2015/05/22 00:00 | 中東 | コメント(4)
イラン核協議:コーカー・メネンデス法案の可決
■ 米下院、イラン核合意検証法案を可決(5月15日付ウォールストリートジャーナル記事)
「米イラン関係の今後」でご紹介したコーカー・メネンデス法案が上下両院で可決されました。オバマ大統領は拒否権を行使しない方針であるため、法案は成立する見通しです。
これにより、米国政府がイランとの間で最終合意を締結した場合、議会が合意の内容をレビューすることになりますが、実際のところ、仮に議会が最終合意を認めなかった場合であっても、オバマ大統領は拒否権を行使することができます。これに対し、上下両院で3分の2の議決があれば、議会は拒否権を覆す(override)ことができますが、その実現可能性はないと見られています。したがって、オバマ大統領は、議会の介入なく最終合意をまとめるお墨付きを得たも同然であり、実質的には大統領の勝利といえます。
一方で、議会側も、本来政府が決定できる取り決めをレビューするという権限が認められ、メンツを保つことができたと言えます。大統領も議会もお互い利益を得ることができ、この政権にしてはめずらしく、良い妥協ができたといえると思います。
米・イラン間の交渉についていえば、米国・イラン両国とも、楽観的なムードが漂っており、このため、国内の関係者(特に企業)は合意の成立を前提に行動を開始しています。こうなると、もう退くには退けず、両国政府は何が何でも合意に至ることを目指すと思われます。
そうなると、米・イラン関係がどうなるかですが、「米・GCCサミットと2人のムハンマド」で述べた最新の状況なども考慮すれば、「米イラン関係の今後」で述べたように、核合意を超えて米・イランが接近するという見通しが本当に実現するのかもしれません。
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4 comments on “イラン核協議:コーカー・メネンデス法案の可決”
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それは・・
どうかな・・少し・・難しいかな・?
シーア派との妥協となれば・・スンニ派・・黙ってるかな・?
イラク・・手放す・・二歩三歩・・
とどのつまり・・
バイデンの失策・・オバマの失敗・・
増々・・ややこしくなるのでは・・??
ヒラリーが椅子に座った時iは・・手遅れにでは・・・??(笑
キッシンジャーは「イラン、イラン、とにかくイランこそが中東における真の脅威なのだ。イランを封じ込めなければならない」ってうわ言のように言っていますが、だったらその同じ考え方を東アジアにも適用して「中国こそが東アジアにおける真の脅威なのだ。封じ込めなければならない」って言ってみなさいよって思ってしまいます。
おっしゃる意味がよく分かりませんが、米国の前のめりは気になります。
イランへの接近は中東の勢力均衡をはかるアプローチですが、これまでの方針をガラッと転換するものなだけに、パンドラの箱を開けてしまうのではないかと心配する声は強いです。
もうパンドラの箱を開けたのでは・?
希望・・だけが残っているにしても・・
古代ギリシャ人・・「希望」は災いと看做していました。
だから・・パンドラの箱に・・諸々の悪と共に・・閉じ込めていた。
ここを・・
誤解しているのでしょうか・?・我々は・・・(笑