2019/09/23 00:00 | 今週の動き | コメント(2)
今週の動き(9/22~28)
ラグビーワールドカップが始まりましたね。開幕戦は日本-ロシアで、日本が順当に勝利。私の友人のロシア人は「ロシアではラグビーはそこまでさかんではないからね」とコメントしていましたが(笑)、まずは初開催国として記念すべき勝利ですね。
次の日本戦は9月28日で、相手は世界ランキング1位のアイルランド。強豪相手にどこまで戦えるか見ものですね。
ちなみに開幕日の前日(9月19日)には、NZのアーダーン首相が訪日し、安倍首相と会談していました。NZは言わずと知れたラグビー大国(大会2連覇中)。現地に出張したとき聞いたところによれば、今回のワールドカップを見越して、多くの人たちが大会期間中に日本での会議を設定したそうです(笑)。
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先週の動き
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9/15(日)
・トランプ大統領が、9月14日のサウジの石油施設への攻撃が原油価格を高騰させる可能性を踏まえ、戦略石油備蓄(SPR)の放出を認可したとツイート
・トランプ大統領が、サウジの石油施設への攻撃について「検証の結果次第では臨戦態勢をとる」とツイート
・香港で政府に対する無許可の抗議デモ
・ベネズエラのグアイド国会議長が与野党間の協議の終結を宣言(マドゥロ大統領は一部の野党と対話を始めることで合意したと発表)
・チュニジア大統領選挙(反体制派の候補者2人が決選投票に進出)
9/16(月)
・トランプ大統領が、サウジの石油施設への攻撃にイランが関与した可能性は高いが、「戦争は望んでいない」「今後については多くの選択肢があるが、誰が攻撃したのかを断定したい」と発言
・サウジ外務省が、石油施設への攻撃にはイラン製の武器が使われ、攻撃はイエメンからなされたものではないことが初期の調査で判明したとした上で、国連を含む国際調査団をサウジに招き真相を明らかにする方針を表明
・イランのロウハニ大統領がサウジの石油施設への攻撃はイエメンの人々からの対抗措置と主張
・トランプ政権が日本との間で関税障壁に関する協定で合意に達し、数週間以内に署名すると議会に正式に通知(今後も包括的な貿易協定の交渉を続ける方針を表明)
・香港で政府に対する大規模な抗議デモが発生して100日目
・台湾とソロモン諸島が国交断絶
・台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)前董事長が20総統選への無所属での出馬の見送りを表明
・英国のジョンソン首相がユンケル欧州委員長と会談(ルクセンブルク)
・ロシア軍の軍事演習「中部2019」(中国軍が参加)(~21日)
・ロシア・イラン・トルコのシリア情勢に関する首脳会議(アンカラ)
・IAEA年次総会(ウィーン、~20日)
9/17(火)
・国連総会(NY、〜30日)
・FOMC(~18日)
・イスラエル総選挙
・イランのハメネイ最高指導者が「イランは政府のどのレベルにおいても米国とは対話しない」「米国が核合意に復帰すれば多国間協議は可能」と発言
・アフガンのパルワン州でのガニ大統領が参加していた選挙集会の近くとカブール中心部の米国大使館近くで爆発(タリバンが犯行声明)
・イタリアのレンツィ元首相が連立与党の民主党を離党し新党を結成すると表明
・ロシア連邦保安局が日本海のEEZで違法操業したとして北朝鮮の漁船2隻を拿捕したと発表
・ベネズエラの国会がグアイド国会議長を暫定大統領として正式に承認
9/18(水)
・トランプ大統領がムニューシン財務長官にイランへの経済制裁を大幅に強化するよう指示したと発表
・トランプ大統領が国務省のロバート・オブライエン大統領特使(人質問題担当)を大統領補佐官(国家安全保障担当)に起用すると発表
・トランプ大統領がカリフォルニア州の独自の環境規制(自動車排ガス規制)の剥奪を表明
・トランプ大統領が外国首脳との電話で交わした「約束」について情報機関の当局者が内部告発を行ったとワシントン・ポストが報道
・ポンペオ国務長官がサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談(ジッダ)
・FOMC最終日(7月に続く利下げ、FF金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き下げ(1.75~2%))
・カリフォルニア州のニューサム知事がネットを通じて単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」らを従業員として扱うよう企業に義務付ける州法案(AB5)に署名(20年1月に施行)
・サウジ国防省が、石油施設への攻撃に使用されたとする巡航ミサイル7発と無人機18機の破片を公開し、イランが関与したことを示す証拠と主張
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とロシアのプーチン大統領が電話会談
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と韓国の文在寅大統領が電話会談
・仏伊首脳会談(ローマ)
・カナダのトルドー首相が01年に顔を茶色く塗る人種差別的な仮装をしていたとの報道を受け謝罪
・韓国が安全保障にかかわる戦略物資の輸出管理の優遇対象国から日本を除外
9/19(木)
・トランプ大統領がフェイスブックのザッカーバーグCEOと会談(ワシントンDC)
・米中次官級通商協議(ワシントンDC、~20日)(9月23日から25日まで中国代表団がモンタナ州の農産品生産地を訪れる予定だったが中止)
・ポンペオ国務長官がUAEのムハンマド・ビン・ザイド皇太子と会談(アブダビ)
・イランのザリーフ外相が米国かサウジがイランを軍事攻撃すれば「全面戦争」になると警告
・日・NZ首脳会談(東京)
9/20(金)
・トランプ大統領が、7月25日のウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議で、バイデン前副大統領の息子に関する調査に協力するよう繰り返し求めたとの報道
・米財務省が、不正な資金取引に関わったとして、イランの中央銀行や国家開発基金を経済制裁の対象に指定したと発表
・エスパー国防長官がサウジへの米兵の増派を発表
・米国の24の州と地域(カリフォルニア、ニューヨーク、ワシントンDC、ミシガン、イリノイ等)が同州・地域の独自の環境規制をトランプ政権が剥奪したことの撤回を求めて同政権を提訴
・米民主党のデブラシオNY市長が20年大統領選挙から撤退
・イエメンのフーシ派の最高政治評議会のメフディ・マシャト議長が、相互措置を条件として、サウジへの攻撃を全面的に停止する意向を表明
・台湾とキリバスが国交断絶
・北朝鮮の金明吉(キム・ミョンギル)前駐ベトナム大使が、自らが米朝非核化交渉の首席代表を務め、ボルトン前大統領補佐官の解任を念頭に米国の「賢明な政治的決断を歓迎する」との談話を発表
・米豪首脳会談(ワシントンDC)
・エジプト各地でシシ大統領の辞任を求めるデモ
・ラグビーワールドカップ(日本、~11/2)
9/21(土)
・中国とソロモン諸島が国交を樹立
・英国の労働党大会(~25日)
●トランプのウクライナ大統領への圧力疑惑
トランプ大統領が、7月に行われたウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議において、バイデン前副大統領の息子について調査するよう圧力をかけていたとの疑惑が報道されました。バイデンは、副大統領時代にウクライナの民間ガス会社ブリスマ・グループを捜査した検事総長を解任させようとしたことがあり、息子のハンター・バイデンが同社の役員だったことから、トランプは何らかの不正があったのではないかとみていたのです。
トランプはゼレンスキーに対し自身の弁護士であるルディ・ジュリアーニに協力を要請していたとのこと。経済支援を調査の見返りにしていたともいわれています。
この報道に先立ち、トランプと外国首脳との会話に懸念を抱いた情報当局者が内部告発したとの報道がありました。おそらくゼレンスキーとの電話協議を指しているとみられています。
また新たにトランプのスキャンダルが浮上したということで、米国では大きな注目を集めています。現時点でのコメントを述べます(※メルマガに限定)。
●サウジの石油施設に対する攻撃
9月14日に行われたサウジの石油施設への攻撃については、イエメンのフーシ派が犯行声明を出していますが、先週、トランプ大統領は「我々は犯人を知っており、その理由もある。検証結果によっては臨戦態勢をとる(locked and loaded)」とツイートした上で、イランが関与した可能性が高いと発言。ポンペオ国務長官もイランの関与を主張し、急遽サウジとUAEを訪問してムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子とムハンマド・ビン・ザイド(MbZ)皇太子と会談。その上で、攻撃はイランによるものであって、サウジへの戦争行為である、と発言しました。
トランプ政権は、サウジの調査結果を見ると述べていましたが、そのサウジは、攻撃に使用されたとする巡航ミサイル7発と無人機18機の破片を公開し、イランが関与したことを示す証拠である、と主張しました。
トランプは、イランへの経済制裁を大幅に強化するようムニューシン財務長官に指示し、これを受け、財務省は、イランの中央銀行や国家開発基金を制裁対象に指定しました。また、国防総省はサウジへの米兵の増派を発表しました。
一方、トランプ自身は、イランによる攻撃とは断定せず、「戦争は望んでいない」「今後については多くの選択肢があるが、誰が攻撃したのかを断定したい」と述べています。
イランは一貫して関与を否定し、ザリーフ外相は、米国かサウジがイランを軍事攻撃すれば「全面戦争」になると警告しています。今週、国連総会にイランを含む各国の首脳が集結しますが、ハメネイ最高指導者は「イランは政府のどのレベルにおいても米国とは対話しない」「米国が核合意に復帰すれば多国間協議は可能」と述べ、あらためて従来の立場を強調しています。
そうした中で、犯行声明を出したフーシ派は、相互措置を条件として、サウジへの攻撃を全面的に停止する意向を表明しました。
サウジの石油施設への攻撃については様々な見方がありますが、その真相と今後の見通しについて分析を述べます(※メルマガに限定)。
●オブライエン大統領補佐官の起用
更迭されたボルトン前大統領補佐官の後任には国務省のロバート・オブライエン大統領特使(人質問題担当)が就くことになりました。その意義を解説します(※メルマガに限定)。
●イスラエル総選挙
結果は以下のとおりでした。
(右派)
〇リクード 32(▲6)
〇ヤミナ(旧統一右派) 7(+1)
・イスラエル我が家 8(+3)
(宗教政党)
〇シャス 9(+1)
〇統一トーラー 8(変化なし)
(中道)
・青と白 33(▲2)
(左派)
・労働党 6(変化なし)
・民主連合 5(+1)
(アラブ政党)
・合同リスト 13(+3)
〇はネタニヤフ首相を支持する政党ですが、合計しても過半数(61)に届きません。しかし、それは「青と白」を軸とする中道連合も同じです。最も伸びたのは世俗の極右政党「イスラエル我が家」でした。以下の記事で述べたとおりの結果でした。
・「イスラエル総選挙」(9/16)
今後の展望を述べます(※メルマガに限定)。
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今週の動き
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9/23(月)
・トランプ大統領が宗教の自由の擁護を呼びかける国際会合を主催(NY)
・国連気候変動サミット(同)
・安倍首相が国連総会出席のためNY訪問(~26日)
・カナダの裁判所がファーウェイの孟晩舟副会長の米国引渡しについて予備審理
9/24(火)
・トランプ大統領らが国連総会で演説(NY)
・日・イラン首脳会談(同)
・日韓経済人会議(ソウル、~25日)
9/25(水)
・日米首脳会談(NY)
9/26(木)
・安倍首相がベルギー訪問(~28日)
9/28(土)
・アフガニスタン大統領選挙
●国連総会
例年どおり、国連総会の機会に数多くの二国間首脳会談が開催されます。
米・イラン首脳会談の見通しについては、「先週の動き」の「サウジの石油施設への攻撃」で述べたとおりです。
日米首脳会談では貿易協定の署名が行われる予定です。とてつもないスピードでよくまとめたものだと思います。ポイントは以下の記事で述べたとおりです。
・「日米貿易協定交渉の大枠合意」(8/26)
その後の報道を見ていると、農産品輸入の無税枠はじめ、おおむね上記記事の予想に沿った方向で調整が進んでいるようですが、すでに述べたとおり、ここは最終的な合意を見なければ何とも言えません。今の時点では過大な予断をもたず、報道はある程度引いた目で見た方が良いでしょう。
この他、米韓首脳会談等も予定されています。日・ウクライナ大統領も予定されていますが、こちらは「先週の動き」の「トランプのウクライナ大統領への圧力疑惑」で述べたとおり、トランプ大統領のスキャンダルが絡んだことでにわかに注目を集める会談になりました。結果を見た上で解説します。
●アフガニスタン大統領選挙
2度にわたり延期された選挙がようやく実施されます。タリバンは選挙に反対し、テロ攻撃を仕掛けており、投票日に向けて治安が極度に悪化しています。
現職のアシュラフ・ガニ大統領が優勢とみられていますが、結果を見た上で解説します。アフガン現代史も近いうち取り上げます(と言いつつ、ニュースが多すぎて先延ばしになっていますが・・(苦笑))。
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あとがき
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ぐっちーさん、ちょっと心配ですね・・一日も早いご回復を祈っています。
私はこれまでどおりのペースで発信を続けますので、その点はご安心下さい。
ぐっちーさんが戻ってくるまでは、いつも以上に気合いを入れて頑張りたいと思います。引き続きご愛顧の程よろしくお願いします。
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2 comments on “今週の動き(9/22~28)”
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トランプ、Twitterでもかなりのエネルギーをバイデンに割いている感じがします。一方でJDさんご指摘のように、民主党にとって、好材料にならないと分かっていれば、しばらくこのスタイルを貫くつもりでしょうか?大統領選に向けて、焦っているのか、トランプ無双がそこまで冴えていない気もしますが…。
そして、サウジ。こちらは本当に「相互措置」が成り立つのか興味深いです。見通しを伺い、最悪の事態は回避できそうなので、まずは安心ですが、長期化した際の問題点については引き続き学んでいきたいと思います。また、「原油価格」の考え方は面白く拝読しました。
イスラエルの「輪番制」しかり、党が乱立し状況(テーマ)に応じて連立を組む(組み替える)というスタイルは、国の成長を妨げないのでしょうか?今週の「第10話」楽しみにしています!
連休でもいつも通り変わらず更新していただき、ありがとうございます!
イランの解説、そうですよね。あの規模で承認が無いわけがないですよね。
かねてより指摘されていた原油への影響力の誇示という点も、サウジ攻撃後にトランプが再三再四、米国の備蓄原油をリリースするから問題無いと言っていたことと併せて考えてみると、米国側もイランの目的のひとつをそう読んでいた証なのだろうなと思います。
でもやはり不思議なのが、米国は既に対立モードだったから良いとしても、何とか上手くやっていこうとしていたその他核合意国の反感を買いかねない選択を、なぜイランは行ったのだろうかという点。特にこれまで積極的に交渉を進めてくれていたフランスの顔に泥を塗る行為にしか思えません。
23日、英独仏の三か国はサウジの攻撃に関して共同声明を発表し、イランを非難した上で核合意の内容を更に厳しくする提案をしてきました。攻撃を行えばこの事態に至ることはイランも分かっていたと思うのですが・・自国が不利になる可能性を理解しつつ、それでも攻撃を実行に移したという事でしょうか。(それともこのリスクも上手くコントロールできると踏んでいたのでしょうか・・?)
ご解説頂いたイランの動機の中で何だかしっくりこなかったのは、圧力による欧米へのアドバンテージです。軍事的パフォーマンスを見せることでこれ以上イランを野放しにしては危険だ!と関係国を慌てさせ、自国に有利な条件を引き出すという意図は理解できるのですが、これまでの流れの中でそれが通用すると判断した感覚が不思議に感じるのですよね。譲歩を引き出すどころか相手怒っちゃうよね、当然じゃん、と私のような素人は思ってしまう訳ですが、このあたりは私自身のイランに対する知見が浅いせいもあるのでしょうね。JDさんのように長いこと中東を見ている専門家からすると、今回のイランの動機はごく自然なものに感じられるのでしょうか。
それとイランにとっては制裁解除がファーストプライオリティであり、全ての判断がそれを考慮して行われるものだと思っていましたが、全部が全部そういう訳でもないのかなと。フーシ派への(今回の)協力も一見すると非合理的な選択にも思えるのですが、たとえ核合意交渉が多少ステップバックしたとしても、イエメンにおけるフーシ派の勢力固めはイランにとって重要なことであった、ということなのかなと。
ロイターによれば、24日ロウハニ大統領が制裁解除を条件に核合意の微修正や条項追加を協議する用意があると述べたとの事。例の本音と建前ですよね。そしてこれは譲歩でしょうか。あんなに大胆な攻撃を行った割に、いとも簡単に方針を変えてきたようにも感じるのですが、イランはどうしたのでしょう。指導部で意見の対立があったりするのかしら。
ウクライナ疑惑は盛り上がっていますね。トランプのツイッターを見ていても疑惑否定に躍起になっていますし、何とかバイデンの疑惑へ転換したいという必死さが伝わってきます。国連総会期間中なのにウクライナ関連のツイートの方が多いという。トランプのツイートは全般的に面白いのですけれど、やはり嫌なことをされた時につぶやく「PRESIDENTIAL HARASSMENT!」がお気に入りですね。自分が嫌なことをされた時だけハラスメント主張するという、さすがTHE自己中男です。
『ダウントン・アビー』も最終シーズンまで見終わりました。グエンにも再会できて良かったです。思いがけず感動したのは、メアリーと仲違いしたイーディスが迷いながらも彼女の結婚式に駆け付けた際、その理由を問われ「あなたは記憶を共有できる唯一の姉妹だから」と答えたこと。ああそうだな、記憶を共有できる相手って大切だな、貴重だな、と改めて実感するとともに、何だかとても心に響きました。
あちらのブログに沢山のコメントが寄せられていますが、私もここに少しばかりの祈りを書き記しておきます。ぐっちーさんが一日も早く復帰されますように。