2016/11/11 01:02 | 米国 | コメント(3)
米国大統領選:あとがき
大統領選の結果を受けて大量に仕事が舞い込み、バタバタして昨日はうっかり記事のアップロードを忘れていました。
その間に、「米国大統領選:決着」にはたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます。
一つ述べておくと、そもそも私は予想屋ではありません。米国大統領選シリーズを始めたときから書いていますが、私がしたかったのは、具体的なデータと過去の蓄積に基づいて判断枠組みを示し、皆さんの分析の土台を提供することでした。
この展開になればトランプが勝つ、という道筋まで示し、結果そのとおりになったので、それなりの意味はあったかと思います。それで皆さんの分析の役に立てば、私は満足です。
判断枠組みがあれば、最後のあてはめは人それぞれです。ここに正解はありません。
トランプ勝利を唱える人は、私の周りにも沢山いました。しかし、その根拠といえば、多くの人は、「現状への反発」、「アンチ・グローバリゼーション」など、周知のキーワードを繰り返し、結論は「トランプには勢いがある」といった印象で決めるだけ。これでは議論ができません。セクシーでもない。
世論調査を根拠にせざるを得ない以上、そのデータと異なる結論を提示するのであれば、なぜそうなるのか、たとえば世論調査の正確性をどう見るべきなのか、説明すべきでしょう。
単なる直感で「トランプは勝つよ」というのは簡単なことです。そういった結論よりも、上記のとおり、根拠となるポイントを説得的に示すことが、生産的な議論を生み、将来にも生きるわけです。
私が結論より「判断枠組み」が重要であることを何度も強調してきたのは、このような趣旨です。この点については、たとえばコメント欄で牧神の午後さんが指摘されています。大いに参考になるご意見と思います。
ただ、世論調査の限界については、私はかなり昔から認識していました。私は、2004年にワシントンDCにおり、ブッシュ対ケリーの大統領選を分析する仕事をしていましたが、このときから、Gallupなど有力な世論調査機関と意見交換し、問題点を指摘していました。
この頃から指摘されていた主要な問題点の一つが固定電話の偏重です。これは当時から問題視されていました。後に2012年のオバマ対ロムニーのとき民主党が抗議したほどです。それもあってか、Gallupは大統領選の世論調査をやめてしまいました。
他にも色々ありますが、テクニカルな話なので、とりあえずここでは立ち入りません。ただ、今後の分析のために大きな課題になることは疑いないでしょう。
いずれにしても、起こってしまったことは仕方ない。これから起こることを想定して、前を向いて頑張るだけです。
ただ、準備してきた仕事が無に帰して、準備できていない仕事が増える・・これは何とも言えない気分ですね(笑)。
来週はベトナムとインドに出張しますが、これもトランプ新政権の影響も念頭に置かないといけませんね。いや、何をするにも新鮮な気分で、楽しいです(笑)。
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3 comments on “米国大統領選:あとがき”
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>「われわれは移民問題を重視していく。医療も重視していく。雇用もだ」と述べた。
彼が述べた順序がこの通りなら、あまり期待出来ないのでは?
以前にNHKのパロディ番組でセクシー部長というキャラクターがあるのを思い出しましたが、JDさんは会議で話者が好みの容姿の女性でなくても、その発言内容で彼女をセクシーと感じるのでしょうか?(笑)
ヒラリーの集会は、満員ではなかった。マスゴミは、人が集まってる所だけ報道する。トランプの集会は、立錐の余地もなかった。
何故なのかな?
いま読み返しているのですが、
「トランプはなぜ勝ち続けるのか?米国民の本音を現地で徹底調査」
「「トランプ大統領」は是か非か?激突するカリフォルニア州民の主張」
「トランプは本当に劣勢か?大統領選討論を見た米国民の本音」
「ヒラリーに投票したトランプホテルの清掃係も!米国民の胸の内」
ダイアモンド・オンラインの長野美穂さんは、
実際に足を使って現場に行って、いいレポートをしていますね。