2020/08/11 05:00 | 米国 | コメント(1)
米国の対中攻勢の強化
■ The Clean Network(8月5日付国務省)
■ トランプ氏、TikTok・微信との取引を禁止 大統領令(8月7日付BBC)
■ 米上場中国企業の開示要件厳格化を勧告-大統領作業部会(8月7日付ブルームバーグ)
■ 米、香港行政長官ら11人に制裁 民主主義の抑圧で(8月8日付CNN)
■ アザー米厚生長官が台湾訪問、断交後に訪台の米当局者で最高位(8月10日付ブルームバーグ)
先週からトランプ政権の対中攻勢がさらに強くなっています。経済・技術・外交の各方面で以下のとおり大きな動きがありました。
(1)「クリーン・ネットワーク」プログラム
ポンペオ国務長官が「クリーン・ネットワーク」プログラムを発表しました。米国の通信技術・インフラを信頼できないアクターから保護することが目的であり、4月に打ち出した「5Gクリーン・パス」構想を強化する位置づけです。
以下の5つのイニシアティブで構成されます。
・クリーン・キャリア:中国の通信キャリアを米国の通信ネットワークに接続させない
・クリーン・ストア:米国のモバイルアプリストアから中国製アプリを排除する
・クリーン・アプリ:中国の企業(例:ファーウェイ)が製造したスマートフォンへの米国製アプリの事前インストールまたはアプリストアからのダウンロードを阻止する
・クリーン・クラウド:中国企業(例:アリババ、バイドゥ、テンセント、チャイナ・モバイル、チャイナ・テレコム)のクラウドに米国のデータを保存させない
・クリーン・ケーブル:米国とグローバルなインターネット通信をつなぐ海底ケーブルに対する中国の侵害を阻止する
またポンペオは、同盟国やパートナー国、外国企業にも参加を呼びかけています。
(2)TikTokとウィーチャット禁止の大統領令
トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づきバイトダンスとテンセントとの取引(TikTokとウィーチャットに関わる取引)を45日後に禁じる大統領令に署名しました。
なお、トランプは、これに先立ち、米企業によるTikTok買収を容認する、ただし買収価格の一部を政府が受け取るべき、9月15日までに実現しなければ利用を禁止すると表明しました。現在、マイクロソフトによる買収交渉が行われているところです。
(3)中国企業の上場規制強化の提言
米財務省、FRB、SEC等で構成される作業部会が米国に上場する中国企業の監査状況の検査の厳格化をトランプ大統領に提言しました。
その内容は5月に上院が可決した「外国企業説明責任法案」(以下の記事参照)によく似ています。
・「米国における中国企業の上場規制強化」(5/25)
(4)香港行政長官への制裁
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官、香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任ら11人に制裁を科すことが発表されました。
米中対立については、以下の記事で、おそらくこれからの1週間でトランプ政権は一気に攻勢をかけてくること、具体的に考えられる措置、そしてTikTokの利用禁止・買収についても大きな動きが起こることを指摘しましたが、予想どおりになりました。
・「米中総領事館の閉鎖とポンペオの対中政策演説」(7/28)
・「ウイグルの新疆生産建設兵団への制裁」(8/3)
(5)アザー厚生長官の訪台
アレックス・アザー厚生長官が台湾を訪問しました。台湾のコロナ対応への支持を伝え、保健医療面での協力を強化することが目的とされています。
閣僚の訪問はマッカーシーEPA長官の訪問以来6年ぶり。厚生長官はEPA長官より格上なので、過去最高ランクの訪問とされています。
それにしても、中国事業、香港、台湾と各方面で続々とアクションがとられました。当然ながら中国は反発していますが、あまりにも動きが速いので、具体的な報復の動きはまだ出てきていません。現時点では、少なくとも公式には、中国は対話を呼びかける姿勢を強調しています。
一方、今週(8月15日)に米中閣僚級通商協議(ライトハイザーUSTR代表、劉鶴副首相)がオンラインで行われると報じられています。トランプ政権の対中攻勢が強まる中で、この動きだけは米中の協力が続けられることを示唆しています。
これらの動きの意義と今後の展望について解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。目次は以下のとおりです。
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米国の対中攻勢の強化
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●TikTokとウィーチャットの排除
●クリーン・ネットワーク
●中国企業の上場規制強化
●香港行政長官への制裁
●アザー厚生長官の訪台
●米中通商協議
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あとがき
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■ 本名はなんていうんですか?【おしえて!イチロー先生】(6月22日付SMBC日興証券)
「鈴木でイチローは最悪なんです」「親を憎みました、僕は」「今は、結果的によかったなって思ってる」・・イチロー先生、面白いですね。
「イチロー」は94年に仰木監督の発案で「パンチ(佐藤和弘選手)」と一緒に売り出されたのですが、当時は「イチロー&パンチ?アホか!」と大ウケしたものでした。
どちらかといえば、このとき注目されていたのは、ドラフト1位の佐藤選手だったのです。彼はトーク力がすさまじく、プレー以上に(失礼)記者会見などで大人気を博しました。入団当初から「パンチ佐藤」という愛称で親しまれ、「パンチ」に改称したときは、プロ野球界では前例のないことでしたが、まあ、パンチ佐藤だから・・とすんなり受け入れられました。
ところが「イチロー」は、「誰それ?」という状態でした。私はドラフト入りのときから注目して、ずっと「鈴木一郎」選手としてのプレーを見ていたので、大いに期待をしていたのですが、まさか「イチロー」になるとは思いもよらず、本当にびっくりしました。「パンチならいいけど、イチローはないだろう・・かわいそうに・・」と思ったものでした。
しかしイチローは異次元の大活躍で一躍国民的スターに。シーズンが終わる頃、「イチロー」の名前に違和感をおぼえる人は誰もいませんでした。
その後、プロ野球界では、日本人でも、ファーストネームやニックネームをカタカナにすることは珍しくなくなりました(その後、もう一度びっくりしたのは、新庄剛志選手が「SHINJO」で登録したときでした。さすがと思いました)。時代は変わった・・というか、イチローが変えたのですね。
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One comment on “米国の対中攻勢の強化”
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デカップリングにも通じるところがあるのかと思いますが、「クリーン・ネットワーク」で触れられていた「大きな視点」非常に響きます。時代は常に変化をしているといいますが、まさに変わり目、に立っているのでしょうか。
また、「アザー長官」のポジションの冷静な分析も大変参考になります。こうしたことは、様々な報道とのギャップを楽しみながら読むようにしていますが、”誰がどの立場でどういう発言をしているか”を丁寧に分析できるJDさんの広い知見は本当に頼りになります。