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2019/02/20 05:00  | 米国 |  コメント(2)

トランプの国家非常事態宣言


トランプ氏、国境の非常事態を宣言 与野党から懐疑的な見方(2月16日付CNN)
トランプ氏の国家非常事態宣言、3分の2が反対 米世論調査(2月17日付CNN)
トランプ大統領の非常事態宣言阻止へ、16州が提訴(2月19日付CNN)

トランプ大統領が国家非常事態を宣言しました。これにより国防総省の軍事建設予算から36億ドル、さらに財務省の麻薬没収関連予算と国防総省の麻薬流入阻止関連予算から31億ドルを捻出し、これに後述する歳出法案の13億7500万ドルをあわせて、合計約81億ドルを国境の「壁」建設にあてるとしています。

連邦予算については、2月15日に「つなぎ予算」の期限が到来しましたが、同日に7本の歳出法が上下両院の可決とトランプの署名を経て成立し、再度の政府閉鎖は回避されました。共和党と民主党の指導部が(トランプを外して)成立させた合意をトランプが承認したことによるものです。

歳出法では、55マイルのフェンスを国境沿いに設置することが定められていますが、その名称はトランプが求める「壁」ではなく「物理的障害物(physical barriers)」であり、設置費用も57億ドルではなく13億7500万ドルになりました。以下の記事で予想したとおりの内容です。

「『壁』の予算をめぐる論争」(2/11)

トランプは、政府閉鎖を避けるべく、「壁」の予算を歳出法で確保することは断念しましたが、国家非常事態宣言によって捻出することを選んだことになります。以下の記事で「トランプが再度の政府閉鎖に踏み切る可能性は低い。」「それよりは国家非常事態宣言の方が可能性があります。」と書きましたが、これも予想どおりの展開になりました。

「政府閉鎖の一時解除」(1/29)

国家非常事態宣言に対しては民主党からはもちろん激しい非難の声が上がり、宣言を無効化する動きに出ようとしています。国内でも大きな波紋を呼んでいます。共和党でも、ミッチ・マコーネル上院院内総務は支持を表明しましたが、かねてから懸念の声が上がり、宣言が決定した後も、数人の議員が公然と異を唱えています。

本日は、国家非常事態宣言の背景と意義、そして今後の展望について解説します。

※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。

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トランプの国家非常事態宣言
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●国家非常事態宣言の選択
●議会のチャレンジ
●司法のチャレンジ
●トランプの「勝利」の意味
●債務上限の議論への影響

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あとがき
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ON THE BASIS OF SEX – Official Trailer
RBG – Official Trailer

メルマガ本文で連邦最高裁に言及しましたが、「今週の動き(1/14~20)」(1/14)のコメント欄で、空の財布さんから、ルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の映画をご覧になったとのお話がありました。

ギンズバーグはリベラル派の女性判事で、サンドラ・オコナー(保守派)に次ぐ2人目の女性の連邦最高裁判事です。すでに85歳の高齢で昨年入院するなど健康に不安がありますが、いまなお現役を続けており、「リベラル派のレジェンド」というべき存在です。

米国の連邦最高裁判事は、法の支配の頂点に立つ賢人であり、いわば米国における「現代の英雄」です。その重要性と存在感については以下の記事などで述べてきました。

「阿川尚之『憲法で読むアメリカ史』」(15/10/19)

なお、上記記事で紹介した阿川尚之さんは前述のオコナー判事をよくご存知の方です。私は長年にわたり阿川さんと親交があり、オコナーの話もよく聞きました。

話を戻すと、ギンズバーグは、近年、ポップカルチャーにおけるアイコン的存在にもなっており、ラッパーの「ノトーリアスB.I.G」をもじって「ノトーリアスR.B.G.」とも言われています。「ノトーリアス(notorious)」は「悪名高い」という意味の英語ですが、「悪くてカッコイイ」というニュアンスがあります。「bad」などアフリカ系のスラングにはこういった意味の転用が多いです。日本語の「ヤバイ」に通じる感覚でしょうか。マイケル・ジャクソンのヒット曲にもありますよね。

かつて日本の「通産省(MITI)」はエズラ・ヴォーゲルチャルマーズ・ジョンソンといった日本研究者から日本の経済成長の立役者として評価されましたが、日本脅威論華やかなりし頃は、「ノトーリアスMITI」という言葉が流行りました。「MITI」も今や「METI」となり、通産省の果たしてきた役割と今後についても懐疑的な目が向けられるようになりました(この件については質問をいただいているので、近いうちに書く予定です)。時代の流れを感じますね。

ギンズバーグの人気は、トランプ政権下で一層高まったようで、昨年、『On the Basis of Sex』と『RBG』という二つの映画が公開され、話題を呼びました。前者は本人をモデルにしたフィクション、後者はドキュメンタリーで、日本ではそれぞれ3月と5月に公開されると聞いています。空の財布さんは『RBG』をご覧になったようです。私も機内で見る機会があればチェックしたいと思います。

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2 comments on “トランプの国家非常事態宣言
  1. KB より:
    緻密の極み

    政治・経済・社会各方面の識者が書いた共著のコラムかと思うくらい、各テーマが緻密で深堀されていて、とても面白く読みました。

    議会における議員の葛藤や、司法の判断の可能性を検証した「司法のチャレンジ」は非常に難しい内容ですが、ここまで可能性を掘り下げて述べられているとは、ただただ目から鱗です。この問題、先が長そうですし、紆余曲折あるでしょうが、司法の在り方や、歴史的な動きをみることもできるかもしれず、とても興味深いポイントを示していただきました。

    グリーンニューディールについても、JDさんの見解を早く伺いたいところです。

  2. KB より:
    This is a national emergency.

    ホワイトハウスのツイッター(@The White House)で最近シリーズ化されている(?)、移民関連のツイート。一番驚いたのが、国境付近の監視カメラの映像をいくつもアップしていたこと。(集団で移民が押し寄せてくる)
    日本の首相官邸のツイートでは絶対こんな事しないですよね。ぶっちゃけ、こういうのは政治的な感覚としてあり、なのでしょうか?
    善悪とかでなく、純粋に日本に置き換えて「驚いた」という感想なのですが。
    仮にこれまでの大統領だったら、こういう時、どのように対処していたのだろう・・・と感じました。

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