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2016/07/13 05:27  | 米国 |  コメント(7)

米国大統領選の注目点④:選挙戦略


色々なコメントをいただいていますが、後ほどご回答したいと思っていますので、少しお待ち下さい。

「米国大統領選の注目点③:激戦州の動向」の続きです。

前回まで述べた見所を踏まえて、今回の大統領選の状況を確認してみましょう。こちらのサイトでは、世論調査と12年の大統領選に基づいて州ごとの投票予測を地図化したものが掲載されています。

これを見ると、まず、ブルー・ステートが基本的にはレッド・ステートを凌駕していることが分かります。 そして、前回述べた最重要の激戦州4州(フロリダ、オハイオ、ペンシルバニア、ミシガン)に着目すると、トランプヒラリーに勝つためには、少なくともこれらの激選州4州全てに勝たなければならないことが分かります。

4州の状況を確認してみると、以下の状況になっています。

●フロリダ、オハイオはどちらか分からない
●ペンシルバニアは民主党優勢だが微妙
●ミシガンはどちらか分からない

また、他の激戦州について見ると以下のとおりです。

●バージニア、ミズーリはどちらか分からない
●テネシーは共和党優勢だが微妙

この結果は、前回までの分析に照らせば、当然そうだろうなという結果です。

また、ペンシルバニアとテネシーは、現状、民主党と共和党寄りですが、これも、なるほど、トランプが掘り起こしている白人労働者の怒りは実際のところこのぐらい効いているのだなという、今回の選挙戦ならではの意味合いを読み取ることができます。

具体的にどうなるかは現時点では明確に言えませんが、今後どう分析するかという基本的な視角に関しては、前回まで述べた枠組みが有用であることが示されました。

さらに、こうした傾向を読み取ることで、民主党と共和党が採用している選挙戦略の意味を理解することができます。

たとえば、党大会は、共和党がオハイオ州クリーブランド、民主党がペンシルバニア州フィラデルフィアで開催します。これは、前述のように、オハイオとペンシルバニアが重要な激戦州であり、しかも共和党はオハイオ、民主党はペンシルバニアで勝つ可能性が十分にあると計算した(だからこそ党大会を開いて何が何でも勝ちにいく姿勢を示した)ことを反映した結果です。

また、副大統領候補については、フロリダ、オハイオ、ペンシルバニア、ミシガンといった重要州で強みを発揮できる候補を選ぶことが有効と考えられます。そういうわけで、以前の記事(「共和党候補」「民主党候補」)で述べたとおり、共和党候補はヒスパニックをはじめとするマイノリティに強い候補者、民主党候補は中西部(オハイオ、アイオワなど)で強い候補者を選ぶ、ということにつながるわけです。

なお、民主党の場合、南部を獲れる候補を選ぶという考え方もあります。そうすると、ティム・ケインジム・ウェッブといった、12年、08年にオバマが南部で唯一勝利したバージニアに基盤をもつ候補が有力になります。

ただ、「米国大統領選の注目点②:激戦州」で述べたとおり、民主党はもはや南部では勝てない、だから諦める、という考え方も有力です。したがって、南部の州よりは、上記のスイング・ステートで勝負できる候補を選ぶという考え方に傾きます。

このように、米国大統領選の基本的な視座を理解すれば、民主党と共和党の戦略の裏にある意図を理解し、さらに今後の動向を読み取ることができます。

日本のメディアはこうしたポイントをしっかり説明せず、ひたすらトランプがこんなバカなことを言っているとか、ヒラリーが嫌われているとか、両者の支持率がどうとか、一面的で断片的な情報だけを紹介しているように見えます。それは、こういった一面的な話が分かりやすく、面白いからでしょう。

私がここで説明してきたポイントは非常に細かく、複雑で、すぐに理解するのは難しいと思います。メディアはこういうややこしい話をすると読者や視聴者が離れてしまうと思うのでしょう。しかし、大統領選の本当の面白さは、こういう複雑な部分、細部に宿っているのです。

私がここで述べたポイントは基本中の基本、議論の出発点に過ぎません。これからは、ここで述べたポイントは当然の前提として、今回の選挙戦ならではのポイントをさらに深めていきたいと思います。

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7 comments on “米国大統領選の注目点④:選挙戦略
  1. パードゥン より
    首相と都知事選挙は、真似してほしい

     アメリカの時間をかけた大統領選挙は、えげつないとこもあるけど
    候補の実力を浮き出させていいですね

     日本も首相と都知事の選挙は参考になりますね
    首相は、東北地区、関東地区------とかブロック化して議論
    都知事は、下町区、山手区、都下東部・千葉都民、都下西部・多摩地区とか
    ブロック化して、選挙討論させる

     ベルドンさんが、ローマ帝国と似てきて、衰亡するとか書くかな?(笑)

  2. 下北のねこ より
    日本のサンダース

    共同記者会見見て、日本にも宇都宮さんがいるじゃないか!って思ったけど、出馬辞退。
    東京都のことで関係ないけど、本当にがっかり。
    鳥越さんが、がん検診100%なんて、貧乏人の私でも受診している、普通に当たり前のことしか言えない中身の無ささらけ出してるだけに、野党側、辞退させる人間違ってるとしか思えない。
    宇都宮さん、公約を鳥越さんが受け入れてくれたなんて言ってたけど、それ誰が見ても当たり前。出馬辞退させて今までの都知事選出馬で練りに練られた公約の丸取りすることを最初から計算に入れてるだけでしょうに。

    今年は都知事選が一番面白いなんて、マスコミは書いてるけど、アメリカ大統領選挙の中身の濃さとは比べ物にならない感じがします。
    まだ党大会も開かれてないけど、今年はどんな雰囲気になるのかな。

  3. JFKD より
    候補者

    どう見ても宇都宮氏のほうが都知事としては鳥越氏より適っている。最初から野合狙いだったのか、政策はこれから考えると言うのはジャーナリストととしても無能だったということだ。参院選の結果を見て出馬するのなら国政でしょう。そもそもこの人はおそらく国政で無能なのに、都知事として国政に口を出したいと不純な動機を述べている。確かに辞退させる人間を間違っている。
    しかしアメリカ大統領選もメール問題などでヒラリーが株を落とし、トランプとの不毛な選挙戦になっている。相手が共和党本流だったらヒラリーは終わっていたと思う。日本から見るとJDさんの分析は確かに細かく複雑で解りにくい。リーマンショック後の、グローバリズムへの不満と、世界警察官の辞任で、我々は余計目が曇っているのかもしれないが、世界的な潮流もあり、二人の候補者から表面的に見えてくるものも真実を表わしていると思う。今は通常時と違うにもかかわらず、両党の戦略の裏の意図は現在に対応しているように見えません。比較的堅調な米国経済では、表の現象に、裏の意図が付いて行っていないように思える。もう単なる勝敗という問題ではなくなっている気がするのですが。現実的な対応を期待できるのは、サンダースではなくライアンだったのでは。下院議長は大統領承継順位は高い(笑)。

  4. ペルドン より
    金曜日には・・

    トランプ・・
    副大統領・・発表・・
    CNN調査・・フロリダでトランプ優勢・・

    新外相にボリス・ジョンソン・!
    適役では・!
    汗をかいて下さい・・
    かき次第では・・次の首相・・・(笑

  5. JFKD より
    今度は逃げなかったジョンソン

    私は離脱派を率い、首相に立候補すると思って、チャーチルタイプと買いかぶっていたジョンソン、よくまた逃げませんでしたね。メイ首相の嫌味な人事(笑)、頭がきれる、味なことをやるな。どうやっておだてたのだろう。それとも周りの白眼視に耐えられなかったのか。EUでいじめられると解りきっているのに。EUも手ぐすね引いて待っているでしょう(笑)。

  6. ペルドン より
    簡単な引き算

    イヤーゴに裏切られては・・
    どう足掻いても・・
    引き算の答えは・・冷酷な数字・・

    一度・・戦術的に腰を引くのは当然・・
    外相は・・カッコ良いポジション・・少なくとも007の親分になれる・・・(笑

  7. JDKD より
    引き算するくらいなら足し算すべきだった 

    このイヤーゴは副官とは言え小物すぎるし、裏切りが直前すぎてジョンソンが動揺したのか。あそこで腰を引いた言い訳も動揺していたのか、離脱派にも呆れられた。このつけは大きいのでは。議員数はともかく国民の意思を無視してしまった。やはりジョンソンはプチチャーチルでもなかったということか。身も蓋もない話だが、どうも本人も残留と思っていたようだ(笑)。本当は小物のイヤーゴなど問題ではなかった。本気なら出馬すれば冷酷な数字でも、後で足し算、いや掛け算で評価が高まったと思うし、たとえその後、今回同様外相を指名されても立場が全く違ったのでは。イヤーゴの真骨頂は、時間をかけてなぶりころすような執拗さと思いますが、それもあまり感じられない。(笑)
    メイ首相も議員も多数が残留派だが、さすがに再投票とは言わないな。

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