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2023/07/03 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(7/2~8)プリゴジンの反乱、学生ローン免除とアファーマティブ・アクションの否定


先週、世界情勢ブリーフィングのオンラインセミナーを開催しました。峯村健司さん、サプライズゲストの安田佐和子さんのご参加を得て、大盛況に終わりました!

プリゴジンの反乱、中国と台湾、米大統領選、グローバルサウス、AIと、刻一刻と変わるリアルタイムのテーマから、長期的・未来的な問題に到るまで、参加者の方々からご質問とご意見を受けながら、内容の濃いディスカッションができました。1時間半の予定でしたが、時間を大幅に超過し、2時間近くになりました。

セミナー後に峯村さんとも話しましたが、参加者一体型のインタラクティブなスタイル、白熱した討論、議論のレベルの高さは、他の追随を許さないものがあったと思います。次のセミナーはもちろん、峯村さんとのさらなるコラボを含め、今後も新たな試みを続けていきますので、ご期待下さい。

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先週の動き
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6/25(日)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・ロシア・ベラルーシ、ロシア・UAE首脳電話会談
・中国外交部がワグネルの反乱についてロシアの内政問題である、中国はロシアの安定を支持するとの報道官談話を発表
・中国の秦剛外相とロシアのルデンコ外務次官が会談(北京)
・NZのヒプキンス首相が訪中(~30日)
・インド・エジプト首脳会談(カイロ)
・ギリシャ再選挙(与党・新民主主義党(ND)が大勝)
・グアテマラ大統領選挙(1位野党・国民希望党のサンドラ・トーレス故コロン元大統領夫人、2位新興政党「セミージャ運動」のベルナルド・アレバロ元外務次官、8/20に決選投票)

6/26(月)
・ロシアのプーチン大統領がテレビ演説(反乱は鎮圧される、反乱者は国や国民を裏切った、流血に至らず最後の一線で立ち止まったワグネルの兵士たちに感謝する、ワグネルの兵士は国防省と契約できる、ベラルーシにも行けると発言)
・ワグネルの創設者プリゴジンが音声メッセージをテレグラムに投稿(政権の転覆は望んでいない、抗議デモを行うつもりだった、ルカシェンコ大統領がワグネル存続のために手を差し伸べてくれたと発言)
・プリゴジンの刑事捜査は続いているとロシアのメディアが報道
・ロシアのショイグ国防相がウクライナ東・南部の制圧地域の司令部を訪問した動画をロシア国防省が公開
・ウクライナのゼレンスキー大統領がドネツク州の前線を訪問
・ドイツのピストリウス国防相がリトアニアに独連邦軍から最大4000人規模の兵士を追加派遣する方針を表明(ビリニュス)
・EU外相理事会(ルクセンブルク)

6/27(火)
・ロシアのプーチン大統領がワグネルの費用は国が負担していた、プリゴジンの企業グループ「コンコルド」の軍への食料提供事業の調査を行うと表明
・ベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジンはベラルーシに到着したと発表
・ロシア連邦保安局(FSB)がワグネルの反乱に関する捜査を打ち切ると発表
・ロシアのスロビキン・対ウクライナ軍事作戦副司令官がプリゴジンの反乱を事前に知っていたとNYタイムズが報道
・米財務省がワグネルに関連する企業・個人への制裁を発表
・米国がウクライナへの5億ドルの追加軍事支援を発表
・米連邦最高裁が「独立州議会理論(ISLT)」を否定する判断
・世界経済フォーラム夏季会合(夏季ダボス会議)(天津、~29日)
・フランスのナンテールで警察官が車の停止命令に応じなかった少年を射殺、各地で抗議活動・暴動が発生

6/28(水)
・ロシアのプーチン大統領がダゲスタン共和国を訪問
・ロシア連邦保安局(FSB)がプリゴジンの反乱を事前に察知していたとウォール・ストリート・ジャーナルが報道
・ロシアのスロビキン航空宇宙軍総司令官(対ウクライナ軍事作戦副司令官)が拘束されたとモスクワ・タイムズが報道
・バイデン大統領が経済政策「バイデノミクス」に関する演説(シカゴ)
・台湾の蔡英文総統と米下院軍事委員会のロジャース委員長が会談(台北)
・スウェーデンのストックホルムのモスク前で男がコーランを燃やす抗議活動

6/29(木)
・ロシアのスロビキン航空宇宙軍総司令官がワグネルの秘密のVIPメンバーだったとCNNが報道
・ペンス前副大統領がキーウを電撃訪問
・米連邦最高裁がハーバード大とノースカロライナ大の人種を考慮する入試選考は憲法修正第14条に違反するとの判断
・EU首脳会議(ブリュッセル、~30日)
・韓国の尹錫悦大統領が誠信女子大学の金暎浩教授を統一相に指名
・イスラエルのネタニヤフ首相が司法制度改革案に含まれていた議会に最高裁の決定を覆す権限を認める条項は削除されたと発言

6/30(金)
・ロスアトムの職員がザポリージャ原子力発電所から退避を始めたとウクライナ国防省情報総局が発表
・ロシア・インド首脳電話会談
・プリゴジンのメディアグループ「パトリオット」が活動を停止したとの報道
・米連邦最高裁がバイデン政権による学生ローン返済の一部免除措置を認めないとの判断
・米連邦最高裁がコロラド州のウェブデザイナーによる同性婚向けの婚活用サイトの作成拒否を認める判断
・中国軍の航空機24機と艦船5隻の台湾海峡付近での活動と11機の「中間線」超えを台湾国防部が発表
・ブラジルの高等選挙裁判所がボルソナロ前大統領の立候補資格を停止する判決

7/1(土)
・中国で改正反スパイ法と対外関係法が施行
・東ティモールでグスマン首相が就任

●プリゴジンの反乱

プリゴジンの反乱については、先週の記事で(以下リンク参照)、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介に動き、プリゴジンが撤退を始めたところまでお伝えしていました。

「ワグネル・プリゴジンの反乱」(6/26)
 
その後、プリゴジンは、政権の転覆は望んでいない、抗議デモを行うつもりだった、ルカシェンコがワグネル存続のために手を差し伸べてくれたなどと述べる音声メッセージをテレグラムに投稿しました。一方、プーチン大統領は反乱後2度目のテレビ演説を行い、反乱は鎮圧される、反乱者は国や国民を裏切った、流血に至らず最後の一線で立ち止まったワグネルの兵士たちに感謝する、ワグネルの兵士は国防省と契約できる、ベラルーシにも行けると発言しました。

そしてルカシェンコは、プリゴジンがベラルーシに到着したと発表。反乱直後にプーチンに対してプリゴジンと交渉することを勧め、プリゴジンと電話で話し、反乱をやめるよう説得した、ワグネルには使われていない基地を提供する、プリゴジンらはその豊富な実戦経験を教えてくれるだろうなどと語りました。

一方、プーチンは、ロシア軍の兵士との会合で、ワグネルは国内で尊敬されてきたとしながら、その費用は国が負担していた、プリゴジンの企業グループ「コンコルド」には860億ルーブルを支払ったとした上で、不正の可能性があることを示唆し、これから調査を行うと表明しました。

その後、プリゴジンが保有するメディアグループ「パトリオット」の代表がグループを閉鎖し、情報発信の活動をやめると発表しました。ロシアのメディアは、ロシアの通信当局がプリゴジンのメディアへのアクセスを遮断したと伝えています。

また、モスクワ・タイムズは、ウクライナでの軍事作戦の副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官が拘束されたと報じました。NYタイムズは、スロビキン航空宇宙軍総司令官がプリゴジンの反乱を事前に知っていたと報じ、CNNは、スロビキンがワグネルの秘密のVIPメンバーだったと報じました。スロビキンが長年にわたりワグネルと深い関係にあったこと、昨年10月に司令官に任命されたが今年1月に副司令官に降格されたこと、そこから読み取れることは以下の記事で解説していました。

「ロシアのウクライナ侵攻」(1/16)
 
ここまでの展開は、上記「ワグネル・プリゴジンの反乱」(6/26)で述べた見通しのとおりでした。最新の状況を踏まえ、あらためて現状と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。

●アファーマティブ・アクションと学生ローン免除を否定する最高裁判決

米連邦最高裁は、会期の最終日である6月30日を前に(新会期は10月から開始)、4つの重要事件について立て続けに判決を言い渡しました。州の権限、アファーマティブ・アクション、バイデン政権の学生ローン免除、LGBTQに対する企業のサービスに関するものです。

このうち州の権限については、保守派が主張していた「独立州議会理論(ISLT)」が否定されましたが、それ以外の3つの事件については、保守派の主張が全面的に認められる結果になりました(ハーバード大とノースカロライナ大の人種を考慮する入試選考と学生ローン免除は認められず、コロラド州のウェブデザイナーによる同性婚向けの婚活用サイトの作成拒否は認められた)。

※学生ローン免除については以下の記事を参照下さい。本メルマガはこの時点でその法定根拠の不確かさのリスクを指摘していましたが、それが顕在化したのが今回の判決ということになります。

「バイデンの学生ローン免除」(22/8/29)

学生ローン免除の否定はバイデン政権にとって大きなダメージになる可能性があります。また、アファーマティブ・アクションは、1960年代の公民権運動から導入された歴史的な制度であり、その否定は一つの時代の終わりを感じさせるものでした。そこで、この2つの判決の意義について解説します(※メルマガで解説)。

バイデノミクス米大統領選のポイントについても書く予定だったのですが、長くなってしまったので、次回解説します。

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今週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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プーチン氏への支持、ワグネル反乱後も「驚異的」 ロシア大統領府(6月30日付AFP)

プリゴジンの反乱の動揺冷めやらぬ中、プーチン大統領は突然にダゲスタン共和国を訪問し、大勢の市民とにこやかに交流したそうです。クレムリンがその光景の動画を公開しました。

コロナと暗殺を恐れるプーチンがこんなに大勢の人たちに囲まれて、少女にキスして自撮りしたりするのは、珍しいというか、ちょっと異様にも見えます。本物なのか?というツッコミもあるようですが(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。

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