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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2020/03/23 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(3/22~28)


新型コロナウイルスの感染は世界185か国に拡大。今やほとんどの国が競い合うように出入国、営業、外出の制限を行っている状態に。メルケル首相は「第2次大戦以来最大の難局」と表現しました。前代未聞の状況ですね。

日本も、出勤やイベントが控えられ、在宅時間が長くなっている方が多いかと思います。私もそうです。まあ、ジムには行かずともゴルフには行き、大規模な集まりには行かずとも友人との食事には行っていますが・・。

とはいえ、在宅であってもインターネットのおかげで情報へのアクセスは困らず、ECによって物やサービスを受け取ることができます。物流の維持が大前提になりますが、その部分さえクリアできてれば、私の場合、生活の不便は感じません。便利な時代ですね。

巣ごもりならではの新たな消費もあるでしょう。行動に制約が加わることで打撃を受ける部分があるのは避けられませんが、新たな状況への順応と耐性を高めつつ、さらに新しい生活スタイルやビジネスを追求する。そうすれば今の危機が去ったとき、より力強い発展を期待できる。「これは変革の機会、チャンスなんだ!」・・とぐっちーさんなら言っていたのではないかと思います。

自宅待機については、感染拡大が緩やかになりつつある日本や中国よりも、急速に拡大が進行している欧米など他の地域の方が苦しい状況になるのでしょう。そうした状況を見越して、アーノルド・シュワルツェネッガー氏やケビン・ベーコン氏ら著名人も応援のツイートをしています。

シュワちゃんなら自宅にジムも完備しているでしょうが、巣ごもりトレーニングも流行りそうですね。と思っていたら、さすがシュワ様、しっかりフォローしてくれていました。どういう方法が良いのか、どういった道具を使うのが便利なのかなど、私もあらためて検討する良い機会になりました。

コロナウイルスについては、政治経済の動向はもちろん、こういったトレーニング、スマートホームなども含め(笑)、Saltさん(経済ZAP)、Konanさん、編集部からは、それぞれの持ち味を生かして、様々な情報をお伝えしたいと思っています。

我々の日常生活は徐々に平時に戻りつつありますが、海外やマーケットへの影響を考えると、先の長い戦いになります。それでもいずれは克服されるものです。それまでは私たちも、幅広い視野から情報を提供することで、皆さんをサポートしたいと思っています。頑張りましょう。

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先週の動き
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3/15(日)
・緊急のFOMC(FF金利の誘導目標を1.0ポイント引き下げ(0~0.25%))
・米民主党の大統領選候補者の第11回TV討論会(ワシントンDC)
・フランス統一地方選挙
・イスラエルのリブリン大統領が政党連合「青と白」のガンツ代表に組閣要請
・エルサレムの裁判所がネタニヤフ首相の初公判を3月17日から5月24日に延期すると表明

3/16(月)
・G7首脳テレビ会議(新型コロナウイルス対策の協議)
・トランプ大統領が新型コロナウイルス対策の国民向けの行動指針を発表(今後15日間は10人超の集まり、レストランやバーでの飲食、旅行の自粛を要請、感染拡大は「8月か7月、あるいはそれ以上続く可能性がある」と発言)
・中国の楊潔チ共産党政治局委員がポンペオ国務長官と電話協議(新型コロナウイルスの感染拡大に関する米国の中国批判に抗議)
・フランスのマクロン大統領が新型コロナウイルス対策として3月17日正午から15日間、全土で外出を制限すると発表
・ロシア憲法裁判所が憲法改正法案は合憲と発表

3/17(火)
・トランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」とツイート(中国は抗議)
・FRBが企業の資金繰りを支えるためCPを買い入れる緊急措置の発動を発表
・ムニューシン財務長官が8,500億ドルの経済対策(給与税の免除、航空会社や宿泊業への資金支援)について議会と協議を始めたと発表
・米軍の韓国駐留経費に関する米韓協議(LA、~19日)
・米大統領選挙民主党予備選(フロリダ、イリノイ、アリゾナ)(オハイオは延期)
・米共和党全国委員会がトランプ大統領は指名獲得に必要な代議員数を確保したと発表
・EU首脳会議(テレビ会議)(新型コロナウイルス対策としてEU域内への外国人の入国禁止で合意)
・イラクのサレハ大統領がアドナン・ズルフィ元ナジャフ市長を新首相候補に指名

3/18(水)
・トランプ大統領が国防生産法を発動する方針を表明
・米国でファミリーズ・ファースト・コロナウイルス対策法(有給休暇支援、失業保険支援、無料検査、食費支援)が成立(上院が可決、トランプ大統領が署名)
・米国務省が新型コロナウイルス対策としてビザの発給業務の一時停止を発表
・米国とカナダが新型コロナウイルス対策として両国間の国境の一時閉鎖を発表
・USTRがエアバスへの補助金を理由とするEUへの航空機への追加関税の税率を引き上げ(10→15%)
・米下院議員2人(共和党のディアスバラート、民主党のマクアダムス議員)が新型コロナウイルスの感染を発表
・米共和党の大統領候補者を目指していたビル・ウェルド元マサチューセッツ州知事が大統領選から撤退
・米国株式市場でダウ工業株30種平均がトランプ大統領が就任した17年1月20日の終値(1万9827ドル)を割り込む
・米自動車大手3社(GM、フォード、クライスラー)が北米での自動車生産を3月30日まで全面休止すると発表
・中国保健当局が湖北省での新型コロナウイルスの新たな感染者がゼロになったと発表
・中国外交部がWSJ、NYタイムズ、ワシントン・ポストの米国人記者に対し年内期限の記者証を10日以内に返還するよう要求
・ECB臨時理事会(量的緩和策の拡大を決定)
・英・EUのFTAを含む将来関係についての第2回目の交渉が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止
・日本が新型コロナウイルス対策として38か国(イラン、エジプト、英仏独伊等)からの入国を3月21日から4月末まで大幅に制限(2週間の待機要請、ビザの効力停止)

3/19(木)
・トランプ大統領が原油生産をめぐるロシアとサウジの対立について「適切な時に関与していく」と発言
・米上院の共和党指導部が新型コロナウイルス対策として1兆ドル規模の景気刺激策(現金給付、中小企業支援、航空産業等の支援)を発表
・米国務省が新型コロナウイルス対策として米国民に対しすべての外国への渡航を中止するよう勧告
・米ホワイトハウスが6月にキャンプ・デービッドで予定されていたG7サミットをテレビ会議形式で開催すると発表
・カリフォルニア州が新型コロナウイルス対策として外出禁止令を発令
・米民主党の大統領候補者を目指していたトゥルシー・ガバード下院議員が大統領選挙から撤退、バイデン前副大統領への支持を表明
・米民主党の大統領選予備選から撤退したキルステン・ジルブランド上院議員がバイデン前副大統領への支持を表明
・中ロ首脳電話会談
・中国の国家監察委員会が新型コロナウイルスの危険性に警鐘を鳴らした湖北省武漢市の李文亮医師への処分を撤回すべきだとする調査結果を発表、武漢市公安当局は処分を取り消し
・インドのモディ首相が新型コロナウイルス対策として3月22日午前7時から午後9時まで全土を対象に外出禁止令を命ずると発表
・ASEANが4月にダナンで予定されていた首脳会議を6月下旬に延期すると発表

3/20(金)
・ポンぺオ国務長官が新型コロナウイルスに対する中国の初動の遅れを批判
・USTRが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国から輸入する医療品への制裁関税の見直しの検討を発表
・米軍主導の「イスラム国」掃討の有志連合が新型コロナウイルスへの対応のためイラク駐留部隊の一部の帰還を発表
・米国防総省が「極超音速兵器」の飛行体の発射実験の成功を発表
・NY州のクオモ知事が同州にある事業者の全従業員に在宅勤務を要請
・米上院情報特別委員長のリチャード・バー上院議員らが米国内で新型コロナウイルスの感染拡大が確認される前に保有株式を売却していたことが判明
・英国が新型コロナウイルス対策として全休業者に給与の80%を支援すると発表

3/21(土)
・トランプ大統領が新型コロナウイルスへの経済対策について2兆ドルの規模を議会に要請していることを示唆
・北朝鮮が日本海に向けて2発の飛翔体を発射

●新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)

新型コロナウイルスの感染拡大について、トランプ大統領が「ウイルスの脅威は過大評価されている」とした当初の方針を一変し、総力を挙げて取り組む方針を示したことは以下の記事でお伝えしましたが、先週、その姿勢に拍車がかかりました。

「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/16)

まずコロナウイルス対策の国民向けの行動指針を発表。今後15日間は10人超の集まり、レストランやバーでの飲食、旅行の自粛を要請。コロナウイルスの感染拡大は「8月か7月、あるいはそれ以上続く可能性がある」と発言。そして米国は「見えない敵」との「戦争」に臨んでいるとして、米国民の一致団結を訴え、「我々は勝つ!」と宣言しました。

そして、カナダとメキシコの国境での移動制限、米国民への海外渡航禁止、国防生産法の発動に踏み切りました。まさに「戦時下の大統領」を思わせる劇的な措置を一気に進めてきました。

経済政策も総動員しました。FRBは一気に1.0ポイントの利下げに踏み切り、ゼロ金利に突入。企業の資金繰りを支えるためCPを買い入れる緊急措置を発動しました。

そして3月6日に成立した緊急対策第1弾(以下の記事参照)に続く第2弾として、18日にファミリーズ・ファースト・コロナウイルス対策法(有給休暇支援、失業保険支援、無料検査、食費支援)が成立。下院民主党(ペローシ議長)が提案したものですが、3月13日に下院で可決してから1週間足らずで上院の可決とトランプの署名に至りました。

「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/9)

さらにトランプ政権は議会に大規模な景気刺激策の策定を要請していましたが、第2弾の成立直後に上院の共和党指導部(マコーネル院内総務)が1兆ドル規模の景気刺激策(現金給付、中小企業支援、航空産業等の支援)を発表。第3弾の緊急対策になり、今週、議会での審議が行われます。

一方、コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び、中国を挑発するかのような言動も見せています。以下の記事で述べた「コロナウイルスは中国発祥ではない」「米国から持ち込まれた可能性がある」という中国の発言を受けてのものですが、米中の「口げんか」も白熱しています。

「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/16)

しかし、トランプ政権の取り組みにもかかわらず、株価は下落。ダウ工業株30種平均はトランプが大統領に就任した17年1月20日の終値(1万9,827ドル)を割り込みました。「トランプ・バンプ」が消えたことになります。

こうしたトランプ政権の対応と今後の展望について解説します(※メルマガに限定)。

●新型コロナウイルスの感染拡大(欧州の状況)

先週にも述べましたが、新型コロナウイルスの感染は欧州で劇的に拡大しています。イタリアの感染者数は5万4,000人、死者は4,800人に上り、致死率は9%と世界全体(3.4%)を大きく上回ります。スペインもこれに迫る勢いになってきました。

「新型コロナウイルスの感染拡大(米国の対応)」(3/16)

欧州の感染拡大の現状についてコメントします(※メルマガに限定)。

●米民主党の大統領選候補者の第11回テレビ討論会

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、会場がアリゾナ州フェニックスからワシントンDCに変更。無観客で行われました。

バイデンサンダースの初めての一騎打ちであり、ミシガンで敗れたサンダースにとっては事実上最後ともいえる挽回の機会になりました。その結果については以下の記事で書いたので、ご参照下さい。

「米大統領予備選挙(ミシガン、フロリダ・イリノイ・オハイオ)」(3/17)

●米大統領予備選挙(フロリダ・イリノイ・アリゾナ)

フロリダ、イリノイ、アリゾナの3州で予備選が行われました(オハイオは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて直前に延期)。

バイデンは3州すべてで勝利。フロリダでは40ポイント、イリノイでは23ポイント、アリゾナでは12ポイントの大差をつけました。上記「米大統領予備選挙(ミシガン、フロリダ・イリノイ・オハイオ)」(3/17)で予想したとおりの結果です。

今回の結果の意義と今後の展望について、明日解説します。

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今週の動き
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3/22(日)
・トランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長に新型コロナウイルス対策について協力する意向を示した親書を送ったとの声明を金与正党中央委員会第1副部長が発出
・日本が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米国への危険情報をレベル2(不要不急の渡航の自粛)に引き上げ

3/23(月)
・EU外相理事会(テレビ会議)

3/24(火)
・G7外相会合(テレビ会議)
・米大統領選挙民主党予備選(ジョージア)の延期
・ボアオ・アジアフォーラム(海南省)の延期

3/26(木)
・EU首脳会議(テレビ会議、〜27日)

●G7外相会合(テレビ会議)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、G7外相会合とEU首脳会議はテレビ会議で行われることになりました。

6月にキャンプ・デービッドで予定されていたG7サミットもテレビ会議で行われることになりました。後世では「G7オンライン・サミット」などと呼ばれることになるのでしょうか。

G7では、「合意した」というメッセージを出すことに意味はありますが、拘束力のある結論に向けた議論や交渉が行われることはまずありません。その意味では予定調和あるいは言いっ放しの「政治ショー」になっています。

G7のみならず、多国間会議の多くは、こうした緩やかなメッセージの発信や意見交換にとどまり、WTOのようにギリギリした交渉が行われる場は例外的です。この機会に見直されて、オンライン化が進むかもしれません。

もっとも、サミットのような主要国が集まるマルチの会議では、サイドラインで安倍首相とトランプ大統領のテタテ(一対一)など、自然な形でハイレベルのバイ(二国間)会談を実現できる機会になります。

また、今回のように、危機への一致した対応が求められる場合には、リーダーたちが実際に顔と顔を突き合わせることで、想定を超える協調が生み出されることもあります。安倍首相がトランプに面と向かってリーダーシップの発揮を促すことにも意義があったでしょう。その意味では残念ではあります。

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あとがき
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‘Sorry!’: Dutch PM breaks own ‘no handshake’ rule at coronavirus conference – video(3月10日付The Guardian)

オランダのルッテ首相が「握手をやめよう」と呼びかけた直後にうっかり握手して「Sorry!!」(リンク先に動画があるのでぜひご覧下さい)。

チャールズ皇太子も、「ナマステ」挨拶をしようとしながらうっかり手を出していました。こういう光景、そこかしこで見られるのでしょうね。

しかしトランプ大統領は次々に握手。もともと握手は嫌いだったはずなのに・・マイクもベタベタさわり、その使い回しも良いのかという指摘も。

握手について聞かれると「習慣になっているんだよ」「もともと私はもともと握手しない人だったんだけど、政治家になったんでね」と説明。ルッテ首相のように「ゴメン、これから気をつけよう!」と言えば終わる話ですが(苦笑)。

しかしさすがにトランプも、相手に促され、ついにエルボー・バンプを学んだようです。

ナマステ挨拶やエルボー・バンプも、徐々に定着していくのでしょうね。海外ではネタにされがちな日本のお辞儀も評価されるのかもしれません。

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One comment on “今週の動き(3/22~28)
  1. KB より
    浦島花子

    半年前にはこんな社会やマーケットを誰が予想したでしょうか・・・。
    大統領選を楽しみにしていたのに、全く影も形もない感じです(苦笑)

    連日疲れた顔で記者会見しているトランプ、ベーシックインカムみたいな話が米国議会で焦点となり、一気にダイナミックな法案が通過したり、中央銀行が一斉に緩和に乗り出したり・・・。ちょっと目を離すと一瞬にして置いて行かれます。
    ひとまず、米国は緊急対策第3弾の次、日本はオリンピックですね・・・。

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