2020/04/06 00:00 | 今週の動き | コメント(1)
今週の動き(4/5~11)
相変わらず世界は新型コロナウイルス一色ですね・・世界中で著名人の感染と訃報が相次いでいます。
日本でもスポーツ選手や芸能人の感染が報じられていますが、最も衝撃だったのは志村けんさんの訃報でした。幼少期に毎週欠かさず土曜夜に『8時だョ!全員集合』を見ていた私にとっても、何か大きな喪失感をおぼえさせるような知らせでした。
海外メディアも「日本の喜劇王、コロナで亡くなる」「日本のセレブ初めての死」と大きく取り上げています。台湾の蔡英文総統も日本語でお悔やみの言葉をツイートしていました。
なお、以下の記事によれば、ここまで志村さんが台湾人に愛された背景には、「民主化を迎える夜明け前の時代」の象徴だったことがあるそうです。
■ 台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由(4月3日付Newsweek)
志村さんの番組を見ることが「反体制の行為」であり、「自由」を謳うことだったとは驚きでした。その後の民主化もあり、台湾人にとって「志村けん」という存在は、本人の意思や番組の内容を超えて特別な意味をもっていた・・とのことですね。
私も、『8時だョ!全員集合』を思い出すと、当時の情景がよみがえります。テレビ番組、映画、音楽といった文化は、その時点での個人の体験にリンクして、それぞれの人にとってかけがえのない記憶を構成するということですね。ご冥福をお祈りします。
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先週の動き
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3/29(日)
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策の国民向けの行動指針で示した活動制限の4月30日までの継続を発表
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策の経済政策として2兆ドルのインフラ整備を進める考えを表明
・北朝鮮が日本海に向けて飛翔体を発射
・モスクワが新型コロナウイルス対策として外出禁止を発表
3/30(月)
・米ロ首脳電話会談
・ワシントンDCが外出禁止令を発令
・IOCが東京五輪の新日程(21年7月23日開幕、8月8日閉幕)を承認
3/31(火)
・トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染拡大を受け「苦しい2週間になる」と発言、国内で10万~24万人の死者が出る可能性を指摘
・ポンペオ国務長官が新型コロナウイルスの感染拡大を考慮してイラン制裁の緩和を検討する可能性があると発言
・米国務省が「ベネズエラの民主主義への移行の枠組み」を発表
・G20財務相・中銀総裁会議(テレビ会議)
・ハンガリーでオルバン首相に広範な権限を認める非常事態法が成立
・英国のヘンリー王子とメーガン妃が王室から離脱
4/1(水)
・トランプ大統領が中国の新型コロナウイルスに関する統計の正確性への疑問を表明
・米・ブラジル首脳電話会談
4/2(木)
・トランプ大統領が国防生産法に基づきGE等6社に人工呼吸器の製造を命令
・トランプ大統領とサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が電話会談
・トランプ大統領がサウジとロシアは1000~1500万バレルの減産で合意するだろうとの見通しを表明
・サウジがOPECプラスとその他の国の緊急会合の開催を呼びかけ
・米労働省が3月22日~28日の失業保険申請件数は約660万件と発表
・米民主党全国委員会(DNC)が新型コロナウイルスの感染拡大を受け7月に予定していた党大会の8月への延期を発表
4/3(金)
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策として国民にマスク着用を推奨すると発表
・トランプ大統領が情報機関のアトキンソン内部監察官を解任する方針を議会に通告したことが判明
・プーチン大統領がノワク・エネルギー相に4月6日に予定されるOPEC等との会合で協調減産の合意を目指すよう指示
4/4(土)
・トランプ大統領が高性能マスク「N95」等の国内で製造された医療資材を輸出しないよう求める声明を発出
・英労働党が新党首にキア・スターマー議員を選出
●新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)
新型コロナウイルスは米国で猛威を振るい、4月5日時点で感染者数は30万人、死者数は8000人を超えました。NYがその大部分を占め、感染者数は11万人、死者数は3500人を超えています。
トランプ大統領は新型コロナウイルス対策の国民向けの行動指針で示した活動制限(以下の記事参照)を4月30日まで継続すると発表。イースター(4月12日)までに経済活動を再開させたいという発言も事実上撤回したことになります。
・「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/30)
トランプは、これから先は「苦しい2週間になる」と発言。感染症対策チームを率いる国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士とデボラ・バークス博士は、国内で10万~24万人の死者が出る可能性を発表しました。
さらにトランプは国民にマスク着用を推奨しました。上記記事の「あとがき」で述べたとおり、マスク着用は米国人にとって馴染みのない文化で(着用していると白い目で見られます)、またウイルスの感染防止には役に立たないことから、政府として推奨はしていなかったのですが、その方針を転換したことになります。
一方、先週の失業保険申請件数は約660万件に上りました。先々週の約330万件とあわせると、わずか2週間で1000万人(!)の失業が発生したことになります。グラフを見ると、まるで横軸と縦軸しかないようであり、その異常さがよく分かります。この垂直上昇は来週も続くことになるでしょう。
すでに米国は3つの景気刺激策を成立させましたが、トランプは、経済刺激策第4弾(Phase IV)として、インフラ整備を含む2兆ドルの支援策の検討を表明しています。
これら先週の動きと今後の展望についてコメントします(※メルマガに限定)。
●新型コロナウイルスの感染拡大(日本の対応)
新型コロナウイルスの感染者は急激な増加を続けており、4月5日には東京で143人(4日には全国で368人)の感染者が確認されました。
こうした状況の中、20年度予算が成立し、新年度に入ったことで、「4月1日(あるいは2日、3日)にロックダウンが始まる」などという風説が流れました。ネットのみならず、私自身、「内々の情報(永田町情報、政府筋など)によれば4月3日にロックダウンだそうです」というメールが何人もの友人から送られてきました。
小池都知事は、外出自粛を要請しつつ、日本政府に対し、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)上の緊急事態宣言を発令することを促しています。
一方、安倍政権は、収入が減少した世帯向けに30万円の現金給付を行う方針を決定したとのこと。また、全世帯に2枚のマスクを配布すると表明しました。
ロックダウンについては以下の記事で説明しましたが、現状を踏まえ、あらためて解説します(※メルマガに限定)。
・「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/30)
●原油の協調減産に向けた動き
以下の記事で述べたとおり、3月6日のOPECプラスで原油の減産合意の継続に向けた交渉が決裂し、ロシアとサウジがいずれも4月以降に増産する意向を表明したことで、原油価格が急落しました。
・「原油価格の暴落(サウジの王族逮捕)」(3/16)
原油価格の低迷は続いていましたが、先週、トランプ大統領が突然に「友人であるサウジのムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子と話した。彼はプーチン大統領と話したのだが、私は彼らが(日量)1000万バレルかそれ以上減産すると期待している。石油・ガス産業にとって素晴らしいことだ!」「減産幅は1500万バレルになるかも。すべての人にとって良い(素晴らしい)ニュースだ!」とツイート。これにより原油価格は急上昇しました。
また、サウジはOPECプラスとその他の国の緊急会合開催を呼びかけ、4月6日にテレビ会議が行われることになりました。プーチンは、閣僚らとのビデオ会議で、1000万バレルかその前後の減産が必要と述べ、ノワク・エネルギー相に緊急会合で協調減産の合意を目指すよう指示しました(しかし、その後、4月4日付WSJによれば、緊急会合は延期されたとのこと)。
これら先週の動きと今後の展望についてコメントします(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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4/5(日)
・英国のエリザベス女王が新型コロナウイルスの感染拡大について国民向けテレビ演説
4/7(火)
・米大統領選挙民主党予備選(ウィスコンシン)
4/8(水)
・中国の武漢市の封鎖解除
4/10(金)
・グッド・フライデー(聖金曜日)
・米大統領選挙民主党予備選(アラスカ(郵便投票))
・北朝鮮の最高人民会議(平壌)
●武漢市の封鎖解除
中国では、以下の記事でお伝えしたとおり、少なくとも当局の発表によれば、感染者の増加が止まっており、それを受けて、湖北省と武漢市の封鎖解除が決定されました。
・「新型コロナウイルスの感染拡大(中国の対応)」(3/30)
しかし、外国からの帰国者が増えることで、感染の第2波が起こることも警戒されています。先週、河南省のジア県(人口60万人)で封鎖措置が採られました。
武漢市も、経済活動を徐々に再開させながら、住民には強度の警戒を続けることを呼びかけています。今後の展望についてコメントします(※メルマガに限定)。
●米大統領予備選挙(ウィスコンシン)
新型コロナウイルスの感染拡大により、民主党予備選は延期と郵便投票化が相次ぎ、注目度も下がっています。ワシントンポストは、サンダースの陣営幹部がサンダースの撤退を促していると報じました。
そうした状況の中で行われるウィスコンシンの予備選ですが、世論調査ではバイデンがサンダースを20ポイント近くリードして引き離しています。ここでバイデンが大差で勝利すれば、いよいよサンダースにはとどめが刺されるかもしれません。
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あとがき
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コロナは世界情勢のみならず、世界の文化にも大きな影響を与えています。
ポリスの名曲「高校教師」がソーシャル・ディスタンシングに適した歌として再評価されているようです(原題は「Don’t Stand So Close To Me」)。私も大好きな歌でした。
ジャミロクワイのJKも、デビッド・ボウイの「レッツ・ダンス」を「ロックダウン」に言い換えた替え歌を披露しました。それにしてもJK、久しぶりに見ましたが、ずいぶんイメージが変わった(老けた?)気がしますね。
また、名曲「My Sharona」をコロナに置き換えることは多くの人が思いついたと思いますが、ザ・ナック自身が「Bye, Corona!」を披露しました。
「My Sharona」の替え歌といえば、アル・ヤンコヴィックの「My Bologna」が有名ですが、残念ながら出番はなかったようです。ヤンコヴィックは、米国版嘉門達夫のような人で、マイケル・ジャクソンの「Beat It」の替え歌「Eat It」、「Bad」の替え歌「Fat」などが有名です。
ヤンコヴィクについてはこちらの記事(19/2/18)のあとがきでも紹介しました。コロナ関連でこれからまた脚光を浴びそうな気もするので(すでに浴びているかもしれませんが)、ご関心ある方はこの機会にチェックしてみて下さい。
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日々、Twitterにメルマガで有益な情報をありがとうございます。
「コロナ」から始まり「コロナ」で終わるメディアが多い中、幅広いテーマを扱ってくださるメルマガは、大変助かっています。
ただ、少し前までは米国の大統領選がこの時期の最もホットな話題になると思っていましたから、ちょっとザンネンです。バイデンも、サンダースも、プレゼンスを発揮するには程遠く、ある意味犠牲者ですね・・・。
原油の話、とても参考になりました。米国の動きが見えていなかったのですが、トランプや米国の石油大手等の動きが、今後を考える上で大変参考になりました。