2019/05/08 05:00 | 米国 | コメント(3)
米国の選挙資金制度
■ Donald J. Trump(1)/(2)(5月5日付ツイッター)
トランプ大統領の対中関税引き上げツイートには驚かされました。引き上げ実施日を5月10日に設定したことから、その直前に予定される対中協議に向けた揺さぶりとも思われましたが、その後ライトハイザーUSTR代表も同じ意向を表明し、官報でも公表するとのことなので、実施はほぼ間違いないでしょう。
トランプが豹変したのはなぜか。報道によれば、中国は当初強制技術移転に関する国内法の改正を合意文書に含めることに同意していたが、先週になって同意を撤回し、その対応に激怒したライトハイザーがトランプを焚き付けたといわれています。
中国が協議をキャンセルするとの情報もありましたが、劉鶴副首相は5月9~10日に訪米する予定とのこと。とりあえず交渉は続けられるようですが、見通しは不透明になりました。まずは協議の結果次第ということになります。来週、あらためて解説します。
さて、本題です。
■ 大統領選の選挙資金集め、トランプ陣営は34億円 民主党候補を圧倒(4月16日付CNN)
■ 2020 first-quarter fundraising totals released(4月16日付CNN)
■ バイデン氏、献金630万ドル獲得 米大統領選出馬表明から1日で(4月27日付ロイター)
KBさんから「今週の動き(2/24~3/2)」(2/25)のコメント欄で以下のコメントがありました。
>ネット献金の話が出てきて、日本のそれとはまったく趣が異なるので興味を持ちましたが、この献金は「選挙のための資金集め」という目的のお金なのでしょうか?
>「政治資金」「ロビー団体からの寄付」などいろいろありますが、不特定多数からのお金がこれほどまでに集まったら、情報公開などさぞかし大変だろうと思います・・・。
よく言われることですが、選挙はカネがかかります。特に米国の大統領選では巨額の資金が動くことがよく知られています。
先月、19年1~3月(第1四半期)に調達された選挙資金が公表されました。トランプ大統領と民主党候補者の調達額と小口献金(200ドル未満)の割合は以下のとおりです。
★ ドナルド・トランプ 3030万ドル 55%(注1)
1 バーニー・サンダース 1820万ドル 84%
2 カマラ・ハリス 1200万ドル 37%
3 ベト・オルーク 940万ドル 59%
4 ピート・ブティジェッジ 710万ドル 64%
【参考(注2)】 ジョー・バイデン 630万ドル 97%
5 エリザベス・ウォーレン 600万ドル 70%
6 エイミー・クロブシャー 520万ドル 35%
7 コーリー・ブッカー 500万ドル 16%
8 キルステン・ジルブランド 300万ドル 17%
9 ジェイ・インスリー 230万ドル 34%
10 ジョン・ヒッケンルーパー 200万ドル 10%
11 トゥルシー・ガバード 190万ドル 55%
12 アンドリュー・ヤン 180万ドル 81%
13 マリアン・ウィリアムソン 150万ドル
14 フリアン・カストロ 110万ドル 34%
15 ジョン・ディレイニー 40万ドル 18%
(注1)ワシントン・ポストの算定(民主党候補者と同じ算定基準)。トランプ陣営は99%と述べているが、算定基準が異なるとみられる。
(注2)4月24日に出馬表明してから24時間で集めた金額。
なお民主党候補者の顔ぶれと特徴については以下の記事をご覧ください。
・「ジョー・バイデンの大統領選出馬」(5/1)
以上のとおり選挙資金については様々な情報が出ています。当然ながら沢山の資金を集めている候補はそれだけ期待が高く、選挙戦で優位に立ちます。しかし、その規制や具体的な使途、小口献金の意味等については、実はよく分かっていないという方が多いのではないかと思います。
そこで、本日は米国の選挙資金制度の全体像と詳細について解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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米国の選挙資金制度
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●大口献金(二つの最高裁判決)
●小口献金(ネットの威力)
●ダークマネー
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あとがき
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■ インド、TikTokのダウンロード禁止 中国製が理由?(4月21日付ニューズウィーク)
TikTokが中国当局の情報収集ツールとして問題視されたことは以下の記事の「あとがき」でお伝えしましたが、インドでも問題に・・?と思ったら、ちょっと違う理由のようです。タイトルがミスリーディングですが、意図的にこうしたのでしょう。
・「今週の動き(2/4~10)」(2/4)
インド人はひたすらしゃべるというイメージがあるかと思いますが、実際そのとおりです(笑)。SNSなどネット上のコミュニケーションはその嗜好にぴったりマッチするらしく、大人気で、私のFBのタイムラインはインド人の友人の投稿で埋まることがあるほどです。TikTokの流行も想像に難くありません。インド映画の音楽を流して踊るのも流行っていそうな気がします。
なお私は90年代から様々なインド映画を見ていますが(バックパッカー時代には現地の映画館にも行った)、一番好きな作品は『きっと、うまくいく(3 Idiots)』(ラージクマール・ヒラーニ監督、09年公開)。歴代のインド映画ランキングでも1位をとることが多い作品です。
歌・ダンス・アクション、笑いと涙と恋愛、ヒューマニズムと爽やかな感動。正統派インド映画のエッセンスが詰まっている上に、現代のインド社会の姿を知ることもできる傑作です。インド映画食わず嫌いの方にもお勧めします。
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3 comments on “米国の選挙資金制度”
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ありがとうございます。
つくづく、米国大統領選の「選挙」を制することは大変なことだと感じます。敵の動きを予見しながら、様々な種類の「お金(マネー)」を集め、情報を効果的に発信していく。さらに、ネガティブキャンペーンもやりようによっては「仕組む」こともできそうですよね?そして、こういった仕組みが「表現の自由」の元認められているとは、新鮮な驚きでした。
JDさんはご自分で突っ込んでおられますが(笑)、せっかくならこうしてとことん知った上で、米国政治を題材にしたドラマや映画を見ればより面白くなりそうで、感謝です。
冒頭の話で、いつもトランプをdisっているチャックシューマーが、「一歩も引くんじゃない!」とコメント入りのリツイートをしていて、超党派で立ち向かっている風で面白い感じになってきたなぁと見ております。こちらも、楽しみにしております。
献金にしてもソフトマネーにしても、総額の上限を「表現の自由」で突き崩すなんて、何だか面白いですね。
確かに献金やソフトマネーによる広告も表現の一種だといえばそうなのでしょうが、何と言いますか、「表現の自由」が本来守りたいと思っているものから、少し外れているような気が・・しないでもないです。けれど、それを判断するのは最高裁。法治国家に生じる矛盾を見たような気がします。
選挙戦におけるネガティブ・キャンペーンは、候補者本人がすべて行っているのかと思っていましたが、個人や企業が行っているものもあるのですね。(逆に、候補者本人はイメージダウンにつながるから、自分で他候補のネガティブ・キャンペーンはやらなかったりするのでしょうか?いやでも、ゼレンスキーは自演までしてましたよね。)
「候補者と連携さえしなければ」と但し書きがありますが、ちなみにこの「連携」ってどんな基準でチェックされるのでしょう??(何をもって「候補者と連携している」と判断されるのかなと、少し不思議に感じたので。例えば、「Aの事を応援している・AがBを攻(口)撃・批判するCMを作って放送した」はNGで、「Aの事を応援している・Bのイメージダウンを誘うようなCMを作って放送した」はOKという事でしょうか。)
インド映画・・・常々気にはなっているのですが、まだ一度もトライしたことが無いんですよね。でも、個人的にミュージカル調の映画は好きなので、テイスト的にはきっと嫌いではないはず。チャンスがあったら見てみます。
ちなみに現地の映画館でご覧になった映画は英語だったのでしょうか・?インド映画≒英語以外、というイメージだったので。本日ご紹介頂いた映画もヒンディー語。もしやヒンディー語もお出来になる・・とか・・?
>chinaさん
回答を書くのを忘れていましたが、ご指摘の「連携」の解釈はまさに問題になるところで、結局のところ、スーパーPACの出資者と候補者が直接「連絡」を取り合っているかというかなり限定的な解釈がとられています。
つまり、外形的な判断であって、実質的には広告の内容は何でもアリ、ということになります。
結論として、スーパーPACの広告はほぼ無制限にOK、というのが実態です。
現地の映画館で見たインド映画はヒンディー語でした。私は聞き取れないので、映像と音楽とダンスと雰囲気から推測するしかありませんでしたが、十分に楽しめました(笑)。