会で演説(「欧州政治共同体」の設立を提案)(ストラスブール)
・フィリピン大統領選挙(ボンボン・マルコス元上院議員が勝利)
・スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任

5/10(火)
・米・イタリア首脳会談(ワシントンDC)
・バイデン大統領がインフレ対策に関する演説
・米上院軍事委員会がインテリジェンスによる脅威分析に関する公聴会を開催(ヘインズ国家情報長官らが証言)
・米上院がミシガン大学のリサ・クック教授のFRB理事指名を承認
・ドイツのベーアボック外相がキーウ、ブチャ、イルピンを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・英国のジョンソン首相がスウェーデンとフィンランドを訪問
・中仏首脳電話会談
・G7デジタル相会合(デュッセルドルフ、~11日)
・WHOのテドロス事務局長が中国のゼロコロナ政策は持続可能ではないと批判
・韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領の就任式(林外相、王岐山国家副主席が出席、尹錫悦大統領と会談)(ソウル)

5/11(水)
・ウクライナのヘルソン州を占領する親ロシア派がロシアに同州の併合を求める方針を表明
・ロシアがガスプロムの元ドイツ子会社を含む欧米のエネルギー企業31社への制裁を発表
・ウクライナのゼレンスキー大統領がフランスのパリ政治学院の学生にオンライン講演
・米下院がウクライナ支援のため22会計年度(21年10月~22年9月)に400億ドルの追加予算を計上する法案を可決
・米上院が女性の人工妊娠中絶の権利を保障する法案の採決のための動議を否決
・米上院がパウエルFRB議長再任を承認
・ドイツ・ウクライナ首脳電話会談
・日・フィンランド首脳会談(東京)
・日本で経済安保推進法が成立

5/12(木)
・ロシア国営ガスプロムがヤマル欧州パイプラインを通じたドイツへのガス輸送の停止を発表
・フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がフィンランドは速やかにNATO加盟を申請しなければならないとする共同声明を発表
・米主催の第2回グローバル・コロナ・サミット(オンライン)
・米・ASEAN特別首脳会議(ワシントンDC、~13日)
・北朝鮮で新型コロナウイルス感染者が確認されたと初めて発表
・北朝鮮の朝鮮労働党の政治局会議(平壌)
・北朝鮮が順安から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・スリランカでウィクラマシンハ新首相が就任
・日・EU首脳会談(東京)

5/13(金)
・米フィンランド、米スウェーデン首脳電話会談
・米ロ国防相電話会談
・独ロ首脳電話会談
・G7外相会議(ドイツ・バイセンハウス)
・「南オセチア共和国」が7月17日にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施するとロシアのメディアが報道
・ウクライナのキーウの裁判所でロシアのウクライナ侵攻後初めての戦争犯罪を裁く裁判の初公判
・ロシアの政府系電力会社インテルRAOがフィンランドへの送電を5月14日から停止すると発表
・英国がロシアのプーチン大統領の親族ら(リュドミラ元夫人や交際相手とされるアリーナ・カバエワを含む)を制裁対象に追加
・UAEのハリファ大統領が死去

5/14(土)
・フィンランドのニーニスト大統領とロシアのプーチン大統領が電話会談
・NATO外相会合(フィンランドとスウェーデンも参加)(ベルリン、~15日)
・米共和党のマコーネル上院院内総務がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・UAEの最高評議会がアブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子を大統領に選出
・NZのアーダーン首相が新型コロナウイルス感染を発表

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(5月16日)で82日目を迎えました。

ロシア軍のドンバスでの攻撃は続いていますが、ウクライナ軍の防衛により、引き続き大きな進展はみられません。包囲網の計画を縮小する動きがあるとも言われています(地図はこちら参照)。

一方、ハルキウではウクライナ軍の反攻が成功し、ロシア軍は完全撤退を決定したという見方も出ています。そうなると、キーウ防衛に続くウクライナ軍の勝利ということになります。

ロシアでは、対独戦勝記念日を迎え、モスクワで軍事パレードが行われ、プーチン大統領が演説しました。ウクライナ侵攻をナチスとの戦いと重ね合わせながら、ロシアは「自分たちの土地」であるドンバスで戦っているのだと述べました。以下の記事で予想したとおり、「戦争」の宣言や総動員の発令はなく、NATOに対する敵対的な姿勢をあらわにしましたが、一方、意外と思われるポイントもいくつかあり、示唆に富む内容でした。

「ロシアのウクライナ侵攻」(5/9)
 
米国では、レンドリース(武器貸与)法が成立し、下院がウクライナ支援のため22会計年度(21年10月~22年9月)に400億ドルの追加予算を計上する法案を可決しました(上院はランド・ポール上院議員の反対により採決を持ち越し)。また、ドイツのベーアボック外相がキーウ、ブチャ、イルピンを訪問。ウクライナ戦争が始まってから初めてのドイツの閣僚レベルの訪問となります。

G7はオンラインの首脳会合を開き、ロシアからの石油の輸入を禁止することで一致。岸田首相もロシア産の石油の輸入を禁止する方針を表明しました。

一方、ロシアはガスプロムの元ドイツ子会社を含む欧米のエネルギー企業31社への制裁を発表。またガスプロムは、ヤマル欧州パイプラインのポーランド部分を所有するユーロポルガスが制裁の対象となったことを理由に、同パイプラインを通じたドイツへのガス輸送の停止を発表しました。

また、ウクライナのヘルソン州を占領する親ロシア派がロシアに同州の併合を求める方針を表明。「南オセチア共和国」が7月17日にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施するとの報道も出ています。

そして、フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がフィンランドは速やかにNATO加盟を申請しなければならないとする共同声明を発表しました。

これに対し、ロシアは、自国の安全保障に対する脅威を管理するために、軍事的、技術的、その他の報復措置を講じることを余儀なくされるとの声明を発表。また、ロシアの政府系電力会社インテルRAOがフィンランドへの送電を5月14日から停止すると発表しました。

一方、トルコのエルドアン大統領は、フィンランドとスウェーデンが「テロ組織」(クルド人組織のPKKを念頭)を支援しているとして、NATO加盟について「肯定的な考えをもっていない」と述べました。

このように米欧とロシアの緊張は高まっていますが、一方、オースティン国防長官とショイグ国防相がウクライナ侵攻後初めてとなる電話会談を行いました。米国からの要請によって実現したものであり、これまでも米国はロシアに要請してきましたが、今回初めてロシアが受け入れたと伝えられています。

こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●フィリピン大統領選

フィリピン大統領選が行われました。フェルディナンド・マルコス・ジュニア(ボンボン・マルコス)元上院議員が大統領選、サラ・ドゥテルテ・ダバオ市長が副大統領選で勝利しました。以下の記事で述べたとおりの結果です。

「フィリピン現代史(4):ドゥテルテ政権と新たな王朝の時代」(5/5)
 
マルコスとサラはいずれも6割の票をとり(それぞれ59%、61%)、2位のレニ・ロブレド副大統領(28%)以下を大きく引き離す大勝でした。大統領選・副大統領で過半数の票を獲るのはエドサ革命後初めてのことです。

今回の選挙の意義と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※豪州総選挙など。メルマガで解説。)

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あとがき
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本号の「今週の動き」で豪州総選挙について解説しましたが、豪州は、米国と並び、先進国の中で珍しく人口が増加を続けている国です(NZも同じ)。後述のとおり、出生率も高いですが、何よりも移民を受け入れていることが大きいです。ぐっちーさんも米国について話すときによくおっしゃっていたことですが、移民国家の強みですね。

この点について、イーロン・マスクの「出生率が死亡率を上回るような変化が起きない限り、日本が消滅する」というツイートが話題を呼びました。

もっとも、出生率が死亡率を下回るのは、日本に限らず、欧州の多くの先進国にもあてはまります。こちらが主要国の最新統計です(地域別主要国別)。

各国によって事情は異なりますが、出生率の高さは、宗教的な事情の影響も大きいと考えられます。カトリックは避妊を拒み、イスラム教徒やイスラエルの超正統派は多産を熱心に奨励します(以下の記事参照)。これが米国(ヒスパニック)、フィリピン、イスラム諸国、イスラエル(アラブ系も急増)の出生率が高い大きな要因の一つです。

「イスラエル現代史(5):第1次・2次中東戦争~国家の生存と国民の統合」(19/7/25)
 
なお、フィリピンではアキノ政権がリプロダクティブ・ライツ法(人口抑制法と訳されるが、避妊や家族計画を推進する法律)を制定し、ドゥテルテ政権も熱心にその実施に努めました。

欧州では、英国、フランス、北欧、スイスの出生率の高さが興味深いですね。調べると色々な理由が出てきますが(家族制度や手厚い支援など)、英仏は、イスラム教徒の移民の増加も影響しているのでしょうか。

色々な事情はあるにせよ、一般的には、先進国が人口減少を食いとどめたいのであれば、移民を増やさなければならないといえるでしょう。日本では「第三の開国」などと言って、90年代からされていた議論ですが(私も、外務省にいたときに関わりました)。それをどう実現するのか、また人口減少自体は避けられないものとして新たなモデルを模索するのかという問題です。

マスク自身は、日本の文化を愛しているからこういう発言をしてくれたわけで、逆に言えば、そうした文化の力を活かせば、人口減少が絶対の弱みにはならないのかもしれません。今に始まった話ではありませんが、今後も議論が求められる重要テーマでしょう。

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