プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/08/12 18:14  | マーケット |  コメント(36)

詐欺師たち


昨日はさすがにたくさんコメントを頂きましたが、それに対しワタクシの申し上げたいことは読者の方がみなさまフォローして書いて頂いているのでそちらを是非ご覧ください。

いや、さすがです。

経済、金融では数字を見せられると何でもそうか、と思ってしまう所がくせものなのです。

たとえば日本の公的債務がGDPの200%もあって世界ダントツとか言われるとそうかなー、と思ってしまう。GDPの2倍も借金があるなんて、家計に例えると大変なことに見えますね。

でも国の財政は家計とは全く!!異なります。

プライマリーバランスが問題なのであって、言いかえれば利払いを続けていけるかどうかだけが問題なのです。

これは世界標準の常識です。未来永劫借金はできないではないか、というご指摘もありましたが、それは日本という国が未来永劫利息を払っていけないだろう・・・・もう何も生み出さない国だろう、と思われて初めてそうなるのであって、現状日本ほど物を生み出し続ける国はないので「サステイナビリティー」は世界中のどの国よりもあるのです。

そしてこのサステイナビリティーこそが世界的に認められた借金返済能力の指数なのです。

そしてGDPの2倍という話ですが、もしその数字を問題にするなら、対GDP比債務残高がある程度積みあがってくると国はデフォルトする・・・という法則や、少なくとも過去の例がある筈ですが、アルゼンチンも、ロシアもせいぜい70%程度ところでデフォルトしています。

つまりGDP比の国家債務と実際のデフォルトの間には何も相関関係がないということが証明し尽くされているのに、なんとなく大きい、という数字で脅かしているのです。

ちなみに日本は日露戦争のとき、GDP比70%程度の債務残高でしたが、これでもお金を借りられずにふうふういっていました。つまりGDP比の債務残高で当時からだれも判断していないことがわかります。

イギリスは最高でGDP比270%という記録がありますが、別に財政は破たんしていません。

これは熱が40度あるから大変だ、といっているようなもので、熱で死亡する人もいますが大多数は死には直結しない。

こうしたいい加減な数字で煽るのは経済・金融マンの得意技なのです。

数字が出てくるとその方が信憑性が高いと思うのが現代人の悲しい所で、むしろテキトーな数字で人を操るのは簡単だ、ということに気がついてください。

それから未来永劫返さない訳にはいかない・・・という議論も聞かれますが、現代の財政論では何が何でも返す・・・という前提に立った学説はありません。

先ほど申し上げたサステイナビリティーだけが問われる、といのが世界常識なので、こればかりは文句があったらハーバード大学経済学部にでも文句を言ってもらった方がいいだろうと思います(笑)。

それから国債が暴落して価格が下がる、つまり金利が上がることが破綻につながると言う人もいるのですがそれも誤謬、というかオカルト経済学の一派です。

今1%もない10年国債の金利ですが、もし経済成長率が5%となってその程度のインフレ率が出てくるとなると10年国債は5%、今の国債がおよそ75円位になる訳です。

今の国債の価格が75円になってしまいますので暴落と言えば暴落ですが、5%経済成長している訳ですから、税収増で国の財政はより豊かになっている筈で、財政破綻論とは全く逆の話になることになる、ということを忘れないでください。

まともな金融機関なら経済成長に合わせて適正な融資や株式投資なども行っているはずなので国債の損失は十分に取り返しているはず。

そうなれば日経平均も2万円以上ですから日本としてはかなり景気がよいのではないでしょうか。ですから、金利が上昇してそこで財政破たんという議論になるのは論理破綻以外の何物でもない。

むしろインフレ率をコントロールすることの方が重要なテーマで、だからこそ日銀は必死になって金利コントロールをしている。

あほな政治家が日銀のせいで景気回復が遅れる・・・と言っている訳ですが、日銀の仕事は通貨価値を守ること、それだけであって、それはつまりインフレになったときに出番がある訳で、金融危機を回避するという仕事以外にはこのデフレ下で日銀の出番はないのです。それこそ政府、政治家の役割なのです。勘違いしてはいけません。

ということで、一見正しそうな数字に騙されないこと、それから世界的な標準は何かということを常に念頭に置いて頂くこと、それだけを読者のみなさまにはお願いしておきたいと思います。

それから文句ばっかり言うな、というご指摘もありましたが、できましらたワタクシのAERAの連載、そしてほぼ半年に一回出ますアエラビジネスも合わせてご購読頂きますとどうするべきか、という明確な指針を出させて頂いていることがおわかり頂けるのではないかと存じます。

お手数ですが是非ご覧くださいませ。

そうそう、逮捕されちゃいますよ、なんてコメントもありました(笑)。

むしろ財務省の方を応援している・・・これだけの国債を発行していて1%以下に金利を抑え込むという神業を発揮している・・・・位ですからその心配はないのでは!?

最後にクドイようですがどこで国債の発行が危うくなるか、というのはそれはみなさん自身のご決断だということを申しあげておきます。

日本国内では日本国債に勝る信用力のあるものは全くないのです。すべて日本国債より信用が劣ります。

しかし、たとえば孫子(マゴコ)の代に資産を残すとなって日本円では心配だ、これはドルで持っていなければならない、となって初めて日本国債の借り換えが困難になります。

その時が来ますか? というのがワタクシの根源的な質問です。

ですから日本財政破綻を主張する方はおそらくすべての預金がドルで、朝日新聞からのギャラもドルとかユーロで御取りになっているのだろう、と想像します。

藤巻さんに円預金があったら笑いものでっせ。

破綻するとお思いなら円なんて1銭もいらないでしょう。

私は日本が破綻するなんて全く思っていないのですべて円キャッシュで保有していますし、日本国債ももちろん持ってます。

日本が世界中から必要とされる価値を生み出し続けている限り、財政も円も盤石なのです。実際に破綻したアルゼンチンやロシアにはこれがなかった。それだけのことです。

そしてここ10年のうちになんとか日本を立て直さないといけません。今ならまだ余裕で間に合いますよ、と再々もうしあげているのですが・・・・

それから人口も増えないしこれから日本は経済成長なんてするはずない!! と書き込まれていた方もいますが、そんなことはありません。ただし、内需拡大とか呆けた事を言っているとおっしゃる通りだと思います。

しかし、幸いなことに日本は世界中から必要とされているんですよ。出ていくかどうか、あとは自分達の決断だけです。坂本竜馬もだからなんとなくはやるんだとおもいますけどね。竜馬に関してはアエラ担当のO君ともども話したいことがたくさんあるのでまた後ほど!!

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36 comments on “詐欺師たち
  1. 大臣 より
    円高

    頭が空っぽな財務大臣は、なす術もなく「注意深く見守りたい」と壊れたラジオ状態でっせ。
    菅総理にあっては、いい気なもんで軽井沢の避暑地から「円高が急激過ぎないか」などと戯けたことを言っている。
    ではどうしろというのだ?腹案など何もないではないか。口先で日銀のせいにするしか能がないではないか。

  2. ヤミノソラ より
    将来に投資するための借金ならいいけど…

     成長が見込める分野(世界でこれから需要が見込まれる分野)に投資するために国債を発行し、投資して世界から儲けたお金で国債の支払に充てるなら、是非借金してでもやるべきだろう。しかし、今の国の支出は投資というよりもバラマキばかりで、子供やこれから生まれてくる世代のお金で今の世代が贅沢をしているようなものだ。今の世代のために使う国のお金は、税金で賄うべきだ。そういった意味では、「詐欺師」というのはすこしかわいそうだ。財務省の人が私腹を肥やすためではなく、今の世代が受けるサービス(バラマキ)のためのお金を税金で賄おうとしているのだから。

  3. andy より
    のだ

    合併してあほになったわが社は、老人に円高はチャンスですといって、ドルを買わせております・・・・厚顔無恥・・・国債より利回りがいいですよ・・・・日本のメガバンクなんてこんなもの・・・
    民主党のキャッチャーミットみたいな顔した大臣は脳死状態・・・国債暴落論なんて無意味な議論をしている連中をポアし、現経済の舵取りをしているアホ連中をどうにかしないと・・・・・失われた30年になってしまう・・・ぐっちーさん立候補してください・・・・・

  4. かまちゃん より
    難しく考えすぎじゃないでしょうか?

    日本人は。

    一人当たり、国の借金を700万背負っているらしい。

    でも、貸しているお金も500万ある。

    ネットで、200万の借金。

    これをGDPで計算したら、50パーセントもいかないんじゃない?

    バランスシート上これが、正しい会計学じゃないんですか?

    GDP当たりの借金という議論がそもそも間違いであって、
    借金王は小渕さんとヤンキーじゃございませんか?(笑。

  5. ぺルドン より
    預言者達

    Mr.Gucciは・・
    数字を操る詐欺師・・と手厳しい・・

    原始洞窟絵画は・・左手の輪郭の絵が多い・・
    右手より・・神聖視・・されたのか・・利き腕を使っただけであったのか・?・

    手は数を数える・・計算機・・だった・・十進法は両手から・・二十進法は足を動員・・
    数字は神聖な呪文だったのか・・?

    旧石器時代の遺物から・・
    既に素数も・・簡単な掛け算も・・分かっていた・・月の満ち欠けを連続体で・・トナカイの骨に刻んだ・・初期天文学者の存在も分かっている・・

    その歴史背景から・・数字をチラチラされただけで・・我等は有り難いと思うのも・・洞窟からの歴史背景がある・・

    獣の皮パンツを履いた・・数学の天才は・・呪術師とか魔術師を選び・・やがて神官になっただろうが・・今はアナリストとかストラジストとか・・別名で呼ばれているのだろう・・・

  6. ATU より
    確かに

    ぐっちーさんのゆうとおりここで金をブチ込むべきとこにブチこんでほしいとゆう思いはあります。昨日のコメントでもしこのままの予算編成が続けばと申したらアホ呼ばわりされてましたが、私にはここ10年で政治、官僚どちらでもいいですが、しっかりと引っ張ってくれるようなるとは信じられないのであります。やっぱりあと10年も予算のブン取り合いでしょう。頼れるのは民間ですが、需要をもぎ取ってこれる優良企業は国外逃亡の流れかと。
    あと経済成長を伴わない金利上昇もあるかと思います。まーネガティブなことを書きましたが私も日本復活を願っております。
    とゆうかフランス・ドイツ等のようにちゃんと休暇を取れるような社会にしてほしいよ。

  7. とおりすがり より
    英国は

    >イギリスは最高でGDP比270%という記録がありますが、別に財政は破たんしていません。

    いやまあ、英国は1976年IMFに入っていただいた国なんですが、たしかにデフォルトではないけれど、それほど胸を張って破綻していないって言える状況ではなかったと思います。

  8. あっちー&こっちー より
    私見。

    この国の再生には、公務員制度の見直しが必要と考えます。
    で、それに反対するのが、もちろん公務員の組合で、官僚連中、彼らはあの手この手で妨害するだろうし、していると思います。
    消費税も、今の公務員制度温存では反対です。
    で、与謝野クンはみんなの党をデマゴーグ政党と言ったが、私は財務省の振り付けどおりと見ます。
    まあ、逮捕は無いでしょうが、フォーカスはあるかも?(笑)

  9. かざしも より
    勿論架空です

    逆に「何をしたら破綻できるか?」というテーマで議論しても楽しいのではないでしょうか。一度破綻してre☆bornという選択肢はなしでしょうか?

  10. hina415 より
    個人金融資産1500兆円まで

    ぐっちーさんのおっしゃるとおりなんですが、それは現状ではという話ですよね。
    国民一人当たりの税金は、約79万円。これに対して、公共サービスや社会保障などで使う税金は、約95万円。
    債務残高は、年々積み上がっています。
    これが、どこまで積み上がっても大丈夫なのか。1500兆円までなら大丈夫なのでしょうか?

  11. とおりすがり より
    破綻するかどうか

    決済分を除けば、円預金はひとつも持っていないので、日本が破綻してもしなくてもどちらでもいいが、税金をもっと安くしてほしい。
    それと、絶対ということば使う人は、あまり信用できないな。今の環境が変わらなければそうなんかもしれんけど、市場も国家も常にかわるからねぇ。

  12. 藤井滝雄 より
    激励

    いつも楽しく読ませていただいています。顔がさらされているというお仕事柄、様々なくだらないコメントにも真摯に対応せざるをえないのだなぁ。。。と感心しています。いつもながらの明快な論旨に、朝からわが意を得たりでうなづいています。某サカキバラ先生もグッチーさんと同意見ですね。これからもへたれな反論に臆することなく頑張ってください。来週もメルマガ楽しみにしています!

  13. 日米の国の借金を維持するための円高

    円高の理由はここにある!

    昨年年末に予想した円レート

    「 2010年の日本円はこうなる。」
    http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=449976&log=20091223

    でジョンパパは
    QUOTE

    米国のドル強化策
    (1995年以降15年間続く)

    2010年の来年は
    ドル元とともに
    円が強くなると予想する。
    UNQUOTE

    日本円は予想通り強くなった。
    だが中国元は中国政府調整でそれほど強くなく、
    中国通貨を強く出来ない米国政府は
    コントロールの出来ない日本政府に
    円高で攻め立て中国元高効果を引き出している。

    日本から機械や部材を購入し製品化して
    米国へ輸出してくる中国貨物商品、
    この対策は
    日本の円高で中国元高と同じ効果を得られる米国。

    中国元高に出来なかった米国は、
    日本円高へと戦略を変えた。

    新たなる米国の戦略に、
    経験不足の日銀と
    その総裁を無理に推薦した
    民主党政府は経験不足からどうしてよいのかわからない!
    結果
    日本円が糸の切れた凧状態。

    この米国通貨高の戦略をとり始めた95年から
    日本はデフレが始まり現在まで続いている。

    さらに今年から
    米国までデフレに入り
    日本と同じ道をたどろうとしている。

    米国のドル強化策が
    1995年以降15年間続いており、
    この政策がなぜ続いているかを探れば
    円高がいっそう続くことも理解できよう。
    (回答のヒントは日米両国の赤字国債)
    国債の問題については
    グッチさんのアエラの記事をよめ!

    1995年4月19日
    - 東京外国為替市場で1ドル=79.75円の史上最高値を記録。
    現在も破られていない。
    1995年の円高記録に迫ろうとしている円レート。
    この記録を破るのだろうか!

    1995年といえば
    阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが発生し、
    日本の安全保障、危機管理に大きな影響を与えた年。
    村山富市(むらやま ないかく)、
    村山富市が第81代内閣総理大臣に任命され、
    1994年(平成6年)6月30日から1995年(平成7年)
    8月8日まで続いた日本の内閣である。
    自社さ連立政権の最初の内閣である。
    在任期間は、561日間。

    2010年の夏
    天変地異と異常気象が続き、
    いま中国各地では大地震が起こるという
    うわさが人々を恐怖に陥れている!
    困った世の中である!!!

  14. 鳩麦 より
    あなたも詐欺師の一人ですね

    藤巻さんには以前から違和感を感じていましたが、あなたも同じ匂いがします。
    「現代の財政論では何が何でも返す・・・という前提に立った学説はありません。」というのは詭弁でしょう。
    「10年のうちになんとか日本を立て直さないといけません。今ならまだ余裕で間に合いますよ。」というのをどう実現していくかが問題じゃないのですか。
    「幸いなことに日本は世界中から必要とされているから出ていけばいい」などというのも上辺だけの理屈に感じられます。

  15. メルマガ読者 より
    円高と騒ぐ詐欺師たち

    1ドル79円となった15年前から現在までのインフレ率は、日本がデフレの影響でほぼ0%、米国が約50%である(公式な統計データを確認したわけではない。あくまでも概算。)。

    15年間の日米のインフレ率を勘案すると、現在の1ドル85円は、15年前の125〜130円に相当する。

    15年前の歴史的円高水準1ドル79円は、現在の50〜55円に相当する。同じく15年前の1ドル100円は、現在の65〜70円に相当する。

    15年前に相当する円高が再現する場合、最初に1ドル50円を目指し、そこから1ドル70円まで戻すというイメージか?

    現在は、決して円高と言える状態ではない。

  16. あっちー&こっちー より
    神様、仏様、

    ぐっちー様!
    危ない橋を幾度となく渡ってきた人が、懲りずに、我々下々の為に、最高学府の頂点を極めた人達を相手に、これからも戦うと宣言される。
    それも、詐欺師たち!と…
    これは、ヘイ、カモ〜ン!と同義ですね。
    しかし、「財務省の方を応援している・・・」そうなので、浅はかな私の誤解でしょう、きっと…
    今日も酔っ払いの一人言でした。

  17. SAKAKI より
    国債より株です(笑)ありえねぇ〜

    うーん
     国債の借り換えも順調のようですし、停滞するようなら、わずかに金利を上げればズボっと需要が高まるでしょうね。
    じゃ、日本は何にカネを突っ込むの?でみんな思考停止になっちゃうように思えます。
     個人的には、地道に都市の再生、渋滞対策、科学技術の振興、教育、法人税の大幅減税かなぁ。あまりぱっとしないのよねぇ。
     もすこし風呂敷広げて、ミシシッピの桟橋の再開発、パナマ運河やスエズ運河の大拡張、ロシアの黒土地帯の灌漑事業、サハラ砂漠の緑化を日本企業の日本政府による日本の資金で公共事業化するなんて・・・(爆)
     そういえば・・今はどこのお国の機関も、財務改革を行っていますよ。
     抱腹絶倒の財務諸表美化物語がありますんで、興味がありましたら、ワイン1本で買収されます。(笑)

  18. リフレですいませんw より
    鳩麦様への反論

    鳩麦様
    > 「現代の財政論では何が何でも返す・・・という前提に立った学説はありません。」というのは詭弁でしょう。
    とのことですが、詭弁ではありません。
    ぐっちーさんは少し省略して言っていますから、そこのところを細かくいいますと、もちろん国債は期限が来たら返します。今も返しています。ただし、それと同時に借りていて、要するに借り換えをしています。
    この借り換えができないとなると、もちろん困ります。
    ぐっちーさんが「利払いを続けていけるかどうかだけが問題」と書いているのは、「借り換えができないとなると問題」という意味です。「利払いを続けられないのでは」と疑問を持たれると、借り換えができなくなります。ギリシャは最近大騒ぎしていたのは、借り換えができない可能性があったからです。
    すると、借り換えしてばかりではイカンじゃないか、着々と返していかないと、というのが個人の感覚としてはあるかも知れません。しかし、借り換えばかりしていて「いい」のです。
    特別な場合以外、個人の借金は、いずれ返さなければなりません。人間には寿命があるからです。
    しかし、国家の場合はそうでもないのです。
    いきなり国家だと飛躍が大きいので、企業で考えてみると、企業の借金というのは、売上げが伸びて行けば、借金も大きくなるのが普通です。それは別に破綻しているわけじゃなくて、ビジネスが大きくなっているのです。
    問題は、返済期限が来た時に銀行がまた貸してくれるか(=借り換えができるか)、です。この辺は国家と似ています。
    企業が借金を全部返したりするのは、まれなことです。
    国家は、企業よりもさらに「返さなくていい」という意味では有利な立場にあります。いざとなれば通貨を発行できるからです。
    ですから国家の借金も、借り換えができている間は問題ないのです。
    もちろん安易に通貨を発行するとすごいインフレになりますから、「安易な」通貨発行はよくありません。
    では、「安易でない」通貨発行ならばいいのか、という疑問が出てきます。私は安易でなければいいんじゃないかと思っていますが、ぐっちーさんは違う意見だと思います。この点は私とぐっちーさんは意見が違いますが、ここで書いた事でこの他は一致していて、これらは世界の国債市場で普通の考え方です。

  19. 安べえ より
    財政破綻論側からの反論

    ぐっちーさんの反論、反証には常時かなりの説得力を感じてしまいます。確かに対外的債務不履行(デフォルト)は、あり得ないのかも…と考えてしまいます。
    しかし、だからといってぐっちーさんの理由付が次の問題を同時に解決する訳でもないことも明白だと言えます。
    1)政府による自律的予算編成の自由度が年とともになくなっていくこと(毎年の政府予算額のうち相当額が利息の支払いに充てられる。)
    2)比較優位性を、保持し続けた国は過去に存在しない。

    結局、アメリカが債務不履行を起こすタイミングと同時に日本国も自国民を対象にデフォルトを宣言するシナリオしか見えてこないのです。

  20. ぐっちー より
    ありがとうございます

    たくさんの議論を展開して頂いてみなさま感謝申し上げます。

    このコメント欄は自由な議論の場を提供しておりますので、大歓迎です。ご批判はなるほど、そういう点がおわかりにならないのか、ということで大変参考になりますし、私の至らない文章をサポートまでして頂いて有難い限りです。

    ただ、日本の財政に関しましてはあまりにも物を知らない人がしゃべり過ぎていて、それがスタンダードになってしまう怖さがあります。日本人はまじめなのでいつの間にかその延長線上で戦艦大和を作ってしまうのです。

    いま必要なのは世界標準の議論に引き戻しそれを皆様ご自身にご判断頂くことだと思います。ですのでこのブログの大きな役割の一つは「騙されるな!!」ということでございます。私が皆様を騙しても儲かる訳でもございませんし、いいことはひとつもないのですから(笑)。

    今後ともごひいきにお願い申し上げます。

  21. より
    納得できる数字が欲しい。

    「国債は返さなくていい(=借り換え)」は今まさに進行中の事態で、償還期限の来た国債を返されても他にロクな融資先がないのでやむを得ずまた国債を買っているのが実情だと思います。
     「国の借金(国債の発行残高)は日本だけでなく他の先進国もずっと増え続けている」と聞いたことがあります。つまりは、『返していない』のではないのでしょうか?・・・。
     残念ながら資料をもっていないのでこのへんはグッチーさんに数字を明示してもらえば「鳩麦」様も納得されるのではないでしょうか・・・。

  22. 俺はミッチー より
    おもしれえ

    この論争はおもしれえなあ。
    要するに分かったようなことを言っているけれど、誰も正解を言っている訳ではないということかな?
    過去がそうだっからといって当てはまる訳ではないとか、数字のウソで議論しようという輩とか、議論百出でいいではないか。
    多分みんな正解だと思っているんだろうから、ええでねえの。
    少なくとも経済音痴の民主党よりはいいよ。

  23. あっちー&こっちー より
    たびたび、おじゃまです。

    小泉氏が首相時、ワンフレーズ会見が効果あったと言われる。一言で言い切ると、さもありなんと思わせる。消費税も同じ。このままでは持たないと言い切られると、そうかな〜とインプットされる。それに対抗するには、一言で言い切らないと、「そうかな〜」VS「そうかな〜」で打ち消せない。しかし算数でもあるまいに、高等数学を一言で言い切るためには、幹を描いただけであり、枝葉は描けてない。三次元の空間を二次元に圧縮したようなものである。
    ぐっちーさんも、未来永劫、今のままでOKなんて言っていない。あくまで、今は、である。
    消費税を今、上げて、一番得をするのは、誰か?
    ギリシャの、あの公務員の人口比率はなんなんだ?
    この問題の背後に控える抵抗勢力は大きい。
    ぐっちーさんも、命賭けてると思いますよ、きっと。
    (ちと、大袈裟か…、笑)

  24. urads より
    気の部分

    ぐっちーさんの言う日本の返す力となる企業。
    確かに海外で必要としてる所は山ほどあるでしょう。

    この所の政府の対応でなにか日本に対する気がなくなってるように思います。
    この事が一番気になります。

    気持ちだけではだめですが、気持ちがなければなにも始まりません。
    日本の気力はあからかに低下してる事は確かではないでしょうか。

  25. 俺もぐっちー より
    都合の悪いことは見えない考えられない国民性

    戦艦大和を作ってしまうのも問題!ですが、連合国に敵対すると「輸出が止められ経済封鎖される」という当たり前のことを事前に誰一人予想したり、指摘した記録もそれに対する備えをした形跡もないのも問題です。当時の軍上層部にはそのくらいの想像力も分析力も欠如していたのでしょう。その後のむやみな南方への戦線の拡大もあわてて資源を確保しにいった場当たり的な行動の結果でしょう。都合の悪いことは考えられない、想像できない、聞こえない部分、都合のいいコトだけで論理を組み立ててしまう国民性は今も健在なので十分に反省したいところです。

  26. brel より
    国民性

    国民性は定数でしょう。またその国民性あっての今の政党です。
    学会でさえ御用学者の集まりです。
    もはや一部グループの、かなり強行的な手段が必要だと思われます。
    みんなの党や、デフレ対策委員会に頑張ってもらいたいです。

  27. トム男 より
    ちょっと納得がいかないのですが・・・・・

    こんちは。

    日銀に関するコメント拝見しました。

    日銀法第1条による日銀の仕事は、通貨価値を守ることじゃなくて、物価の安定だと思われますが・・・・。

    その意味で、デフレ時も日銀の出番はあるのではないかと思っていますが・・・・。

    確かに、通貨価値を守ることは、物価の安定ということにイコールになるとは思いま
    すが、頂上は一緒でも、入り口が違うので
    対処の違いが出てくると思いますが、如何ですか?

    自分自身の知識の検証という意味で、書き込みさせて頂きました。

  28. より
    そもそも疑問なのですが

    >政府、特に先進国の債務であるにも関わらず日本の債務を将来的に全額返済しなければならない・・・と煽る財務省のやり方は完全にルール違反

    本当に財務省はこんな事を言っているのでしょうか? 私が情報に触れる限り、消費税を含む増税論者が目指す一里塚はプライマリーバランス達成であり、さらに借金返済まで考えた税率を提示している人などほとんどいないと思っていたのですが。

  29. はっしー より
    詳しい説明ありがとうございます!

    私は今まで、国民の預貯金を上回る国債残高に達してしまったらアウト(資金が底を尽きてもう買い手がいない状態)になるんじゃないか…と漠然と思ってました。
    だからあと数年は大丈夫でも、10年後はヤバい事になるんでは…?って心配してました。
    でも「そうではないんだ!」って事なのでしょうか?
    ちょっと考え直してみましたが、国が国債を発行し、国民(銀行など)が買い、そのお金はまた国債に回るとする。
    つまり、国債1兆発行して国の財政が−1兆になっても、結局その1兆は国の支出として国内(国民)にばら撒かれるため、国民が預金すればまた国債の原資になると。
    そこで発生する実質マイナスは利払いだけ。
    (まぁその利払いも国債に戻っていくのでしょうが…)
    このサイクルを延々と繰り返す限り、いくら借金しても利払いがまかなえる間は大丈夫、と。。。

    しかし、経済の成長を怠り、対外的に提供できるサービスが無くなり、支出超過となって国から資金が流出していったり、
    または国民が将来を悲観し外貨資産へシフトを移動させる形で流出させてしまうと、
    上記のサイクルが崩れてしまい、日本はピンチになると。

    なんかそうゆう観点で考えると、たしかに「借金が何百%だから国がつぶれる!」って単純にいえることじゃないのかな…と思います。

    ただし、このサイクルを守るには「経済成長」と「国民による円資産の下支え」が必須なんですよね。

    …しかし肝心の政治家、役人、マスコミがこのことを理解できているのかが心配ですね。

    >それから人口も増えないしこれから日本は経済成長なんてするはずない!! と書き込まれていた方もいますが、そんなことはありません。

    ここは言わんとしてる事がちょっと理解できませんでした。
    人口減って国内が減収になろうが、外に売りまくることで補えるって事でしょうか?
    国内の経済が縮小すると世界的な競争力も失われていく気がするんですが、それでも大丈夫なのでしょうか。。。

  30. フロイデンタール人 より
    ヒルベルトホテル

    毎年発行残高を2割づつ増やしていっても、国が存続する限りは永遠に破綻しないというわけか。とすると、本気になって心配すべきは出生率と教育の質をどうやって回復させるか、ということだけでしょうか。

  31. 鳩麦 より
    リフレですいませんw様

    あなたが言われていることはよくわかっております。
    丁寧なご説明ありがとうございました。

  32. MAISELS WEISSE より
    対応する学説の補足

    一応関連するところで、ケネス・ロゴフ教授の一般書レベルでは「THIS TIME IS DIFFERENT」で、この問題を詳細に豊富なデータを用いて扱っています。日本語でも経済学でも「流動性」という一つの言葉でカバーされますが、ファイナンス論上は「LIQUIDITY」(即時換金可能性)と「SOLVENCY}(たとえば銀行から借換可能な融資枠が得られる可能性、財務体質等で判断される)は分けて論じるべきだとされています。未訳ですが、今回のギリシャ問題でも多大な影響をもたらした本でもあり早急な翻訳が待たれます。
    さらに、経済学では長く異端視されていたが最近見直されつつあるのが、「ミンスキー過程」です。
    ファイナンスの危険性を三段階に分け、?@通常の運転資金で金利が返済できるレベル(ヘッジ過程)、?A借入で元本を借りて投資を行うレベル(投機過程)、?B利払いすら借入に頼らなければならないレベル(ポンジー=ねずみ講過程)。
    さらに金融拡大(バブル)に向かってヘッジ過程からポンジー過程に進み(順ミンスキー過程)、金融拡大の頂点でバブルがはじけると(ミンスキーモーメント)、金融縮小に進む(逆ミンスキー過程)というサイクルはサブプライム危機後有名になっています。

  33. ちもん より
    アホな政治家とは

    民主のデフレ脱却議連、自民の上げ潮派、みんなの党ってとこでしょうか。
    政治家が自らの責任を転嫁するために、安易な日銀批判に走るのは今に始まったことではないですが。

  34. はっしー より
    すみません。2度目の投稿です。。。

    国の債務の話とは関係ないかもしれませんが…

    国が借金して金をバラ撒き、受け取った国民が預貯金し、次の国債の原資になる…というサイクルを延々続けていくってのを考えると、
    国の借金は増えるけど、それと同時に国民の預貯金も増えていくはずですよね?

    だとすると、日本全体でのマネーの量はどんどん増えていくことになる。
    …しかし、世の中デフレで収入も上がらない、物も売れないと言われている。
    なぜだろう?

    海外で稼ぐ企業が国内に儲けを持って帰らないから?
    国がばら撒いても、少子高齢化ではそのほとんどがお年寄り(お金を使わない人達)にいくから?

    デフレで景気が悪いから
    「みんなお金が無くて大変なんだな」ってイメージを持ってましたけど、
    実は日本全体で見ればマネーは溢れてるって事なんでしょうか?
    景気が悪いのは使わないとこにお金が溜まり続けて根詰まりをおこしてるから?

    もしそうであれば、実は潜在的に大きなインフレパワーを秘めてるって事ですよね。
    日銀はやたらデフレよりもインフレを気にしてるように見えてならなかったけど、
    実はその根詰まりを起こしてる莫大なマネーを気にしてるんでしょうか…

    あと、「一方が借金してばら撒き、もう一方が受け取ってまた金を貸す」っていう姿は、
    数年前のアメリカと中国&日本の関係のようですね。
    「アメリカが借金しまくっても中国、日本が再投資してくれる限り大丈夫」と言われてたけど、結局不動産バブルをきっかけにダメになった。

    じゃあ、今の日本に当てはめるとどこがヤバいんだろう?…って思ったとき、
    借金垂れ流しで個人の預貯金は拡大していってるけど、
    実は銀行にある預貯金は国債まみれで、引き出せる預金なんてわずかしかなくって、
    「早く引き出さないと!早い者勝ちだ!」ってパニックになったとき…とかでしょうか。。。
    言ってみれば預貯金バブル?

    ・・・考えれば考えるほど、誰の言ってる事が正しいのか、どういう見方が正しいのかわからなくなってきますね。

  35. brel より
    政治家の責任

    国民としては、そのバカな政治家の事も、
    その他の政治家の事も、殆ど信用してないのです。
    大多数は話もロクに聞こうとしないのが現実です。
    そんな事をしても裏切られる事を、経験として学んでいるからです。

    そんな事情の元では、日銀や財務省など、
    トップは幾らでも保身に走るし、そうせざるを得ません。

    流動性の罠?そんなものは後付けで当てはめただけであり、
    上のようなどうしようもない国の有り様が意識されてさえいなければ、
    幾ら低金利でも貸し、ある程度高金利でも借りは増えます。

    もはや日本が経済的回復をする正攻法はありません。

  36. りゅうじ より
    疑問

    日銀法2条には通貨及び金融の調節の理念が規定されていますが、「物価の安定を図ること」とあります。これは、「インフレ対策はするがデフレ対策はしない」と解釈するのが正しいのですか?

    また、先日、こちらのブログ・メルマガでよく登場するクルーグマンが、「デフレを止められない日銀の総裁は銃殺しろ」と言ったらしいです(現代ビジネスのウェブページに載っています)。それでも、ぐっちーさんは、今の何もしない日銀が正しいとおっしゃるのでしょうか。

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