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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/04/23 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(4/23~29)


夏本番のような気候になりました。今週末から大型連休が始まりますが、この好天が続くと良いですね。

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先週の動き
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4/15(日)
・コミー前FBI長官へのインタビューを米メディアABCが放映
・ヘイリー国連大使がロシアに対する追加制裁を検討していると表明
・中国の王毅外相が訪日、日中外相会談(東京)
・北朝鮮の太陽節(金日成の誕生日)
・アラブ首脳会議(サウジアラビアのダンマン)

4/16(月)
・米国がロシアに対する追加制裁を見送ったとの報道
・トランプ大統領がFRB副議長(金融政策担当)にコロンビア大学のクラリダ教授を指名
・米商務省が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と米国企業の取引を7年間禁止
・日中ハイレベル経済対話(東京)
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・英連邦首長会議(ロンドン)

4/17(火)
・安倍首相が訪米(~20日)、日米首脳会談(フロリダ)
・ポンペオCIA長官がイースター休暇(3月末~4/1)に訪朝し金正恩と面談していたとWP等が報道
・コミー前FBI長官の回顧録が発売
・バーバラ・ブッシュ元大統領夫人が死去
・台湾の蔡英文総統がアフリカ訪問(〜21日)

4/18(水)
・日米首脳会談(フロリダ)
・トランプ大統領がモラー特別検察官とローゼンスタイン司法副長官解任の臆測を打ち消す発言(フロリダ)
・トランプ大統領がポンペオCIA長官がイースター休暇(3月末~4/1)に訪朝し金正恩と面談していたとツイート
・トルコのエルドアン大統領が19年11月実施予定の大統領選挙と国会総選挙を18年6月24日に前倒しすると表明
・サウジで映画上映が解禁(初上映映画は『ブラック・パンサー』)

4/19(木)
・日ロ戦略対話(モスクワ)
・キューバのラウル・カストロ国家評議会議長が退任しディアスカネル第1副議長が新議長に選出
・スワジランドが「エスワティニ」に国名を変更

4/20(金)
・朝鮮労働党中央委員会総会
・金正恩が米朝首脳会談に合わせて北朝鮮で拘束されている米国人3人を解放できると訪朝したポンペオCIA長官に保証したとWSJが報道
・米民主党全国委員会が16年の大統領選挙において共謀があったとしてロシア政府、ウィキリークス、トランプ陣営幹部らを提訴
・G20財務相・中銀総裁会議(ワシントンDC)

4/21(土)
・金正恩が4月20日の朝鮮労働党中央委員会総会で核実験とICBM発射を中止する方針を表明したと朝鮮中央通信が報道

●北朝鮮の核実験とICBM発射中止宣言

北朝鮮が突然に核実験とICBM発射の中止を宣言。核実験場も閉鎖し、さらに核開発と経済建設を同時に進める「並進」路線から経済建設に集中する路線に転換するとの発表。

またもサプライズを繰り出してきました。今週予定される南北首脳会談、そして5月または6月上旬に開催する見通しの米朝首脳会談を見据え、「対話攻勢」を仕掛けてきたことは明らかです。

もっとも核兵器とミサイルの放棄には言及がなく、現状維持を宣言したものに過ぎません。3月に韓国特使に口頭で伝えたと言われる内容とも実質的にはほとんど変わりありません。

「米朝首脳会談」(3/12)

見方によっては、十分な抑止力を発揮するレベルまで核とミサイルの技術を高めることに成功し、その既成事実化を狙ったものといえます。「対話攻勢」の演出に過ぎないとみるのが合理的でしょう。

とはいえ、目に見えるかたちで方針転換を示すのは、米国内向けのアピールを重視するトランプにとっては願ってもないことです。トランプは早速歓迎する旨ツイートしています。

さらに、先週、ポンペオCIA長官の極秘訪朝が明らかになりましたが、ここで、金正恩が米朝首脳会談に合わせて北朝鮮で拘束されている米国人3人を解放できると保証したと報道されています。

こうした一連の動きを見れば、少なくとも米朝首脳会談の実現可能性がさらに高まったといえるでしょう。もちろん、それが北朝鮮への制裁緩和などに直結するとは言えませんし、日本としては、次に述べる日米首脳会談で明確にされたとおり、そうした米国の動きがあれば全力で食い止めることになります。

なお、ポンペオの訪朝もまたもう一つのサプライズでした。

情報機関がここまで前面に出て外交交渉を主導するなど前代未聞です。トランプのポンペオに対する信頼、さらにこのHP・メルマガで何度も述べている国務省軽視があらためて明らかになったといえますが、こうした状況においてポンペオが国務省のトップになることは、国務省を含む米国の外交政策の一体性を実現する上では望ましいといえます。

一方、上院の承認公聴会でポンペオが訪朝について述べなかったことが問題視され、その承認が危ぶまれています。

ただ、直近の報道では、民主党のハイディ・ハイトカンプ上院議員が賛成する意向を示したとのことで、そうであればランド・ポール(反対する意向を表明)とジョン・マケイン(採決に欠席予定)の2票を除いても過半数ないし半数(その場合、上院議長を兼任するペンス副大統領が賛成票を投じる)を確保できる見通しです。際どいところで何とかクリアということになりそうです。

●日米首脳会談

ほぼ予想どおりの結果で終わりました。まずは日本としては十分に満足できる結果だったといえるでしょう。

すでに報道も多く出ており、また北朝鮮の核実験とICBM発射中止と福田財務次官のスキャンダル(苦笑)で注目が下がった感がありますが、ここでどのようなやりとりと合意があったかを確認しておくことは重要です。

北朝鮮と通商交渉が最重要アジェンダですが、米英仏のシリア攻撃への対応も含め、今週、ポイントを解説します。

●ロシアへの制裁見送りとヘイリー国連大使

シリア攻撃のあと、ニッキー・ヘイリー国連大使がアサド大統領を引き続き支援しているロシアに新たな制裁を準備していると断言しましたが、その翌日、米国は追加制裁を見送ることを決定したと表明。

こうした政府高官の発言の食い違いは、トランプ政権では見慣れた光景とはいえ、やはり異例の事態です。

まず追加制裁が見送りになった理由は、報道によればトランプが現時点での実施を望まなかったためとのこと。トランプは、英国での亡命ロシア人への攻撃とシリアをめぐりロシアへの強硬姿勢を見せる一方、プーチンの再選を祝ったり、ロシア通信によればプーチンを米国に招待するなど、相変わらず不可解にも見えるプーチンへの配慮を見せています。

先週はジェームズ・コミー前FBI長官の暴露本の発売と民主党全国委員会の提訴がありましたが、大統領選における「共謀」があったとみることはおそらく困難としても、やはりトランプはロシアに弱みを握られているのではないか・・という疑念はくすぶり続けます。

そして、ヘイリーの発言については、クドロー大統領補佐官がヘイリーは「混乱していたかもしれない」とコメント。これに対しヘイリーは「混乱していたことはない」と反論。クドローは謝罪するという事態に発展しました。

ヘイリーはトランプとの関係を最もうまくコントロールしている共和党の有力政治家です。退任したティラーソン前国務長官とはたびたび衝突し、ティラーソンの影響力低下に一役買ったといわれています。次期国務長官の有力候補としても何度も名前が挙がりました。

こうした行動から読み取れるように、ヘイリーは大変な野心家で、ポスト・トランプの座を目指しており、ペンス副大統領と組んで20年大統領選に出てくるのでは、という観測もあります。先週、ヘイリーはトランプとの関係は「申し分ない」と強調し、こうした観測を否定しました。

以下の記事で述べたとおり、マイケル・ウォルフ『炎と怒り』によれば、スティーブ・バノンは、自分が主導するポピュリズム・ムーブメントをヘイリーが乗っ取る可能性があるとして、最大のライバルとみています。

「マイケル・ウォルフ『炎と怒り』の真実(2)」(1/25)

トランプ政権の動きを見る上でも、共和党とトランプ後の米国の将来を考える上でも、ヘイリーはキーパーソンであり、その動きはフォローする必要があります。

●日中経済対話

中国の強い要望で急遽実現したものですが、成果は何もなく終わりました。

中国が希望した背景には米国との「貿易戦争」があります。中国としては日本と組んでトランプの横暴に対抗するという構図を作りたかったのでしょう。日米首脳会談の前に開催すれば効果的ということで、このタイミングを狙ったと考えられます。

しかし副首相(経済担当)の劉鶴ではなく外交部長の王毅がヘッドですから、実質的な議論の進展は見込めないことは明らかです。この点からも中国の狙いが透けてみえます。

せいぜい5月9日開催で調整が進んでいる日中韓首脳会談の地ならしでしょう(それも李克強がトップですから、そこまで大きなイベントとは言えませんが)。

ただ、習近平2期目になって、日中関係を安定させようとする中国側の姿勢は明確に表れており、これは以下の記事で予想したとおりの展開です。

「中国共産党大会と習近平体制2期目の展望」(17/10/20)

これ自体は悪いことではありません。日本としては、米国との離間に乗せられることなく、むしろ米国との橋渡しをすることで中国に恩を着せるチャンスにもなるでしょう。

●キューバの最高指導者の交代

ラウル・カストロが国家評議会議長を退き、革命後世代であるミゲル・ディアスカネルが選出されました(ただしラウルは共産党トップである第1書記に21年までとどまる)。

これで米国の制裁も解除されればキューバも新たなる時代に・・といえるところでしたが、トランプの登場でそこまでの変化は妨げられました。

私はキューバには90年代に訪問しました。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』さながらの旧市街、キューバン・ジャズとサルサ、コヒバ、女性の美しさ・・などなど思い出深い場所ですが、オバマ政権で米国との関係が改善し、日本企業含め外資の進出ブームが始まると、これでキューバも変わるのだろうな・・と感慨深かったものです。しかし、そうなるにはまだまだ時間がかかりそうです。

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今週の動き
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4/22(日)
・ソーントン国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)が日韓を訪問(~27日)
・G7外相会合(トロント、〜23日)
・パラグアイ大統領選挙

4/24(火)
・米仏首脳会談(ワシントンDC)
・シリア支援国会合(ブリュッセル、〜25日)

4/25(水)
・朝鮮人民軍創建記念日86周年
・ASEAN首脳関連会議(シンガポール、~28日)

4/26(木)
・ECB理事会(フランクフルト)
・ASEM財務相会議(ソフィア)

4/27(金)
・南北首脳会談(板門店)
・米独首脳会談(ワシントンDC)
・ASEAN外相会議(シンガポール)
・NATO外相理事会(ブリュッセル)
・ユーロ圏財務相会合(ソフィア)

4/28(土)
・ASEAN首脳会議(シンガポール)

●南北首脳会談

朝鮮半島の将来を左右する一大イベントが近づいてきました。

第1回(00年、平壌、金大中・金正日)、第2回(07年、平壌、廬武鉉・金正日)に続く第3回の会談となります。

北朝鮮はさらなる「対話攻勢」を仕掛け、これを韓国は受け入れ、関係の改善を盛大にアピールすることが予想されます。韓国は朝鮮戦争の「終結」に向けた議論も想定しているとのこと。

正式な「終戦」は当事国である米国と中国も加えた上での話になるでしょうが、インパクトのある「宣言」が発表される可能性は大いにあります。まずは結果を待ちましょう。

●独仏首脳とトランプの会談

フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が相次いで訪米しトランプ大統領と会談します。

最も大きな議題はイラン核合意。トランプは1月12日にイラン制裁のウェイバーを更新しましたが、欧州に核合意の修正を要求し、それができなければ次のウェイバー更新はしないと宣言しました。

「トランプ外交の先鋭化(1):イラン核合意の行方」(1/17)

次の更新期限は5月12日。その直前に開かれる首脳会談でトランプを納得させられるかが焦点となります。トランプは(1)2024年(核合意から10年後)からイランの核開発が可能になる(「サンセット条項」)、(2)IAEAの抜き打ち査察が認められていない、(3)弾道ミサイル開発が制限されていない、という3点を問題にしています。

おそらく(3)は核合意の枠外で何とかなりますが、(1)と(2)は対応が困難でしょう。それでもトランプは例によってその発言がどこまで本気なのか分からないところがあり、独仏がトランプのメンツを立てる対応を行えばそれを受け入れる可能性も残っています。

ただ、対イラン最強硬派であるジョン・ボルトン大統領補佐官の参加がこの見通しをさらに困難なものにさせており、いよいよ予断を許さない状況になっています。

なお、かつては「メルクロン」とも言われるほど蜜月の関係にあったマクロンとメルケルも、マクロンの急進的なEU改革の主張とメルケルの求心力低下によって風向きが変わりつつあります。こうした事情もタイミングを見て取り上げます。

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あとがき
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福田財務次官の辞任、私の感覚が世間とズレているかもしれませんが、個人的には複雑な思いがあります。

今週は張本氏のコメントを見ました(笑)。相変わらず元気なハリさん節・・まあ、これも一つの芸風というか、エンターテイメントなんでしょうね。

これだけの大胆な発言は、とてつもない自信とプライドがないと言えないことですが、おそらく昭和のスーパースターというのは、スポーツも芸能も本当にレジェンドで、良かれ悪しかれ一般人の世界とは全く次元が異なる世界観があったのでしょう。

特にスポーツについては、私が子どもだった頃までは、野球と相撲が国民的ともいえる別格の競技で、そのスターといえば国民的英雄でした。その一言一句や振る舞いにはものすごい重みと価値があったと思います。

現代は、かつてと比べると、ネットによる情報とコミュニケーションの進化、一般人が参加する企画の流行などにより、スポーツ選手や芸能人がもっていた特別感は相対化されている気がします。かつてスーパースターだった人の発言に異様さを感じるようになったのは、こうした時代の変化も影響しているのかもしれません。

色々な人たちに脚光が当たるようになったことは喜ばしい一方、絶対のスターがいなくなったことには少しさびしさも感じます。そういえば官僚や「大蔵省」にもそんな別格感やブランドがあった気がします。自分の経験に照らしても、このへんの感覚はこの20年で本当に変わりましたね。

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One comment on “今週の動き(4/23~29)
  1. KB より
    本当に

    G20や日米首脳会談よりも、セクハラや的外れな♯Me Too運動が丁寧に報じられて話題をさらっていくこの状況・・・。

    なんだろうな、と思いますね。
    時代の変化というのには悲しすぎます。

    というわけで、ここで呼吸を整える意味でも、メルマガ楽しみにしています。

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