2015/07/03 00:00 | 中東 | コメント(2)
シナイ半島とクウェートでのテロ
「Q&A」で金曜には英語についての記事を書くと述べていましたが、旬な記事があまりに多いので、すみません、こちらを優先します。
■ エジプト軍検問所を同時襲撃、過激派戦闘員や兵士ら100人超死亡(7月2日付ロイター記事)
これはかなり大規模な武力衝突です。これだけ多数の場所が同時に攻撃され、双方に100名もの死傷者を出すという凄まじい事態は、2011年の騒乱以降初めてと思います。アルジャジーラは、この数年で最悪の事態であると報じています。
攻撃を行ったと宣言している「イスラム国」の「シナイ州」(団体の名称)は、もともとは「アンサール・バイト・アル・マクディス」という名前の武装組織で、アラブの春の頃から既に活動していました。「イスラム国」への忠誠を宣言して「シナイ州」を名乗るようになったのは昨年です。
また、アッシャルク・アル・サウアト紙(サウジ資本メディア)やアル・アハラム紙(エジプトのメディア)によれば、ムスリム同胞団やベドウィンが関与している可能性もあるとのことです。
つい数日前には検事総長がリモート爆弾で殺害されました。こちらは「モルシー大統領の死刑判決」の際の裁判官殺害と同様にムスリム同胞団による犯行が疑われています。
私は、毎年のようにシナイ半島南部(シャルム・エル・シェイク)での紅海ダイビングとシナイ山登頂を計画しているのですが、そのたびに情勢が改善しないのを確認し、断念しています。早く安定して欲しいものです。ちなみにシャルム・エル・シェイクは、ムバラク元大統領のお気に入りの場所であり、2011年に辞任した後にカイロを脱出して滞在したところです。
自分自身がテロと巻き込まれそうになった経験についていえば、一番背筋が凍ったのが、1997年11月のルクソールでの外国人観光客に対する無差別テロ事件です。
私はこのとき、半年かけて陸路でユーラシア大陸を横断した後、エジプトに渡り、カイロからルクソール、アスワン、アブシンベルまで下るという旅路にありました。ルクソールでは自転車で神殿を回り、2週間後にカイロに戻り、それからナイロビに飛んだのですが、到着して新聞を読んだところで事件が発生したことを知りました。
ちょうど2週間前にテロが起こった現場に自分も(自転車に乗って)いたのです。自分がその場にいたらどうなっていたのだろうか、自転車で逃げられたのだろうか・・・と何とも言えない気分になりました。
それから、6月26日のクウェート、チュニジア、フランス、ソマリアの連続テロ。
■ テロの恐怖再燃―仏、チュニジア、クウェートで爆発、襲撃相次ぐ(6月27日付ウォールストリートジャーナル記事)
チュニジアは3月のバルドー博物館事件に続いて2回目ですが、テロとは無縁だったクウェートで起きたのは驚きでした。こちらは「イスラム国」の「ナジュド州」を名乗る組織による犯行とのこと。27人死亡という事態は、クウェート史上最悪のテロといえるでしょう。
クウェートは宗派対立の色彩が薄く、立憲君主制の下、議会制度が発達している国であり、特に昨年から政治状況は極めて安定していますから、これにより体制が不安定化するリスクは低いですが、他のGCCの国々を含め、今後の情勢が気になるところです。
雨が続くかと思っていたら、意外と持ちこたえているようですね。では、良い週末をお過ごし下さい。
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2 comments on “シナイ半島とクウェートでのテロ”
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>>半年かけて陸路でユーラシア大陸を横断
これは自動車・・?
ぼくもシルクロード自動車の旅・・学生時代計画・・余りの困難さに放棄・・
代わりに数年後・・モロッコ・・自動車の旅・・
迷ったら・・真夜中・・荒野で自警団にとっ捕まった。・・スペインのスパイだろうと・・廃墟に立たされ・・危うかった・・軍の到着遅ければ危うかった・・機関銃やナイフ・拳銃で突かれ突かれ・・スパイだろう・・YESと言え・・言う筈がない。が・・実にシツコイ・・(笑
これはバスと鉄道です。
自動車をつかったのはラサ-カトマンドゥ間の移動ですね。ここはバックパッカーが集まってランクルを手配しました。それ以外に手段がなかったので・・
そのうち詳細を書いてみたいと思います。
ちなみに最初に上海に行くときは神戸から船でした。
モロッコ自動車の旅、いいですね。
私は、モロッコから西サハラ、モーリタニアを抜けて、セネガルまで陸路でいくプランも立てました。当時は情報を集めるのも大変でアドベンチャー気分でしたが、今なら楽勝のようです。笑