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2020/12/14 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(12/13~19)米大統領選結果、バイデン政権人事、ハンター・バイデン、英・EU、香港自治法


すっかり冬の寒さですが、好天が続いているので、気持ち良いですね。といっても、私は家にいる時間が長く、外に長くいるのはゴルフのときくらいなのですが・・全米女子オープンはテキサスのチャンピオンズGC、こんなところでプレーしたら気持ち良いだろうなあと思いましたね。ワクチンの開発が急ピッチで進んでいますが、早く米国に行きたいものです。出張でもゴルフでも・・。

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先週の動き
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12/6(日)
・トランプ大統領の顧問弁護士であるジュリアーニ元NY市長が新型コロナウイルスに感染したとトランプ大統領がツイート
・カリフォルニア州が新型コロナウイルス対策のロックダウンを再び導入
・ルーマニア総選挙(野党「社会民主党」が第1党)
・ベネズエラ総選挙(与党連合が勝利)

12/7(月)
・ポンペオ国務長官が中国の全人代常務委員会による香港立法会の民主派議員の議員資格剥奪の方針決定を受けて同委員会副委員長14人を制裁対象に指定したと発表
・ワシントンDCの連邦地裁が米商務省によるTikTokの米国内での提供禁止に対して差止めを命じる判決
・ジョージア州が米大統領選の選挙結果を再び認証
・バイデン前副大統領が次期政権の保健分野の主要メンバーを発表(厚生長官にカリフォルニア州のハビエル・ベセラ司法長官、CDC所長にロシェル・ワレンスキ・ハーバード大教授、大統領首席医療顧問にアンソニー・ファウチNIAID所長、新型コロナウイルス対策調整官にジェフ・ザイエンツ元NEC委員長、医務総監にビベック・マーシー元医務総監)
・英・EU首脳電話協議
・英国のジョンソン政権が国内市場法案のうち国際法違反とされる条項を撤回する用意があると発表
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・ルーマニアのオルバン首相が辞任
・ガーナ大統領選挙

12/8(火)
・米各州が大統領選挙の結果を確定(セーフ・ハーバー期限)
・連邦最高裁がペンシルべニアの共和党議員による大統領選結果の無効の訴えを却下
・テキサス州のパクストン司法長官がジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州は新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて大統領選の手続きを不当に変更し選挙結果をゆがめたとして連邦最高裁に提訴
・トランプ大統領が新型コロナウイルスのワクチン開発計画の会議で演説(ワクチン接種が近いうちに実現する見通しを説明)
・トランプ大統領がワクチンの外国への供給支援は国内での十分な供給の確保後とするよう行政機関に命じる大統領令に署名
・米食品医薬品局(FDA)がファイザーとビオンテックの共同開発の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可の申請について、1回の投与でも一定の予防効果が見られたとの報告書を発表
・米下院が21会計年度の国防授権法(NDAA)案を335対78で可決(トランプ大統領は通信品位法230条の撤廃と南軍の将軍らの名前を軍事施設から削除する規定への反対を理由に拒否権の行使を警告)
・米財務省が北朝鮮からの違法な石炭輸出に関与したとして中国に拠点を置く企業6社と船舶4隻を制裁対象に追加したと発表
・ビーガン国務副長官が訪韓(~11日)
・バイデン前副大統領が次期政権の国防長官にロイド・オースティン元陸軍大将を指名すると発表
・ハンター・バイデンがデラウェア州の連邦地検から同氏の弁護士に税金に関する事項を捜査しているとの通知があったと発表
・香港警察が7月の香港国家安全維持法への抗議デモについて無許可集会参加の容疑で民主党の胡志偉前主席ら民主派8人を逮捕
・韓国の文在寅大統領が「貿易の日」記念式典での演説でCPTPPへの参加を引き続き検討すると発言(ソウル)
・英国で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始
・EU欧州問題担当相会合(オンライン)
・豪州議会が外国関係法案を可決

12/9(水)
・テキサス州のパクストン司法長官によるジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の大統領選の手続きの不当を主張する訴えに17州が支持を表明
・米連邦取引委員会(FTC)と全米46州・ワシントンDC・米領グアムの司法長官がフェイスブックを反トラスト法違反の疑いで提訴したと発表
・UAEの保健・予防省が中国医薬集団(シノファーム)製ワクチンに86%の有効性が認められたと発表
・英・EU首脳会談(ブリュッセル)
・韓国の元徴用工訴訟による日本製鉄への審問書の公示送達の効力が発生

12/10(木)
・イスラエルとモロッコの国交正常化をトランプ大統領が発表
・バイデン前副大統領が次期政権のUSTR代表にキャサリン・タイ下院歳入委員会法律顧問、農務長官にトム・ビルサック元農務長官、住宅都市開発長官にマルシア・ファッジ下院議員、退役軍人長官にデニス・マクドノー元大統領首席補佐官、国内政策会議(DPC)の委員長にスーザン・ライス元国連大使を指名すると発表
・EU首脳会議(ブリュッセル、~11日)
・EUが英国との将来関係に関する交渉が決裂した場合の緊急対応案を発表
・ECB定例理事会(フランクフルト)
・拡大ASEAN国防相会議(オンライン)
・ノーベル賞授賞式(オンライン)

12/11(金)
・連邦最高裁がテキサス州のパクストン司法長官によるジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の大統領選の手続きの不当を主張する訴えを却下
・米国で12月18日までの連邦政府の歳出を可能にする「つなぎ予算」が成立
・米上院が21会計年度の国防授権法(NDAA)案を84対13で可決
・米食品医薬品局(FDA)がファイザーとビオンテックの共同開発の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を許可(発表の直前にトランプ大統領はFDAの対応が遅いと批判、メドウズ大統領首席補佐官はハーン長官に対し緊急使用を許可しなければ辞任するよう求めたとの報道)
・中国がブルームバーグ通信の北京支局の中国人の助手を拘束したと同社が発表
・香港の治安当局が香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を香港国家安全維持法違反の容疑で起訴

12/12(土)
・ワシントンDCでトランプ大統領支持者の大規模集会
・英仏と国連主催のパリ協定の採択5周年を記念する首脳級のオンライン会合
・イスラエルがブータンとの国交樹立を発表

●米大統領選結果をめぐる争い

今週(12月14日)、米大統領選の選挙人団の投票が行われますが、その6日前(12月8日)は、連邦法により、各州が選挙人の結果を最終確定する期限(セーフ・ハーバー期限)とされています。先週、このセーフ・ハーバー期限までに各州が選挙人を確定し、バイデンの過半数の選挙人獲得が事実上決まりました。

今週の選挙人団の投票は、その結果に従って行われ、これによりバイデンが次期大統領になることが公式に決定されます。州の決定に従わない「不実の選挙人(faithless elector)」が出現する可能性はゼロとはいえませんが(16年大統領選では、トランプ側に2人、ヒラリー・クリントン側に5人が出現し、無効票に)、それでもバイデンが過半数を失うことはまずあり得ません。

ちょうど12月8日、連邦最高裁は、ペンシルバニア州の共和党議員が郵便投票の利用拡大を認める制度が州法に違反するとして提起した訴えを却下しました。反対意見の表明はなく、トランプ大統領が指名した3人の判事も異議を表明しなかったことが示されています。

さらに、テキサスのパクストン司法長官がジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の激戦4州における大統領選の手続き変更は不当であると主張して連邦最高裁に提訴、17州の司法長官(共和党)が支持を表明し、トランプ大統領は訴訟への参加を希望、そして連邦下院の共和党議員126人が支持を表明しました。しかし、これも最高裁は、「テキサスには他州の選挙の方法について訴えを提起する法律上の利益がない」として却下。反対意見の表明もありませんでした。

また、シドニー・パウエル弁護士らが独自にアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンで選挙不正を訴える訴訟を提起していましたが、これらもすべて棄却されました。

これによって、トランプ陣営、共和党ないしトランプ支持者が提起してきた選挙不正の訴えはほぼすべて退けられたことになります。これまで述べてきたとおりの結末です。

しかし、トランプやその支持者は依然として選挙不正を主張し、結果を受け入れる姿勢は見えません。この点もすでに述べてきたとおりの展開ですが、あらためて今後についてコメントします。また、それに関連して、ジョージア州上院選の決選投票の展望についても解説します(※メルマガに限定)。

●バイデン政権人事(国防、保健、USTR)

バイデンが次期政権の国防長官、保健分野の主要メンバー、USTR代表等の起用について発表しました。

・国防長官 ロイド・オースティン 元陸軍大将
・厚生長官 ハビエル・ベセラ カリフォルニア州司法長官
・CDC所長 ロシェル・ワレンスキ ハーバード大教授
・大統領首席医療顧問 アンソニー・ファウチ NIAID所長
・USTR代表 キャサリン・タイ 下院歳入委員会法律顧問
・農務長官 トム・ビルサック 元農務長官
・住宅都市開発長官 マーシア・ファッジ 下院議員
・退役軍人長官 デニス・マクドノー 元大統領首席補佐官
・国内政策会議(DPC)委員長 スーザン・ライス 元大統領補佐官

バイデン政権の人事は、これまでお伝えしてきたように、オバマ政権時代の高官を含め、長年にわたりバイデンとともに働いてきたなど、バイデンと緊密な関係にあった人々が大半を占めます。今回の人事もそうした流れに沿ったものです。また、ロイド・オースティンについては、指名の可能性があることを以下の記事でお伝えしていました。

「バイデン政権人事(経済・広報)」(12/7)

ただ、これまでの人事と異なるのは、上院の承認が危ぶまれる人選がいくつかあることです(ニーラ・タンデンだけは危ういことを上記記事で伝えていましたが、これがほぼ唯一の例外でした)。具体的にはハビエル・ベセラとオースティンです。

オースティンについては、元軍人が退役後7年以内に国防長官に就任することはできないという文民統制の規律に反することが問題視されていますが、一部には国防長官としての資質を疑問視する声もあります。この点を中心に、明日、今回の人事のポイントを述べます。

また、バイデンは保険分野のメンバーと記者会見に臨み、就任100日で1億人へのワクチン接種を目指すと表明しました。ワクチン開発については、FDAがファイザーのワクチンの緊急使用を許可したと発表しました。これらの状況を踏まえ、ワクチン展開の見通しについても、明日あわせてコメントします。

●ハンター・バイデンの捜査

デラウェア州の連邦地検がハンター・バイデンの税金に関する事項について捜査を行っていることが明らかになりました。ハンター自身が検察から通知があったことを公表しています。

ハンターは、重く受け止めているが、合法的に対処してきたとコメントしました。現時点でのポイントを述べます(※メルマガに限定)。

●英・EU交渉

英国とEUの将来関係に関する交渉は、ボリス・ジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長の会談を経て、12月13日にまで継続するとされました。漁業、公正な競争(レベル・プレイング・フィールド)、紛争解決の3つの分野で重大な相違があるとされ、EUは合意ができなかった場合の「緊急対応案」を発表しています。

本メルマガが配信される時点で何らかの発表が出ていると思いますが、ポイントを述べます(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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12/13(日)
・英・EUの将来関係に関する交渉の期限

12/14(月)
・米大統領選挙の選挙人による投票
・香港自治法に基づき米財務長官が制裁対象となる金融機関を議会に報告する期限
・米連邦控訴裁が米商務省によるTikTokの米国内での提供禁止に対する暫定差止め命令について審理

12/15(火)
・FOMC(~16日)

12/16(水)
・ユーロ圏財務相会合(オンライン)

12/17(木)
・米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の会合(モデルナのワクチンについて審議)
・プーチン大統領の年次記者会見
・EU財務相理事会(ブリュッセル)

12/18(金)
・米国の「つなぎ予算」の期限

●香港自治法に基づく金融機関への制裁

香港自治法に基づき、ポンペオ国務長官が10月14日に香港の自治侵害に関与した人物として林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を含む香港・中国の当局者ら10名を特定し、議会に報告しました。同法によれば、議会報告から2か月以内に財務長官は制裁対象となった人物と取引を行う金融機関を特定する必要があり(以下の記事参照)。その期限は今週(12月14日)に到来します。現時点でのポイントを述べます(※メルマガに限定)。

「米国の対中圧力の強化(香港、南シナ海、政府調達)」(7/21)

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あとがき
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サッカー元イタリア代表のパオロ・ロッシさん、64歳で死去 82年W杯得点王(12月11日付CNN)

マラドーナに続き、パオロ・ロッシの訃報がありました。1982年のワールドカップでイタリアを優勝に導いたストライカーです。

このときのワールドカップは、ブラジルの「黄金のカルテット」(ジーコ、ファルカン、ソクラテス、トニーニョ・セレーゾ)、フランスの「四銃士」(プラティニ、ジレス、ティガナ、ジャンジニ)、21歳でワールドカップにデビューしたアルゼンチンのマラドーナ、イングランドのブライアン・ロブソン、西ドイツのルンメニゲなど各国のレジェンド級のスーパースターたちが集結した大会でした。

その中で、イタリアは、1次リーグでは3引き分けと冴えなかったものの、ロッシの活躍により、2次リーグで優勝候補のブラジルとアルゼンチンを撃破。決勝トーナメントでポーランドと西ドイツを破り、見事に優勝。ロッシは得点王とMVPに輝きました。私はリアルタイムではありませんでしたが、この大会の試合はビデオで何度も見たものです。

まだ64歳だったのですね。ツイッターもやっており、最近まで元気だったようですが・・時代を象徴したスターがまた一人去りました。ご冥福をお祈りします。

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One comment on “今週の動き(12/13~19)米大統領選結果、バイデン政権人事、ハンター・バイデン、英・EU、香港自治法
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    こじらせ

    Brexitのこの1年間はいったいどうなるのでしょうか?こじらせすぎでは・・・。「延長の合意」とか、ちょっと笑ってしまいました。
    そして「金融機関への制裁」についても、来年以降の米国の対中政策を見るうえで大変気になる話題でした。
    バイデンがどこまでこうした対中姿勢を維持するのか?その時、日本の立場は?と色々気になります。
    それにしても、「全米女子オープン」ほどのメジャーな大会も無観客。改めて観るとえらいことです(涙)。渋野選手おつかれさまです!

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