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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/01/04 00:00  | 今週の動き |  コメント(3)

今週の動き(1/3~9)米経済対策第4弾、国防授権法、中・EU投資協定、ジョージア州上院選、米上下両院合同会議


新年あけましておめでとうございます。正月三が日は素晴らしい快晴が続きました。年末年始はいつも好天に恵まれますね。

昨年末は実家に戻らず、新年は東京で迎えました。あまり外に出かけることはなく(ゴルフはしていますが・・(笑))、久しぶりに自宅でまとまった時間をとることができたので、新しいPC環境のセットアップをしたり、たまった事務仕事や読書などをしていました。

今年もコロナのために、しばらくの間は出張や対面のイベントは制限されるでしょうが、その分、国内やオンラインで新しいチャレンジに取り組みたいと思っています。年末年始にはそのための準備も進めたところです。今後、適当な機会にメルマガやFBコミュニティでお伝えしたいと思います。

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先週の動き
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2020年
12/20(日)
・米国で12月21日までの連邦政府の歳出を可能にする「つなぎ予算」が成立
・イラクのバグダッドのグリーンゾーンにロケット弾による攻撃

12/21(月)
・米商務省が中国やロシアの航空機メーカーなど103社を「軍事関連企業」と指定し米企業との取引を制限すると発表
・バー司法長官がハンター・バイデンに関する疑惑や選挙不正の捜査を目的とする特別検察官の任命は不要と発言
・米国で12月28日までの連邦政府の歳出を可能にする「つなぎ予算」が成立
・米上下両院が21会計年度(20年10月~21年9月)の歳出法案、9000億ドルの経済対策法案、チベット人権法案を可決
・バイデン次期大統領がファイザーとビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンを公開で接種
・WHOが英国で広がる新型コロナウイルスの変異種についてこれまで開発されたワクチンが有効との認識を表明
・EUがファイザーとビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンを承認
・イラン核合意当事国の閣僚級協議(オンライン)
・ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が身元を偽ってロシア連邦保安局(FSB)工作員に接触しノビチョクを使った自身に対する攻撃の詳細を聞き出したことを調査報道団体「Bellingcat」が報道

12/22(火)
・トランプ大統領が議会が可決した経済対策法案の修正を求め現行案のままなら署名を拒否すると表明
・トランプ大統領が15人(クリス・コリンズ、ダンカン・ハンター、スティーブ・ストックマン、ジョージ・パパドプロス、アレックス・バンデルズワン等)に恩赦を与え、5人を減刑したと発表
・ミラー国防長官代行がアフガンを訪問
・米ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官のバークス博士が辞意を表明
・バイデン次期米大統領が次期政権の教育長官にコネティカット州のミゲル・カルドナ教育長官を指名
・カリフォルニア州のニューサム知事がハリス上院議員の後任に同州のアレックス・パディヤ州務長官を指名すると発表
・中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会(北京、~26日)
・国連安保理でイラン核合意に関する会合
・ロシアで大統領経験者に対し生涯にわたる刑事訴追からの免責を認める改正法が成立
・ルーマニアのヨハニス大統領がクツ公共財務相を首相候補に指名

12/23(水)
・トランプ大統領が21会計年度の国防授権法案に拒否権を行使
・トランプ大統領が26人(ポール・マナフォート、ロジャー・ストーン、チャールズ・クシュナー等)に恩赦を与え、5人を減刑したと発表
・トランプ大統領が12月20日のバグダッドのグリーンゾーンへのロケット弾攻撃はイランによるものとツイート
・バー司法長官が退任
・香港の高等法院が詐欺と香港国家安全維持法違反の罪で起訴された香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏の保釈を認める決定
・イスラエル国会が解散(21年3月に総選挙予定)

12/24(木)
・米民主党が経済対策法案の現金給付を2000ドルに増額する修正手続きを提案(共和党は反対)
・英国とEUが将来関係に関する交渉で合意
・モルドバでサンドゥ新大統領が就任
・ソウル行政裁判所が尹錫悦検事総長の懲戒処分の効力を停止する判断

12/25(金)
・クリスマス
・テネシー州ナッシュビルでキャンピングカーが爆発

12/26(土)
・米国で1200万人分の失業給付の特例措置が失効
・中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が改正国防法案を可決

12/27(日)
・米国で21会計年度の歳出法、9000億ドルの経済対策法、チベット人権法が成立(トランプ大統領が法案に署名)
・ニジェール大統領選挙(21年2月に再投票予定)
・中央アフリカ大統領選挙

12/28(月)
・トランプ政権が中国軍関連企業への証券投資を禁止した大統領令の指針を公表
・米下院が個人向け現金給付を2000ドルに増額する法案を可決
・米下院がトランプ大統領が拒否権を行使した21会計年度の国防授権法案を再可決
・中ロ首脳電話会談

12/29(火)
・マコーネル上院院内総務が経済対策法案の現金給付を2000ドルに増額する法案の採決を求める動議を阻止
・バイデン次期大統領が新型コロナウイルス対策について演説(デラウェア州ウィルミントン)

12/30(水)
・バイデン次期米大統領が次期政権の国防副長官にCSISのキャスリーン・ヒックス上級副所長、国防次官(政策担当)にコリン・カール元副大統領補佐官(国家安全保障担当)を指名
・中国・EU・独仏首脳会談(オンライン)(中国・EUの包括的投資協定(CAI)の締結で大筋合意)
・中国の深センの裁判所が台湾への密航を試みて中国当局に逮捕・起訴された香港の活動家ら10人に対し最大で懲役3年の判決
・北朝鮮の朝鮮労働党政治局会議(平壌)
・英国がアストラゼネカとオックスフォード大学が開発した新型コロナウイルスのワクチンを承認

12/31(木)
・香港終審法院が香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏の保釈を取消し
・韓国の文在寅大統領が大統領秘書室長に兪英民元科学技術情報通信相を任命
・BREXIT移行期間終了

2021年
1/1(金)
・米上院がトランプ大統領が拒否権を行使した21会計年度の国防授権法案を再可決(国防授権法が成立)
・テキサス州の連邦地裁がペンス副大統領には米大統領選の選挙人の正当性を決める権限があると主張する同州の共和党議員らの訴えを棄却
・NY証券取引所が中国の通信大手3社(中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム))の上場廃止に向けた手続きを始めると発表
・台湾の蔡英文総統が新年の談話を発表(中国に対話を呼びかけ)
・イランがIAEAに対し濃縮度最大20%のウランを製造する意向を通達したことが判明
・英・EUのFTAの暫定発効
・シンガポールとマレーシアがシンガポール・KL高速鉄道計画の撤回を発表

●米経済対策第4弾の成立

米国の経済対策は、昨年3月と4月に第3弾まで立て続けに成立させた後、第4弾を民主党が7月末までに成立させることを目指しましたが、共和党との交渉が難航。12月21日にようやく合意に達し、上下両院が9000億ドルの経済対策法案を可決しましたが、今度はトランプ大統領が個人向け現金給付を600ドルから2000ドルに引き上げるべきとして拒否権の行使を示唆。民主党がトランプの主張に同意し、共和党がそれに反対するという展開になりました。

経済対策法案は、21会計年度(20年10月~21年9月)の歳出法案と一体として可決されたため、トランプが署名を拒否すれば28日に政府閉鎖に陥る状況になりました。そうした中で、トランプは28日に一転して法案に署名。経済対策法が成立し、政府閉鎖も回避されました。

経済対策の主な内容は、家計支援の2860億ドル(600ドルの現金給付)、中小企業支援の3250億ドル、航空会社支援の150億ドル、医療体制整備の690億ドルであり、地方政府支援と企業免責は含まれていません。その規模、内容、成立のタイミング(歳出法案との関係)は、いずれも以下の記事で示した見通しのとおりでした(トランプ大統領の介入も予想されていたのですが、最終的には議会案に同意するとみていたので、詳しく書きませんでした)。

「米経済対策」(20/12/7)

一方、トランプと民主党は個人給付を2000ドルに引き上げるべきとの主張を変えておらず、民主党が多数を占める下院が増額法案を可決。上院での審議を求める動議に対し、共和党のマコーネル上院院内総務は、増額は選挙調査と通信法230条の改正というトランプの主張とあわせて審議すべきと説明。民主党がこれらを含めた法案に賛成するはずはないので、事実上、審議を拒否したことになります。

このように、例によって最後までドラマが続きましたが、ともかくも経済対策第4弾は成立しました。今回の動きと今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●国防授権法の成立(トランプの拒否権のオーバーライド)

上下両院が圧倒多数で可決した国防授権法案について、トランプ大統領は、通信品位法230条の撤廃と南軍の将軍らの名前を軍事施設から削除する規定等への反対を理由に、宣言どおり拒否権を行使しました。

しかし上下両院は3分の2以上の賛成を得て再可決。政権末期に初のオーバーライドが実現しました。その意義についてコメントします(※メルマガに限定)。

●中・EUの包括的投資協定の大筋合意

中国とEUが包括的投資協定(CAI)の交渉について大筋合意に達しました。EUは中国市場へのアクセスを拡大し、中国は強制技術移転の禁止、国営企業支援の透明性向上、ILO条約の批准に向けた努力を約束しました。

中国とEUの交渉は7年に及び、昨年末までの合意も見通しは厳しかったのですが、土壇場で中国が大きく譲歩。2020年最後の大きなサプライズとなりました。今回の合意の異議と今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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1/3(日)
・米第117期連邦議会の開始

1/4(月)
・トランプ大統領がジョージア州ダルトンで選挙集会

1/5(火)
・ジョージア州連邦上院選の決選投票

1/6(水)
・米連邦議会両院合同会議が米大統領選の結果を発表(トランプ大統領は抗議集会をワシントンDCで開催)

(今週中)
・WHOが中国に新型コロナウイルスの感染減の調査団を派遣(6週間の予定)

●ジョージア州上院選の決選投票

ジョージア州上院選の2つの決選投票は、以下の記事で述べたとおり、バイデン政権時代の米国を大きく左右する重要イベントです。もし民主党が両方の選挙で勝てば、上院議席は共和党50、民主党50となり、ハリス副大統領が上院議長を務めるため、民主党が過半数を押さえることができるからです。

「米大統領選結果をめぐる争い」(20/12/14)

世論調査をみると、民主党のジョン・オソフラファエル・ワーノックに勢いがあり、共和党のデヴィッド・パーデューケリー・ロフラーをわずかにリードしています。民主党は選挙陣営の資金調達面でも共和党を上回っており(もっともスーパーPACは共和党の方が3倍とはるかに大きい)、また期日前投票が記録的な規模に上り、黒人の投票率が高いことも民主党に有利に働くとみられています。

また、上記「米経済対策第4弾の成立」で述べたとおり、トランプ大統領と共和党指導部の個人給付の金額をめぐるゴタゴタが共和党候補に影を落としています。しかも、パーデューは陣営スタッフに新型コロナウイルス感染者が出たため隔離を余儀なくされました。投票日直前に対面式の選挙集会に参加できなくなるのは痛手です。

しかし、実際のところ民主党は優勢といえるのか。最新の状況に基づき選挙の見通しを解説します(※メルマガに限定)。

●米上下両院合同会議

上下両院合同会議では、以下の記事で述べたとおり、米大統領選の選挙人投票の結果(バイデン前大統領が306人、トランプ大統領が232人を獲得)が確認され、当選者が宣言されます。

「米大統領選挙の選挙人投票」(20/12/21)

しかしトランプ大統領は選挙の不正を訴え、激戦州の選挙人投票の結果を認めるべきではないと主張しています。トランプの主張には上下両院の共和党議員の一部が同調しており、それぞれにおいて異議が表明される見通しです。また、トランプは同じタイミングでワシントンDCで抗議集会を開くと表明しています。

上下両院合同会議の見通しについては上記記事で述べたとおりですが、最新の状況に基づいて、あらためてポイントを述べます(※メルマガに限定)。

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あとがき
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2021年の第1号です。幸いにして年末年始に不測の事態は起こらず、比較的ゆっくりしたスタートになりました・・といっても、2週間分ということもあり、メルマガの分量はかなり多くなりました。新年早々からおなか一杯の内容をお届けできたと思います(笑)。

本メルマガを開始したのが17年8月ですから、もう約3年半になりました。ツイッターは19年10月に始めたので、1年ほどになります。フォロワー数も増え、3000近くになりました。ありがたいことです。

ぐっちーさんが亡くなってから1年3か月ほどになりますが、「グッチーポストの経済ZAP!!」のスタート含め、新生グッチーポストは着実に発展を続けました。さらなる新企画も検討中です。近いうちに発表できればと思っています。

私自身も様々なチャレンジを検討しており、さらなる飛躍の年にしたいと思っています。皆様にとっても本年が素晴らしい1年になることを祈念します。2021年も世界情勢ブリーフィングとグッチーポストをよろしくお願いいたします。

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3 comments on “今週の動き(1/3~9)米経済対策第4弾、国防授権法、中・EU投資協定、ジョージア州上院選、米上下両院合同会議
  1. リコママ より
    今年もよろしくお願いいたします。

    今年もJDさんの世界情勢ブリーフィング、SALTさん、Konanさんの文章を読みながら
    勉強させていただきます。

    去年は読むことは面白くなったけれど、記憶に残らず、娘にも説明できないので、
    今年は文章を奥行きを持って読めるよう、周辺知識も頭に入れていきます。
    (スミマセン。私のしょうもない決意です。)

    みなさまの2021年が素敵な一年になるように、お祈りしております。
    JDさんの新企画・チャレンジも楽しみにしています

  2. KB より
    あけました。

    昨年とは打って変わって、静かな2021の幕開けでしたが、メルマガを拝読すると、2020年以上に政治の周りがドロドロしそうですね。

    「米上下両院合同会議」については、JDさんのツッコミはじめが炸裂していて笑ってしまいましたが、ものすごく納得しました。

    今年もよろしくお願いいたします。

  3. JD より
    本年もよろしくお願いします。

    遅れましたが、コメントいつもありがとうございます。
    本年もよろしくお願いします!
    娘様へのご説明も、ぜひトライしてください。笑

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