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The Gucci Post [国際政治・経済・金融 × プロフェッショナル]

2020/06/08 00:00  | 今週の動き |  コメント(3)

今週の動き(6/7~13)


先週金曜にグッチーポストのホームページがリニューアルされました。磯部編集長の力作です。手前味噌ながら、とても見やすく、スタイリッシュになったと思います。

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先週の動き
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5/31(日)
・ミネアポリスでの黒人死亡事件を受けて全米各地で抗議デモ・暴動が継続(〜現在)

6/1(月)
・トランプ大統領が全米各地の暴動を「国内テロ」と非難し、全米の州知事に州兵の動員を求め、必要であれば連邦軍を派遣する意向を表明(セント・ジョン教会まで歩き、聖書をもって記念撮影)
・米ロ、米韓首脳電話会談
・オバマ前大統領が全米各地の抗議デモ・暴動に関するコメントをオンラインメディアに寄稿
・中国が米国からの農産品の輸入を一時的に停止するよう中国国有企業に命じたとの報道
・WHOのテドロス事務局長が米国との協力の継続を望むと発言
・ロシアのプーチン大統領が憲法改正法案の是非を問う全国投票を7月1日に実施すると表明
・モスクワが新型コロナウイルス対策の活動制限を緩和

6/2(火)
・トランプ大統領が8月の共和党全国党大会の開催地をノースカロライナ州シャーロットから別の州に変更するとツイート
・米印、米豪首脳電話会談
・USTRが通商法301条に基づきEU・英・西・伊・墺・チェコ・印・尼・伯・土のデジタルサービス税を調査すると発表
・米国防総省が在韓米軍で勤務する韓国人職員の人件費を韓国が20年末まで全額負担することで合意したと発表
・米国が拘束していたイラン人科学者を国外追放
・ミリー統合参謀本部議長が「米軍は憲法を守ることを誓う」「憲法は米国人に言論の自由を認めている」「我々は国民に忠実であり続ける」と表明する統合軍宛の書簡を作成
・バイデン前副大統領が全米各地の暴動についてトランプ大統領の対応を批判(ペンシルバニア)
・ミズーリ州ファーガソン市長選挙(エラ・ジョーンズ市議会議員が初のアフリカ系市長として当選)
・米大統領選挙民主党予備選(ワシントンDC、インディアナ、メリーランド、モンタナ、ニューメキシコ、ペンシルバニア、ロードアイランド、サウスダコタ)
・フィリピンが「訪問米軍地位協定(VFA)」の破棄通告の停止を発表

6/3(水)
・トランプ大統領が軍の展開は必要とは思っていないとインタビューで発言
・エスパー国防長官が暴動の鎮圧のために連邦軍を動員することに反対する考えを表明
・マティス前国防長官がトランプ大統領を批判する声明を発表
・ミネアポリスでの黒人死亡事件について4人の元警察官が第2級の殺人罪とその幇助の容疑で起訴
・米上院が新型コロナウイルスの経済対策として中小企業の給与支払いを補填する雇用維持策の強化(6月末から12月末まで延長、補填対象期間を拡大)を可決
・英国のジョンソン首相が香港国家安全法の制定を中国が撤回しない場合、香港住民285万人に英国での市民権を認める考えをタイムズへの寄稿で表明
・HSBCとスタンダードチャータード銀行が香港国家安全法への支持を表明
・イタリアが新型コロナウイルス対策の国内・国外の移動制限を解除

6/4(木)
・天安門事件から31年(香港では追悼集会)
・香港で国歌条例が成立
・イランが18年から拘束していた米海軍退役軍人を解放
・ECB定例理事会(フランクフルト)
・豪印首脳会談(オンライン会議)
・北朝鮮の金与正党中央委員会第1副部長が韓国の脱北者による金正恩委員長を批判するビラの散布を非難する談話を発表
・フランス軍がマリで「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の指導者を殺害
・アフガンがタリバンに空爆を実施
・リビアのシラージュ暫定政権がトリポリの完全掌握を宣言

6/5(金)
・米国防総省がワシントンDCの近郊に集めていた連邦軍の全部隊の所属基地への帰還を命令
・トランプ大統領がドイツ駐留米軍の規模の縮小を指示したとの報道
・バイデン前副大統領が民主党の大統領候補者指名を得るのに必要な過半数の代議員を確保
・米労働省が5月の雇用統計を発表(失業率は13.3%)(トランプ大統領は記者会見を開き、トランプ政権の経済政策を絶賛)
・北朝鮮の朝鮮労働党が韓国の脱北者による金正恩委員長を批判するビラの散布を理由に開城に開設した共同連絡事務所を閉鎖するとの談話を発表
・北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父親の横田滋さんが死去
・ブラジルのボルソナロ大統領がWHOの「イデオロギー的な偏向」を理由として脱退を検討していると発言

6/6(土)
・米大統領選挙民主党予備選(米領バージン諸島)
・台湾の高雄の住民投票で韓国喩市長のリコールが可決
・韓国の文在寅大統領が朝鮮戦争の追悼式典で演説(大田)
・OPECプラス(オンライン会議)

●全米各地での抗議デモと暴動の継続

アフリカ系米国人のジョージ・フロイド氏の暴行死を発端とする抗議デモが5月26日から始まってから約2週間になりましたが、いまだ終息の気配はありません。週末にはワシントンDCでも大規模デモが行われました。

抗議デモは、事件が起きたミネアポリスで始まりましたが、いまや全米50州に拡大。デモが過激化して暴力的になり、一部では警官との衝突のみならず、破壊行為や略奪も起き、逮捕者は1万人を超えたとのこと。

DC、NY、LAなど200都市で夜間外出禁止令が発動され、各州は治安維持のために警察に加えて州兵を動員。動員された州兵は4万人以上に達しているとのこと。こうした対策により、略奪や破壊行為は沈静化しつつあります。

先週の記事で述べたとおり、トランプ大統領は、「暴動」や「略奪」を断固として取り締まる姿勢を前面に出しています。この姿勢はまったく変わらず、さらに先鋭化しています。

「ミネアポリスでの黒人男性死亡事件(抗議デモと暴動の激化)」(6/1)

LAW & ORDER!」「SILENT MAJORITY!」というフレーズをたびたびツイートし、暴動を起こしているのは「アンティファ」や過激な左派だと主張。アンティファをテロ組織に指定するだろうともツイートしました。

そして、記者会見を開き、各地の暴動を「国内テロ」と非難し、全米の州知事に州兵の動員を求めた上で、必要であれば連邦軍を派遣する意向を表明しました。

なお、会見後、歴代大統領が訪問することで有名なセント・ジョン教会まで歩き、聖書をもって記念撮影。このとき、催涙ガスを使用して抗議デモを追い払っています。

DCの管轄教区の司教は、トランプの行動に激怒しました。教会と聖書を力を見せるために利用、祈りを捧げて痛みを癒すこともせず、暴力を煽っただけとして痛烈に非難しました。

トランプの軍投入の意向に対しては、国防総省から異論が出ました。エスパー国防長官は「軍の動員は最後の手段であり、緊急で切迫した状況に限定すべきで、今はその状況にない」としてトランプのトーンとは明らかに一線を画する立場を表明しました。

こうした状況の中で、トランプは、軍の展開は現時点では必要とは思っていないとインタビューで発言しています。エスパーの発言と整合したようです。一方、報道によれば、DCからの軍の撤収をめぐりトランプはエスパーを叱責したと伝えられており(最終的に撤収は実現)、両者の間に亀裂が生じていることが窺えます。

軍幹部からも、軍がデモを鎮圧するために動くことの危険性を示唆し、「軍は米国民を守るために存在している」「国民の言論の自由は保障されるべき」というメッセージを出す動きが活発化しています。その代表例がミリー統合参謀本部議長が公開した統合軍宛の書簡です。

また、マティス前国防長官がトランプ大統領を批判する声明を発表しました。以下の記事で述べたとおり、マティスは昨年9月に回顧録『Call Sign Chaos』を出しましたが、トランプ政権への批判は控えていました。

「マティス前国防長官の回顧録」(19/9/9)
 
マティスは、沈黙は自分の義務であり、選挙で選ばれた最高司令官を攻撃して国を危険にさらすべきではないと述べていました。しかし、沈黙の期間は「永遠ではない」とも語っていました。上記記事でも、いつかマティスは語る、と指摘しましたが、ついにそのときが来たということです。

マティスのメッセージに対しては、共和党のマコウスキーロムニーの両上院議員が支持を表明しました。マコウスキーはトランプの再選について支持するか悩むとも発言しています。マコウスキーは何度もトランプの意に反する行動をとってきた議員ですが、真っ向から不支持を示すのは初めてです。

抗議デモと暴動の展望はどうなるのか。トランプが強権的な姿勢をアピールするのはなぜか。それは大統領選に向けてどのような意味をもつのか。これらの点について、明日、解説します。

●米国の失業率の改善

米労働省が5月の雇用統計を発表しましたが、失業率は13.3%と前月(14.7%)から一転して改善しました。市場予想(20%程度)を大きく下回る好結果でした。

トランプ大統領は大いに喜び、「すごい!」「こんな数字は見たことがない」「トランプ大統領は素晴らしい!(冗談だけど真実)」などとツイートを連投。わざわざ記者会見を開き、「米国史上最大の復活だ」とアピールしました。

なお、その記者会見では、「ジョージ(フロイド氏)は(天から)見下ろしていて、素晴らしいことだと述べていると思う。彼にとっても素晴らしい日だ」とも発言。さすがにそれは・・常軌を逸した言動です。しかし、そこにはトランプ流の計算も垣間見えます。これについては、明日説明します。

経済面での評価はSaltさんの経済ZAP!!にお任せしますが、私からは、今後のトランプ政権の評価との関係を解説します(※メルマガに限定)。

●天安門事件31周年

6月4日は天安門事件が起こった日です。香港では、毎年、大規模な追悼行事が開かれていましたが、今年は、新型コロナウイルスの感染防止を理由に大規模な集会が禁止されました。

しかし、各地で人々が集まり、追悼集会が開かれる結果になりました。香港国家安全法に対する暗黙の抗議でもあるのでしょう。香港の動きを含め、天安門事件に関してコメントします(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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6/8(月)
・NY市の経済活動が一部再開

6/9(火)
・FOMC(~10日)
・香港の逃亡犯条例改正案への抗議デモ発生から1年

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あとがき
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20秒以上の沈黙 カナダのトルドー首相、トランプ氏について意見求められ(6月3日付BBC)

トルドー首相の沈黙、感極まって、そのまま感情が発露したようです。とても珍しい光景ですね。このあと、記者から質問を受け、具体的に考えを説明しています。

その後、トルドーは、オタワでの抗議集会に参加したとき、率先して片膝をつく姿を見せました。こうした振る舞いや説明は、自分自身の判断で決めているようです。

トルドーに限らず、欧米(特に米国)の政治家について、すごいと思うのは、自分の言葉で語りかけるところです。特にそれは、前述のトルドーの沈黙のように、インタビューで明確に現れます。

特に米国では、大統領候補に選ばれるような著名政治家のみならず、連邦の上院・下院の議員の多くが優れた発信力をもっています。それは、民主党の予備選(先週、バイデンが正式に指名を確実にしました)の候補者たちを見ても分かったのではないかと思います。

こういうところを見ると、残念ながら、日本の政治家は及ばないと思わざるを得ません。もっとも、安倍首相がトルドーのような振る舞いを見せれば、それはそれで批判されてしまうのでしょうが・・(苦笑)。

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3 comments on “今週の動き(6/7~13)
  1. 有賀 より:
    リニューアルHP

    スマートなHPになりましたね。毎週月曜日が、ますます楽しみになりました。
    今後もJDさんならではの鋭く深い解説を期待しています!

  2. KB より:
    これぞまさに、グッチーポスト

    全米のデモ、香港での出来事。映像にインパクトがあるだけに、関心が一方方向にもっていかれますが、テレビや新聞だけを漫然と眺めていると、いかに一面しか見れていないのかが分かります。バイアスなく情報を収集し、今後の見通しを正しく持つ、こういう時こそ大切です。
    また、「失業率」の持つ意味も、政治・経済面それぞれで見てみると大変興味深いですね。Saltさんが述べられている、「ノイズ」がどこまで統計の信憑性やマーケットに影響し、それが大統領選にどう影響するか・しないのか、そしてトランプはどうなっていくのか・・・ものすごく興味があります。
    新生グッチーポストもスタイリッシュになって、いいですね。自称グッチーポストファンとしては、サイト全体に何が書いてあるかが一目瞭然の今のスタイルはとても気に入っています!特に月曜日はオールスター総出ですから、一望できるのはいいですね。これからも応援しております!

  3. 編集部 より:
    グッチーポスト編集部です。

    ブログの運営について、メールやコメント欄を通じご指摘をいただくことがありますが、今後の運営を検討する上で大変参考になっております。
    編集部としては、読者の皆様のご意見を参考にしながら、有益な情報をお伝えできるよう、全力を尽くしたいと考えております。
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