2008/04/16 09:50 | サブプライム | コメント(20)
モンスターを作った博士たち
しばらく所用がたてこみまして、書き込みがままならず・・・
遂に死んだか、とかいろいろメールを頂きましたがまだ生きてますよーだ(笑)。
中には「やまいではないか」、と真剣に心配していただいた方もおられまして、この場を借りて御礼申し上げます。残念ながら(笑)元気です!。
マーケットはまあ、しばらく書くことはないでしょう。18日のシティー決算発表あたりからまた佳境に入りそうですね。大体昔から日本のゴールデンウィークは相場がよく動くんですよ。
今回の金融混乱がそう簡単に収まらない理由の一つにアメリカが長年とってきた市場優先、あるいは市場一任主義という、市場への過度の信頼という面があります。
過去にこれで切り抜いてこられたという過信もあるのでしょうが、 市場が機能するというのは、今回のようなケース、つまり何かが値崩れをする→
行くところまでいくと→
物好きな投資家が出てきてこれならいいや、という値段をつける→
他の人が追随する・・・
という一つのメカニズムが出来るということです。
つまり、買い手の出てくる値段まで下がれば収まる、というしごく当たり前の原則を信じている訳です。 過去の暴落もすべてこれでとまった訳です。しかし、ITバブルにしてもGMショックにしても、そのIT企業の企業価値やGMの企業価値は価値判断の差こそあれ、株価が5ドルなら買おう、という価値基準は存在した。だからどこかで買い手が出てくる訳ですよ。
しかし、今回の問題の証券化商品の暴落にはこれがあてはまらない・・・ということをこちらでは再々指摘してきました。
つまり市場主義者たちは、「適正な値段が不明なので、だれも買えない」、という至極当たり前の状況を無視している訳です。更に買い手に回るべき投資家である金融機関とヘッジファンドが損失をこれだけこうむればだれも立ち向かう人間はいない・・・従って市場原理は働かず(価値基準の喪失及び需要の欠如)、結局最後は公的資金投入しかない・・・となるのです。
更なる問題点というか今回の複雑性は、「問題を起こした方が買い手そのものである」ために、問題の所在がよくわかっているので怖くて手が出せない、という、いわば「マッチポンプシステム」にあります。
モンスターを作った本人がそのモンスターの凄さを一番わかっており、しかしそのモンスターを回収する立場になってしまった訳ですから、怖くて手が出せないと言えます。
ちょっと複雑ですが、これらの何が諸悪の根源か、と言われると、行き過ぎた分散はもちろんですがひとえにレバレッジということが言えるでしょう。大体100億で100億のものを買ってればやられたら100億です。結構明確ですよね。
しかし、トータルリターンスワップなどで様々なレバレッジをかけているため、あるものは4倍だったりあるものは10倍だったりするので、いざ処分しようにもその差額を誰が埋めるのかという問題があります。
元来はスワップを受けたカウンターパーティーが負担すべきでしょうが、金額が大きすぎてとても負いきれない・・・・ことがわかっているのでだれも手が出せない、という悪循環と言ってもいいかもしれませんね。
だからこそ、これは市場原理だけでは絶対にカタがつくはずがないのです。しかし、まだまだ証券化商品の買取機構というような大掛かりなものに対しては否定的な見解が多く出されています。アメリカらしいといえばアメリカらしいのですが、このあたりが命取りにならぬよう、警戒していく必要があるでしょう。
アメリカも市場原理だけでは片付かない根源的商品性の欠陥に早く気づくべきです。
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20 comments on “モンスターを作った博士たち”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
GSが売りポジだからポールソンは公的資金注入を否定しているのでしょうかね?
それはともかく、人権大国アメリカが中国にすがり、チベット問題をスルーするほど追い込まれているのは確かですね。
一方で親中国家フランスの豹変は何なのでしょうか。勘ぐるとサルコジはサブプライムで身動きがとれないアングロサクソンを更に追い込むために、中国を暴発させたいのかもしれません。
こうしたレバレッジをきかせた金融商品を売買するためにはそれなりの証拠金が必要となり、それを超えて損失がでると、自動的に手仕舞いさせられ、自ずと損失の額は限られてくると思うのですが、今回はこの装置が働かなかったわけですね。
つまり誰も市場を監視する人がいないなか、CDOの組成業者である投資銀行がやりたい放題をし、本来そのクレジットの監視役となるべき格付機関もその商品性をよく理解しないまま格付けをしてしまい、機能しなかったということでしょうか。
これじゃーとても投資できる代物ではなかったものが、市場を闊歩してしまったことになります。本当に情けないことです。本来、デリバティブ取引では勝組と負組が出て勝負が終わるのに、今回は債務不履行から、総負で終了ですか。今の市場の仕組みがちょっとおかしいんじゃないかしらね、、、、、。
なるほどなるほど。
このレバレッジについて、一度包括的な説明をしていただけないでしょうか。あるいはそれが素人にも一番よく分かるサイトを教えていただけないでしょうか。
「マッチポンプシステム」まさにおっしゃるとおりで・・・
しかしこの債券・金利・株と全て静か過ぎて、東京市場は大丈夫ですかね?
みんな書くと思って、注意喚起のつもりで金融恐慌の恐れアリと書いたら知る範囲で誰も書かず、激励の援交メールをしこたま頂きゲンナリ。どうやるのか知らないがそんな暇あったら習いに来たらいいのに。
知り合いの娘と2ヶ月の孫が硫化水素自殺の巻き添えで入院、自殺なんてバカバカしくなるからセントジョーンズワートを飲んでから考えろと。
下がり続ける相場はありまへん。
修羅場でありましたか、
顔に貼られたアチコチの絆創膏が物語ってるのかなぁ?そのオデコのデカイ絆創膏・・キスマークだって?
愛をパンチで表現するヒロインの映画があったなぁ・・
で
根源的ねぇ
金融工学の専門家等よりも、経済学者よりも、七人の総裁よりも、
二十一世紀を支配する迷宮経済を、把握・分析出来るのは精神分析学者だ、
というぐっちー示唆はビンゴ。
フロイトの出番であります。
アメリカが大好きな・・
今回の源は『リビドー』にありました。
リビドーがサブプライム・サプライズ債権等、一切を引き起こしてしまった。
魅力的な根源的解釈・・・
ぐっちー
額のそのバンドエイト、剥がしてくれないかなぁ・・・ほんとにキスマーク?
ぐっちーの「リビドー」は・・・何処に・・・?
毎回黒字だと読みやすくてありがたいです。
いつもは灰色の字ですが、少し読みにくいです。
この色の分け方の違いは何か意味があるのでしょうか。
公的資金投入はコンセンサスでは?
政治の建前の前に、言い出せず?
儀式=暴落が必要?
あるいは、このまま長?い時間経過がいる?
クーポン効果は現れず、秋口に株式相場は崩れるのか?
明るい見通しなんて、誰も言ってませんよね?
ぐっちーさん、おかえりなさい
ぐっちーさん、いつも勉強させて頂いています。
Jパワーの件、ぐっちーさんからも一言お書き頂けませんか?Economist誌の批判されるまでもなく、日本のエネルギー価格は世界最高、官僚の天下り先、利権先としてなんとしてでも守ろうという悪の気合いに満ちている案件だと見受けられます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080416-00000549-reu-bus_all
英TCIのJパワー株追加取得計画に中止勧告を決定=経産省
[東京 16日 ロイター] 経済産業省は16日、英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)に対し、電源開発< 9513.T>(Jパワー)株の追加取得の中止勧告を出すことを決定したと発表した。外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく外資規制で、中止勧告は初めて。(ロイター)
Jパワーの件、どっかで、「最初に投資した分が値下がりして損出して、投資家に怒られたので、買い増しして値を吊り上げて売り抜ける気だろ」というコメントが。
世界中のお金に狂って脳味噌細胞全てにレバレッジをかけた人達に目覚めてもらうには、
日本国の100兆円のドル資産、全部売るしかないのかもしれません。
ARPSの保有者は、ARPSが短期市場の流動性を備えたAAA格資産であると思い込んで買っている。その資産のほとんどがAAA格ですが、突如として流動性が失われ、期間30日の資産と考えていたものが、30年間償還されない可能性のある資産に変貌したと伺いました。
コメントしていただければ、嬉しいです。
では、シティーの発表を楽しみにしつつ
今回の騒動自体が壮大な仕掛け
見てみなさい
みーんな安くなってる
所与の条件が神話だったり弛緩したりしていたら、金融工学なんて言っても、出来た金融商品は悪さをする訳で、こう言う事になるのが分かっていてやったのかもしれません、ブッシュなんか平気で嘘を言ってイラク戦争をやるんですから、十分考えられます、巨悪の根源が誰だったか映画でもいいからそれとはなしに教えてもらいたい物です。
もうムーア監督が考えているかも。
本当につくづく不思議なんだけど、
なんで日本の金を100兆円ほど強制徴収して、
サブプライム解決に使わないんでしょうか?
(徴収出来ない理由がある?)
本気で分からないんで、
御教示下さると幸甚です。
おっしゃるように、証拠金(マー担保といってもいいかもしれませんが)を使ってまた買っちゃうなんてことなければ、市場は発散しないはずが、仮にその証拠金の評価が100%を超えると、市場は誇張し続けます。当たり前の話ですが。これは、仮にAさんが100万円で時価100万円の国債を買いました。(この場合、貸すほうはバブルの頃の銀行と同じですが)でこの国債を担保に入れて、また100万円の国債を買いました。という具合に続けていけば、この担保に対して市場価格がつぎにあがるという前提(幻想かな)があれば、いくらでもレバレッジ聞くわけですよ。
さらにいえば、レポで借りてくりゃーね。もっといけまっせ。で今回はこの逆が起こって急激な信用収縮でしたね。
流動性の罠にはまってしまいましたね。
日本は大蔵省と日銀がバカすぎで
長引かせましたけどアメリカは
うまくコントロールできるのでは?
サブプライムローンは、みかんに発生したカビみたいなものでしょうか?カビのはえたみかんは、もちろん市場で売れないわけですが販売する手段がないわけではありません。四つ切にして、カビが広がる前にカビの生えてないところだけ売るのです。サブプライム問題を考えるとき素人目にはサブプライムの部分だけ取り除いてリパッケージすればいいじゃんと思うのですが、事はそんな単純なものではないのでしょうね。カビみかんのカビ部分だけ塩漬けにする政府支援があればよいのでしょうか?まあ、なんにしてもカビのはえたみかんをそのままにしておくと、カビとは無縁の正常なみかんにまでカビが移って全滅します。いまカビはどのくらい広がってるのでしょうか?
金融工学は確かに万能ではない、人間の欲望が資本主義の最高傑作を魔物に変えてしまった面はこの問題で明らかになってしまった。
でもここ数十年金融工学の理論から生まれたデリバティブが世界経済を飛躍的に成長させてきた立役者であることには誰も異論がないでしょう。
今後はこの人間の欲望をどう抑えるか、金銭欲つまりは自由に対する規制をどうかけるかが重要になってくるでしょう。
日本は公的資金で、本来つぶれるべき銀行も残し、オーバーバンキングが解消されなかったとの指摘もあります。
米国政府も、つぶれるべき銀行は放置し、つぶれては困る銀行は裏ワザで支援して、市場の淘汰を待ち、銀行がどんどんつぶれて、金融制度がやばくなりそうだと、世間が認め出したとき、公金を投入するのでしょうか。