2020/05/25 00:00 | 今週の動き | コメント(5)
今週の動き(5/24~30)
感染者数の減少傾向が続き、京都、大阪、兵庫で緊急事態宣言が解除されました。東京、埼玉、千葉、神奈川、北海道では宣言が継続されましたが、このまま感染拡大が抑えられれば、本日にも宣言が解除されるとのこと。
感染の再拡大(第2波)も懸念されていますが、まずは歓迎すべき結果ですね。マスク着用はじめ警戒は維持しつつも(ステイ・アラート)、一律の外出制限(ステイ・ホーム)や休業要請はやめる段階に来たのではないかと思います。個人的には、東京都にはもっとスピード感のある対応をとって欲しいと思います。
仮に感染拡大の兆候が見えても、今回の緊急事態宣言下における警戒の経験と医療体制の強化は大きな資産です。おそらく今後は、十分な備えをもって対応できるのではないかと思います。
なお、感染者数と死者数が抑えられている結果を見て、コロナの脅威を過剰に見ていたのではないか、被害予測や政府の対応には誤りがあったのでは、との批判の声もあるようです。しかし、これは結果論でしょう。コロナの脅威を軽視して、有効な対策をとらなければ、被害が甚大だった可能性は大いにあります。
政府の対策と市民の協力があってこそ、今の結果が導かれたのだろうと思います。それはそれで肯定的に評価しながら、しかし今は状況が変わったのだから、経済活動により重点を置いたフェーズにシフトする、ということでしょう。マスク着用含め、締めるところは締めながら、できるだけ早く経済活動を全開にしたいものですね。私もがんばります。
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先週の動き
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5/17(日)
・イスラエルのネタニヤフ首相の第5次政権が発足
・アフガンのガニ大統領とアブドッラー前行政長官が権力分割合意文書に署名
5/18(月)
・トランプ大統領がWHOに対して中国からの独立性を示すように求め、30日以内に改善を見せなければ、拠出金を無期限に停止し、加盟についても再考すると表明するテドロス事務局長宛の書簡をツイッターで公表
・トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染予防のため抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を毎日服用していると発言
・ポンペオ国務長官が中国はチベット仏教第2の高位者である「パンチェン・ラマ」の居場所を直ちに公表すべきと発言
・カリフォルニア州のニューサム知事が外出規制緩和の新たな判断基準を公表
・マルコ・ルビオ上院議員が上院情報特別委員会の委員長代行に就任するとミッチ・マコーネル上院院内総務が発表
・米バイオ医薬ベンチャーのモデルナが新型コロナウイルスのワクチンの初期の治験の結果が有望だったと発表
・台湾積体電路製造(TSMC)が米国のファーウェイ制裁の強化を受け、ファーウェイからの半導体生産の新規受注を停止したとの報道
・中国商務省が豪州産大麦に追加関税をかけると発表
・WHO年次総会(~19日、テレビ会議)
・イタリアで飲食店の営業が再開
・マレーシアの連邦議会下院開会(即日閉会)
5/19(火)
・ムニューシン財務長官が上院委員会での公聴会で中間層減税を検討すると表明
・米大統領選挙民主党予備選(オレゴン)
・中国のカフェチェーン大手ラッキンコーヒーがナスダックから株式上場を廃止するとの告知を受けたと発表
・ナスダックが新規上場基準の厳格化をSECに提出していたことが判明
・フランスの国民議会の与党「共和国前進」会派が7議員の離脱により単独過半数を失う
5/20(水)
・トランプ大統領が「中国の無能」が世界の大量死を引き起こした、「すべてはトップから来ている」とツイート
・トランプ大統領が6月にテレビ電話での開催を予定していたG7サミットについてワシントンDCでの開催を検討するとツイート
・トランプ大統領がミシガン、ネバダ両州の郵送投票を「違法」「不正投票につながる」と批判するツイート
・トランプ大統領が抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の服用をやめると発言
・米ホワイトハウスが「米国の対中戦略的アプローチ」と題する議会への報告書を発表
・米国務省が台湾への魚雷売却を議会に通知
・ポンペオ国務長官が中国を「残忍で独裁的な体制」と呼んで批判
・米CDCが経済活動再開のガイドラインの詳細版を発表
・米海軍が空母セオドア・ルーズベルトの約2か月ぶりの航行再開を発表
・米連邦最高裁が下院司法委員会が開示を求めていたロシア疑惑の捜査資料の開示の差止めを命令
・米上院が「外国企業説明責任法案」を可決
・米上院の国土安全保障・政府問題委員会がバイデン前副大統領の息子ハンター・バイデンに関する不正疑惑を調査するため米助言会社に資料提出や議会証言を求める召喚状を出すことを決定
・米国の全50州で経済活動が部分的に再開
・米司法当局が日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の国外逃亡を手助けしたとされる3人のうち2人(マイケル・テイラーとピーター・テイラー)をマサチューセッツ州で逮捕したと発表
・台湾総統就任式(蔡英文総統の2期目開始)
・シリア人民議会選挙
・ブルンジ大統領選挙
・世銀がカーメン・ラインハート教授を首席エコノミストに任命したと発表
5/21(木)
・トランプ大統領が「香港国家安全法」が成立すれば「極めて強力に対処する」と発言
・トランプ大統領がミシガン州のフォードの工場を訪問
・ポンペオ国務長官が「領空開放条約」から離脱するとの声明を発表
・米上院がジョン・ラトクリフ下院議員の国家情報長官就任を承認
・USTRと農務省が中国との第1段階の通商合意について中国の履行を評価する声明を発表
・米国防総省が新型コロナウイルスの集団感染により活動を停止していた原子力空母「セオドア・ルーズベルト」の任務復帰を発表
・中国の全人代で「香港国家安全法案」の審議が行われると報道官が表明
・中国人民政治協商会議(政協)の開幕(北京)
・日本政府が緊急事態宣言の範囲を見直し
5/22(金)
・トランプ大統領が礼拝所は不可欠として各州の知事に再開を促す発言
・トランプ政権が核実験を検討しているとワシントン・ポストが報道
・米商務省が新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧や米国技術の軍事転用に関わっているとして中国の政府機関やハイテク企業など計33団体・企業を輸出管理規則に基づく「エンティティ・リスト(EL)」に掲載
・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長が新型コロナウイルスのワクチン接種を12月までに展開することは想定可能と発言
・第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の開幕(北京)
・英豪カナダの外相が香港国家安全法案に対する懸念を表明する共同声明を発出
・アルゼンチンがデフォルト
・ADB年次総会(一部)(オンライン会議)
5/23(土)
・スペインのサンチェス首相が外国からの観光客の受け入れを7月から再開したいとの意向を表明
米中対立の先鋭化に拍車をかけるイベントが相次いだ1週間でした。
●WHO総会
WHO総会では、習近平国家主席がテドロス事務局長の要請に応じる形で開幕式で演説。中国の新型コロナウイルス対策の成果をアピールし、今後2年間でコロナ対策に20億ドルを拠出すると表明しました。
また、米国や豪州からのコロナ発生源の調査要求を受け、コロナ発生源や感染経路の研究を支持すると表明。将来的な調査を拒否しない姿勢を示しました。
台湾のオブザーバー参加は、以下の記事で予想したとおり、やはり実現しませんでした。年内にも開かれる次回の総会であらためて検討されることになりました。
・「WHO総会と台湾総統就任式」(5/18)
一方、トランプ大統領は、総会が始まった日に、WHOに対して中国からの独立性を示すよう求め、30日以内に改善を見せなければ、拠出金を無期限に停止し、加盟についても再考すると表明するテドロス事務局長宛の書簡をツイッターで公表しました。
これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●台湾総統就任式
蔡英文総統の2期目の就任式が開催。新型コロナウイルス対策のため、海外要人の招待や祝賀式は行われませんでしたが、海外首脳・閣僚からはビデオメッセージが寄せられました。米国からは、ポンペオ国務長官とポッティンジャー大統領次席補佐官のメッセージが送られ、就任式で上映されました。
就任式から間もなくして、国務省が台湾への魚雷売却を議会に通知しました。また、ホワイトハウスが「米国の対中戦略的アプローチ」を発表。19年の国防授権法の要請に応えて議会に報告を行ったものです。これまでの米国の方針を転換するものではありませんが、台湾との関係強化をさらに強調するトーンになっています。
これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●米国における中国企業の上場規制強化
米上院が「外国企業説明責任法案」を全会一致で可決しました。米国に上場する外国企業に対し、外国政府の支配下にないことを証明するよう求め、米規制当局による会計監査状況の検査を義務付けるものです。3年間従わなかった場合は上場廃止になります。
法案は外国企業を対象にしており、中国を特定するものではありませんが、他の外国企業にとっては問題のない措置なので、事実上、中国を狙い撃ちにしていることは明らかです。
ほぼ同じタイミングで、「中国のスタバ」と呼ばれるラッキンコーヒーがナスダックでの上場を廃止されました。粉飾決算が理由です。
さらに、ナスダックが新規上場ルールを厳格化することが明らかになりました。これも、中国企業に大きな影響を与える措置です。
これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。
●全人代の開幕(香港の統制強化)
全人代がついに開幕。習近平国家主席をはじめとする指導部はマスクを着用せずに登場しました。新型コロナウイルスの感染を終息させたという自信のアピールです。もちろんトップ以外の出席者にはマスクを徹底させ、序列の差も明確にしています。
李克強首相が冒頭演説。20年の実質GDP成長率の数値目標は、コロナの不確実性があまりに大きいということで、予想どおり設定されませんでした。極めて異例の措置ですが、経済の落ち込みを考慮し、リスクを避けたのでしょう。
・「全人代の開幕」(5/18)
財政出動(地方債と国債の発行)は3.6兆元の増額を予定しており(財政赤字見通しは3.6%)、巨額ですが、08年の世界経済危機後に打ち出した4兆元の景気刺激策よりは押さえられました。今年は、V字回復よりも社会の安定、特に雇用の確保に重点を置く姿勢が見えます。
一方、国防費は+6.6%で、去年の+7.5%を下回りましたが、大幅な増額の継続に変わりはありません。
そして、香港の統制を強化する「香港国家安全法」を制定すると発表しました。当局が恣意的に「扇動」とみなした言論やデモの制限を可能にするもので、一国二制度の形骸化を一気に進める重大な措置です。
トランプ大統領は法律が成立すれば、「極めて強力に対処する」と発言。ポンペオ国務長官も、香港の自治に「死を告げる鐘」になるとして非難しました。
一方、李克強は、米国との第1段階の合意については、予定どおり履行していく方針を表明していいます。
香港の統制強化をめぐる動きと米中関係の展望について解説します(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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5/24(日)
・ネタニヤフ首相の汚職容疑に関する初公判
5/25(月)
・メモリアルデー(戦没者追悼の日)
5/27(水)
・中国人民政治協商会議(政協)の閉幕(北京)
・スペースX開発の有人宇宙船「クルードラゴン」打ち上げ(フロリダ州ケネディ宇宙センター)
5/28(木)
・第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の閉幕(北京)
今週は、読者の方からのリクエストにより、「オバマゲート」を取り上げます。また、総集編第7号を発行する予定です。
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あとがき
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■ Cops Drag Violators Inside Ambulance With Fake Covid-19 Patient In Tamil Nadu(4月24日付ABP News)
インドのタミルナドゥ州の警察は、マスク着用の義務の違反者をフェイクのコロナ患者がいる救急車に投げ込むそうです。違反者の怯えぶりがすごいですね。
それにしてもインドの警察、コロナマスクといい、体罰といい、やらせの演出もあるのかもしれませんが、そうだとしても、自由奔放ですね・・。
そういえば、先週、拙ツイッターのフォロワー数が2000を超えました。
ツイッターを使い始めて半年になりますが、毎日の発信のみならず、他のツイッタラーの方々との交流も増え、より充実した内容になってきました。自分で言うのもなんですが、初心者から中級者くらいのレベルには上がってきたような気がします。
私以外にも、「経済ZAP!!」のSaltさん、「CRUのひとりごと」のKonanさん、グッチーポスト編集長の磯部さんのツイッターアカウントも活発に発信しています。コメントも簡単にできますし、ブログやメルマガの面白さも倍増しますので、ぜひチェックしてみて下さい。
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5 comments on “今週の動き(5/24~30)”
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トランプ大統領、変な気起こして、「全人代の開幕」の最後にあるような事態になったりして・・・なんて思ってしまいました。週末のゴルフでリフレッシュしたようですし、迷言動も減るでしょうか?
「米中対立」もコロナがなかったらどんな風になっていたのかな?と思いますが、本質は変わらず、遅かれ早かれ今のような状況になっていたのかなと思って読ませていただきました。トランプはブレブレですがメルマガはブレないので安心して読むことができます(読むと安心できます)。それにしても、郭台銘でなく蔡英文総統で本当によかったです・・・。
中国本土の覚悟がわかりました。
急にパンチェンラマ11世の話が出てきたのかと思いましたら、ちょうどこの5月17日で、「行方不明」となってから25年でした。もう25年が経つのですね・・・。
米中関係の踏み込んだ分析面白かったです。ここにきて中国側もギアチェンジしてきたように感じていて、その変化をどう読み解くべきなのかと考えあぐねておりましたが、本日のメルマガを読んでなるほどな、と色々合点がいきました。
「オバマゲート」と言えば、トランプの「OBAMAGATE!」というツイートに対して「YOMAMAGATE!」と切り返すのが一時トレンドになったようですね。トランプの愚かさ
を嘲った意味合いであるらしく、またもっと深く掘り下げると、そもそもがトランプを産み出した母親が悪いのでは?的な意味合いもあるのかなと。以前トランプの母親が彼の事を「idiot」と言ったとか言わないとか、フェイクニュース的な話がネット上に出回ったことがありましたが、それらを彷彿とさせるような趣もあり、シンプルだけど味わい深い言葉だなと一人で勝手に感心しておりました。
オバマゲートといえばツイッターで見つけたこちらのコラ動画が結構ツボでした。
「オバマゲート」と「ロシアゲート」のインパクト、逆じゃね?と思わなくもないですが、面白くて何度も再生してしまいます。
https://twitter.com/bennyjohnson/status/1260659624576835587?s=19
コラ動画、こんなのもあるのですねえ。
虚勢というか、語るに落ちている気もしますが・・・
トランプとSNSの時代、米国政治の品性はどこまでも落ちますね。
それにしてもツイッターの世界は深い。
私も勉強になります。ありがとうございます。