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The Gucci Post [国際政治・経済・金融 × プロフェッショナル]

2020/07/27 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(7/26~8/1) ヒューストン中国総領事館の閉鎖、ポンペオの対中政策演説、米コロナ、ポートランドへの治安部隊派遣、トランプ居直りの可能性、バイデンの育児支援政策、EU復興基金


雨の日が続きますね。先週、奄美では梅雨が明けましたが、例年より2週間遅く、統計史上最も遅い梅雨明けになったとのこと。

しかし、気温の高さはすでに夏ですね。晴れ間が出てくると、夏が好きな私としてはテンションが上がります。ウィズコロナの夏、しっかり注意をしながらも、楽しく満喫したいものです。

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先週の動き
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7/19(日)
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策について「全員がマスクをすれば問題がすべてなくなるという考えには賛成できない」「マスクは良いものだが、知事に任せたい」とFOXのインタビューで発言
・トランプ大統領と共和党指導部が会談(新型コロナウイルス対策について協議)
・北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会の拡大会議が7月18日に開催され、金正恩党委員長が出席したと国営朝鮮中央テレビが報道
・シリア議会選挙

7/20(月)
・トランプ大統領がマスクの着用は「愛国的」としてマスク着用姿の写真をツイッターに投稿
・トランプ大統領が民主党市長の主要都市(NY、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、ボルティモア、オークランド)に法執行機関の職員を派遣すると表明
・米仏首脳電話会談
・米商務省が新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧に関わっているとして中国企業11社を7月22日付で輸出管理規則に基づく「エンティティ・リスト(EL)」に追加すると発表
・米国務省が人権侵害に関与したとしてチェチェンのカディロフ首長に制裁を科すと発表
・ポンペオ国務長官が英国とデンマークを訪問(~22日)
・英国のラーブ外相が香港との犯罪人引渡条約の即時停止を発表
・サウジのサルマン国王が胆のう炎の検査を受けるためリヤドの病院に入院
・ミャンマー総選挙(11月8日予定)の立候補届け出開始

7/21(火)
・トランプ大統領が新型コロナウイルスに関する記者会見を3か月ぶりに開催
・トランプ大統領が商務長官による20年の国勢調査に基づく下院の議席配分と区割りの決定において不法移民の人口の除外を命じる大統領令に署名
・米司法省が新型コロナウイルスの研究をする米企業に対する企業秘密や知的財産の窃盗罪の容疑で中国人2人を訴追したと発表
・米上院銀行委員会がジュディ・シェルトン元EBRD米国代表のFRB理事就任を承認
・バイデン前副大統領が育児や高齢者の介護のための7750億ドルの経済政策を発表
・EU臨時首脳会議最終日(7500億ユーロの復興基金案で合意)(ブリュッセル)
・中国外交部の汪文斌副報道局長がブータン東部の野生生物保護区について境界はまだ画定していないと発言
・イラクのカディミ首相がイランを訪問(ハメネイ最高指導者、ロウハニ大統領と会談)

7/22(水)
・トランプ大統領が治安対策強化のためシカゴとアルバカーキに連邦政府の法執行職員を派遣する(カンザスシティには派遣済み)と発表
・米国務省が米国の知的財産と個人情報を守るため在ヒューストン中国総領事館の72時間以内の閉鎖を指示したとの声明を発表(トランプ大統領は他の在外公館の閉鎖もあり得ると発言)
・国際オリンピック委員会(IOC)理事会

7/23(木)
・トランプ大統領が8月24~27日に予定していたフロリダ州ジャクソンビルでの共和党全国大会の開催を中止すると表明
・ポンペオ国務長官が対中政策について演説(カリフォルニア)
・米司法省が中国人民解放軍との関係を伏せて研究者用のビザを不正に取得したとして中国人4人を訴追したと発表
・ムニューシン財務長官と共和党指導部が会談(1兆ドルの新型コロナウイルス対策の枠組みについて基本合意)

7/24(金)
・トランプ大統領が処方薬の価格引き下げを促す大統領令に署名
・米移民税関捜査局(ICE)が大学のすべての授業がオンラインの場合、秋からの新学期の留学生にビザを発給しないとの規則を発表
・在ヒューストン中国総領事館が閉鎖
・中国外交部が在成都米国総領事館の閉鎖を米国に通知したと発表
・トルコのアヤソフィアでモスク化後初の集団礼拝

7/26(日)
・北朝鮮で新型コロナウイルスの感染が疑われる事例が発生したことを受け、朝鮮労働党中央委員会政治局の非常拡大会議が7月25日に開催され、金正恩党委員長が7月24日に開城市を完全封鎖したと国営朝鮮中央テレビが報道

●在ヒューストン中国総領事館の閉鎖とポンペオの対中政策演説

米国務省が「米国の知的財産と個人情報を守るため」在ヒューストン中国総領事館の72時間以内の閉鎖を指示したとの声明を発表しました(7月24日に実際に閉鎖)。

トランプ大統領は他の在外公館の閉鎖もあり得ると発言しています。米国内の中国総領事館はヒューストンの他、NY、SF、LA、シカゴにあります。

これに対し、中国外交部は在成都米国総領事館の閉鎖を米国に通知したと発表しました。なお、中国内に米国総領事館は、成都の他、広州、上海、瀋陽、武漢、香港にあります。

中国総領事館の閉鎖発表に先立ち、司法省が新型コロナウイルスの研究をする米企業に対する企業秘密や知的財産の窃盗罪の容疑で中国人2人を訴追しています。

また、閉鎖発表後、司法省は中国人民解放軍との関係を伏せて研究者用のビザを不正に取得したとして中国人4人を訴追しました。そのうち1人はSFの中国総領事館に隠れていたところで拘束されています。

さらに、中国総領事館の閉鎖発表後、ポンペオ国務長官がカリフォルニアのリチャード・ニクソン大統領図書館で対中政策の演説を行いました。オブライエン大統領補佐官、レイFBI長官、バー司法長官に続く対中政策演説の第4弾になります。

ポンペオは、従来の中国に対する関与政策を失敗と断言。中国共産党の力を高め、人権侵害や知的財産の窃取を許す結果になった、習近平「党総書記」は「破綻した全体主義のイデオロギーの信奉者」であり、世界にとっての脅威になっていると説明。世界の自由主義の国々は、より「創造的かつ断固とした方法」で中国共産党の態度を変えさせなくてはならない、中国の人々にも働きかける必要がある・・と述べました。

米中の総領事館の閉鎖、そしてポンペオの対中政策演説は、前例のない内容を含んでおり、米中対立が新たな次元に突入することを予感させます。その意味について、明日、解説します。

●新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応:経済対策第4弾)

米国における新型コロナウイルスの感染拡大については、先週も、記録的な数の新規感染者と入院患者が発生しました。感染者数は418万人、死者数は14万6,000人に達しています。地域別にみると、レッド・ステートが最も打撃を受けている状況が鮮明になっています。

こうした状況において、トランプ大統領はマスクの着用は「愛国的」としてマスク着用姿の写真をツイッターに投稿しました。

また、新型コロナウイルスに関する記者会見を3か月ぶりに開催。ここでもマスク着用を呼びかけ、わざわざ愛用のマスクをポケットから取り出す姿を見せました。そして、コロナはさらに悪化すると述べるなど、従来のトーンから一転、厳しい見通しを強調するようになりました。

また、8月24~27日に予定していたフロリダ州ジャクソンビルでの共和党全国大会の開催の中止を表明しました。ノースカロライナ州シャーロットでの小規模な開催にとどめるとしています。

そして、コロナ対策の経済対策第4弾(Phase IV)について、ムニューシン財務長官と共和党指導部が会談し、1兆ドルのプランの枠組みについて基本合意に達しました。しかし、民主党は、3兆ドルのプランを提案しており、双方の提案には大きな開きがあります。

この経済対策第4弾の見通しを中心に最新の状況についてコメントします(※メルマガに限定)。

●トランプ政権の民主党都市への治安部隊派遣

先々週から、オレゴン州ポートランドで迷彩服を着て武装した治安部隊が抗議デモを鎮圧する光景がみられました。当初はアイデンティティも明らかでない謎の集団でしたが、後に連邦政府(国土安全保障省)が派遣した法執行職員と判明しました。

トランプ大統領は、ポートランドのように民主党員が市長を務めている地域では治安維持に向けた措置が不十分であるとして、治安対策の強化のために連邦職員を派遣したと説明しています。ポートランドでの職員の活動を称え、NY、シカゴ、フィラデルフィアなど他の民主党市長の都市にも派遣すると表明しました。

また、イリノイ州シカゴ、ニューメキシコ州アルバカーキ、ミズーリ州カンザスシティへの法執行職員の派遣も発表(カンザスシティで射殺された子どもの名前から「レジェンド作戦」と命名)。さらにオハイオ州クリーブランド、ミシガン州デトロイト、ウィスコンシン州ミルウォーキーも派遣先に追加しています。いずれも大統領選における重要激戦州です。

ポートランドのウィーラー市長は、連邦職員の派遣は要請していないとして退去を要求。オレゴン州の司法長官は中止を求めて提訴しました。なお、ウィーラーが催涙ガスをかけられるという事態も発生しています。

ポートランドでの連邦職員による治安維持については、数多くの動画が出回っています。こちらの動画の後半には、棍棒やスプレーの攻撃に動じない大柄の男性が映っていますが、米海軍の退役軍人であることが分かり、TVのインタビューにも応じています。

こちらの動画では、現場に全裸で帽子とマスクだけ着用した女性が登場。道を歩いてヨガのポーズを披露しました。ネット上では「裸のアテナ」と呼ばれているようです。

こうしたトランプの対応についてコメントします(※メルマガに限定)。

●トランプの大統領選敗北後の居直りの可能性

FOXの看板キャスターのクリス・ウォレスがトランプ大統領にインタビューを行いました。米国のコロナ致死率が最も低いというトランプの主張をめぐって激しい議論になるなど、FOXにもかかわらず(中立的なウォレスだからということもありますが)、トランプにとってかなり厳しい内容になりました。

トランプがバイデンは警察予算の打ち切り(defund)を求めていると述べると、ウォレスは「そんなことはない」とはっきり否定。番組中にバイデンの政策文書を確認する事態になりました。なお、この警察予算に関するウォレスのツッコミは、以下の記事で私が述べた内容とまったく同じです。

「バイデンの気候変動対策」(7/20)

そして、ウォレスから「大統領選の結果を受け入れないことはあるか」と聞かれると、トランプは「そのとき見てみなければわからない」と不気味なコメントを残しました。

トランプの大統領選敗北後の居直りの可能性については、以前から取り沙汰されていましたが、ここまではっきり述べるのは初めてだったと思います(先月には「他のことをする」と述べ、潔く退くことを示唆していました)。この点について解説します(※メルマガに限定)。

●バイデンの育児・介護支援政策

バイデンが育児や高齢者の介護のための7,750億ドルの経済政策を発表しました。製造業強化、環境対策に続く政策発表第3弾です。

米国には「国民皆保険」がありませんが、国民を対象とする育児・自動教育支援(ユニバーサル・チャイルド・ケア)もありません。その点に焦点をあてたのは画期的であり、内容もかなり大胆です。

また、保育士や介護士の300万人の雇用を創出するとしており、以下の記事で述べたとおり、やはり雇用を重視する姿勢をアピールしています。なおバイデンのスローガンは「Build Back Better」と称するもので、格差是正を含めた経済復興でトランプ大統領の経済政策に対抗する方針です。

「バイデンの気候変動対策」(7/20)

トランプの劣勢が続く中で、バイデンの立て続けの政策発表は勢いを感じさせます。先週には、オバマ前大統領とソーシャル・ディスタンス対談も行い、オンラインで配信しました。オバマはトランプのコロナ対応を批判し、なぜバイデンが大統領にふさわしいか説明しています。

オバマは今後もこうした発信を続けて、バイデンのアピール力の乏しさを補完する役割を担うのでしょう。オバマの陰に隠れるという指摘もありますが、バイデン陣営はバイデンの限界をよく認識しており、もはや諦めの境地というか(笑)、開き直ってオバマの威光を借りようとしていると思います。

また、バイデンは、副大統領の有力候補には黒人女性4人が含まれていると発言しました。そうであれば、カマラ・ハリス上院議員、ステイシー・エイブラムス前下院議員、ケイシャ・ランス・ボトムズ・アトランタ市長、ヴァル・デミングス下院議員、カレン・バス下院議員、マーシア・ファッジ下院議員、スーザン・ライス元大統領補佐官に絞られてきます(以下の記事参照)。来月前半(17~20日の党大会前)には発表される見通しです。

「バーニー・サンダースの大統領選挙からの撤退」(4/14)

●EUの復興基金案

EU首脳会議は、当初は3日間の予定で、7月19日に終了するはずでしたが、延長を続け、5日目の21日にようやく終了。00年12月のニースでのサミットに並ぶ最長記録とのことです。

歴史的なマラソン・サミットの末、7,500億ユーロの新型コロナウイルス対策の復興基金案(Next Generation EU, NGEU)で合意しました。コメントします(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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7/27(月)
・朝鮮戦争休戦協定調印から67年

7/28(火)
・AIIB年次総会(オンライン会議、~29日)
・FOMC(~29日)

7/30(木)
・米国の20年4~6月期の実質GDP成長率の発表

7/31(金)
・米国の経済対策第3弾(CARES法)の追加失業手当の給付期限

今週はFOMC、米国の経済成長率、失業手当の期限といった経済関係のイベントが続きますが、ここは経済ZAP!!のSaltさんにお任せしましょう。

私からは、タイミングをみて、知的探求の方法論や勉強法といった、読者の方から質問をいただいているテーマを取り上げたいと思っています。

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あとがき
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昨季王者ナショナルズ、開幕戦の始球式にファウチ所長 米大リーグ(7月21日付CNN)

メジャーリーグがついに無観客試合で開幕しました。ワシントン・ナショナルズ対NYヤンキース戦でファウチ博士が始球式に登場。しかし大暴投・・まあ、これもソーシャル・ディスタンス・・ご愛敬ですね(笑)。

なお、来月にはトランプ大統領がヤンキース・スタジアムで始球式を行うとのこと。こちらはさすが手慣れた動きと力強いフォームです。

そういえば、私がお仕えした加藤駐米大使も始球式の常連で、その仕事が入るとトランプ大統領のように公邸の庭で入念に練習していました。野球通としても有名で、後にプロ野球コミッショナーにもなりました。

しかし、大使のような人とキャッチボールするのは緊張するものです。ましてトランプ大統領にボールを投げるのは(動画ではマリアーノ・リベラ選手が対応)大変に神経を使うことでしょうね・・。

また、ファウチ博士が始球式を行ったヤンキース対ナショナルズの開幕戦で国歌斉唱前に選手たちが片膝をついてBLMへの理解を示すパフォーマンスを見せました。

以下の記事で述べたとおり、この行為を16年に見せたNFLのスター選手コリン・キャパニックは事実上NFLから追放されました(国歌斉唱のときに片膝をついたことも大きかったのですが)。隔世の感があります。

「全米各地での抗議デモと暴動」(6/9)

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One comment on “今週の動き(7/26~8/1) ヒューストン中国総領事館の閉鎖、ポンペオの対中政策演説、米コロナ、ポートランドへの治安部隊派遣、トランプ居直りの可能性、バイデンの育児支援政策、EU復興基金
  1. KB より:
    どこまでも規格外

    居直りの可能性を議論されるなんて、トランプ大統領は常人の想像を軽々と超えていきますね。
    でも、こうなってくると各州ごとの勝敗の行方がこれまで以上に重要ということになり、ますますJDさんのメルマガが頼り、ということになります。

    対中関係も、週を追うごとに、新しいステージに移行しているような感じですが、丁寧に状況が把握でき、大変助かっています。

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