2006/07/27 09:11 | M&A | コメント(10)
それがローテクってか??
誰がなんと言おうと製紙産業はローテクに分類されます(爆)。
少なくともアメリカのM&Aの世界ではそうなんですから。
そりゃー、私だってわかってますって、シロートじゃないんだから。今の製紙業界の技術レベル、進歩、北越製紙の現状くらい・・・ぶつぶつ・・・・
例えばですね、ガラス産業なんかもローテクに入れます、因みに。使ってる技術はすごいんですよ、実際、ご存知の通り。ビールもそう。所謂寡占産業が多いのは事実ですが、成熟産業とも言い難い。繊維、など、一般的用語でハイテクと呼ぶのはかまいませんが、ことM&Aの世界ではそう呼びません。
何が違いか・・・・
紙、ガラス、電線、ビール、コカコーラなんかもローテクに入れる学者がアメリカにはいますが、つまり使用方法について一定の予測が成り立つもの。或いは決定的な違いが当面生まれないであろう物、産業はローテク。
逆にハイテクを考えてください。ハイテク産業の中になんでガラス、鉄鋼などがはいらんのですかね。技術的には十分ハイテクですが、分類上は入らない。そういう話ですからあまり目くじらを立てないように(笑)。
さて、その北越製紙ですが、経営陣が嫌がっているわけです。TOBを。だだをこねているといった方が正しいかもしれない。しかし、これだけ高いTOB価格を拒否できるだけの正当な理由が付けられるかどうかが問題な訳ですね。
こういう場合どう対抗するかというと、自ら株を買いまわり、TOB価格を超えてしまう。そうなるとTOBに応じない正当な理由が成り立ちますね。そうすると更に高いTOB価格が出てきますのでまたまた対抗して買い捲る、これを繰り返していく。
さて、どうなりますか・・・
自社株買いに資金が必要なので当然借金をしまくる訳です。その結果買収してもしょうもないくらいの、借金漬けのすさまじい財務内容になってしまい、買収する側はギブアップするしかない・・・・という結末になりまして、これが本当に焦土作戦といわれるものなのですが、アメリカでは普通の戦略です。もう鼻血もでない、でも死なないぎりぎりのところまで借金をしていき相手の様子をみる、すさまじい戦いになります。当然その間にお互いおとしどころを探りますが、キャッシュフローの計算しやすい業界ですので、この作戦はかなり高い確率で成功します。だいたいキャッシュフローで金利さえ払えればいいぞ、というぎりぎりまでやりますので(インタレストカバレッジレシオといいます)相当借金が可能です。
日本航空でこれができるかというとノーなんです。まあ、かなり借金はできるにしても明日鳥インフルエンザで観光客が半減する、なんてことが実際に起きるわけですよ。そうなるともう金利が払えなくなります。半導体も無理ですね。利益変動の幅が大きすぎますね。また、突然すごい技術が出てくるリスクもある。これが出来る業界としては先ほどのローテク産業、ガラス、電線、ビールなどという事になるでしょうね。ビールは天候の影響を受けやすいと思われますが実際過去の変動を調べてみるとそれほどでも無い事がわかっています。
ということで、アメリカ並みの戦闘状態になるか、まあ、業界関係者としては極めて楽しみなディールであることは間違いありません。野村證券にとってもこれは大勝負ですね。欧米の投資銀行を相手に回して戦えるのか、金融業界としても大変な注目ディールであることは間違いありません。
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10 comments on “それがローテクってか??”
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なる程、ぐっちー神官の通訳、よく分かりました。
焦土作戦、まぁ経営者の度胸次第でしょうね。
野村のお手並み拝見、筆おろし。
トイレペーパーの焦土作戦・・・プロバンスを自動車旅行していて、駆け込んだ公衆トイレ、新聞紙が切っておいてありました。ル・フィガロかル・モンドか共産党機関紙か知りませんが。
世界的な規模で考えれば、新聞紙かトイレペーパーかの焦土作戦の勝敗は分からない。
我が国の債権の焦土作戦は、溜息通信・・違った溜池通信に、主計次長の焦土作戦の予告が出てますね。金融行政の歴史とノウハウの蓄積がある。自信満々ってとこだな。
過去と今の日本では余りにも違いすぎて、教科書どおりにいくかな?
ぐっちーさん、書き出しの部分で、ちょいと拗ねたりして、かわぇぇ?です。ぐっちーさんのブログのコアな読者は全員わかってますよ。
紙も含めて素材を製造する技術はそりゃ猛烈な速度で進歩します。でも作っている商品はローテクに分類される。ローテクに分類される商品は必要不可欠なモノが多く、それらはキャッシュフローも読みやすく、産業としては強い。という理解で良いですよね…。
ガラスと鉄鋼とかハイテク素材(笑)とか出して来ますけど…素材だけに付加価値にも限度があって、やっぱローテクに分類w
日本のガリバーとして、その力を見せて欲しい、
ちょびっと調べてみたんですが、
製紙業界ってROICめちゃ低いんですね…
こういう事が起きると、普段のIRの重要性をひしひしと感じます。「資本の管理」と「期待収益率のコントロール」って経営の最優先課題ですね…
それにしても、あんな値段でTOBってよっぽどシナジー(という幻想)に自信があるのか…そっちのほうが気になっておりまする?
製紙業を押さえることで、印刷・出版業なんかにも影響を与えようとしているのかな?と深読みしてしまいます。
ともあれがんばれ!!
じゃあ何がハイテクに分類されるの?ってなっちゃいますよね。
その分類で行けば、キヤノンなんてバリバリのローテク企業ですし。
↑
約一名、頭の悪いやつがいますな。
ここも仲良し倶楽部だったんですね。
退散します。
なるほどねえー、そんな風に考えていくんですか。ブログでないと、こんなことどこにも書いてないわ。感謝
産業として安定したキャッシュフローが見込めるのがローテク。
近い将来技術革新が予想され、リスクが読みきれないのがハイテク。
この認識でよろしいのでしょうか?
シリコンやディスプレイ用ガラスなんかは素材でもハイテク産業ですか?