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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/10/03 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(10/2~8)ロシアのウクライナ侵攻、イタリア選挙、ブラジル大統領選


先週、安倍元首相の国葬が行われましたが、私の周りでも警備が目に見えて強化されていて、会場から少し離れていても、その雰囲気が感じ取られました。永田町ディープスロートさんが岸田政権や政局との関係も含め、考察を伝えてくれました。

国葬自体については、私には強い意見がなく、是非には立ち入りません。ただ亡くなった方への追悼は、そうした議論とは別に心を込めて行うべきと思いますし、この件を「戦争反対」などと結びつける抗議活動にはまったく共感しません。また安倍政権の外交の意義については、個人的な交流の思い出を含め、メルマガ第653号(7/11)のあとがきで述べたとおりです。

編集部からは、ぐっちーさんゆかりの食べ物として、おのみち鮮魚店の真鯛ごちそう炊き込みご飯の素」のご紹介がありました。私も早速食べましたが、真鯛がぎっしり詰め込まれていて、とてもおいしかったです。ブログの写真を見るだけでまた食べたくなります。ぐっちーさんのことも偲びながら、ぜひお試し下さい。

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先週の動き
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9/25(日)
・ブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官がそれぞれABCとCBSのインタビューで、ロシアがウクライナで核兵器使用に踏み切った場合、「ロシアに壊滅的な結果をもたらす」と警告したと発言
・ウクライナのゼレンスキー大統領がCBSのインタビューで米国から高性能地対空ミサイルシステム「NASAMS」を受け取ったと発言
・ロシア各地で動員に対する抗議デモ
・ロシアの上下両院の議長が部分的動員について地方当局に対し行き過ぎた徴集を行わないように指示(ダゲスタンのメリコフ首長が動員に誤りがあったとテレグラムに投稿)
・北朝鮮が平安北道の泰川郡から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・ドイツのショルツ首相がUAEのムハンマド・ビン・ザイド大統領と会談(アブダビ)
・ドイツのショルツ首相がカタールのタミーム首長と会談(ドーハ)
・イタリア総選挙(右派連合が勝利)

9/26(月)
・ロシアのイルクーツク州ウスチイリムスクの徴兵事務所で銃撃事件
・ロシア各地の徴兵事務所や行政機関で放火事件
・ロシアのイジェフスクの学校で銃乱射事件
・ロシア・ベラルーシ首脳会談(ソチ)
・ロシアのプーチン大統領がエドワード・スノーデンにロシア国籍を付与する政令に署名
・英外務省がウクライナのドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4州でのロシアへの編入の是非を問う「住民投票」に関わった企業や親ロシア派幹部に制裁を科すと発表
・ロシアのFSBがウラジオストクの日本総領事館の領事を拘束(その後、解放)
・ブリンケン国務長官がウクライナの治安当局への4億5700万ドルの追加支援を発表
・米韓合同軍事演習(日本海、~29日)
・中国人民銀行が人民元取引の基準値を1ドル=7.0298元に設定
・ドイツのショルツ首相が新型コロナウイルス感染を発表
・米州開発銀行(IDB)がクラベルカロネ総裁の解任を発表
・IAEA総会(ウィーン、~30日)
・ADB年次総会(マニラ、~30日)
・ハリス副大統領と岸田首相が会談(東京)
・日越首脳会談(同)

9/27(火)
・ウクライナのドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4州でロシアへの編入の是非を問う「住民投票」の最終日(即日開票、いずれも8~9割の賛成と発表)
・国連安保理のウクライナでの「住民投票」に関する緊急会合(ゼレンスキー大統領がオンライン参加)(NY)
・ノルド・ストリーム1と2のパイプラインにガス漏れが生じたと運営会社が発表
・ノルウェー、デンマーク、ポーランド間のガスパイプライン「バルティック・パイプ」の開通式(ポーランド・ブドノ)
・米国がウクライナへの供与を表明した高性能地対空ミサイルシステム「NASAMS」はウクライナ側にまだ渡っていないと米国防総省が説明
・米国の在ロシア大使館がロシアに滞在する全ての米国人に国外退避を勧告
・米印外相会談(ワシントンDC)
・サウジのサルマン国王がムハンマド・ビン・サルマン皇太子を首相に指名
・安倍元首相の国葬(東京)
・日印、日豪、日・シンガポール首脳会談(同)
・中国海軍とロシア海軍の計7隻が9月上旬から1か月ほどかけて日本列島を半周したと防衛省が発表

9/28(水)
・米国がウクライナ安全保障支援イニシアティブに基づく11億ドルのウクライナ向け武器支援を発表
・米・太平洋諸島諸国首脳会議(ワシントンDC、~29日)
・ロシア・トルコ首脳電話会談
・北朝鮮が平壌の順安地区から日本海に短距離弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・イランの革命防衛隊がイラクのクルド人自治区にある反イラン武装勢力の拠点をミサイルや無人機で攻撃
・ハリス副大統領が米海軍横須賀基地で演説

9/29(木)
・ロシアのプーチン大統領がウクライナのザポロージャ州とヘルソン州を独立国家として承認する大統領令に署名
・フィンランドがロシアからの入国の制限を発表
・ドイツのショルツ政権がガス価格対策を発表
・ハリス副大統領と韓国の尹錫悦大統領が会談(ソウル)
・米連邦地裁のアイリーン・キャノン判事がマール・ア・ラーゴの押収物の特別管理者であるレイモンド・ディアリー判事が提出した計画案を変更
・北朝鮮が平安南道・順川付近から日本海に短距離弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・クウェート議会選挙
・日中国交正常化50周年
・中国海軍とロシア海軍の計7隻が9月28日から29日にかけて鹿児島県の大隅海峡を共同航行したと防衛省が発表

9/30(金)
・プーチン大統領が大統領府で演説、ウクライナの4州の「併合」を宣言、同4州の一部を占領する親ロシア派武装勢力の代表と「併合条約」に署名、赤の広場で演説(バイデン大統領とG7外相声明は「併合」を認めないとして非難、米英はロシア中銀のナビウリナ総裁らを制裁対象に追加、国連安保理は「併合」を認めないとする決議案を否決)
・プーチン大統領が秋の徴兵に関する大統領令に署名
・ウクライナのゼレンスキー大統領がNATO加盟申請を発表
・米国で12月16日までの連邦政府の歳出を可能にする「つなぎ予算」が成立
・EU臨時エネルギー相会合(ブリュッセル)
・タイの憲法裁がプラユット首相の任期は憲法上の任期制限を違反していないとの判決(同首相は職務復帰)
・日・ウクライナ首脳電話会談
・日米韓共同訓練(日本海)

10/1(土)
・ロシア軍がドネツク州のリマンから撤退したとロシア国防省が発表
・ウクライナのザポロージャ原発のムラショフ所長がロシアに拘束されたとエネルゴアトムが発表
・バイデン大統領がベネズエラで拘束されていた米国人7人の解放を発表(米国はマドゥロ大統領の親族2人を解放)
・日米豪防衛相会談(ホノルル)
・中国国慶節(~7日まで休日)
・北朝鮮が日本海に短距離弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・ラトビア議会選挙(カリンシュ首相率いる与党「新統一」が第1党)

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(10月3日)で224日目を迎えました。

前回の記事(以下のリンク参照)でお伝えしたとおり、ロシアが占領するドネツク州、ルハンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の一部においてロシアへの編入の是非を問う「住民投票」が行われ、先週、いずれの地域でも8~9割が賛成したとの結果が発表されました。

「ロシアのウクライナ侵攻」(9/26)
 
これを受け、プーチン大統領はザポロージャ州とヘルソン州を独立国家として承認する大統領令に署名。2月の侵攻直前に「ドネツク人民共和国」と「ルハンスク人民共和国」を独立国家として承認していたので、これら2州も、いきなり併合するのではなく、まず独立を承認するというステップを踏んだようです。

そして、プーチンがクレムリンで議員に向けて演説を行い、4州の「併合」を宣言。親ロシア派武装勢力の代表と「併合条約」に署名しました。その後、プーチンは赤の広場で「併合」を祝うイベントに参加、数千人の聴衆に向けて演説。「真実は我々にある!」「勝利は我々のものだ!」として、ウラー三唱を行うなど、異様なテンションでした。

米欧は、ロシアによる4州の「併合」を「茶番」と呼んで非難。米英はロシア中銀のナビウリナ総裁らを制裁対象に追加しました。国連安保理は「併合」を認めないとする決議案を審議しましたが、ロシアだけが反対し、否決されました(中国、インド、ブラジルは棄権)。

米国は、「住民投票」の直後、ウクライナ安全保障支援イニシアティブに基づき、11億ドルのウクライナ向け武器支援を発表しました。高機動ロケット砲システム「ハイマース」18基などが含まれており、これでウクライナのハイマースは合計34基と倍増します。また、ゼレンスキー大統領はNATO加盟を申請すると表明しました。

戦況については、引き続き東部(ハルキウ、ルハンスク)と南部(ヘルソン)で戦闘が行われていますが、ウクライナ軍はドネツク州のリマンを包囲。ロシア国防省が軍の撤退を発表しました。ウクライナ軍がリマンに入る映像が拡散され、ウクライナ軍関係者やゼレンスキーもリマン奪還を宣言。

リマンはウクライナ軍がルハンスク州を奪還する上で重要な役割を果たす要衝であり、ウクライナ軍が包囲を進めていたことは、上記「ロシアのウクライナ侵攻」(9/26)と以下の記事で解説していたとおりです。

「ロシアのウクライナ侵攻」(9/19)
 
一方、ノルド・ストリーム(NS)1と2のパイプラインにガス漏れが生じたとNSの運営会社が発表しました。原因は不明ですが、プーチンは上記「併合」の演説で、「アングロサクソンは制裁のみならず破壊工作まで行った」と述べ、米欧による攻撃と主張。これに対し、バイデン大統領は、「意図的な破壊工作」としながら、ロシアは嘘を広めていると主張。米ロがお互いを非難する状況になりました。

こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●イタリア総選挙

イタリアで総選挙が行われ、右派連合が過半数の議席を獲得し、第1党となるイタリアの同胞(FDI)ジョルジア・メローニ党首が首相になることが確実な見通しになりました。前回の記事(以下のリンク参照)で述べたとおりの結果でした。

「イタリア総選挙」(9/26)
 
今回の選挙の意義と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※ブラジル大統領選挙など。メルマガで解説。)

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あとがき
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アントニオ猪木さん死去 元プロレスラー 国会議員活動も 79歳(10月1日付NHK)

アントニオ猪木さんの訃報がありました。私は格闘技が好きなので、元々思い入れの深い方だったのですが、プロレスという枠を超えて、政治家や人間としても、広く社会に多大な影響を与えてきた方でした。

色々書くとキリがないですが、個人的な原点としては、子どもの頃に熱中した漫画『プロレススーパースター列伝』が思い出されます。様々なプロレスラーが取り上げられる作品ですが、数ページごとに「アントニオ猪木(談)」というコーナーがあって、笑顔の猪木さんがコメントや解説を加えるのです(イメージについては、たとえばこちらのサイトをご覧ください)。

今思うと、『魁!男塾』の民明書房の解説に通じるテイストがありました(おそらく男塾がこれをパクった(オマージュにした)のでしょう)。内容もかなり大胆で、「本当に猪木がこんなことを言っていたのか?」と子どもながら疑問を抱いたものですが、やはり原作者の梶原一騎が勝手に書いていたようでした。

あと、この絵だけ妙に異質というか、なぜこんな満面の笑顔で、スーパーマンのような格好なのか(パーカーに「ANTON」というレタリングがあるだけですが)疑問もあったのですが、これはアントンのトレードマークのアイコン画像だったようです。原田久仁信先生が描いた絵ではなかったわけですね。

本当はもっと書くべきことがいくらでもある方ですが、私からは少年時代の思い出をお伝えするのにとどめます。ご冥福をお祈りします。

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